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1章 ダンジョンと少女
依頼①
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「ラビの方はどうだった? ヒュム草見つかった?」
「ううん、ハートの形っぽいのはあるけど、これじゃないと思う」
「うーん……ツルツルしてないし、大きさも聞いた話より小さいもんね」
こういう時に鑑定スキルなんかがあれば、なんて思う凍花。
最終手段のスライムに『取ってきて』と命じる方法も何故かうまくいかず、未だに地面をウロウロとしているだけである。
「あーもう! 疲れたし、ちょっと休憩しよっ」
「いつの間にか魔物の素材も集まっちゃいましたね」
依頼内容はヒュム草の納品なのだが、平野に生えているものはどれも何か違う気がしてしまう。
毛の生えた大きな芋虫は出て来るし、その頭部が素材としてギルドで買い取ってもらえるそうなので困る。
お金のためとはいえ、触りたくないものは触りたくないのだ。
「やっぱりダメだぁ」
日が暮れる頃まで探したが、ヒュム草は見つからない。
報酬も大した額でもないので、別に無ければ無いで良いのだが……
「今日は特訓できなかったね」
「そうだよ全く。
平野にいっぱい生えてるから持てるだけ摘んでくればいいって言ってたのに」
仕方なく街に戻った凍花たちは、芋虫の換金のために再びギルドに訪れる。
「ん? グローリーの頭部ですか?
ヒュム草を摘みに行ったと思っていたのですが」
「だって、どこにも生えてないんだもん。
本当に平野にこんな草生えてるの?」
無いものは持ってこようがない。
すでに別の冒険者が平野中のヒュム草を摘みとった後だったか、そもそも嘘の情報を教えられたかではないか。
「そんなことはないでしょう?」
ギルドの職員も不思議そうに首を傾げている。
「とりあえず色々摘んできたけど、この中にヒュム草ってあるの?」
「いえ、どれも違いますが……
あぁ、そういうことですか」
職員は納得したように返事をした。
そしてこう続けたのである。
「下ばかり探していても見つかるはずがありませんよ。
地面に落ちたやつはすぐに魔物たちの餌になっちゃいますし」
凍花はそれを聞いて少し考える。
「もしかして木についている葉っぱなの?」
「そうですね。知らないのでしたら聞いてくだされば良かったのに」
凍花はちゃんと尋ねていた。
ヒュム草はどこで手に入るのか、と。
『平野にいくらでもありますよ』という回答をもとに探し回ったのだ。
挙句、『聞けばいいのになんで聞かないの?』とでも言いたげな物言いに少しだけ腹が立った。
昔の上司もそういうところがあり、説明が適当なくせに間違えたことにはネチネチとしつこいのだ。
当時は自分が悪かったと思うようにしていたが、やはり今思えば腹が立つ。
「すみません、教えていただいてありがとうございます。
明日こそちゃんと摘んできますので、お願いします」
「あぁ、まぁ期待せずに待ってるよ」
最後まで嫌な態度の職員である。
翌る日の朝、凍花は大量のスライムとフェアリーを召喚して作業を命じてやった。
フェアリーはスライムを持ち上げて、背の高い木のすごく高いところに生えている葉っぱを、これでもかと取ってやったのだ。
「私だって見た目は子供なんだから、こんな高いところに生えてる葉っぱなんてとれるわけないじゃん!
なんなのあの職員、ムカつくー」
ヒュム草100枚束をおよそ500。
それでもまだ運びきれずに、残りはスライムたちに任せて乾燥してもらうことにした。
「えっと……これは……」
「ヒュム草の納品ですよ。
量は問わないって言ってたので持てるだけ持ってきました」
「いやしかし、この量は……」
「あと乾燥中のやつが明日には乾くと思うので、また持ってきますね」
「そうではなく、こんなには……」
「お金でしたら急ぎませんので、ちょっと行かなくてはいけないので失礼いたします」
「あの……」
話なんて絶対に聞いてやるものかと思ってしまった。
我ながら大人気ないことをしたものだが、言われたことはちゃんとこなしたのだ。文句を言われる筋合いはない。
なお、レプロの特訓用に木にスキルを使ったため葉っぱが大量に地面に落ちた。
それを食べに来たのだろうか?
翌朝、平野には大量の芋虫が発生していたのであった。
「ううん、ハートの形っぽいのはあるけど、これじゃないと思う」
「うーん……ツルツルしてないし、大きさも聞いた話より小さいもんね」
こういう時に鑑定スキルなんかがあれば、なんて思う凍花。
最終手段のスライムに『取ってきて』と命じる方法も何故かうまくいかず、未だに地面をウロウロとしているだけである。
「あーもう! 疲れたし、ちょっと休憩しよっ」
「いつの間にか魔物の素材も集まっちゃいましたね」
依頼内容はヒュム草の納品なのだが、平野に生えているものはどれも何か違う気がしてしまう。
毛の生えた大きな芋虫は出て来るし、その頭部が素材としてギルドで買い取ってもらえるそうなので困る。
お金のためとはいえ、触りたくないものは触りたくないのだ。
「やっぱりダメだぁ」
日が暮れる頃まで探したが、ヒュム草は見つからない。
報酬も大した額でもないので、別に無ければ無いで良いのだが……
「今日は特訓できなかったね」
「そうだよ全く。
平野にいっぱい生えてるから持てるだけ摘んでくればいいって言ってたのに」
仕方なく街に戻った凍花たちは、芋虫の換金のために再びギルドに訪れる。
「ん? グローリーの頭部ですか?
ヒュム草を摘みに行ったと思っていたのですが」
「だって、どこにも生えてないんだもん。
本当に平野にこんな草生えてるの?」
無いものは持ってこようがない。
すでに別の冒険者が平野中のヒュム草を摘みとった後だったか、そもそも嘘の情報を教えられたかではないか。
「そんなことはないでしょう?」
ギルドの職員も不思議そうに首を傾げている。
「とりあえず色々摘んできたけど、この中にヒュム草ってあるの?」
「いえ、どれも違いますが……
あぁ、そういうことですか」
職員は納得したように返事をした。
そしてこう続けたのである。
「下ばかり探していても見つかるはずがありませんよ。
地面に落ちたやつはすぐに魔物たちの餌になっちゃいますし」
凍花はそれを聞いて少し考える。
「もしかして木についている葉っぱなの?」
「そうですね。知らないのでしたら聞いてくだされば良かったのに」
凍花はちゃんと尋ねていた。
ヒュム草はどこで手に入るのか、と。
『平野にいくらでもありますよ』という回答をもとに探し回ったのだ。
挙句、『聞けばいいのになんで聞かないの?』とでも言いたげな物言いに少しだけ腹が立った。
昔の上司もそういうところがあり、説明が適当なくせに間違えたことにはネチネチとしつこいのだ。
当時は自分が悪かったと思うようにしていたが、やはり今思えば腹が立つ。
「すみません、教えていただいてありがとうございます。
明日こそちゃんと摘んできますので、お願いします」
「あぁ、まぁ期待せずに待ってるよ」
最後まで嫌な態度の職員である。
翌る日の朝、凍花は大量のスライムとフェアリーを召喚して作業を命じてやった。
フェアリーはスライムを持ち上げて、背の高い木のすごく高いところに生えている葉っぱを、これでもかと取ってやったのだ。
「私だって見た目は子供なんだから、こんな高いところに生えてる葉っぱなんてとれるわけないじゃん!
なんなのあの職員、ムカつくー」
ヒュム草100枚束をおよそ500。
それでもまだ運びきれずに、残りはスライムたちに任せて乾燥してもらうことにした。
「えっと……これは……」
「ヒュム草の納品ですよ。
量は問わないって言ってたので持てるだけ持ってきました」
「いやしかし、この量は……」
「あと乾燥中のやつが明日には乾くと思うので、また持ってきますね」
「そうではなく、こんなには……」
「お金でしたら急ぎませんので、ちょっと行かなくてはいけないので失礼いたします」
「あの……」
話なんて絶対に聞いてやるものかと思ってしまった。
我ながら大人気ないことをしたものだが、言われたことはちゃんとこなしたのだ。文句を言われる筋合いはない。
なお、レプロの特訓用に木にスキルを使ったため葉っぱが大量に地面に落ちた。
それを食べに来たのだろうか?
翌朝、平野には大量の芋虫が発生していたのであった。
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