46 / 55
1章 ダンジョンと少女
飛龍の棲む街
しおりを挟む
宿を出てギルドへ向かった凍花とラビは、夜とはまた違った景色の街に驚かされる。
「すっごい重装備だねー。
ラビ、あそこの人なんて全身真っ黒の鎧だよ。夏場なんて蒸し焼きになっちゃうんじゃない?」
「わ、私は鎧とかわからないです。
アレってすごいんですか?」
「いやぁ、動きづらいし人によるんじゃない?
私も着たくはないかなぁ。多分着ててもすぐにやられちゃうし」
凍花が笑いながら言うと、ラビは不安そうに辺りを見回していた。
「あの重そうにしている人とか……
本当は着ないほうがいいんですか?」
「そうかもしれないし、そうじゃないかもしれないね。
わざと攻撃を受けてから反撃するのかもしれないし、馬鹿なだけかもしれないじゃん」
多くの冒険者が金属製の防具を身に付けてどこかへ向かっているのだ。
もちろん異世界なのだからキューブを使った魔道具であると考えられるのだが、そうだとしてもエーテルの消費が激しすぎて効果の持続は困難であろう。
では普段も効果のないただの鎧を着けているのかといえば、その可能性はゼロではない。
鎧のおかげでダメージが無いのであれば、十分な効果と言えるのだろう。
しかし、スライム程度であれば逆に鎧は不要。
ストーンゴーレム相手だと、おそらく鎧越しにも衝撃はかなり大きいだろう。
どんな冒険者も、核ミサイルが飛んでくれば鎧など関係なく吹き飛ぶに違いない。
だから地球上の戦争では、今は盾などほとんど使われていないと聞いたことがある。
アレは相手を制圧する時に警察が使う程度のものでしかないのだ。
まぁ、おそらく防弾チョッキの登場も大きいのだけども。
「どうせ発動してる間しかキューブの効果は無いんだし、動きやすい服装の方が効率も良いのにね」
「でも、ドラゴンのブレスとか防いで……」
「いやー、間違いなく黒焦げになる自信あるわー。
私、ドラゴンに会ったら死を覚悟しちゃうかな?」
たまたま知ったこの街の近くにあるダンジョンの話。
飛龍が山に棲みついて、時折人里近くまでやって来る。
その爪は山を砕き、その息吹は湖を干上がらせる。
冒険者が飛龍に挑むはずもなく、国もまた対策は何一つできてはいなかった。
「ダンジョンは周りにいっぱいあるからエーテル資源にも困ってなさそうだし。
飛龍の直接的な被害は無いから、街はみんなが思うよりも平和なんだってさ」
大通りにたくさんの冒険者がいて、店も充実して楽しげな街である。
「多分……飛龍もいっぱい食べてると思う。
要らなくなったマテリア、この街には溢れてるもん……」
「……だよねぇ」
冒険者の集うギルドの中は、またうって変わって物静かな雰囲気だった。
受付には痩せた男が二人いて、淡々と作業をこなしている。
何人かで依頼書を見ながら話をしている姿もあるが、随分と静かなものである。
「はい、大会の受付でしたらこの用紙に必要事項の記入をお願いいたします。
テイマーとのことですので一応ルールの説明なのですが……」
話を聞きながら凍花は辺りを見回していた。
『静かに』と書かれた張り紙や、飲食店と思しき店の割引券が置いてあったり。
おそらくギルド内での騒ぎが多く、冒険者たちも口やかましく注意されているのであろう。
ギルドで大会への登録を済ませて、凍花は少しだけ依頼をこなすことにした。
さすが大きなギルドに来ただけあって、依頼の種類も様々である。
【ヒュム草の採取:状態の良いものを求む、乾燥してあればなお良し】
【売り子募集:魔道具の知識がある者即採用、シフト制、日給応相談】
【レンタル彼女募集:1日彼女のつもりで相手をしてください】
採取してすぐにスライム乾燥を行えば、品質はおそらく保たれるであろう。
問題は聞いたことのない植物の名前であったが、それも依頼について聞いた際に教えてもらうことができた。
それにしても気になる依頼は多いが、受けたいと思う依頼は少ない。
「ラビ、お疲れ様。
無事に大会の受付もできたし、依頼をこなしながら特訓でもしてみますかー」
「えっと……沼地のオオトカゲくらいだったら私も倒せると思うんですけど、良かったんですか?」
「良いの良いの。倒したって、ほとんどエーテルしか残さないじゃん。
素材が手に入るまで何匹倒したらいいのかわからないし」
報酬はとても良いのだが、まず沼地を歩くということに抵抗があった凍花。
依頼を受ける者も多いそうなので、あまり人気のない採取依頼を受けることにしたのだった。
「すっごい重装備だねー。
ラビ、あそこの人なんて全身真っ黒の鎧だよ。夏場なんて蒸し焼きになっちゃうんじゃない?」
「わ、私は鎧とかわからないです。
アレってすごいんですか?」
「いやぁ、動きづらいし人によるんじゃない?
私も着たくはないかなぁ。多分着ててもすぐにやられちゃうし」
凍花が笑いながら言うと、ラビは不安そうに辺りを見回していた。
「あの重そうにしている人とか……
本当は着ないほうがいいんですか?」
「そうかもしれないし、そうじゃないかもしれないね。
わざと攻撃を受けてから反撃するのかもしれないし、馬鹿なだけかもしれないじゃん」
多くの冒険者が金属製の防具を身に付けてどこかへ向かっているのだ。
もちろん異世界なのだからキューブを使った魔道具であると考えられるのだが、そうだとしてもエーテルの消費が激しすぎて効果の持続は困難であろう。
では普段も効果のないただの鎧を着けているのかといえば、その可能性はゼロではない。
鎧のおかげでダメージが無いのであれば、十分な効果と言えるのだろう。
しかし、スライム程度であれば逆に鎧は不要。
ストーンゴーレム相手だと、おそらく鎧越しにも衝撃はかなり大きいだろう。
どんな冒険者も、核ミサイルが飛んでくれば鎧など関係なく吹き飛ぶに違いない。
だから地球上の戦争では、今は盾などほとんど使われていないと聞いたことがある。
アレは相手を制圧する時に警察が使う程度のものでしかないのだ。
まぁ、おそらく防弾チョッキの登場も大きいのだけども。
「どうせ発動してる間しかキューブの効果は無いんだし、動きやすい服装の方が効率も良いのにね」
「でも、ドラゴンのブレスとか防いで……」
「いやー、間違いなく黒焦げになる自信あるわー。
私、ドラゴンに会ったら死を覚悟しちゃうかな?」
たまたま知ったこの街の近くにあるダンジョンの話。
飛龍が山に棲みついて、時折人里近くまでやって来る。
その爪は山を砕き、その息吹は湖を干上がらせる。
冒険者が飛龍に挑むはずもなく、国もまた対策は何一つできてはいなかった。
「ダンジョンは周りにいっぱいあるからエーテル資源にも困ってなさそうだし。
飛龍の直接的な被害は無いから、街はみんなが思うよりも平和なんだってさ」
大通りにたくさんの冒険者がいて、店も充実して楽しげな街である。
「多分……飛龍もいっぱい食べてると思う。
要らなくなったマテリア、この街には溢れてるもん……」
「……だよねぇ」
冒険者の集うギルドの中は、またうって変わって物静かな雰囲気だった。
受付には痩せた男が二人いて、淡々と作業をこなしている。
何人かで依頼書を見ながら話をしている姿もあるが、随分と静かなものである。
「はい、大会の受付でしたらこの用紙に必要事項の記入をお願いいたします。
テイマーとのことですので一応ルールの説明なのですが……」
話を聞きながら凍花は辺りを見回していた。
『静かに』と書かれた張り紙や、飲食店と思しき店の割引券が置いてあったり。
おそらくギルド内での騒ぎが多く、冒険者たちも口やかましく注意されているのであろう。
ギルドで大会への登録を済ませて、凍花は少しだけ依頼をこなすことにした。
さすが大きなギルドに来ただけあって、依頼の種類も様々である。
【ヒュム草の採取:状態の良いものを求む、乾燥してあればなお良し】
【売り子募集:魔道具の知識がある者即採用、シフト制、日給応相談】
【レンタル彼女募集:1日彼女のつもりで相手をしてください】
採取してすぐにスライム乾燥を行えば、品質はおそらく保たれるであろう。
問題は聞いたことのない植物の名前であったが、それも依頼について聞いた際に教えてもらうことができた。
それにしても気になる依頼は多いが、受けたいと思う依頼は少ない。
「ラビ、お疲れ様。
無事に大会の受付もできたし、依頼をこなしながら特訓でもしてみますかー」
「えっと……沼地のオオトカゲくらいだったら私も倒せると思うんですけど、良かったんですか?」
「良いの良いの。倒したって、ほとんどエーテルしか残さないじゃん。
素材が手に入るまで何匹倒したらいいのかわからないし」
報酬はとても良いのだが、まず沼地を歩くということに抵抗があった凍花。
依頼を受ける者も多いそうなので、あまり人気のない採取依頼を受けることにしたのだった。
0
あなたにおすすめの小説
外れスキルは、レベル1!~異世界転生したのに、外れスキルでした!
武蔵野純平
ファンタジー
異世界転生したユウトは、十三歳になり成人の儀式を受け神様からスキルを授かった。
しかし、授かったスキルは『レベル1』という聞いたこともないスキルだった。
『ハズレスキルだ!』
同世代の仲間からバカにされるが、ユウトが冒険者として活動を始めると『レベル1』はとんでもないチートスキルだった。ユウトは仲間と一緒にダンジョンを探索し成り上がっていく。
そんなユウトたちに一人の少女た頼み事をする。『お父さんを助けて!』
セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~
空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。
もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。
【お知らせ】6/22 完結しました!
異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。
久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。
事故は、予想外に起こる。
そして、異世界転移? 転生も。
気がつけば、見たことのない森。
「おーい」
と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。
その時どう行動するのか。
また、その先は……。
初期は、サバイバル。
その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。
有名になって、王都へ。
日本人の常識で突き進む。
そんな感じで、進みます。
ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。
異世界側では、少し非常識かもしれない。
面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。
異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた
りゅう
ファンタジー
異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。
いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。
その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる