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学園祭準備編
31 主演の男
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***
「オーウェン・ミーチェ先輩は見る目がありますね。ルーク様を会長後任に任せるなんて見事な采配です」
「……」
「……ルーク様?なんだか僕、ルーク様に睨まれてる気が」
「もうお前を頼りにすることはない」
「なぜ!?」
生徒会長後任に任命されてからというもの俺の意思は関係ないものとされ、毎日オーウェンにあちらこちらの現場に連行されていた。
毎日多忙で、カイリのヒロイン分岐がどうなるかを考える暇もなく仕事をただこなす日々が続いているのだ。
『ちなみにカイリ休日はどう過ごしたんだ』
『家で過ごしましたよ。嬉しいな、先輩が俺の事聞いてくれるの』
『……そうか』
連れ回される中で同じく連れ回されているカイリに隙を見て探りを入れてみるが、カイリはエロスチルを回収出来ていなかった。なのに生徒会に入っている。……だが、副会長後任として。さらには俺が会長として紛れている。
もう、わけが分からん。収穫としてはゼロである。一体、主人公は誰のルートに進んでいるんだと頭を抱えるばかりだ。
こんな訳の分からない状況で唯一救いなのが、生徒会長以外のメンバーは良い人ばかりという事だけだろうか。俺たちの心中を察してか「無理しないでね」と気にかけてくれている。
会長以外はまともで、俺の会長後任の辞退の話しを聞いてくれそうな雰囲気はあるが、学園祭準備で毎日来賓の確認や各クラスの予算会議、学園祭名物のコンテストの準備など連れ回されたそれぞれの現場で人手不足は感じた。生気を失いつつある生徒会メンバーと実行委員の姿を見た上で「俺関係ないので!」と無視することはなかなかに言い出しづらい。そのため、せめて学園祭が終わるまでは後任などは一先ず置いておいて手伝う事を渋々了承した。
しかし、ある程度覚悟をしていたとはいえ、俺も体力の限界が近づいてきていた。日々の疲労が溜まり、ストレスも堪っていく。今も、疲労と睡眠不足で頭が殆ど回らない。
「……」
「ご、ご不満のご様子でルーク様が見ている……な、なぜなんだ……」
近くにいるモグリソンに八つ当たりだけして、再び教壇に立つ学級委員長の2人に視線を戻した。
今は学園祭に向け、うちのクラスでの催しを決める時間だ。俺達2年生は全クラス共通で演劇なので、演目と配役についての話し合いが学級委員長を中心に進められている。
「では、主演はルーク・アルバンベルトくんにお願いしたいと思いま、」
「いやいやいや」
待て待て待て。俺が一瞬だけ意識を飛ばしてる間に、どんな話し合いがあってそんな結論に至った。
「モグリソン、なんでこんな話になってる?」
「僕たちのクラスは、古くから愛されている恋愛小説『眠れる森の美形』を今年の演目に選び、その眠る美形の主演に他生徒からの推薦もあってルーク様が選ばれたばかりですね」
「誰が推薦したんだ?」
「もちろん僕です、ルーク様ッ!痛っ!?」
得意げな表情である隣の男に渾身のデコピンを食らわせ、急いで学級委員長やクラス全員に異議を唱えるため手を上げた。
「選んでもらえるのは光栄だが、もっと相応しい人間がいるだろう。俺は生徒会の手伝いもあるし、裏方で――」
「ルーク君以外に相応しい人って……どなた??」
「我が校の誇りともいえるルーク君がクラス演劇で主演を演じることに疑問を感じる人の方が少ないと思うけれど」
なんだなんだデジャヴなのかこれは。
まぁ?確かに?俺のように見た目がそれなりに整っていて、成績優秀で――……トラブルに首を突っ込む率が高い生徒はそういないと理解してるが、違うんだ。クラスでもこんなことになるのか。
生徒たちの反論に上手く返せずにいると、あれよあれよと押し切られ、結局クラスの演劇で主演を務めることになった。その後も俺を中心とした配役や脚本が次々に決まっていく。
「(あ、俺死ぬかも)」
自分の生命の終わりを察し、深いため息をついた。隣から聞こえる「僕が裏方として精一杯サポートします!!」と気合いの入ったモグリソンの声は聞こえないものとした。
「オーウェン・ミーチェ先輩は見る目がありますね。ルーク様を会長後任に任せるなんて見事な采配です」
「……」
「……ルーク様?なんだか僕、ルーク様に睨まれてる気が」
「もうお前を頼りにすることはない」
「なぜ!?」
生徒会長後任に任命されてからというもの俺の意思は関係ないものとされ、毎日オーウェンにあちらこちらの現場に連行されていた。
毎日多忙で、カイリのヒロイン分岐がどうなるかを考える暇もなく仕事をただこなす日々が続いているのだ。
『ちなみにカイリ休日はどう過ごしたんだ』
『家で過ごしましたよ。嬉しいな、先輩が俺の事聞いてくれるの』
『……そうか』
連れ回される中で同じく連れ回されているカイリに隙を見て探りを入れてみるが、カイリはエロスチルを回収出来ていなかった。なのに生徒会に入っている。……だが、副会長後任として。さらには俺が会長として紛れている。
もう、わけが分からん。収穫としてはゼロである。一体、主人公は誰のルートに進んでいるんだと頭を抱えるばかりだ。
こんな訳の分からない状況で唯一救いなのが、生徒会長以外のメンバーは良い人ばかりという事だけだろうか。俺たちの心中を察してか「無理しないでね」と気にかけてくれている。
会長以外はまともで、俺の会長後任の辞退の話しを聞いてくれそうな雰囲気はあるが、学園祭準備で毎日来賓の確認や各クラスの予算会議、学園祭名物のコンテストの準備など連れ回されたそれぞれの現場で人手不足は感じた。生気を失いつつある生徒会メンバーと実行委員の姿を見た上で「俺関係ないので!」と無視することはなかなかに言い出しづらい。そのため、せめて学園祭が終わるまでは後任などは一先ず置いておいて手伝う事を渋々了承した。
しかし、ある程度覚悟をしていたとはいえ、俺も体力の限界が近づいてきていた。日々の疲労が溜まり、ストレスも堪っていく。今も、疲労と睡眠不足で頭が殆ど回らない。
「……」
「ご、ご不満のご様子でルーク様が見ている……な、なぜなんだ……」
近くにいるモグリソンに八つ当たりだけして、再び教壇に立つ学級委員長の2人に視線を戻した。
今は学園祭に向け、うちのクラスでの催しを決める時間だ。俺達2年生は全クラス共通で演劇なので、演目と配役についての話し合いが学級委員長を中心に進められている。
「では、主演はルーク・アルバンベルトくんにお願いしたいと思いま、」
「いやいやいや」
待て待て待て。俺が一瞬だけ意識を飛ばしてる間に、どんな話し合いがあってそんな結論に至った。
「モグリソン、なんでこんな話になってる?」
「僕たちのクラスは、古くから愛されている恋愛小説『眠れる森の美形』を今年の演目に選び、その眠る美形の主演に他生徒からの推薦もあってルーク様が選ばれたばかりですね」
「誰が推薦したんだ?」
「もちろん僕です、ルーク様ッ!痛っ!?」
得意げな表情である隣の男に渾身のデコピンを食らわせ、急いで学級委員長やクラス全員に異議を唱えるため手を上げた。
「選んでもらえるのは光栄だが、もっと相応しい人間がいるだろう。俺は生徒会の手伝いもあるし、裏方で――」
「ルーク君以外に相応しい人って……どなた??」
「我が校の誇りともいえるルーク君がクラス演劇で主演を演じることに疑問を感じる人の方が少ないと思うけれど」
なんだなんだデジャヴなのかこれは。
まぁ?確かに?俺のように見た目がそれなりに整っていて、成績優秀で――……トラブルに首を突っ込む率が高い生徒はそういないと理解してるが、違うんだ。クラスでもこんなことになるのか。
生徒たちの反論に上手く返せずにいると、あれよあれよと押し切られ、結局クラスの演劇で主演を務めることになった。その後も俺を中心とした配役や脚本が次々に決まっていく。
「(あ、俺死ぬかも)」
自分の生命の終わりを察し、深いため息をついた。隣から聞こえる「僕が裏方として精一杯サポートします!!」と気合いの入ったモグリソンの声は聞こえないものとした。
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