のんびりダンジョン

水野(仮)

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ダンジョンとマンドラゴラと私

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「あれ、私大根なんて植えたっけ?」 
この辺りはネギだと思っけどなぁと思いながらそれを引っこ抜く。
「ギェェェェェェエエ」 



「この度は誠に申し訳ありません」
目の前には土下座するヒラヒラした女の人がいた。
「なんで謝られているのでしょうか?」
「私の逃がしてしまったマンドラゴラを貴女が抜いてしまい、その結果死亡予定年数を大幅に前倒ししてしまいまして、すいませんでした!」
「…えっと、私死んだ?」
「はい」
「そっかー」



「それではこの2つでよろしいですね」
「ええ、それで良いわ」
「それでは早速、簡単には死なない身体とホームセンターカタログを付与します。はい、終わりました」
「ありがとう~」
「いえいえ、元はと言えば私がマンドラゴラを逃してしまったのが悪いのでこれくらい」
「お詫び以上に貰ったと思うよ、それじゃやっとくれ」
「はい! お望み通り、山と海が近い距離に有る人の住まない平原へ転送します」
「それじゃ行ってきます!」
「楽しい人生を送ってくださいね!」



「へ~、なかなか良さそうなとこうわっあっつ!」
何?!何なの?!肌が顔が焼けそうなんだけど?!
「焼けそうじゃなくて焼けてる! 焼けてるよ!」



ホームセンターカタログから出した長袖長ズボンに帽子やらバスタオルやら出してくるまり太陽の光に当たらないようにする。
どこか木陰でもと思っても近くに木は無く、膝上くらいの草が生えてるだけ。
ホームセンターカタログスキルに含まれてる重機再現と言う能力を使い太陽の当たらない穴を掘り、リクライニングチェアを出して包まってた布や長袖などを脱ぎ座る。

「いったいどう言うことよ? 簡単に死なない身体になったんじゃないの?! いきなり死ぬかと思ったんだけど?!」

ホームセンターの出入り口にある自販機を呼び出し冷たい飲み物とか71アイスを出して焼けるような熱さを感じた場所にあてる。
それでも足りない気がしたので火傷用のクリーム塗ったりする。
ホームセンターその1は薬局コーナーやフードコート併設してた大型店だったので助かる。駐車場にあった飲食店や靴屋も有って落ち着いたら利用するぞ。
ファンタジーでマジックな世界なんだから回復魔法とかも有りそうだし、日本産の傷薬とかはあまり必要じゃないのかも知れないなぁ~と思いながら塗り塗りする。私は回復魔法使えないしな。
それはともかく、私の身体の事である。

「簡単に死なない身体、それなのに太陽の光に弱い? 待って待って待って、心当たりある! 心当たりあるわ! でも、そんな事ないでしょ?! のんびり畑いじりとかしながらって言ったんだし、夜の貴族な身体になるとかないでしょう?!」

太陽が沈み月が出てきたのに全く眠くないどころか凄く頭が冴えてるし、夜なのに割と明るく見える。
これは、そうなんだろうなぁ…。
思えば私の死因は彼女が逃したマンドラゴラを抜いた事だった。
おそらく彼女はドジっ子だったんだな、ははは…。

「これからどうしよう?」



この地に来た当初は何故吸血鬼なんかに…と思っていたけど、今は吸血鬼になったことをとても感謝している。
海も山も近い草原なんて言う聞くだけなら好条件な場所に人が住んでないのは理由が有るからなんですね! こっちでもやられましたよアハハ!

「どおりゃ!」
「キャインキャイン」

魔物が魔物が出るんだよ、それもおそらく強い魔物が!
そして死に難いだけでなく強い吸血鬼! 思い通りに動く身体に獣の血を吸う度に強くなる特性、少し前まで虫くらいしか殺したことなかったのに返り血浴びるどころか血を飲んでるんだけど!
渇く、渇くんだよー!

初日の夜から戦いながらも家を作ったり壁を作ったりと大忙しだよ。
昼間安全に眠れる場所を確保してからじゃないと菜園とかやってらんないんで駆除駆除ですよ!
今はユニットハウスを出してその周りを掘りや壁で囲ってるだけだけど、菜園とかやるスペースを考えたらもっともっと広い敷地を確保しないと。
野菜育てるのに太陽の光に当たると焼けるこの身体をどうしたら良いのかとかも有るけれど、今は悩むより身体動かす時!



食事が血だ生活を何年かしている。
いつのまにか覚えた魔法の収納庫には様々な肉が入っているが今のところ使い道がない。
いつの間にかと言えば太陽に当たっても肌が焼ける事は無くなった、多少の不快感はあるくらいだ。
慣れたのかそれとも成長、あるいは進化でもしたのだろうか?
まぁ、理由はなんでも良い、これで太陽の下で野菜を育てられる。
最初の目的、畑をいじりながらのんびり暮らす生活に一歩近付いた。



毎日のように魔物を殺している気がするのだけれど、全然減った気がしないのは何故だろう?
それに、これだけ殺してれば実力差を感じて襲わなくなる気がするんだけどなぁ。
何か秘密があるんだろうか?

…有りました。



「あなたがここのボスってことで良いの?」
「こ、殺さないでください」
「何年も殺すつもりで魔物を寄越しておいて殺すなって、無理じゃない?」

近くに魔物が出てくる穴を見つけたので入ってみたらレンガで出来た迷路だった。
ダンジョンとか言われるもの? なんだっけ?
ここの何処かに私を狙ってる奴が居るんだろうから、そいつを殺せば穏やかな日々が来るはずと思い降りて降りて最下層まで来て大きなトカゲを倒して出て来た扉を開けたら、不健康そうな男が居た。
命乞いしたけど、サクッとやっといた。
自分の命をずっと狙ってた奴が今更謝ったからなんだと言うのか。

『新たなマスターとして登録しますか?』
「マスターってなんの?」
『このダンジョンのマスターです』
「マスターになると何か良いことあるわけ?」
『…わかりかねます』
「じゃあならないわ」
『…新たなマスターとして登録し「しないわ」



「お願いします! マスターになって下さい! 出来ることはなんでもします! 無茶な要求もしません!」

めんどくさそうで断ってたら女の子が出て来てマスターになってくれと土下座をして来た。

「なんでそんなに必死なのよ」
「死にたくないんです!」
「私がマスターにならないと死ぬの?」
「現在蓄えてる魔力が無くなったら死んでしまいます。私たちダンジョンはマスターからの魔力供給で生きているのです」
「ふ~ん…」
「少しだけで良いのです、迷惑はおかけしません、お願いします!」

どうしようかなぁ。
なんか遊園地を作るゲームみたいで面白そうな気もするけど、経営と考えるとやっぱりめんどくさい気がするのよね。
う~ん、条件次第かな?

「例えば、この中に家とか畑を作ってそこに住むことは可能?」
「可能でございます!」
「私は吸血鬼らしくて太陽の光に当たると不快な気分になるんだけど、それをどうにか出来る?」
「出来ます! ダンジョンの草原を照らしてるのは擬似太陽なので吸血鬼の方々でも安心して暮らせます!」
「その擬似太陽で植物とか育てることは出来るの?」
「出来ます! 設定次第では成長促進や毎日実がなるようにすることも可能です!」
「へ~、それは凄いわね。良いでしょう、あなたのマスターになりましょう」
「ありがとうございますマスター」
「マスターはなんか硬いからお姉ちゃんと呼んで」
「わかりましたお姉さま!」

こうして私の異世界生活が始まった。
え、何年も経ってるって? 忘れたなそんな昔のこと。
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