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1章 ダンジョンと少女
スキル 進化
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スタンピードから2日。
村はすぐにいつもの日常を取り戻した。
ダンジョンの奥で気を失ったというアレンは、幸いにも命に別状はない様子。
他にも怪我を負った者は多かったが、誰一人として帰らぬ者はいなかった。
ギルドではオークのドロップアイテムの仕分けがされて、勝手にコアを破壊しようとした冒険者には荒くれゴンズの鉄拳がお見舞いされていた。
次から次へと出現する魔物に、異様に強い一匹のオーク。
ダンジョンコアに至っては、破壊寸前だったはずが存在ごと消えていたらしい。
コアが無くなったダンジョンでは魔物は湧いてこなくなり、半日もすれば洞窟も消えてしまう。
しかし魔物というものはどこからともなく現れて、人々に危害を与えるものであった。
「あーもうっ!
私もテイムスキルが欲しいんですけどっ!」
ファイアーボールを放ってレプロを始末するサラは、文句を垂れていた。
小型の魔物は素早くて魔法が当たりにくい。
一発一発にエーテルを消費する魔法では、コスパが悪くて仕方ないのだ。
「あー、また避けられたし!」
そんな小兎レプロが、急に村の近くに現れるようになったのだから、たまったものではない。
オークから得たエーテルなど、ほんの数日で無くなる勢いであったのだ。
だから冒険者たちの活動も休まることはなく、宿も雑貨屋もいつものように大盛況。
「こんにちは。今日は15個頂戴ね。
頑張った男たちに腹一杯食べてもらわなきゃだし」
そして今日もパン屋には客がやってくるが、その店頭に凍花の姿は無かった。
ロゼッタが店頭でパンを手渡すその建物の屋根裏で、凍花は仰向けになってステータスカードを眺め呟いている。
「……種族追加、習得スキル追加」
先日のオーク戦を終え、疲れもあったのか凍花は体調を崩している。
そういうことにしていた。
パンテラの傷も時間経過とともに癒え、いつだって狩りにも採取にも向かえるくらいには体調は万全なのだ。
だが、凍花は悩み、それができないでいた。
【オーク:消費エーテル800】
レベルが上がったわけではなく、いつの間にか増えていた項目。
それは考えるまでもなくダンジョンコアから溢れ出た力。
自分という存在は何なのか?
本当にこの異世界で存在して良い存在なのか?
ダンジョンとは一体……
様々な疑問が凍花の頭を駆け巡り、食事もまともに喉を通らないのであった。
ーー深夜
『せっかく力を手に入れたというのに、どうしたんだい?』
枕元でそう囁く、少年のような声が凍花の意識を呼び起こす。
身体が動くわけでもないが、やけに鮮明に見える喫茶店の風景の中、誰かがコーヒーを飲みながら座っているようであった。
「手に……って、私っていったい何なのですか?」
凍花は疑問を投げかける。
夢の中で正しい答えなど見つかるはずもないのだろう。
それでも凍花は尋ねずにはいられなかった。
『何か……と言われても、それは君自身が一番よく知っているじゃないか。
人間という種族で、凍花という人物だよ。
……あぁ、この世界じゃテバちゃんなんて呼ばれてるんだったね』
そんなことを聞きたいわけじゃない。
それは少年もわかっていて、一呼吸間を置いたのち、ゆっくりと話を続ける。
『なぁに、生態系のごくありふれた行動だよ。
君たちは、この発展途上の世界で新種として生まれたんだ。
前の世界でも普通に存在だろう? 突然変異ってやつさ』
少年の話は理解できないものではなかったが、あまりに突拍子もない内容で理解が追いつかないでいた。
要約するならば、ダンジョンというものは世界に新しい種を生み出すためのものであり、ダンジョンとして強い力を持てば同じ種の存在が各地で増えていくというもの。
環境に馴染めなければ淘汰されるし、思いもよらないほど強大な力が現存する種を食い尽くすかもしれない。
『その進化の行き着く先が、君もよく知っている世界ってことさ』
「はい? 地球も昔はそんな世界だったってこと?」
『そうだよ。恐竜の絶滅なんかは、君たちの時代にもよーく知られているじゃないか。
あれは新種の生物による魔法攻撃によるものさ。君たちの祖先……ともいうべき存在のね』
そういった進化が進み、果てにはエーテルやマテリアを食い尽くし、世界から大きな力は失われていく。
それでも現代でいう電気なんかは残っていて、今でもゆっくりと進化は続いていくのだと少年は言った。
人間という存在に、新しい進化の道を作るものが凍花であり、それらは他の種を喰らい成長していく存在である。
『そうそう。面白い魂が見つかったから、期待してくれていいよ。
君たちの世界にもいただろう? ーーって存在が』
ハッと目を覚ますと、そこは暗く天井の狭い屋根裏部屋。
小窓から覗く景色には、小さな村の灯りと酒に酔った冒険者の姿。
広場では何やら大きな柵が用意されていて、その光景はさながらコロシアム。
人じゃない存在という疑念が生んだ、ひどく後味の悪い夢にうなされて、その後は寝付けない凍花であった。
村はすぐにいつもの日常を取り戻した。
ダンジョンの奥で気を失ったというアレンは、幸いにも命に別状はない様子。
他にも怪我を負った者は多かったが、誰一人として帰らぬ者はいなかった。
ギルドではオークのドロップアイテムの仕分けがされて、勝手にコアを破壊しようとした冒険者には荒くれゴンズの鉄拳がお見舞いされていた。
次から次へと出現する魔物に、異様に強い一匹のオーク。
ダンジョンコアに至っては、破壊寸前だったはずが存在ごと消えていたらしい。
コアが無くなったダンジョンでは魔物は湧いてこなくなり、半日もすれば洞窟も消えてしまう。
しかし魔物というものはどこからともなく現れて、人々に危害を与えるものであった。
「あーもうっ!
私もテイムスキルが欲しいんですけどっ!」
ファイアーボールを放ってレプロを始末するサラは、文句を垂れていた。
小型の魔物は素早くて魔法が当たりにくい。
一発一発にエーテルを消費する魔法では、コスパが悪くて仕方ないのだ。
「あー、また避けられたし!」
そんな小兎レプロが、急に村の近くに現れるようになったのだから、たまったものではない。
オークから得たエーテルなど、ほんの数日で無くなる勢いであったのだ。
だから冒険者たちの活動も休まることはなく、宿も雑貨屋もいつものように大盛況。
「こんにちは。今日は15個頂戴ね。
頑張った男たちに腹一杯食べてもらわなきゃだし」
そして今日もパン屋には客がやってくるが、その店頭に凍花の姿は無かった。
ロゼッタが店頭でパンを手渡すその建物の屋根裏で、凍花は仰向けになってステータスカードを眺め呟いている。
「……種族追加、習得スキル追加」
先日のオーク戦を終え、疲れもあったのか凍花は体調を崩している。
そういうことにしていた。
パンテラの傷も時間経過とともに癒え、いつだって狩りにも採取にも向かえるくらいには体調は万全なのだ。
だが、凍花は悩み、それができないでいた。
【オーク:消費エーテル800】
レベルが上がったわけではなく、いつの間にか増えていた項目。
それは考えるまでもなくダンジョンコアから溢れ出た力。
自分という存在は何なのか?
本当にこの異世界で存在して良い存在なのか?
ダンジョンとは一体……
様々な疑問が凍花の頭を駆け巡り、食事もまともに喉を通らないのであった。
ーー深夜
『せっかく力を手に入れたというのに、どうしたんだい?』
枕元でそう囁く、少年のような声が凍花の意識を呼び起こす。
身体が動くわけでもないが、やけに鮮明に見える喫茶店の風景の中、誰かがコーヒーを飲みながら座っているようであった。
「手に……って、私っていったい何なのですか?」
凍花は疑問を投げかける。
夢の中で正しい答えなど見つかるはずもないのだろう。
それでも凍花は尋ねずにはいられなかった。
『何か……と言われても、それは君自身が一番よく知っているじゃないか。
人間という種族で、凍花という人物だよ。
……あぁ、この世界じゃテバちゃんなんて呼ばれてるんだったね』
そんなことを聞きたいわけじゃない。
それは少年もわかっていて、一呼吸間を置いたのち、ゆっくりと話を続ける。
『なぁに、生態系のごくありふれた行動だよ。
君たちは、この発展途上の世界で新種として生まれたんだ。
前の世界でも普通に存在だろう? 突然変異ってやつさ』
少年の話は理解できないものではなかったが、あまりに突拍子もない内容で理解が追いつかないでいた。
要約するならば、ダンジョンというものは世界に新しい種を生み出すためのものであり、ダンジョンとして強い力を持てば同じ種の存在が各地で増えていくというもの。
環境に馴染めなければ淘汰されるし、思いもよらないほど強大な力が現存する種を食い尽くすかもしれない。
『その進化の行き着く先が、君もよく知っている世界ってことさ』
「はい? 地球も昔はそんな世界だったってこと?」
『そうだよ。恐竜の絶滅なんかは、君たちの時代にもよーく知られているじゃないか。
あれは新種の生物による魔法攻撃によるものさ。君たちの祖先……ともいうべき存在のね』
そういった進化が進み、果てにはエーテルやマテリアを食い尽くし、世界から大きな力は失われていく。
それでも現代でいう電気なんかは残っていて、今でもゆっくりと進化は続いていくのだと少年は言った。
人間という存在に、新しい進化の道を作るものが凍花であり、それらは他の種を喰らい成長していく存在である。
『そうそう。面白い魂が見つかったから、期待してくれていいよ。
君たちの世界にもいただろう? ーーって存在が』
ハッと目を覚ますと、そこは暗く天井の狭い屋根裏部屋。
小窓から覗く景色には、小さな村の灯りと酒に酔った冒険者の姿。
広場では何やら大きな柵が用意されていて、その光景はさながらコロシアム。
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