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【王太子視点ラスト】この出会いは必然か7
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昼食の頃にはクリステア嬢も回復したらしく、インベントリから取り出した料理を給仕に配らせていた。
このオムライスとやらがまたすごかった…。
赤いコメの上にのった、黄色いふわふわしたものをナイフで割ると、内側からからとろりと流れ出し、コメを覆っていく。…うん、これは楽しい。他国からの賓客をもてなす席で出したらいいかもしれない。レシピを売って貰おう。
ケチャップとデミグラスソース、どちらにするか迷った挙句、クリステア嬢のアドバイスで2種類のソースを試すことにしたのだが…美味い。どちらのソースも美味かった。
鮮やかな色合いと、優しい味わいに陶然とした。はぁ…これは癒しだ…。
癒しの黄色いふわふわの正体が卵だと聞いて驚いた。こんなに柔らかい、特別な卵があるのかと思ったら、どこにでもある卵と同じだと言う。焼き方に加え、鮮度と何やらクリア魔法に秘密があるようだが…。
クリステア嬢は取り扱いを間違わなければ生でも食べられると言う。ありえない。
騎士団や冒険者の度胸試しのひとつに、生卵の一気飲みがあるが、運が悪ければ腹を壊して人相が変わるほどげっそりやつれたり、最悪死に至ることもあるという。それなのに…。
儚げな見た目に反して、なんと度胸のあることだ。しかし…。
「お前…そんなことしてるから、悪食令嬢って呼ばれてるんだな…。」
度胸があるのは良いことだ。だが、その度胸と勇気の先にあるは茨の道だろうに…。
「…ご理解いただけないようで残念ですわ…。」
ふぅ…、とため息をついてクリステア嬢が悲しげに俯いた。
「お、おい…?」
いや、俺は理解しようと思っているぞ!?
慌てる俺に、生卵の美味さについて滔々と説明するクリステア嬢。なんとも美味そうな表現に思わずゴクリ、と喉を鳴らした。そんなに美味いなら試すのもやぶさかではない。
「この半熟の美味しさがご理解いただけるのであれば、きっと共感していただけると思いましたが…残念ですわ。」
クリステア嬢はふたたびため息をもらし顔を上げ、悲しげな笑顔を浮かべた。
「仕方ありませんわね。私が悪食なだけですものね…。」
あ、いや、クリステア嬢が大丈夫と言うなら、俺は食べてみたいと思うぞ?
「あ、あのな…?」
「このお話はもう終わりにいたしましょう。無理に勧めるものではありませんものね?」
「え…、おい…?」
にっこりと微笑んだ後は、黙々とオムライスを食べ進めるクリステア嬢。
…どうしよう。俺がこんな悲しい微笑みを浮かべさせたのか?
どうにかして誤解を解こうと話しかけるタイミングを狙ったのだが、物思いにふけるクリステア嬢に、俺の声は届かなかった…。
「…レイ殿下は、早く空気を読むことを覚えた方がよいと思いますよ?」
ノーマンの呆れたような声が耳に痛い。
はあ…あれからずっとクリステア嬢のことが気になって仕方ない。これはやはり、彼女が運命の相手ということなのか…?
彼女はまだ婚約者がいないと聞いている。今この時、彼女と出会ったのは偶然ではなく必然に違いない。
彼女に未来の王妃となってもらうために、俺は今何をしたらいいだろう?
まずは身内であるノーマンを懐柔し、協力を仰がねばならないだろうな…。
悶々と考える王太子の側で、また碌でもないことを考えているなと頭が痛いノーマンなのであった。
このオムライスとやらがまたすごかった…。
赤いコメの上にのった、黄色いふわふわしたものをナイフで割ると、内側からからとろりと流れ出し、コメを覆っていく。…うん、これは楽しい。他国からの賓客をもてなす席で出したらいいかもしれない。レシピを売って貰おう。
ケチャップとデミグラスソース、どちらにするか迷った挙句、クリステア嬢のアドバイスで2種類のソースを試すことにしたのだが…美味い。どちらのソースも美味かった。
鮮やかな色合いと、優しい味わいに陶然とした。はぁ…これは癒しだ…。
癒しの黄色いふわふわの正体が卵だと聞いて驚いた。こんなに柔らかい、特別な卵があるのかと思ったら、どこにでもある卵と同じだと言う。焼き方に加え、鮮度と何やらクリア魔法に秘密があるようだが…。
クリステア嬢は取り扱いを間違わなければ生でも食べられると言う。ありえない。
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儚げな見た目に反して、なんと度胸のあることだ。しかし…。
「お前…そんなことしてるから、悪食令嬢って呼ばれてるんだな…。」
度胸があるのは良いことだ。だが、その度胸と勇気の先にあるは茨の道だろうに…。
「…ご理解いただけないようで残念ですわ…。」
ふぅ…、とため息をついてクリステア嬢が悲しげに俯いた。
「お、おい…?」
いや、俺は理解しようと思っているぞ!?
慌てる俺に、生卵の美味さについて滔々と説明するクリステア嬢。なんとも美味そうな表現に思わずゴクリ、と喉を鳴らした。そんなに美味いなら試すのもやぶさかではない。
「この半熟の美味しさがご理解いただけるのであれば、きっと共感していただけると思いましたが…残念ですわ。」
クリステア嬢はふたたびため息をもらし顔を上げ、悲しげな笑顔を浮かべた。
「仕方ありませんわね。私が悪食なだけですものね…。」
あ、いや、クリステア嬢が大丈夫と言うなら、俺は食べてみたいと思うぞ?
「あ、あのな…?」
「このお話はもう終わりにいたしましょう。無理に勧めるものではありませんものね?」
「え…、おい…?」
にっこりと微笑んだ後は、黙々とオムライスを食べ進めるクリステア嬢。
…どうしよう。俺がこんな悲しい微笑みを浮かべさせたのか?
どうにかして誤解を解こうと話しかけるタイミングを狙ったのだが、物思いにふけるクリステア嬢に、俺の声は届かなかった…。
「…レイ殿下は、早く空気を読むことを覚えた方がよいと思いますよ?」
ノーマンの呆れたような声が耳に痛い。
はあ…あれからずっとクリステア嬢のことが気になって仕方ない。これはやはり、彼女が運命の相手ということなのか…?
彼女はまだ婚約者がいないと聞いている。今この時、彼女と出会ったのは偶然ではなく必然に違いない。
彼女に未来の王妃となってもらうために、俺は今何をしたらいいだろう?
まずは身内であるノーマンを懐柔し、協力を仰がねばならないだろうな…。
悶々と考える王太子の側で、また碌でもないことを考えているなと頭が痛いノーマンなのであった。
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