上 下
15 / 18

龍の血酒

しおりを挟む
「ヒャッホー!」
「ヒャッホーじゃねーよ! 宙返りすんな!! 落ちる落ちる落ちるー!!」

ドリルの出した龍に乗り龍王国へ向かっている。
年が明けた最初の月に北へ向かって空を飛ぶ、はっきり言って寒い!
なんでこんなにテンション高いんだドリル!

「良い風よね!」
「いや、寒くて死にそうなんだが」
「あ、そうだったわね」

防寒の魔法?を使ってくれた。
やはり魔法は便利だなと思うと同時に、何故俺には普通の魔法が使えないんだろうと考えてしまう瞬間だな。
やりようによっては温度変化で似たようなことが出来るのかも知れないけれど、失敗した時のことを考えると怖いからな。
全身の血が沸騰して死ぬとか嫌過ぎる。



女王様と叔父さんにうちから新年のお届けものと手紙を渡し、ドリルと龍王都をデートしつつ前回と同じくらいの樽を数日掛けて酒化し代金として龍素材を使った装備やポーションなどをどっさり貰った。
2人で数年掛けても使い切れるか分からないくらい貰った。

中には俺の倒した龍を素材にしてる物もあるらしく「うちは加工しかしてないからこれが代金になるのかわからない」と言われたけど全然OKですよ。

大人サイズの胸当てとかが俺が着るとぴったりサイズになってすげーと思ったよ。

「聖闘士のクロス?」

いや、俺も思ったけどね?
肩の出っ張りとかね?
でも直接触れないと倒せない俺の戦い方を考えたらピッタリよ?
あと、外して合体させても何の形にもならんと思うよ?

ポーションはポーションで「手足が再生するの確認したから、首が切られさえしなければこれで治る」と言われたのが数百本。
これも龍の血酒が使われてるのだとか、そんな凄いのか大人の龍って。

「そんなわけないじゃない、おそらくあんたが酒化したからよ」
「龍血酒には色々な効果がありますね。そのまま飲んだだけでも若返り効果が有りますが、強い酒を一度に大量摂取する必要が有るので今のままでは限られた人しか体験出来ないですね。龍血種から成分を抽出する研究が始まっていますが、結果が出るのは何年後になるかわからないですね」

盗み飲みしたドワーフのおっさんが若返ったらしい。
血酒の入った樽の脇でドワーフが寝てて若返っていたので最初は誰かわからなかったそうな。
それはともかく、城に保管してある物を盗み飲みする根性が凄いよドワーフ!

罰として俺たちの装備を作らされたそうだ。
それは罰なのか疑問に思ったが、腕は大陸一とも言われるが自分の作りたい物を作るだけで人に頼まれて作ることが滅多にない人だから盗み酒を利用したのだとか。
最初は渋ってたが使うのが龍の血酒を作った俺だと知ったら張り切ってくれたらしく、最高傑作だと言ってたそうだ。
そのうちお土産に龍を持って行こうと思う。

「しかし参ったわね」
「何が?」
「若返りの酒を作れると知られたらあんた世界中の権力者から狙われるわよ」
「あ~そうなるわな」
「対策用の魔道具も貰っておきましょう」

言ったら普通に貰えた。
「あれだけだと少なく感じていたのでこれで気持ちが軽くなった」と女王陛下が言ってた。
義理の母だし俺は気にしないんだけどなぁ。

*****
2人で学校へ行く前に色々と決める予定です。
しおりを挟む

処理中です...