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設立編
—第11章:機械技師リオ4
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「へぇ…そんなの作れるなんて、あんた本当に天才なのね」
それを聞いてリオはとても嬉しかった。今までは「実用性がない」とか「安定性が悪い」と難癖をつけられてきたからだ。
しかも、優しくしてくれた人から言われたのでその嬉しさは格別だった。
「え、えへへ」
笑顔になってにっこりするリオを見て、ヴェルヴェットが続ける。
「なんだ、ちゃんと笑って接客できるじゃない。そうやって商売すれば、きっと売り上げも上がるわよ」
その言葉にハッとする。今までは必死に機械の開発ばかりに専念して、笑顔で売り込みをしていただろうか?
どこかで焦り、どうせ客には大して理解できないだろうと見下していた気もする。もしかしたら今の状況には、自分にも原因があるのかもしれないと感じた。
「そうですね。もう少し笑顔で売り込みをしてみようと思います」
ヴェルヴェットに言われると、何でも素直に受け入れられる自分に驚く。
まったく嫌味に聞こえないし、本当に心から思っていることを言ってくれていると感じる。何より、自分に母のように優しくしてくれた人だ。嫌な感情など生まれるはずもない。
「ん、これは?」
ヴェルヴェットが小型の筒状の機械を手に持つ。
「ああ、それは魔法を機械のエネルギーに変換する機械です。
魔法自体を蓄積することもできるのですが、ここでは魔法を使う人が少ないので、機械のエネルギーに変換してバッテリーとして使うんです」
「へえ、魔法もストックできる?」
「その一つ前の試作機が、そうですね」
「そのストックされた魔法を放つ機械は作れるの?」
「蓄積された魔法を放つ、ですか…うーん…理屈上は留めることができるので、出口さえあれば放つことはできると思います。ただ、その魔法の効果がきちんと発揮されるかは、実験しないとわかりません」
「よし、その機械を買うわ」
ヴェルヴェットはさっきの3万ギアに2万ギアを上乗せして5万ギアを手渡した。
「え、5万ギア!?」
—どういうことですか、ヴェルヴェット?
困惑するマリアとリオの二人に向けて説明する。
「あたしは今、魔法が使えるんだけど、魔法を唱えるときって色々と手間がかかるのよ。呪文を唱えたり儀式をしたりね。その間が戦闘では命取りになることもある。
でも、魔法を放つ機械があれば、それは一瞬で使える。スキなんて生まれない。別に込めた魔法通りに放てなくてもいい。大事なのはスピードよ」
リオはお金や説明に驚きつつ、それ以上に驚いたことがあった。
「ヴェルヴェットさんが魔法使いなんですか?」
「魔法使い?ここでは神官を魔法使いと呼ぶの?だから聖王国みたいに神官の格好したやつがいないわけね」
「魔法使いは少ないですがある程度はいます、神官のような決まった格好はしていません。ここは機械信仰の国ですからね。嫌われているわけではありませんが、少し下に見られている傾向があります」
リオの疑問に答える。
「あたしは傭兵よ。魔法使いってわけじゃない。もっぱら剣で戦ってる」
貴族のような服装で傭兵で、しかも魔法が使える?リオには理解が追いつかない。
明晰な頭脳で考えを巡らせ、理解できない状況が発生したときは、ひとつひとつ対処するのが最善と判断した。
「ヴェルヴェットさんは聖王国の貴族ではないのですか?」
「聖王国出身ではあるけど、あたしは傭兵だってさっき言ったでしょ?ああ、この服装?これはやっかいになってる貴族から服を借りてるの。あいにく、持っていた服は捨てられてしまったからね…」
使用人に捨てられた嫌な記憶が蘇り、自然と苦虫を噛んだ顔になる。
そこでリオはさらに質問を続ける。
「傭兵で魔法を使うというのは、聞いたことがありません。傭兵は機械の道具や武器を使うものです。聖王国の傭兵は魔法を使うのですか?」
「いや、聖王国の傭兵は基本的に肉弾戦がメインよ。微妙な回復とかを使う奴もいるにはいるけど、魔法は基本的に神官が使うものね。だから傭兵のパーティには神官が必須ってわけ。ところでさっき魔法使いが少ないって言ってたけど、治癒する仲間がいなくてどうやって戦ってるの?」
「ポーションを使います。メカストリアではさまざまなポーションが製造されています。機械のポーションも多いですが、回復ポーションなども大量に生産されているので、安価で手に入れられるんです」
「なるほど、そういうことか」
ヴェルヴェットは先ほど道具屋でのポーションの価格に納得した。
会話を重ねるうちに、ヴェルヴェットとリオはお互いに理解を深めていった。しかし、リオには一つだけ矛盾が気になっていた。
「ヴェルヴェットさんは傭兵なのに、どうして魔法が使えるんですか?」
「それはね…」
説明をしているうちに、この質問はおそらくされるだろうと予想していたが、うまい返しが結局思いつかないまま突っ込まれてしまった。
考えに考えた末、答えを出す。
「ちょ、超強いから…」
「おー!そうなんですね!さすがヴェルヴェットさん!」
目をキラキラさせて尊敬のまなざしで見つめてくるリオの眼差しが痛い。チクチクする。
マリアも少し吹き出したようだが、何も言ってこない。心を読めるのだから理由を考える時間も同じくあったはずだ。お前も同罪だからなと心の中で悪態をつく。
しかし、打ち解けたのはいいが、ここまでいきなり態度が変わるものか?そんなに自分の作ったご飯が美味かったのだろうか?
そんなことを考えつつも、自分の先ほどの答えが恥ずかしくなり話を進める。
「ということで、さっきの金で作れそう?」
「少し時間はかかると思いますが、この資金で作れるはずです!」
「よし、決まりね。出来上がったら…連絡はどうしよう?」
「それならこれを使ってください」
リオは自分が腕に巻いていた機械と同じものを手渡す。
「これは腕巻き式の通信機です。
街を歩いていた時、街の人が自分より大きい機械に話しかけていたのを見かけたでしょ?あれをコンパクトにして持ち運べるようにしたんです。これでいつでもお互い話すことができます」
どれだけ売り込みが下手なんだ?リオの売り込み方に興味が湧いたが、それについて突っ込むめんどくささが勝ったのか、頭の端にしまっておく。
「じゃあよろしく。あと、次から”さん”付けはしなくていい。そういうの、苦手なの」
そう言い残し、ヴェルヴェットはリオの自宅を後にした。
それを聞いてリオはとても嬉しかった。今までは「実用性がない」とか「安定性が悪い」と難癖をつけられてきたからだ。
しかも、優しくしてくれた人から言われたのでその嬉しさは格別だった。
「え、えへへ」
笑顔になってにっこりするリオを見て、ヴェルヴェットが続ける。
「なんだ、ちゃんと笑って接客できるじゃない。そうやって商売すれば、きっと売り上げも上がるわよ」
その言葉にハッとする。今までは必死に機械の開発ばかりに専念して、笑顔で売り込みをしていただろうか?
どこかで焦り、どうせ客には大して理解できないだろうと見下していた気もする。もしかしたら今の状況には、自分にも原因があるのかもしれないと感じた。
「そうですね。もう少し笑顔で売り込みをしてみようと思います」
ヴェルヴェットに言われると、何でも素直に受け入れられる自分に驚く。
まったく嫌味に聞こえないし、本当に心から思っていることを言ってくれていると感じる。何より、自分に母のように優しくしてくれた人だ。嫌な感情など生まれるはずもない。
「ん、これは?」
ヴェルヴェットが小型の筒状の機械を手に持つ。
「ああ、それは魔法を機械のエネルギーに変換する機械です。
魔法自体を蓄積することもできるのですが、ここでは魔法を使う人が少ないので、機械のエネルギーに変換してバッテリーとして使うんです」
「へえ、魔法もストックできる?」
「その一つ前の試作機が、そうですね」
「そのストックされた魔法を放つ機械は作れるの?」
「蓄積された魔法を放つ、ですか…うーん…理屈上は留めることができるので、出口さえあれば放つことはできると思います。ただ、その魔法の効果がきちんと発揮されるかは、実験しないとわかりません」
「よし、その機械を買うわ」
ヴェルヴェットはさっきの3万ギアに2万ギアを上乗せして5万ギアを手渡した。
「え、5万ギア!?」
—どういうことですか、ヴェルヴェット?
困惑するマリアとリオの二人に向けて説明する。
「あたしは今、魔法が使えるんだけど、魔法を唱えるときって色々と手間がかかるのよ。呪文を唱えたり儀式をしたりね。その間が戦闘では命取りになることもある。
でも、魔法を放つ機械があれば、それは一瞬で使える。スキなんて生まれない。別に込めた魔法通りに放てなくてもいい。大事なのはスピードよ」
リオはお金や説明に驚きつつ、それ以上に驚いたことがあった。
「ヴェルヴェットさんが魔法使いなんですか?」
「魔法使い?ここでは神官を魔法使いと呼ぶの?だから聖王国みたいに神官の格好したやつがいないわけね」
「魔法使いは少ないですがある程度はいます、神官のような決まった格好はしていません。ここは機械信仰の国ですからね。嫌われているわけではありませんが、少し下に見られている傾向があります」
リオの疑問に答える。
「あたしは傭兵よ。魔法使いってわけじゃない。もっぱら剣で戦ってる」
貴族のような服装で傭兵で、しかも魔法が使える?リオには理解が追いつかない。
明晰な頭脳で考えを巡らせ、理解できない状況が発生したときは、ひとつひとつ対処するのが最善と判断した。
「ヴェルヴェットさんは聖王国の貴族ではないのですか?」
「聖王国出身ではあるけど、あたしは傭兵だってさっき言ったでしょ?ああ、この服装?これはやっかいになってる貴族から服を借りてるの。あいにく、持っていた服は捨てられてしまったからね…」
使用人に捨てられた嫌な記憶が蘇り、自然と苦虫を噛んだ顔になる。
そこでリオはさらに質問を続ける。
「傭兵で魔法を使うというのは、聞いたことがありません。傭兵は機械の道具や武器を使うものです。聖王国の傭兵は魔法を使うのですか?」
「いや、聖王国の傭兵は基本的に肉弾戦がメインよ。微妙な回復とかを使う奴もいるにはいるけど、魔法は基本的に神官が使うものね。だから傭兵のパーティには神官が必須ってわけ。ところでさっき魔法使いが少ないって言ってたけど、治癒する仲間がいなくてどうやって戦ってるの?」
「ポーションを使います。メカストリアではさまざまなポーションが製造されています。機械のポーションも多いですが、回復ポーションなども大量に生産されているので、安価で手に入れられるんです」
「なるほど、そういうことか」
ヴェルヴェットは先ほど道具屋でのポーションの価格に納得した。
会話を重ねるうちに、ヴェルヴェットとリオはお互いに理解を深めていった。しかし、リオには一つだけ矛盾が気になっていた。
「ヴェルヴェットさんは傭兵なのに、どうして魔法が使えるんですか?」
「それはね…」
説明をしているうちに、この質問はおそらくされるだろうと予想していたが、うまい返しが結局思いつかないまま突っ込まれてしまった。
考えに考えた末、答えを出す。
「ちょ、超強いから…」
「おー!そうなんですね!さすがヴェルヴェットさん!」
目をキラキラさせて尊敬のまなざしで見つめてくるリオの眼差しが痛い。チクチクする。
マリアも少し吹き出したようだが、何も言ってこない。心を読めるのだから理由を考える時間も同じくあったはずだ。お前も同罪だからなと心の中で悪態をつく。
しかし、打ち解けたのはいいが、ここまでいきなり態度が変わるものか?そんなに自分の作ったご飯が美味かったのだろうか?
そんなことを考えつつも、自分の先ほどの答えが恥ずかしくなり話を進める。
「ということで、さっきの金で作れそう?」
「少し時間はかかると思いますが、この資金で作れるはずです!」
「よし、決まりね。出来上がったら…連絡はどうしよう?」
「それならこれを使ってください」
リオは自分が腕に巻いていた機械と同じものを手渡す。
「これは腕巻き式の通信機です。
街を歩いていた時、街の人が自分より大きい機械に話しかけていたのを見かけたでしょ?あれをコンパクトにして持ち運べるようにしたんです。これでいつでもお互い話すことができます」
どれだけ売り込みが下手なんだ?リオの売り込み方に興味が湧いたが、それについて突っ込むめんどくささが勝ったのか、頭の端にしまっておく。
「じゃあよろしく。あと、次から”さん”付けはしなくていい。そういうの、苦手なの」
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