37 / 38
夢から醒める
しおりを挟む
目が覚めると、なんだか頭がぐらぐらした。仕舞い込んでいた体温計を出してきて熱を測ると、39度の熱がある。こんな熱を出したのは久しぶりだった。
家におかゆとか、ゼリーとか気の利いたものは存在しない。まして大学に入ってから体調も崩していなかったから、薬さえなかった。水道水をコップに入れて一気に呷り、Tシャツを着替えて布団に入る。こういうとき、実家がどれだけありがたかったかが身にしみてわかる。
昼も夜もわからなくなるまで眠り、熱が下がったのは水曜日の朝だった。モヤモヤしていた頭が軽くなり、なんだか夢から醒めたような心地になっている。妙にすっきりしていた。
何気なくスマホを手に取ると、紬と茉優からのメッセージの通知がたまっている。ベッドで三角座りをしながら、通知をタップした。上にあった紬の方から開く。
『今日休み?』『大丈夫?』『体調崩してんの?』『動けないなら家行こうか』『何かいるものとかある?』
紬からはそんなメッセージが月曜からずっと届いている。何スクロールもしないといけないメッセージ量に驚くとともに、それだけ心配されていることが嬉しかった。ひとまず無事だと伝えなければ、と返信を打ち込む。
『もう大丈夫! ありがとう、明日は大学行くから』
そう返すと、数秒も経たないうちに返信がきた。『そっか、よかった』と簡潔なものだったが、その返信の速さがどれだけ心配してくれていたかを物語っていてにやにやする。
メッセージ一覧に戻り、茉優の名前をタップすると、1番上にはなぜか紬の写真があった。添えられたメッセージに『渚ちゃんのことが心配でメッセージを送りまくる紬ちゃん』とある。そうか、あのメッセージは茉優の隣で打っていたのか、と思うとほほえましかった。
『渚ちゃん大丈夫~?』『プリントは取ってあるし、ノートも見せたげるから安心して休んでて大丈夫だよ~』
茉優から届いたメッセージはそれだけで、2人の心配の仕方が違うのも面白い。紬の写真が目に入るたびに笑ってしまいながら、茉優へも返信をする。『ありがとう、明日は行く~!』とだけ返すと、数分後にスタンプが送られてきた。
ぐっと背筋を伸ばして、陽の光の差し込むカーテンを開ける。快晴だった。
その日1日ゆっくりと休み、木曜日の朝、大学へと向かう。こんなに晴れ晴れとした気分で大学へ向かうのは久しぶりだった。電車の中から外を眺める。今日も晴れていて、いい天気だった。
教室には、すでに2人の姿があった。後ろからそっと近づき、わっと驚かす。茉優はあんまり驚かなくて、紬の方がやけにびっくりしていた。
「渚ちゃんおはよ、大丈夫?」
茉優がにこにこと笑いながら、そんな風に言った。もう大丈夫、と頷くと、よかったと笑う。
「大丈夫ならよかったけど、返信くらいしなよ」
「いや、風邪ひいてめちゃくちゃ寝込んでて」
紬はムッとした顔をしながらも、心配していたのがひしひしと伝わる。お母さんみたいだなんて思ったけれど、そう言えば本当に怒られてしまいそうだ。
「これ、休んでたときのプリントね。ノート写真撮る?」
「あー、うん。ありがとう」
茉優が鞄からプリントを取り出し、ノートも差し出してくれる。それを受け取りながら、2人に土日にあった出来事を話すかどうか迷っていた。
紬はきっと怒るだろう。茉優は怒られている私を見て、なぐさめてくれるかもしれない。そんな光景は見えているけれど、私の行動を誰かに怒ってほしかった。
「……あのさ」
緊張で声がかすれる。2人の視線がこちらへ向いた。
「土曜日に、さ。結局らろあのとこ行っちゃったの」
家におかゆとか、ゼリーとか気の利いたものは存在しない。まして大学に入ってから体調も崩していなかったから、薬さえなかった。水道水をコップに入れて一気に呷り、Tシャツを着替えて布団に入る。こういうとき、実家がどれだけありがたかったかが身にしみてわかる。
昼も夜もわからなくなるまで眠り、熱が下がったのは水曜日の朝だった。モヤモヤしていた頭が軽くなり、なんだか夢から醒めたような心地になっている。妙にすっきりしていた。
何気なくスマホを手に取ると、紬と茉優からのメッセージの通知がたまっている。ベッドで三角座りをしながら、通知をタップした。上にあった紬の方から開く。
『今日休み?』『大丈夫?』『体調崩してんの?』『動けないなら家行こうか』『何かいるものとかある?』
紬からはそんなメッセージが月曜からずっと届いている。何スクロールもしないといけないメッセージ量に驚くとともに、それだけ心配されていることが嬉しかった。ひとまず無事だと伝えなければ、と返信を打ち込む。
『もう大丈夫! ありがとう、明日は大学行くから』
そう返すと、数秒も経たないうちに返信がきた。『そっか、よかった』と簡潔なものだったが、その返信の速さがどれだけ心配してくれていたかを物語っていてにやにやする。
メッセージ一覧に戻り、茉優の名前をタップすると、1番上にはなぜか紬の写真があった。添えられたメッセージに『渚ちゃんのことが心配でメッセージを送りまくる紬ちゃん』とある。そうか、あのメッセージは茉優の隣で打っていたのか、と思うとほほえましかった。
『渚ちゃん大丈夫~?』『プリントは取ってあるし、ノートも見せたげるから安心して休んでて大丈夫だよ~』
茉優から届いたメッセージはそれだけで、2人の心配の仕方が違うのも面白い。紬の写真が目に入るたびに笑ってしまいながら、茉優へも返信をする。『ありがとう、明日は行く~!』とだけ返すと、数分後にスタンプが送られてきた。
ぐっと背筋を伸ばして、陽の光の差し込むカーテンを開ける。快晴だった。
その日1日ゆっくりと休み、木曜日の朝、大学へと向かう。こんなに晴れ晴れとした気分で大学へ向かうのは久しぶりだった。電車の中から外を眺める。今日も晴れていて、いい天気だった。
教室には、すでに2人の姿があった。後ろからそっと近づき、わっと驚かす。茉優はあんまり驚かなくて、紬の方がやけにびっくりしていた。
「渚ちゃんおはよ、大丈夫?」
茉優がにこにこと笑いながら、そんな風に言った。もう大丈夫、と頷くと、よかったと笑う。
「大丈夫ならよかったけど、返信くらいしなよ」
「いや、風邪ひいてめちゃくちゃ寝込んでて」
紬はムッとした顔をしながらも、心配していたのがひしひしと伝わる。お母さんみたいだなんて思ったけれど、そう言えば本当に怒られてしまいそうだ。
「これ、休んでたときのプリントね。ノート写真撮る?」
「あー、うん。ありがとう」
茉優が鞄からプリントを取り出し、ノートも差し出してくれる。それを受け取りながら、2人に土日にあった出来事を話すかどうか迷っていた。
紬はきっと怒るだろう。茉優は怒られている私を見て、なぐさめてくれるかもしれない。そんな光景は見えているけれど、私の行動を誰かに怒ってほしかった。
「……あのさ」
緊張で声がかすれる。2人の視線がこちらへ向いた。
「土曜日に、さ。結局らろあのとこ行っちゃったの」
0
あなたにおすすめの小説
17歳男子高生と32歳主婦の境界線
MisakiNonagase
恋愛
32歳主婦のカレンはインスタグラムで20歳大学生の晴人と知り合う。親密な関係となった3度目のデートのときに、晴人が実は17歳の高校2年生だと知る。
カレンと晴人はその後、どうなる?
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)
MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
愛しているなら拘束してほしい
守 秀斗
恋愛
会社員の美夜本理奈子(24才)。ある日、仕事が終わって会社の玄関まで行くと大雨が降っている。びしょ濡れになるのが嫌なので、地下の狭い通路を使って、隣の駅ビルまで行くことにした。すると、途中の部屋でいかがわしい行為をしている二人の男女を見てしまうのだが……。
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
【完】経理部の女王様が落ちた先には
Bu-cha
恋愛
エブリスタにて恋愛トレンドランキング4位
高級なスーツ、高級な腕時計を身に付け
ピンヒールの音を響かせ歩く
“経理部の女王様”
そんな女王様が落ちた先にいたのは
虫1匹も殺せないような男だった・・・。
ベリーズカフェ総合ランキング4位
2022年上半期ベリーズカフェ総合ランキング53位
2022年下半期ベリーズカフェ総合ランキング44位
関連物語
『ソレは、脱がさないで』
ベリーズカフェさんにて恋愛ランキング最高4位
エブリスタさんにて恋愛トレンドランキング最高2位
『大きなアナタと小さなわたしのちっぽけなプライド』
ベリーズカフェさんにて恋愛ランキング最高13位
『初めてのベッドの上で珈琲を』
エブリスタさんにて恋愛トレンドランキング最高9位
『“こだま”の森~FUJIメゾン・ビビ』
ベリーズカフェさんにて恋愛ランキング最高 17位
私の物語は全てがシリーズになっておりますが、どれを先に読んでも楽しめるかと思います。
伏線のようなものを回収していく物語ばかりなので、途中まではよく分からない内容となっております。
物語が進むにつれてその意味が分かっていくかと思います。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる