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1章 ダンジョンと少女
収穫祭①
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村は野菜や麦の収穫を終え、本格的に冬支度を迎えていく。
そんな折に数台の荷馬車は村へとやってきた。
パン屋の前を通る馬車に積まれていたものは、冬を乗り切るための村の命とも言うべき糧。
日持ちのする乾物に、反物や岩塩といった品目が主で、染物に使う液体に干している最中の謎のキノコ。
様々なものを扱う規模の大きい行商も珍しく、村の者は毎年この収穫祭を待ち侘びている。
「テバちゃんは行商見るの初めてだったね。
前に来たのってテバちゃんがここに来る少し前だったし。
あの時も新しいダンジョンができたみたいだって、冒険者の人たちが騒がしかったのを覚えてるわ」
「そうなんですね。
でも行商かぁ。何か売れるものでもあったら、村のためにもなるんだろうけどなぁ……」
凍花が呟きながら外を見る。
そんな姿を見てロゼッタはクスクスと笑いながら言うのだ。
「いつもそうやって考えごとしてるけど、凄いよね。
お菓子の作り方もいっぱい知ってるし、麦粉の入った水で頭を洗うだなんて聞いたことが無かったし」
この世界に来てかなり経つが、当然凍花も何もしないでいたわけではない。
おそらくバターや砂糖がふんだんにあれば、焼き菓子くらいは作れる自信はあった。
それに無駄な雑学もそこそこあったので、シャンプーの代わりくらいはいくつか思いつく。
だが、塩も貴重で椿やオリーブの油がどうやって手に入れると良いか、まではさすがにわからない。
植物を搾って少量ならばともかくとして……
「やっぱりインスタント食品が現実的かなぁ……」
例えばお茶やコーヒーだが、煮出した抽出液を粉にする技術さえ確立できれば可能である。
熱風を当てる方法と真空状態で水分を昇華させる方法があることは知っていた凍花だが、魔法でもない限り簡単にはいかないだろう。
「まぁ魔法ならあるんだけど……そんな上手く調整いかないよねぇ」
『やっぱり思いついても実行は難しいなぁ……』なんて思うのは仕方ないのだろう。
「東の街にならあるかもしれないし、頼んで持ってきてもらったらどう?」
不意に背後からロゼッタがそんなことを言い出した。
「え? 何をですか?」
インスタントコーヒーやカップ麺が存在するはずもない。いや実はもう存在するのか?
「お砂糖とバターよ。
私もお菓子作ってみたいし、話ばっかり聞いてたら食べたくなっちゃったんだもん」
「なんだ、そっちのことかぁ。ビックリしたぁ」
「そっちってことは、テバちゃん……また何か思いついたんだ?
後でゆっくり聞かせてもーらおっと」
ともあれ、材料が手に入るのなら楽しみは増えるだろう。
楽しみも少なくて、余計なことばかり考えてしまうよりは幾分もマシだと感じてしまう。
水分の飛ばし方を考え頭を抱えつつつつも、お菓子を作れる可能性に期待を膨らませてしまう凍花であった。
そんな折に数台の荷馬車は村へとやってきた。
パン屋の前を通る馬車に積まれていたものは、冬を乗り切るための村の命とも言うべき糧。
日持ちのする乾物に、反物や岩塩といった品目が主で、染物に使う液体に干している最中の謎のキノコ。
様々なものを扱う規模の大きい行商も珍しく、村の者は毎年この収穫祭を待ち侘びている。
「テバちゃんは行商見るの初めてだったね。
前に来たのってテバちゃんがここに来る少し前だったし。
あの時も新しいダンジョンができたみたいだって、冒険者の人たちが騒がしかったのを覚えてるわ」
「そうなんですね。
でも行商かぁ。何か売れるものでもあったら、村のためにもなるんだろうけどなぁ……」
凍花が呟きながら外を見る。
そんな姿を見てロゼッタはクスクスと笑いながら言うのだ。
「いつもそうやって考えごとしてるけど、凄いよね。
お菓子の作り方もいっぱい知ってるし、麦粉の入った水で頭を洗うだなんて聞いたことが無かったし」
この世界に来てかなり経つが、当然凍花も何もしないでいたわけではない。
おそらくバターや砂糖がふんだんにあれば、焼き菓子くらいは作れる自信はあった。
それに無駄な雑学もそこそこあったので、シャンプーの代わりくらいはいくつか思いつく。
だが、塩も貴重で椿やオリーブの油がどうやって手に入れると良いか、まではさすがにわからない。
植物を搾って少量ならばともかくとして……
「やっぱりインスタント食品が現実的かなぁ……」
例えばお茶やコーヒーだが、煮出した抽出液を粉にする技術さえ確立できれば可能である。
熱風を当てる方法と真空状態で水分を昇華させる方法があることは知っていた凍花だが、魔法でもない限り簡単にはいかないだろう。
「まぁ魔法ならあるんだけど……そんな上手く調整いかないよねぇ」
『やっぱり思いついても実行は難しいなぁ……』なんて思うのは仕方ないのだろう。
「東の街にならあるかもしれないし、頼んで持ってきてもらったらどう?」
不意に背後からロゼッタがそんなことを言い出した。
「え? 何をですか?」
インスタントコーヒーやカップ麺が存在するはずもない。いや実はもう存在するのか?
「お砂糖とバターよ。
私もお菓子作ってみたいし、話ばっかり聞いてたら食べたくなっちゃったんだもん」
「なんだ、そっちのことかぁ。ビックリしたぁ」
「そっちってことは、テバちゃん……また何か思いついたんだ?
後でゆっくり聞かせてもーらおっと」
ともあれ、材料が手に入るのなら楽しみは増えるだろう。
楽しみも少なくて、余計なことばかり考えてしまうよりは幾分もマシだと感じてしまう。
水分の飛ばし方を考え頭を抱えつつつつも、お菓子を作れる可能性に期待を膨らませてしまう凍花であった。
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