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ヒロイン分岐編
22 おまいう男
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「というかこんな時くらいお前は俺に構わず他の女性をダンスに誘いに行けばいいだろ」
「いえいえ、僕にはルーク様がいますのでルーク様の御側に居る事が僕の幸せです」
「……その言葉深い意味無いよな」
「??ええ」
レインの妄想小説が厚くなるような台詞を迂闊に口にするモグリソンを睨めば、なんの事かとキョトンとした顔で分かっていないモグリソンの様子にため息をつく。俺の周りの男は熱い性格の奴が多い故に口にする台詞が妙なのばかりだ。
「そういえばアイツにルーク様がどちらにいるかと訊ねられましたよ」
「アイツ?」
「カイリ・フェンディルです」
「あー……」
何故、とつい口にしそうになったがここ1ヶ月半以上の自分の行動を思い出せば納得であった。
『あの、ルーク先輩』
『悪いな急用が~……』
『ルーク先ぱ、』
『そうだ、モグリソンあの件って~……』
『ルー、』
『モグリソン~……』
……少々、いや、かなりあからさまに避けていた。
カイリから逃げる為に何度用事もないのにモグリソンの名前を呼んだことだろうか。おかげでクラスメイト達は俺とモグリソンが大の親友だと思っている者もいるくらいだ。
「最近アイツ僕に話しかけてくる機会が増えまして、主に話す内容もルーク様についてですが」
「お前が後輩に慕われる良い上級生ということだな、素敵素敵」
「何故かルーク様が僕の名前を呼ぶ度に視線を感じ、振り返れば決まって僕を殺さんばかりに睨んでいるカイリ・フェンディルが居る気がします」
「気のせいだ、気のせい」
「今日もルーク様の居場所を聞いてきた後に『俺も同学年でさえあれば……』と恨めしそうに謎の言葉を吐き捨てて行ったのですが」
「ほうほう後輩から親しみを持たれているお前は優れた上級生だなモグリソン」
「そうでしょうか……。ルーク様がそうおっしゃるのならそうだと思いますが」
「うんうん」
さて、モグリソンは適当に言いくるめたから良いとしてだが……カイリは俺を探しているのか。
今日に限ってはアイツの傍に居た方がダンスの妨害がしやすく都合が良い話ではあるが、やはり自ら近づくのはなんとなく気が引ける。
俺とモグリソンがそうこうしている中で、綺麗なドレスを着た1人の女性が近づいてきた。……俺にではなく、モグリソンに。
「なんだ」
「その、あの……ッ」
「ん??」
「……」
もうすぐ音楽隊による演奏が始まり、ダンスが始まる。
……え、嘘。モグリソンに春が来かけてる。モグリソン?あの?このモグリソンに?
もじもじとした様子のモブ女子生徒であるが可愛らしい容姿でレインから薄い本を取り上げる時に見かけた気がするので一年生だろう。
恥ずかしそうにした女学生をモグリソンは鈍感主人公よろしく、彼女が言いたい事を察する事もせず首を傾げて「何かあるなら言ってみろ」と最悪の発言を繰り返している。モテない人生を送る俺から言わせてみれば鈍感主人公ほど腹立つ存在はいない。あーやだやだ他者からの好意に異常な程鈍いモテ男って。
「……モグリソン、お前こちらの令嬢に一曲お相手して貰いな」
「え?何故です僕はルー、」
「いいから行け鈍感主人公」
「ドンカ……?わかりました」
女子生徒は嬉しそうに俺へぺこりと頭を下げるとモグリソンのリードによって、会場の中心へと2人は向かった。いつもべったりで鬱陶しさを感じつつある存在が俺を置いて女性とダンスする姿をただ見る時間というのは、なんともいえない時間である。
「優しいですね、ルーク先輩は」
「いやいやそんな事ない」
「女性からダンスに誘うのは勇気が入りますからね。先輩は今日ダンスのお相手は?」
「俺なんか居るわけないよ、そんなことより俺はカイリを~……」
……待て。モグリソンは今踊りに行った所で、この場に居ない。じゃあ俺が今無意識に話していた男ってまさか。
ギギギと油を差していない機械のように首を動かすとそこに居たのは、ヘーゼル色の瞳が俺を見つめていた。
「いえいえ、僕にはルーク様がいますのでルーク様の御側に居る事が僕の幸せです」
「……その言葉深い意味無いよな」
「??ええ」
レインの妄想小説が厚くなるような台詞を迂闊に口にするモグリソンを睨めば、なんの事かとキョトンとした顔で分かっていないモグリソンの様子にため息をつく。俺の周りの男は熱い性格の奴が多い故に口にする台詞が妙なのばかりだ。
「そういえばアイツにルーク様がどちらにいるかと訊ねられましたよ」
「アイツ?」
「カイリ・フェンディルです」
「あー……」
何故、とつい口にしそうになったがここ1ヶ月半以上の自分の行動を思い出せば納得であった。
『あの、ルーク先輩』
『悪いな急用が~……』
『ルーク先ぱ、』
『そうだ、モグリソンあの件って~……』
『ルー、』
『モグリソン~……』
……少々、いや、かなりあからさまに避けていた。
カイリから逃げる為に何度用事もないのにモグリソンの名前を呼んだことだろうか。おかげでクラスメイト達は俺とモグリソンが大の親友だと思っている者もいるくらいだ。
「最近アイツ僕に話しかけてくる機会が増えまして、主に話す内容もルーク様についてですが」
「お前が後輩に慕われる良い上級生ということだな、素敵素敵」
「何故かルーク様が僕の名前を呼ぶ度に視線を感じ、振り返れば決まって僕を殺さんばかりに睨んでいるカイリ・フェンディルが居る気がします」
「気のせいだ、気のせい」
「今日もルーク様の居場所を聞いてきた後に『俺も同学年でさえあれば……』と恨めしそうに謎の言葉を吐き捨てて行ったのですが」
「ほうほう後輩から親しみを持たれているお前は優れた上級生だなモグリソン」
「そうでしょうか……。ルーク様がそうおっしゃるのならそうだと思いますが」
「うんうん」
さて、モグリソンは適当に言いくるめたから良いとしてだが……カイリは俺を探しているのか。
今日に限ってはアイツの傍に居た方がダンスの妨害がしやすく都合が良い話ではあるが、やはり自ら近づくのはなんとなく気が引ける。
俺とモグリソンがそうこうしている中で、綺麗なドレスを着た1人の女性が近づいてきた。……俺にではなく、モグリソンに。
「なんだ」
「その、あの……ッ」
「ん??」
「……」
もうすぐ音楽隊による演奏が始まり、ダンスが始まる。
……え、嘘。モグリソンに春が来かけてる。モグリソン?あの?このモグリソンに?
もじもじとした様子のモブ女子生徒であるが可愛らしい容姿でレインから薄い本を取り上げる時に見かけた気がするので一年生だろう。
恥ずかしそうにした女学生をモグリソンは鈍感主人公よろしく、彼女が言いたい事を察する事もせず首を傾げて「何かあるなら言ってみろ」と最悪の発言を繰り返している。モテない人生を送る俺から言わせてみれば鈍感主人公ほど腹立つ存在はいない。あーやだやだ他者からの好意に異常な程鈍いモテ男って。
「……モグリソン、お前こちらの令嬢に一曲お相手して貰いな」
「え?何故です僕はルー、」
「いいから行け鈍感主人公」
「ドンカ……?わかりました」
女子生徒は嬉しそうに俺へぺこりと頭を下げるとモグリソンのリードによって、会場の中心へと2人は向かった。いつもべったりで鬱陶しさを感じつつある存在が俺を置いて女性とダンスする姿をただ見る時間というのは、なんともいえない時間である。
「優しいですね、ルーク先輩は」
「いやいやそんな事ない」
「女性からダンスに誘うのは勇気が入りますからね。先輩は今日ダンスのお相手は?」
「俺なんか居るわけないよ、そんなことより俺はカイリを~……」
……待て。モグリソンは今踊りに行った所で、この場に居ない。じゃあ俺が今無意識に話していた男ってまさか。
ギギギと油を差していない機械のように首を動かすとそこに居たのは、ヘーゼル色の瞳が俺を見つめていた。
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