聖女は傭兵と融合して最強唯一の魔法剣士になって好き勝手に生きる

ブレイブ31

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設立編

—第3章:傭兵と聖女

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「ん……」
ここはどこだ? ああ、いつもの宿屋か。それにしても変な夢を見た気がする。自分が自分じゃない体に……って!
バッと飛び上がり、鏡の前に立って、自分の顔を触りながらじっくりと見つめた。

「やっぱり……あたしじゃない……」

すると心の中から声が聞こえてくる。

—落ち着いて、ヴェルベット。その姿は私の姿です。あなたは瀕死の重傷を負った際、私と体を融合させて命を取り留めたのです。

「重傷……」 その言葉が胸に響き、たどたどしい記憶をたどる。たしか、王城の周りを警護していて、妙に強い悪魔と戦い、そいつを仕留め損ねた。悪魔はそのまま王城に逃げ込み、あたしは追いかけてある部屋に入って、トドメを刺そうとしたとき……!

そうだ!上から床が崩れ落ちてきたんだ。悪魔に気を取られて反応が遅れ、そして……

—そうです、あなたは瓦礫に体を潰され、致命傷を負いました。

はっきりと思い出した。あのとき、これで死ぬんだと覚悟したこと、痛いのか痛くないのかもわからず、意識が遠のいていく感覚。遠くから這ってくる金髪の女が近づいてきて、そこから先の記憶が途絶えている。

「じゃ、じゃあこの体はあたしのじゃないってことか! あたしはもう死んだのか!?」
動転しかける気持ちを抑えつつ、頭がぐるぐると混乱する。どうにか気持ちを落ち着かせ、最も気になる質問をぶつける。

—いいえ、ヴェルベット。あなたは死んでいません。現に、今こうして生きているじゃないですか。ただ、体は私のものに強く影響を受けています。あなたの体は、その、十分な状態ではなかったので……

きっと瓦礫に押しつぶされ、悲惨な状態だったのだろう……それはなんとなく察することができた。

—ただ、髪の色はあなたの髪に近いのではないですか?

確かに、朦朧とした意識の中で、この女は金髪だった気がする。だが、だからといって、まだわからないことだらけだ。

「あんたの体がベースだって言ったわね? じゃあ、なんであたしがあたしなんだ?」
思わず訳のわからない質問をしてしまったが、相手はそれを察し、質問の意図に答えてくれる。

—それは……きっと、あなたの意思がとても強かったから。体があなたでありたいと望んだのでしょう。

意思の強さ? たしかにあたしは意思が強い方だと思うけど、そんなことで体の主導権を取れるものなのか? 完全に納得できたわけではないが、今すぐだとこれ以上の疑問も湧いてこない。

心の中の女は小さく呟く。

—ごめんなさい、私のせいであなたは瓦礫に潰され、瀕死になり、融合せざるを得なくなった……これはせめてもの罪滅ぼしです。

最も聞きたかったことには一応納得がいった。そこで、傭兵ギルドに報酬を取りに行くことを思い出し、着替えをしながらもう一つの質問を投げかけた。

「あたしの名前はヴェルベット=ブラッドローズだ。あんたの名前は?」
当たり前の質問だ。名前がわからなければ、後々面倒なことになりそうだ。

—聖女マリア=マグダレナと申します。

目を見開いた。聖女様といえば、神官クラスの中でもかなり偉かったはずだという記憶がある。そう思いつつも、ふと冷静になる。

(この女が勝手に言っているだけの可能性もあるし、仮に本当にそうだったとしても、あたしには何も変わらない)

「とりあえず、昨日の報酬を受け取りにギルドに行く」
そう言って、ドアを開け、傭兵ギルドへ向かった。
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