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4.成長(1)
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今週末はクリスマス。せっかくだし、今年は少し凝った料理でも作ってみようか。そんなことを考えていた時のこと。
「クリスマス当日ですが、毎年恒例のパーティーがあります。必ず出席なので、予定は入れないでくださいね」
「はーい」
「それと今週の土曜日、上のお姉様からオーケストラのコンサートのお誘いが来ていますが、いかがなさいますか?」
「んー……予定ができたから、断っておいてくれ」
「かしこまりました……予定?」
1日の仕事を終え、二人でテレビを見ながら紅茶を飲んでいたら、晴太郎の上の姉から連絡があった事を思い出した。基本的に身内同士は晴太郎本人ではなく七海を通して連絡が来る。
上の姉、というのは6人いる中条兄弟の2番目に当たる人のこと。末っ子の晴太郎を何かと気にかけてくれる優しい姉だ。晴太郎も懐いておりこのような誘いを断ったことは無かったのだが、どうやら今回は違うようだ。
今週の土曜日はクリスマスイブ。イブにいれる予定なんて、まさか、もしかして。
「予定出来たんだ、今日」
「左様ですか。何処に行くのですか?」
「んー、決まってない……デートって、普通どこに行くんだ?」
「で……っ?!」
まさか晴太郎の口からそんな言葉が出てくると思っていなかったため、飲んでいた紅茶を吹き出しそうになる。
しかしもう晴太郎も高校2年生。恋人が出来てもおかしくない年頃だし、今まで全く出来なかったのが不思議なくらいだ。彼の成長を実感して、涙が出そうになる。
「っ、ついに彼女が……」
「え? ああ、彼女では無いんだが……クラスの女子に誘われたんだ」
晴太郎の話によると、学校でよく話す仲の良い女子生徒とのこと。付き合ってはいないので、彼女では無いようだ。
しかし、晴太郎に女の影というものが見えた事が嬉しくてたまらない。立派な男性になろうとしている証拠だ。本当は今すぐにでも社長に報告したかったが、きっと嫌がるので我慢する。
嬉しそうにソワソワしている七海を、少しむっとした様子で晴太郎が見ていた。
「……七海は、俺が女子とデートすることが嬉しいのか?」
「え? それは、もちろん嬉しいですよ」
「ふーん……」
先程まで普通に話していたのに、彼は突然元気が無くなってしまった。
晴太郎はマグカップに残った紅茶を一気に飲み干すと、ダンと音を立ててローテーブルにマグカップを置いた。
「もう寝る。おやすみ」
「あ、おやすみなさいませ。明日の朝食は……」
「パンでいい!」
バタン、と音を立ててリビングのドアを閉める。元気が無くなった、というより機嫌が悪くなってしまったようだ。
何か気に触ることを言ってしまっただろうか、と七海は首を傾げた。
「クリスマス当日ですが、毎年恒例のパーティーがあります。必ず出席なので、予定は入れないでくださいね」
「はーい」
「それと今週の土曜日、上のお姉様からオーケストラのコンサートのお誘いが来ていますが、いかがなさいますか?」
「んー……予定ができたから、断っておいてくれ」
「かしこまりました……予定?」
1日の仕事を終え、二人でテレビを見ながら紅茶を飲んでいたら、晴太郎の上の姉から連絡があった事を思い出した。基本的に身内同士は晴太郎本人ではなく七海を通して連絡が来る。
上の姉、というのは6人いる中条兄弟の2番目に当たる人のこと。末っ子の晴太郎を何かと気にかけてくれる優しい姉だ。晴太郎も懐いておりこのような誘いを断ったことは無かったのだが、どうやら今回は違うようだ。
今週の土曜日はクリスマスイブ。イブにいれる予定なんて、まさか、もしかして。
「予定出来たんだ、今日」
「左様ですか。何処に行くのですか?」
「んー、決まってない……デートって、普通どこに行くんだ?」
「で……っ?!」
まさか晴太郎の口からそんな言葉が出てくると思っていなかったため、飲んでいた紅茶を吹き出しそうになる。
しかしもう晴太郎も高校2年生。恋人が出来てもおかしくない年頃だし、今まで全く出来なかったのが不思議なくらいだ。彼の成長を実感して、涙が出そうになる。
「っ、ついに彼女が……」
「え? ああ、彼女では無いんだが……クラスの女子に誘われたんだ」
晴太郎の話によると、学校でよく話す仲の良い女子生徒とのこと。付き合ってはいないので、彼女では無いようだ。
しかし、晴太郎に女の影というものが見えた事が嬉しくてたまらない。立派な男性になろうとしている証拠だ。本当は今すぐにでも社長に報告したかったが、きっと嫌がるので我慢する。
嬉しそうにソワソワしている七海を、少しむっとした様子で晴太郎が見ていた。
「……七海は、俺が女子とデートすることが嬉しいのか?」
「え? それは、もちろん嬉しいですよ」
「ふーん……」
先程まで普通に話していたのに、彼は突然元気が無くなってしまった。
晴太郎はマグカップに残った紅茶を一気に飲み干すと、ダンと音を立ててローテーブルにマグカップを置いた。
「もう寝る。おやすみ」
「あ、おやすみなさいませ。明日の朝食は……」
「パンでいい!」
バタン、と音を立ててリビングのドアを閉める。元気が無くなった、というより機嫌が悪くなってしまったようだ。
何か気に触ることを言ってしまっただろうか、と七海は首を傾げた。
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