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適正検査に向かいましょう!
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翌朝、簡単に朝食を摂ってから身支度を終えて階下に降りると、セイがすでにホールで待っていた。
「セイ、ごめんなさい。待たせたかしら?」
階段をタタタ……と急いで駆け降りた私に気づいたセイが頭を振った。
「いや、俺もさっき降りてきたばかりだ。会場まではニール先生が引率してくれるんだよな?」
「ええ、そう聞いているけれど……」
そう言って、ニール先生の部屋である寮監室のほうを見ると、すぐに扉が開いた。
「やあ、皆早いね。もう会場に向かっても大丈夫なのかな?」
最低限身なりを整えたといった様子で出てきたニール先生は眠そうに言った。
昨日は学園内を隈なく歩き回っていたそうでヘトヘトになって帰ってきたのだ。
これでレオン様がいらしていたことを知ったら立ち直れないだろうと思い、秘密にしてある。武士の情け……いや、私からの慈悲ってやつである。
「はい。よろしくお願いします」
「うんうん。筆記用具とか必要なものは持ってるね? じゃあ案内しよう」
私たちは聖獣の皆が見送る中、ニール先生の後に続いて特別寮を出たのだった。
特別寮を出て少し歩くと、すぐに教室や講堂がある建物に着いた。
教育棟は石造りの堅牢な造りの建物で、ロの字の形になっている。四方に外からの出入り口があり、真ん中は広場になっていて、それを取り囲むように回廊があった。
先生に続いて寮から一番近い出入り口から建物に入り、簡単に建物の説明を受けながら回廊を歩いていると、中庭にいた生徒が私たちに気づきこちらを見ながら何か話しているようだった。
見るからに上級生で、派手で煌びやかな制服を着ているから貴族の御令嬢だとわかるグループは、ヒソヒソ話と不躾な視線からしてあまり好意的ではない雰囲気だった。
まあ、入学式まで特別寮に引きこもって姿は見せないわ、やっと出てきたと思ったらお兄様のエスコートで現れ、聖獣契約者として国王陛下からテコ入れされ……他の人からしてみれば、面白くはないよね、うん。
でもそれ全部、私からしてみたら不可抗力じゃん……うう。
同級生もこんな感じだったらどうしよう。
私は憂鬱な気持ちを抱え、周囲を見ないようにして重い足取りでニール先生についていった。
入学式とは違う講堂に案内された私たちは、入り口で受付を済ませて受付順に渡された番号の書かれている席に着いた。
私とセイは続きの番号だったので隣の席だった。よかった、離れなくて。それだけで心強いよ。
「君たちはここで待機してなさい。筆記試験もここで行うけど、まずは魔力量と属性を調べるからね。自分の番が近づいたら係の者に呼ばれるから、呼ばれた部屋に向かうように」
ニール先生の説明を聞きながら示された右側の壁を見ると、ずらりと扉が並んでいた。
「あの部屋に魔力量や属性を調べる魔導具が置いてあるから、係の指示に従うように。それじゃあ僕は試験官の準備があるからこれで」
ニール先生はそう言って講堂から出て行った。
その後も生徒が続々とやってきて、講堂内が騒がしくなり始めたところで、試験官の先生が教壇に立った。
「皆静かに! これから魔力量と属性の検査を行う。番号を呼ばれた生徒は速やかに呼ばれた部屋に向かいなさい。まずは一番から十番は……」
試験官の指示に従って、番号を呼ばれた生徒はぞろぞろと指示された部屋に入っていった。
十部屋に各十人ずつか……私たちは百十二番と百十三番だから、二巡目になるわね。
「ドキドキしますね、セイ様」
「ああ、僕はこういうの初めてだから特にね。楽しみではあるけど」
「ふふ、そうね」
私もこういう場で調べるのって、初めてなのよね。
私の場合、マーレン師が初めて我が家にいらっしゃった時にお父様が同席して私の魔力量や属性を魔導具で調べたのだけれど、二人とも「ほう……」「ううむ……」とか言って黙りこんでしまったのよね。
結局、属性については教えてくれたけれど、魔力量についてはわからずじまいだったんだ。
暴走するほどの魔力量なんだから、魔力お化けなのは間違いないんだろうけど。
最初の生徒たちが次々と検査を終えて席に着いていった。
嬉しそうに戻ってきた生徒もいれば、「そんなはずは……」と暗い顔をしている生徒もいた。思っていたのと違う結果だったってこと?
私も昔調べた時よりも魔力操作が上手くなったし、できる魔法も増えたからどんな結果になるのか楽しみといえば楽しみなのよね。「クリステア嬢、呼ばれたから行こう」
ぼんやりしていて、自分の番号を呼ばれたのに気づかなかった。
私は慌てて立ち上がり、セイの後を追った。
セイとは続きの番号だったから、同じ部屋に通され中に入ると、そこは控室のようで、先に入っていた生徒が緊張した様子で壁際に並べられた椅子に座って待機していた。
「ここで番号を呼ばれるまで待つように」
係に誘導された席について待っていると、奥の扉が開いて検査を終えたらしい生徒が出てきた。
縦巻きロールの金髪で、ド派手なフリルだらけの制服を身にまとった、いかにも貴族の御令嬢といった姿の女生徒が、イライラした様子で係員にツカツカと近づいて言った。
「……こんなはずありませんわ。私が、こんな……そうよ、もう一度やり直しなさい! これは何かの間違いよ!」
どうやら思っていた結果ではなかったみたいね。
「魔導具は正常に動いている。間違いないから席に戻りなさい。じゃあ、次の人は中に入って」
淡々とした対応で次の生徒を誘導する係員はガンとして譲る様子もなかった。
女生徒は「私にそんな態度を取るだなんて、覚えてらっしゃい!」と捨て台詞を吐き、ブォン!と縦巻きロールをぶん回しながら振り向いた。
こわぁ……!
小さくてもプライド高い女の子ってどこの世界でもあんな感じなのかしら。
呆然と見ていると、その女生徒とバチッと目が合った。
やばっ、ジロジロ見てたのバレた⁉︎
「貴女……」
女生徒は真っ直ぐに私のところにやってきて、仁王立ちになった。
「あ、あの、何か……?」
なに見てんのよ! とか怒られちゃうのかな?
「貴女、クリステア・エリスフィード様ね?」
彼女は私を上から下まで全身を睨みつけるようにしてチェックしてから言った。
「え、ええ、はい。そうですけれど……」
……誰だっけ?
新年の親睦パーティーの時はゴタゴタしてたせいで親睦も何もなかったから、新入生の御令嬢たちの名前と顔が一致してないんだよね……実は。
「私、貴女には負けませんから!」
「え?」
「ふん!」
突然の宣戦布告に呆然としている私を尻目に、その女生徒はツン! とそっぽを向いて靴音高く部屋を出て行った。
な、なんだったんだろう……?
て言うか、あの子一体何者なの⁇
「セイ、ごめんなさい。待たせたかしら?」
階段をタタタ……と急いで駆け降りた私に気づいたセイが頭を振った。
「いや、俺もさっき降りてきたばかりだ。会場まではニール先生が引率してくれるんだよな?」
「ええ、そう聞いているけれど……」
そう言って、ニール先生の部屋である寮監室のほうを見ると、すぐに扉が開いた。
「やあ、皆早いね。もう会場に向かっても大丈夫なのかな?」
最低限身なりを整えたといった様子で出てきたニール先生は眠そうに言った。
昨日は学園内を隈なく歩き回っていたそうでヘトヘトになって帰ってきたのだ。
これでレオン様がいらしていたことを知ったら立ち直れないだろうと思い、秘密にしてある。武士の情け……いや、私からの慈悲ってやつである。
「はい。よろしくお願いします」
「うんうん。筆記用具とか必要なものは持ってるね? じゃあ案内しよう」
私たちは聖獣の皆が見送る中、ニール先生の後に続いて特別寮を出たのだった。
特別寮を出て少し歩くと、すぐに教室や講堂がある建物に着いた。
教育棟は石造りの堅牢な造りの建物で、ロの字の形になっている。四方に外からの出入り口があり、真ん中は広場になっていて、それを取り囲むように回廊があった。
先生に続いて寮から一番近い出入り口から建物に入り、簡単に建物の説明を受けながら回廊を歩いていると、中庭にいた生徒が私たちに気づきこちらを見ながら何か話しているようだった。
見るからに上級生で、派手で煌びやかな制服を着ているから貴族の御令嬢だとわかるグループは、ヒソヒソ話と不躾な視線からしてあまり好意的ではない雰囲気だった。
まあ、入学式まで特別寮に引きこもって姿は見せないわ、やっと出てきたと思ったらお兄様のエスコートで現れ、聖獣契約者として国王陛下からテコ入れされ……他の人からしてみれば、面白くはないよね、うん。
でもそれ全部、私からしてみたら不可抗力じゃん……うう。
同級生もこんな感じだったらどうしよう。
私は憂鬱な気持ちを抱え、周囲を見ないようにして重い足取りでニール先生についていった。
入学式とは違う講堂に案内された私たちは、入り口で受付を済ませて受付順に渡された番号の書かれている席に着いた。
私とセイは続きの番号だったので隣の席だった。よかった、離れなくて。それだけで心強いよ。
「君たちはここで待機してなさい。筆記試験もここで行うけど、まずは魔力量と属性を調べるからね。自分の番が近づいたら係の者に呼ばれるから、呼ばれた部屋に向かうように」
ニール先生の説明を聞きながら示された右側の壁を見ると、ずらりと扉が並んでいた。
「あの部屋に魔力量や属性を調べる魔導具が置いてあるから、係の指示に従うように。それじゃあ僕は試験官の準備があるからこれで」
ニール先生はそう言って講堂から出て行った。
その後も生徒が続々とやってきて、講堂内が騒がしくなり始めたところで、試験官の先生が教壇に立った。
「皆静かに! これから魔力量と属性の検査を行う。番号を呼ばれた生徒は速やかに呼ばれた部屋に向かいなさい。まずは一番から十番は……」
試験官の指示に従って、番号を呼ばれた生徒はぞろぞろと指示された部屋に入っていった。
十部屋に各十人ずつか……私たちは百十二番と百十三番だから、二巡目になるわね。
「ドキドキしますね、セイ様」
「ああ、僕はこういうの初めてだから特にね。楽しみではあるけど」
「ふふ、そうね」
私もこういう場で調べるのって、初めてなのよね。
私の場合、マーレン師が初めて我が家にいらっしゃった時にお父様が同席して私の魔力量や属性を魔導具で調べたのだけれど、二人とも「ほう……」「ううむ……」とか言って黙りこんでしまったのよね。
結局、属性については教えてくれたけれど、魔力量についてはわからずじまいだったんだ。
暴走するほどの魔力量なんだから、魔力お化けなのは間違いないんだろうけど。
最初の生徒たちが次々と検査を終えて席に着いていった。
嬉しそうに戻ってきた生徒もいれば、「そんなはずは……」と暗い顔をしている生徒もいた。思っていたのと違う結果だったってこと?
私も昔調べた時よりも魔力操作が上手くなったし、できる魔法も増えたからどんな結果になるのか楽しみといえば楽しみなのよね。「クリステア嬢、呼ばれたから行こう」
ぼんやりしていて、自分の番号を呼ばれたのに気づかなかった。
私は慌てて立ち上がり、セイの後を追った。
セイとは続きの番号だったから、同じ部屋に通され中に入ると、そこは控室のようで、先に入っていた生徒が緊張した様子で壁際に並べられた椅子に座って待機していた。
「ここで番号を呼ばれるまで待つように」
係に誘導された席について待っていると、奥の扉が開いて検査を終えたらしい生徒が出てきた。
縦巻きロールの金髪で、ド派手なフリルだらけの制服を身にまとった、いかにも貴族の御令嬢といった姿の女生徒が、イライラした様子で係員にツカツカと近づいて言った。
「……こんなはずありませんわ。私が、こんな……そうよ、もう一度やり直しなさい! これは何かの間違いよ!」
どうやら思っていた結果ではなかったみたいね。
「魔導具は正常に動いている。間違いないから席に戻りなさい。じゃあ、次の人は中に入って」
淡々とした対応で次の生徒を誘導する係員はガンとして譲る様子もなかった。
女生徒は「私にそんな態度を取るだなんて、覚えてらっしゃい!」と捨て台詞を吐き、ブォン!と縦巻きロールをぶん回しながら振り向いた。
こわぁ……!
小さくてもプライド高い女の子ってどこの世界でもあんな感じなのかしら。
呆然と見ていると、その女生徒とバチッと目が合った。
やばっ、ジロジロ見てたのバレた⁉︎
「貴女……」
女生徒は真っ直ぐに私のところにやってきて、仁王立ちになった。
「あ、あの、何か……?」
なに見てんのよ! とか怒られちゃうのかな?
「貴女、クリステア・エリスフィード様ね?」
彼女は私を上から下まで全身を睨みつけるようにしてチェックしてから言った。
「え、ええ、はい。そうですけれど……」
……誰だっけ?
新年の親睦パーティーの時はゴタゴタしてたせいで親睦も何もなかったから、新入生の御令嬢たちの名前と顔が一致してないんだよね……実は。
「私、貴女には負けませんから!」
「え?」
「ふん!」
突然の宣戦布告に呆然としている私を尻目に、その女生徒はツン! とそっぽを向いて靴音高く部屋を出て行った。
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