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年が明けて

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年を越した。
今年で学校も卒業である。

魔車は解体費用として素材の3割ほど城に納めた残りを全部貰った。その他の魔獣や魔物は討伐や解体費用を抜いた分をお金で貰った。

去年の後半はわりと暇だった事もあって商家に委託した色彩鯉関連の補助をしたり、色彩鯉養殖場近くの掃除をした。
あの辺りの土地を買えるだけ買ったんだよね、そして生活してる人ごと建物を収納して更地にした。盗賊以外の人を収納する建前が欲しかったのも有る。

今のところ何をするかは決めていないが、王都に自由に出来る土地が有るのは悪くないかなと思う。
この辺りを全て池にして水の精霊の住処にしても良いかと思った事もあったが、学校を出た後のことを何も決めてないし陛下が俺をどうするつもりなのかもわからないからね。
必要な時以外は何をしてても良いのか、常に城の中に居るのかだけでも言ってくれたら良いのに、気にしなくて良いとしか言わないからなぁ…。

王都で収納した孤児や行き場の無い大人は毎日食べられるならなんでもすると言うので、人手不足だと言っていた領主様へ預けた。
陛下にも許可は取ったので問題無いと思う。
闇の組織らしいのは力が有り余ってるぽいので騎士団に任せた。
騎士が完全武装で待ってるところに出したからか大人しかったね。

年始は陛下の付き人に「友人なら挨拶に行くのは当然」と力説され、帝国まで行った。
その時に陛下から手紙を持たされたので、これを皇帝に渡すために俺を利用しただけなのではないのかと思ってしまう。

途中魔車根畑を見に寄って全部収穫されてるのを確認もする。
村の人に大陸の西で魔車の森が出来て大変だった話をしたら、この国の魔車根は放置しても成獣になる前に枯れるように作り替えられているから大丈夫だと聞く。

この国の土地は栄養が良くないらしく作物の収穫量があまりよろしくないので魔車根に頼ることが多く、成獣にならないように国が研究したそうだ。何度か失敗をして魔車の成獣を他国へ出したこともあり、その時被害を出した国とは今でも関係が良くないのだとか…それってうちの国では? 警戒しろってこの関係で揉めてるとかなのかな?

帝国へは年が明けてから12日目に着いた。
俺のことを知らない帝国貴族がわりと残っていたみたいで水のワイバーンで城の庭に降りたら結構な騒ぎになってしまった。
彼らが連れてきた騎士が斬りかかってきたので纏めて収納、話し掛けてきた城勤の騎士に新年の挨拶に来たことを伝えて呼び出されるまで待つ。
俺が皇帝陛下へグリフォンを運んで来た人物だと気が付いた何人かの貴族に挨拶をされる。皇帝陛下の友人に剣を向けたことを謝罪すると言ってきた人は収納の中の騎士を処分して構わないとまで言ったが、その気にならないのであとで適当な部屋に出すつもりだ。

皇帝陛下に呼ばれて挨拶へ行く前に部屋へ通される。
着替えはあるかと訊かれたのでうちの陛下に渡された服を渡し着替えを手伝ってもらう。勲章などは自分で付けるの難しいからね。当然皇帝陛下の友人の証である記章も付ける、これを見たら喜びますよと着替えを手伝ってくれた女性に言われる。

皇帝陛下の居る部屋へ通されると、全員がこの前来た時に顔合わせをした人達だった。王族や皇族の母と子が一緒に居るのを見るのって珍しいな、そんなことを思った。
挨拶と一緒に俺からの物とうちの国王陛下からの渡して欲しいと言われたものなどを近くの人に渡して皇帝陛下へまわしてもらう。

「魔車の素材を持ち込んでいると言うのは本当か?」
「はい」

…うちの陛下は秘密主義過ぎやしないか?
俺が手放してたらどうするんだ?
これだけの量を買い取れる商家は無いだろうなと言われていたのでずっとしまっているけども。

部屋にいる魔法使いらしき服装の人が凄い笑顔。
帝国に魔車素材は無いそうだ。
魔王との戦争で倒した魔車の素材も50年くらい前に在庫が無くなり、欲しいからと栽培するのは条約違反になるから出来ず。代わりの素材を使っているが魔車には敵わないそうで、少量でも良いから売って欲しいと。
少量と言わず全部でも良いくらいですけどね、メスが12本でオスはいっぱい残ってるから。

メスを2本分とオスを3本分売る。
王都の貧民街の土地を買った値段と変わらんのだが、魔車高いな…。
メスは杖などオスは防具などに加工するそうだ、オスメスで特性が違うみたい。
魔法使いらしき人は杖を一から育てられるとは…と泣いてた。帝国の偉い人はみんな泣くな…。

魔車の杖は使っていくうちに変化していくらしい、魔法使いらしき人は成長すると言っていた。
今ある杖は誰かしらが使っていた物で成長し切っているから悪くはないのだが自分に最適化されているわけではないので違和感が消えないそうだ。
魔力大好き魔物魔車らしいと思った。
魔車には木を操る能力が有ったから成長のさせ方次第で木を操る杖になったりするのかなと言ったら、それは面白いと言ってどこかへ消えた。

その日は城に用意された部屋へ泊まり、次の日にグリフォンと戯れる皇帝陛下を眺めて城を出た。
引き留められたけど、新年の予定がまだあるようだったのと帝国貴族が遠くからチラチラ見るのでなんか居心地良くなくて。
あとは、水の精霊が不足したからかな。
精霊たちと会う予定があると言ってどこかへ行ってしまったんだよな。



今年は去年みたいに新入生が絡んでくることもなく、普通に新しい教室に入る。

「今年は何も無かった?」
「新入生に絡まれたりはしなかったよ」

今年も商家の子が隣である。
他の席へ行かれると困るので有り難いとしみじみ思う。
彼女の友人たちと話すようにはなったのだが、貴族子女たちはまだ距離がある。
俺が陛下の命令で動いてるのを知った大人たちは、子供に対して俺と接する時は貴族家の当主としてと家から言われているそうだ。
貴族家の当主、しかも侯爵待遇の相手に貴族子女から話しかけられるかと言うと…。
俺から話しかければ良いだけなのだが、特に話したいこともないんだよな。

入学前は王都で働く貴族の子に絡まれるかもとか思っていたのだけれど、何も無かったよ先生。
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