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1章 ダンジョンと少女
自然と生きる
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しばらく歩き、また木々の茂る林が見えてきたが集落らしきものは無い。
日本ですら未だに遭難のニュースは絶えなかったというのに、右も左もわからない異世界で村を飛び出したのは尚早であった。
そして、その頃にはラビも随分と落ち着いたように見えたため、凍花は話を聞くことにした。
スキルやダンジョンについては互いに知っていることも少なく、ラビに至っては生まれる前の記憶も持っていない。
しかし、聞きたいことはまた違うこと。
なぜラビは自身が捕食される側と感じ、追われる身だと知っていたのか。
そして、屋根裏でロゼッタと何があったのか。
「記憶……は無いですけど、逃げなきゃダメだって思っちゃうんです。
人間なんて初めて見るのに……」
屋根裏では、狭い空間で対峙してパニックになったのだとラビは謝っていた。
様子を見にきて声をかけてくれただけなのだと、今なら理解できるのだとも言う。
悪気があったのなら責めることもできるのだが、悪いのは何も知らずに屋根裏に残した自分なのだからと、凍花は少しばかり落ち込んでしまう。
それにしてもDNAに染みついた本能というやつなのだろうか?
しかし、いつぞやの夢で言われたことが実際に起きているのなら、ラビ自体は新種の生き物ということになる。
元となった何かがあるのか、それとも夢はやはり夢だったのか?
「とりあえず、同じような子がいたら良いんだけど。
それまで顔は見せないようにしておかなきゃだね……」
「あ……そっか……」
凍花は一応人間であり、共に生活しようというのであれば人間の集落に向かうしか手段がない。
チートスキルがあれば野生で暮らすことも可能かもしれないが、今の凍花には娯楽の無い自然界での生活は考えられそうに無かった。
そしてラビもまた、行くあてなど無い。
ダンジョンで生まれて、周囲にいたはずの魔物は次々消えていき、終ぞ途方に暮れていた。
「じゃあ、とりあえず今はラビも人間ってことにしよう」
至った結論がそれである。
ローブか何かを羽織ってもらい、姿をなるべく隠して生活してもらえば良い。
きっと安易な計画なのだろう。それは凍花も感じていた。
この時はまだ獣人が受け入れられる可能性など考えるはずもない。
それに肌を見せないとなると、指先まで隠す必要がある。
漫画やアニメでよく見たような猫耳があって、尻尾がついている人に近い姿。
それだけならば、やりようはいくらでもあるのだろう。
そんな知るはずもない日本のアニメ事情なんかを聞いて、ラビはポカンと呆けているだけであった。
あるいは、早朝から歩き疲れて言葉も出てこないだけかもしれないのだが……
林は迂回しようとするが、その先もまた木々が密集している。
度々トラに様子を見に行ってもらっていたが、特に開けた場所に出る道も無いようだ。
だが範囲を絞って少し距離を伸ばせば何かしらの情報はあるだろう。
ひとまずトラには指示を出し、二人だけでやむを得ず入っていったその先で、まさかの新たな出会いが待っていた。
そして凍花にとってそれは、良く知っている存在であり初めての出会いでもあった。
「あらあら……迷子かしら?」
それは汚れた外套を纏い出迎えてくれた。
被ったフードから覗かせるのは、青く透き通った優しい目をした女性。
肌は白く、細身に長身。大きな二つのメロンが凍花には羨ましくもある。
「良かったら近くに小屋があるので、休んでいかれます?」
微笑み話しかける女性は、林のさらに奥の方を指差している。
「え、えぇ……ちょっと疲れていたので助かります」
色々と聞きたいことが多い凍花ではあったが、薮を掻き分けながら女性の歩くその後ろをついていくのであった。
日本ですら未だに遭難のニュースは絶えなかったというのに、右も左もわからない異世界で村を飛び出したのは尚早であった。
そして、その頃にはラビも随分と落ち着いたように見えたため、凍花は話を聞くことにした。
スキルやダンジョンについては互いに知っていることも少なく、ラビに至っては生まれる前の記憶も持っていない。
しかし、聞きたいことはまた違うこと。
なぜラビは自身が捕食される側と感じ、追われる身だと知っていたのか。
そして、屋根裏でロゼッタと何があったのか。
「記憶……は無いですけど、逃げなきゃダメだって思っちゃうんです。
人間なんて初めて見るのに……」
屋根裏では、狭い空間で対峙してパニックになったのだとラビは謝っていた。
様子を見にきて声をかけてくれただけなのだと、今なら理解できるのだとも言う。
悪気があったのなら責めることもできるのだが、悪いのは何も知らずに屋根裏に残した自分なのだからと、凍花は少しばかり落ち込んでしまう。
それにしてもDNAに染みついた本能というやつなのだろうか?
しかし、いつぞやの夢で言われたことが実際に起きているのなら、ラビ自体は新種の生き物ということになる。
元となった何かがあるのか、それとも夢はやはり夢だったのか?
「とりあえず、同じような子がいたら良いんだけど。
それまで顔は見せないようにしておかなきゃだね……」
「あ……そっか……」
凍花は一応人間であり、共に生活しようというのであれば人間の集落に向かうしか手段がない。
チートスキルがあれば野生で暮らすことも可能かもしれないが、今の凍花には娯楽の無い自然界での生活は考えられそうに無かった。
そしてラビもまた、行くあてなど無い。
ダンジョンで生まれて、周囲にいたはずの魔物は次々消えていき、終ぞ途方に暮れていた。
「じゃあ、とりあえず今はラビも人間ってことにしよう」
至った結論がそれである。
ローブか何かを羽織ってもらい、姿をなるべく隠して生活してもらえば良い。
きっと安易な計画なのだろう。それは凍花も感じていた。
この時はまだ獣人が受け入れられる可能性など考えるはずもない。
それに肌を見せないとなると、指先まで隠す必要がある。
漫画やアニメでよく見たような猫耳があって、尻尾がついている人に近い姿。
それだけならば、やりようはいくらでもあるのだろう。
そんな知るはずもない日本のアニメ事情なんかを聞いて、ラビはポカンと呆けているだけであった。
あるいは、早朝から歩き疲れて言葉も出てこないだけかもしれないのだが……
林は迂回しようとするが、その先もまた木々が密集している。
度々トラに様子を見に行ってもらっていたが、特に開けた場所に出る道も無いようだ。
だが範囲を絞って少し距離を伸ばせば何かしらの情報はあるだろう。
ひとまずトラには指示を出し、二人だけでやむを得ず入っていったその先で、まさかの新たな出会いが待っていた。
そして凍花にとってそれは、良く知っている存在であり初めての出会いでもあった。
「あらあら……迷子かしら?」
それは汚れた外套を纏い出迎えてくれた。
被ったフードから覗かせるのは、青く透き通った優しい目をした女性。
肌は白く、細身に長身。大きな二つのメロンが凍花には羨ましくもある。
「良かったら近くに小屋があるので、休んでいかれます?」
微笑み話しかける女性は、林のさらに奥の方を指差している。
「え、えぇ……ちょっと疲れていたので助かります」
色々と聞きたいことが多い凍花ではあったが、薮を掻き分けながら女性の歩くその後ろをついていくのであった。
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