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連載
【番外編/モブ視点】とある子爵令嬢の悩める取り巻き生活2
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フランシーヌ様のお茶会から数日後、トリクシー様からついにクリステア様が動いたと情報が入った。
毎回、彼女がどうやって情報を得ているのか不思議に思っていたのだけれど、商会の子や平民の生徒から情報を買っているのだと聞いた。
それはもはや噂好きの域を超えているのでは……?
そんなトリクシー様から半強制的にお茶会に呼び出された。
あの時の会話からして今回の呼び出しは嫌な予感しかしないのだけれど……
しかし、トリクシー様より弱い立場にある私は断れるはずもなく、せめて目立たない席に座ってことの成り行きを見守ることにしたのだった。
「皆様もお聞きになったかと思われますが、ついにアリシア様がクリステア様に敗北し、あろうことか敵方であったクリステア様の傘下に入るようですわよ」
トリクシー様のお言葉に皆様がざわめいた。
え、アリシア様が……?
いくら敗北したとはいえ、敵とも言うべきご令嬢の下に付くとかありえるのかしら⁉︎
ご実家はエリスフィード家の対立派閥だったはずだから、そんなことをしたら大変なことになるのでは?
それとも、グルージア侯爵家がエリスフィード公爵家に屈した?
色々な憶測が飛び交う中、トリクシー様が得意げな表情を浮かべて「お静かに」と声をかけたことで室内は一瞬でシン、と静まりかえった。
「先日、クリステア様とアリシア様が挨拶を交わし、親しげに談笑しながら教室に移動している姿を目撃したと報告がありましたの。その際、クリステア様がアリシア様をお茶会に招待すると約束していたようだとも……」
トリクシー様はそこまで話すと、はあ……とわざとらしくため息を吐いてからティーカップを手に取った。
トリクシー様がゆっくり紅茶を飲むのを皆が焦れながらも黙って見守っていると、ティーカップをソーサーに置いて私たちににっこりと笑った。
「ですから私、アリシア様の取り巻きのご令嬢たちにこれからはアリシア様のお側にいてもいいことなんて何もないこと、しばらくは距離を置かれて、ご家族に今後の身の振り方をご相談なさったほうがよろしくてよ、と匿名で忠告して差し上げましたの」
え……それって、要はアリシア様から離れて孤立させなさいって遠回しに言ってるよね?
「取り巻きの皆様は迷っていらっしゃるようでしたけれど、遠からずこちらの忠告に従うことになるでしょうね」
ニヤリと口角を上げて笑うトリクシー様の目は笑っていなかったので、とても怖かった。
「アリシア様は取り巻きが離れ次第、王太子殿下の婚約者として相応しくないと自覚していただくとして、クリステア様には近いうちに他の殿方に目を向けていただけるように微力ながら出会いの場を提供して差し上げようと思いますの。確か、ガドリー家やボートヴィル家がエリスフィード公爵家との繋がりを強く求めているとのことでしたから、さりげなくクリステア様のお茶会の話題を出して、ついにクリステア様の社交が始まったようだとお話すると良いでしょうね」
トリクシー様がそう言ってちらりと見た先には二学年下のご令嬢たちがいて、その視線にビクッとしていた。
確か……ガドリー家のご子息であるトリニアン様が彼女たちと同学年だったはず。
「ねえ、貴女たち。悩める彼らが有益な情報を得られるよう、ほんの少し、ええほんの少しだけ。彼らの近くでクリステア様のお茶会の話をするだけでいいの。それだけで彼らは自分たちがどう動くべきか考えるはずよ? 貴女たちはただ、彼らに聞こえるところでおしゃべりするだけ。ね、簡単でしょう?」
トリクシー様がニィッと口角を上げ、首を傾げて言うと、話しかけられたご令嬢たちは「え、ええ。それくらいなら……」と頷いた。
というか、頷かないといけないような空気だったので彼女たちもそうする以外どうしようもなかったと思う。
他の皆は、自分たちに役目がこないよう、祈るように彼女たちから目を逸らしていたから。
「まあ、よかった! 貴女たちはきっと彼らに感謝されるに違いないわ。うふふ」
トリクシー様はお茶菓子に出されたショートブレッドを手に取り、サクリと一口齧った。
ああ、あれ美味しいのよね。
メイヤー商会限定販売だから、なかなか手に入らなくて。
メイヤー商会のご令嬢がクリステア様のご友人で、入学してから聖獣契約に成功したため、話題の人の一人でもある。
聖獣契約後、早々に特別寮に移ってしまったため、フランシーヌ派に引き込むのに失敗してしまったとトリクシー様も悔しそうにしていた。
「メイヤー商会のご令嬢をこちらに取り込めなかったのはつくづく残念ね。フランシーヌ様が王太子殿下の婚約者に決まった暁にはどうにかしてこちらに引き込んでいただかなくては」
トリクシー様はそう言って残りのショートブレッドを口に入れた。
数日後、ついにクリステア様のお茶会が開かれるという情報が舞い込んだそうで、昼休みにトリクシー様から召集がかかった。
ランチをサロン棟に運んでもらい、皆で昼食を取りながらトリクシー様に注目していた。
正直なところ、何を言われるのか気が気じゃなくて食べたものの味がしなかった。
「今朝、クリステア様がアリシア様に招待状をお渡ししたそうよ。サロン棟のエリスフィード公爵家借り上げの部屋を今日の午後から使うと通知があったそうだからその時ね。今日の今日だなんて、招待状の意味がないじゃないの、まったく……」
どうやら、事前にいつ行うかは予め決めていたようで、招待状は単なる形式だけのようだった。
まあ、トリクシー様もこうして急に召集をかけるのだから、人のことを言えた義理ではないと思うのだけど……
「サロン棟の者は一切使わず、料理や飲み物も全て持ち込みだそうよ。まったく、こちらの息のかかった者を入れられないなんて、計算外だわ」
え、諜報を入れるつもりだったの⁉︎ なんて大胆な……
どうやらサロン棟で働くメイドか、サロン棟でアルバイトしているメイド志望の平民の生徒にお金を握らせて何かしら情報を得ようとしていたみたい。
それなのに使うのは部屋だけ、その部屋もエリスフィード家が在学中借り上げている専用の部屋だから、決まった人物しか出入りできないし、盗聴なんてもってのほか。
今回給仕として入るのもクリステア様の侍女ともう一人特別寮から派遣されてくるメイドらしいので買収は無理だったそうで。
クリステア様、徹底してるなぁ……
やはり、本人が望まずともこれだけ敵が多いと警戒せざるを得ないということなのかしら。
いいお家に生まれるって、羨ましいことばかりじゃないのね。大変だなぁ。
「あちらもその気がない割には周囲への警戒が厳しいのが気になるわね。やはり、油断ならないわ……」
トリクシー様がぶつぶつ呟くのを横目に私はさっさと食べ終えてしまおうとせっせと料理を口に運ぶ。
もうこんな集まりはうんざり。
入学したての小さな子たちを成人間近の令嬢たちが貶めようとするなんて醜悪極まりないわ。
どうにかしてやんわり、当たり障りなく取り巻きから離れる方法を考えよう。
そして心置きなく図書館通いして読書三昧よ!
そう心に誓った矢先、トリクシー様が食事を終え、席を立つと同時に「ああ、そうそう。貴女たちにお願いがあったのよ」と、私を含む数名でサロン棟のロビーでクリステア様たちの様子を伺うよう命令してきた。
う、嘘でしょう⁉︎
---------------------------
すみません!
もう少しお付き合いくださいませー!
いつもコメントandエールポチッとありがとうございます!
嬉しさににまにましながら読ませていただいております and 執筆の励みになっておりますー!
毎回、彼女がどうやって情報を得ているのか不思議に思っていたのだけれど、商会の子や平民の生徒から情報を買っているのだと聞いた。
それはもはや噂好きの域を超えているのでは……?
そんなトリクシー様から半強制的にお茶会に呼び出された。
あの時の会話からして今回の呼び出しは嫌な予感しかしないのだけれど……
しかし、トリクシー様より弱い立場にある私は断れるはずもなく、せめて目立たない席に座ってことの成り行きを見守ることにしたのだった。
「皆様もお聞きになったかと思われますが、ついにアリシア様がクリステア様に敗北し、あろうことか敵方であったクリステア様の傘下に入るようですわよ」
トリクシー様のお言葉に皆様がざわめいた。
え、アリシア様が……?
いくら敗北したとはいえ、敵とも言うべきご令嬢の下に付くとかありえるのかしら⁉︎
ご実家はエリスフィード家の対立派閥だったはずだから、そんなことをしたら大変なことになるのでは?
それとも、グルージア侯爵家がエリスフィード公爵家に屈した?
色々な憶測が飛び交う中、トリクシー様が得意げな表情を浮かべて「お静かに」と声をかけたことで室内は一瞬でシン、と静まりかえった。
「先日、クリステア様とアリシア様が挨拶を交わし、親しげに談笑しながら教室に移動している姿を目撃したと報告がありましたの。その際、クリステア様がアリシア様をお茶会に招待すると約束していたようだとも……」
トリクシー様はそこまで話すと、はあ……とわざとらしくため息を吐いてからティーカップを手に取った。
トリクシー様がゆっくり紅茶を飲むのを皆が焦れながらも黙って見守っていると、ティーカップをソーサーに置いて私たちににっこりと笑った。
「ですから私、アリシア様の取り巻きのご令嬢たちにこれからはアリシア様のお側にいてもいいことなんて何もないこと、しばらくは距離を置かれて、ご家族に今後の身の振り方をご相談なさったほうがよろしくてよ、と匿名で忠告して差し上げましたの」
え……それって、要はアリシア様から離れて孤立させなさいって遠回しに言ってるよね?
「取り巻きの皆様は迷っていらっしゃるようでしたけれど、遠からずこちらの忠告に従うことになるでしょうね」
ニヤリと口角を上げて笑うトリクシー様の目は笑っていなかったので、とても怖かった。
「アリシア様は取り巻きが離れ次第、王太子殿下の婚約者として相応しくないと自覚していただくとして、クリステア様には近いうちに他の殿方に目を向けていただけるように微力ながら出会いの場を提供して差し上げようと思いますの。確か、ガドリー家やボートヴィル家がエリスフィード公爵家との繋がりを強く求めているとのことでしたから、さりげなくクリステア様のお茶会の話題を出して、ついにクリステア様の社交が始まったようだとお話すると良いでしょうね」
トリクシー様がそう言ってちらりと見た先には二学年下のご令嬢たちがいて、その視線にビクッとしていた。
確か……ガドリー家のご子息であるトリニアン様が彼女たちと同学年だったはず。
「ねえ、貴女たち。悩める彼らが有益な情報を得られるよう、ほんの少し、ええほんの少しだけ。彼らの近くでクリステア様のお茶会の話をするだけでいいの。それだけで彼らは自分たちがどう動くべきか考えるはずよ? 貴女たちはただ、彼らに聞こえるところでおしゃべりするだけ。ね、簡単でしょう?」
トリクシー様がニィッと口角を上げ、首を傾げて言うと、話しかけられたご令嬢たちは「え、ええ。それくらいなら……」と頷いた。
というか、頷かないといけないような空気だったので彼女たちもそうする以外どうしようもなかったと思う。
他の皆は、自分たちに役目がこないよう、祈るように彼女たちから目を逸らしていたから。
「まあ、よかった! 貴女たちはきっと彼らに感謝されるに違いないわ。うふふ」
トリクシー様はお茶菓子に出されたショートブレッドを手に取り、サクリと一口齧った。
ああ、あれ美味しいのよね。
メイヤー商会限定販売だから、なかなか手に入らなくて。
メイヤー商会のご令嬢がクリステア様のご友人で、入学してから聖獣契約に成功したため、話題の人の一人でもある。
聖獣契約後、早々に特別寮に移ってしまったため、フランシーヌ派に引き込むのに失敗してしまったとトリクシー様も悔しそうにしていた。
「メイヤー商会のご令嬢をこちらに取り込めなかったのはつくづく残念ね。フランシーヌ様が王太子殿下の婚約者に決まった暁にはどうにかしてこちらに引き込んでいただかなくては」
トリクシー様はそう言って残りのショートブレッドを口に入れた。
数日後、ついにクリステア様のお茶会が開かれるという情報が舞い込んだそうで、昼休みにトリクシー様から召集がかかった。
ランチをサロン棟に運んでもらい、皆で昼食を取りながらトリクシー様に注目していた。
正直なところ、何を言われるのか気が気じゃなくて食べたものの味がしなかった。
「今朝、クリステア様がアリシア様に招待状をお渡ししたそうよ。サロン棟のエリスフィード公爵家借り上げの部屋を今日の午後から使うと通知があったそうだからその時ね。今日の今日だなんて、招待状の意味がないじゃないの、まったく……」
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まあ、トリクシー様もこうして急に召集をかけるのだから、人のことを言えた義理ではないと思うのだけど……
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どうやらサロン棟で働くメイドか、サロン棟でアルバイトしているメイド志望の平民の生徒にお金を握らせて何かしら情報を得ようとしていたみたい。
それなのに使うのは部屋だけ、その部屋もエリスフィード家が在学中借り上げている専用の部屋だから、決まった人物しか出入りできないし、盗聴なんてもってのほか。
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クリステア様、徹底してるなぁ……
やはり、本人が望まずともこれだけ敵が多いと警戒せざるを得ないということなのかしら。
いいお家に生まれるって、羨ましいことばかりじゃないのね。大変だなぁ。
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トリクシー様がぶつぶつ呟くのを横目に私はさっさと食べ終えてしまおうとせっせと料理を口に運ぶ。
もうこんな集まりはうんざり。
入学したての小さな子たちを成人間近の令嬢たちが貶めようとするなんて醜悪極まりないわ。
どうにかしてやんわり、当たり障りなく取り巻きから離れる方法を考えよう。
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そう心に誓った矢先、トリクシー様が食事を終え、席を立つと同時に「ああ、そうそう。貴女たちにお願いがあったのよ」と、私を含む数名でサロン棟のロビーでクリステア様たちの様子を伺うよう命令してきた。
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