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22‐2 ダンジョン攻略(後編)
しおりを挟む「どうなってんだこりゃ? 地下世界に到着したとか?」
【その可能性も否めませんが、おそらくまだダンジョンの中です。作り手がこのような空間を用意しただけでしょう。ダンジョンとはそういうものなので】
「そうなのか。すげぇな」
不思議空間に感動しつつ、光弾突撃銃をストレージから取り出す。
十五階の主は、城に続く門前に立ちはだかるハルバードを持った銀の重鎧だ。
「首刈り騎士って感じだな。エレス、あいつは?」
【検索の結果、ヘッドレスウォリアーが近似種となります】
「ナイトじゃねぇのか。まぁいいや。〈アナリシス〉に入力しとこ」
顔の左斜め前に設置してあるホログラムカードを確認し、〈アナリシス〉で表示された情報画面で魔物の名前を入力した後、俺はすぐに光弾突撃銃を構えた。
十階で試せなかった討伐方法の検証開始。
ヘッドレスウォリアーに狙いを定めトリガーを引く。
ドフッドフッドフッ──。
音と反動を発しながら光弾が三連射され、微動だにしないヘッドレスウォリアーの胸に全て命中した。検証と効果の有無を確認する為に三発で止めたがよくわからない。
「効いてんのか?」
そう呟いた直後、ヘッドレスウォリアーがこちらに向かって駆けてきた。
なるほど。一発でも攻撃が入れば動き出すってことか。
それなら連射してればそのまま倒せるな。検証終了だ。
というかガシャガシャうるせぇなもう!
サイズ合ってんのかその鎧!
一直線に向かってくるだけのヘッドレスウォリアーに光弾を撃ち続ける。が、衝撃で足を止めることはあるものの残弾を全て撃ち込んでも倒れなかった。
「マジかよ! 二十六発全弾直撃だぞ!」
【驚きを禁じ得ません。凄まじい耐久力です】
「もしかしてアンデッドじゃないのか!?」
声高に叫んでから気づく。知ったかぶりだこれ。
愕然とするあまりアンデッドには光属性が特効というゲームから得た知識を元にした推測を叫んでしまった。当然根拠は皆無だよ。ああ恥ずかしい。
気持ちを切り替えて〈アナリシス〉で確認。
【お言葉ですがマスター、ヘッドレスウォリアーはカースマテリアル系の魔物です。アンデッド系とは違い防御力と耐性に優れた魔物が多く存在します】
「あ、うん」
しれっと傷を抉られたが平静を装って言葉を続ける。
「確認した。光弾当てて開示された情報がこれって泣けてくるね」
【光弾の属性二種共に耐性有りですか?】
「打撃は耐性。光は無効だってよ。光弾は相性最悪じゃねぇか」
【お気の毒様です。弾倉一つ分の出費が無駄になりましたね】
「それを言ってくれるなよ」
どうやらダメージが激減していたようだ。道理で倒れない訳だよ。しかし参ったね。全身鎧だし頭もないしで弱点がどこで何なのかさっぱりわからんぞ。
「考えても仕方ない。ゴリ押しでいくか」
【マスター、鎧ではなく中身が弱点の可能性があります】
「あっ、そういうことか!」
本体は鎧ではなく中身。エレスの助言で気づいたところでヘッドレスウォリアーとの距離が詰まる。悠長にしすぎた。もう十メートルほどしかない。
「だあ、エレス大剣に武器持ち替え!」
【はいマスター】
光弾突撃銃が消え右手に大剣の柄を感じた直後、ヘッドレスウォリアーがハルバードを振り上げ飛びかかってきた。振り下ろされる刃を慌てて大剣で押し止める。
「危なっ!」
ガキンッと硬質な音を鳴らしてハルバードの刃が跳ね返る。その勢いを利用しヘッドレスウォリアーがまたハルバードを振り上げるが──。
「遅い!」
俺はヘッドレスウォリアーの懐に素早く踏み込み、がら空きになった胴体を大剣で突いた。するとガッという音と共に胴体が吹き飛び、遅れて腕と脚が引っ張られた。
肩当て、肘当て、篭手で構成されている腕部と、腿当て、膝当て、脛当、金属靴で構成されている脚部が鎧と分離して一瞬伸びたように見えた。
それらを一つに繋いでいるのは青白い光だった。
なんだか非常に鬱陶しい予感がする。
「エレス、もしかしてこれ中身は物理攻撃効かないんじゃねぇか!?」
【その可能性は高そうです。見るからに非物質でした。レクタスのヘッドレスウォリアーとは似て非なるものと考えた方が良さそうです】
「飽くまで近似種ってことな! なんか器と精霊の関係を思い出したわ!」
【私もそのように感じました。ですが、明らかに違う点が一つあります】
「ああ、こいつは直接中身を狙えるからな! エレス、ポチを出せ!」
【かしこまりました】
間もなくストレージから出たポチを手動操作でウェアラブルデバイス化する。その操作の最中、ヘッドレスウォリアーがゆっくりと起き上がった。
「のんびりしやがって。年貢の納め時だぞ。エレス、狙えるか?」
【はいマスター。お任せ下さい】
エレスがポチに浸透し空気を噴出させて飛び上がる。
その途端、ヘッドレスウォリアーが動きを見せた。それまでの緩慢な動作が嘘であったかのように素早くハルバードを振り上げポチに飛びかかった。
「させねぇよ!」
俺は大剣を振りかぶりながら駆け、ヘッドレスウォリアーとの距離を一気に詰めた。そして思いきり踏み込み、無防備を晒す胴体に渾身の力を込めて振り下ろす。
「うおらああああああ!」
ゴッ──ズガァン!
鎧に大剣が触れた瞬間、力を真下に向けてヘッドレスウォリアーを打ち落とし地面に叩きつける。その衝撃で石畳が割れ砕け、破片が爆ぜ飛ぶ。
「エレス!」
【はい!】
ポチが機敏な動作で地面に降り、ヘッドレスウォリアーの首の穴に向けてポシュポシュと軽い音を発しながら連続して光弾を放つ。光弾は首の穴へと吸い込まれるように入っていき、やがてヘッドレスウォリアーはブルブルと震えてバラバラになった。
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