私がモンスター発生源?! 〜異世界で考えたさいきょうの魔物育成計画〜

紅柄ねこ(Bengara Neko)

文字の大きさ
24 / 55
1章 ダンジョンと少女

ダンジョン攻略④

しおりを挟む
 山の近くで見つかった人影は、ウサギの耳をもった『獣人』と言うべき存在だった。
 それを見て、エルフやドワーフなんかもいるのかと、少しばかり期待が膨らむ凍花。
 身長だけを見れば120cmくらいで理想のドワーフサイズなのかもしれないが。

 ただ、が味方なのか敵なのかは正直まだ分からない。
 ダボダボのパーカーを着て、手の先、そして首から膝までを隠しているが、大きめの耳をその袖で覆い隠すようにして屈んでしまっている。
 皮膚は毛で覆われているので、やはり人とは呼べない存在なのだが、その怯えるような姿はまるで人間の子供そのもの。

「あのー……大丈夫?」
 攻撃されるかもしれないと思うと、そう訊ねる凍花もまた及び腰である。
 凍花が話しかけると、『ヒッ』と小さく怯えた声が漏れ聞こえてしまう。

 そもそも話が通じるのかは分からなかったが、凍花はゆっくりと屈んで話しかけることにしたのだった。

「この辺も魔物が出てくるし、村まで一緒に行く?
 あっ、その前にお腹空いてたりしない? パンなら持ってるんだけど……
 お水もあるし、良かったらーー」

 やはり言葉は通じないのか、話しかけても時々チラチラと凍花を見るだけの獣人。
 凍花も放っておくわけにもいかず、ひとまず木に身を寄せて休むことにしたのだ。

 ちぎったパンをひとかけら口に放り込み、『ジャムでもあればなぁ』などと呟きながら水でそれを流し込む。
 もう一度ちぎったものを、試しに獣人の近くに差し出してはみるが、やはり簡単には受け取ってはくれなさそうである。

 そんなことを10分はしていただろうか?
「お……お姉さんは私を食べようとしない?」
 小さく消えそうな声でそう聞こえた凍花。
 当然食べるつもりもなければ危害を加えるつもりもない。
 放っておいて魔物に襲われる方がよほど胸糞案件である。

「君が何かはわからないけど、訳もなく攻撃したり食べたりなんてあり得ないよ」
 自信を持って凍花は答えていた。
「でも……みんな私みたいなのは見つかったら殺されて食べられちゃうんだって……」

 一体誰がそんなことを言うのだろうか?
 見れば見るほど、ただ可愛いだけの存在で害などあるようには思えない。
 ただ、すぐに着いてきてくれるほど気を許すつもりも無さそうである。

「んー……お姉ちゃんはちょっとダンジョンの調査だけしてくるね。
 見るだけ見てきたらすぐに戻ってくるから」
 どこから来たのかも分からないため、ひとまず付き添いのトラを側にやって様子を見ることにした。
 最初は近付く魔物に怯えた獣人であったが、傍に座ってジッとしている姿を見ると落ち着いたようで周囲をキョロキョロと見回していた。

 凍花が一人で歩き始めると、その背後から獣人の声が聞こえてくる。
「ダンジョンなら……この先にあるよ……」
 そう言って指差す獣人の表情が、先ほどよりは少し明るいものに見えた凍花であった。

しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

外れスキルは、レベル1!~異世界転生したのに、外れスキルでした!

武蔵野純平
ファンタジー
異世界転生したユウトは、十三歳になり成人の儀式を受け神様からスキルを授かった。 しかし、授かったスキルは『レベル1』という聞いたこともないスキルだった。 『ハズレスキルだ!』 同世代の仲間からバカにされるが、ユウトが冒険者として活動を始めると『レベル1』はとんでもないチートスキルだった。ユウトは仲間と一緒にダンジョンを探索し成り上がっていく。 そんなユウトたちに一人の少女た頼み事をする。『お父さんを助けて!』

セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~

空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。 もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。 【お知らせ】6/22 完結しました!

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。

久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。 事故は、予想外に起こる。 そして、異世界転移? 転生も。 気がつけば、見たことのない森。 「おーい」 と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。 その時どう行動するのか。 また、その先は……。 初期は、サバイバル。 その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。 有名になって、王都へ。 日本人の常識で突き進む。 そんな感じで、進みます。 ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。 異世界側では、少し非常識かもしれない。 面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。

異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた

りゅう
ファンタジー
 異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。  いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。  その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

処理中です...