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バーチャルリラクゼーション『VR喫茶』
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「お客さんは初めですか?」
「はい」
「スマートフォンは持ってます?」
「有ります」
ポケットから取り出してカウンターの上に乗せる。
「あ~iPhoneですか、iPhoneだとうちのアプリ入れられないんですよね」
「あ、そうなんですか…」
「有料になりますが、Androidかヘッドマウントディスプレイを貸し出すことが出来ますけど…」
どうするか、どうせなら使ったことのないベッドマウントディスプレイを付けてみようかな。
「ヘッドマウントディスプレイに興味が有ります」
「1時間2000円ですが宜しいですか?」
「うっ…」
ちょっと高い。
「やめます?」
「いえ、お借りします」
せっかく来たんだしな。
「それとは別にルーム料金が掛かりますけど」
「おいくらですか?」
「1500円になります」
合わせて3500円、厳しいな。
「あの、Android携帯の持ち込みだったら1500円だけで良かったんでしょうか?」
「そうですね。ただ、やれることが増えるのでAndroidのお客様でもヘッドマウントディスプレイを借りることが多いですね」
「やれることが増える…なるほど」
「それでどうしますか?」
「3500円払います」
*
案内された部屋に入り渡されたベッドマウントディスプレイを装着して少し待つと、画面に可愛い感じの女性型3Dモデルが表示された。
背景は女性の部屋なのか、内装が女の子っぽい。なるほどそう言うシチュエーションなのか。
「こんにちは、これから1時間あなたの相手をするキャストです」
「こんにちは、お願いしますキャストさん」
声が可愛いな、3Dモデルの動きの仕草も可愛い。
キャストさんのモーションをトレースしてるのかな? 自然な感じだし。
「はい。それでは最初に私の名前を付けてください」
「名前を付ける?」
「ええ、好きな名前を付けてください。これから1時間、私は貴方の付けてくれた名前を持つ女の子になります」
それは面白いなぁ。
憧れの女性とか気になる相手の名前なんて付ける人もいそうだ。
今のところそんな人は居ないので、昔から響きが気に入ってる名前にしよう。
「じゃあミユキでお願いします」
「はい、わかりました。改めまして、これから終了まであなたと一緒に居るミユキです、よろしくね」
「は、はい。よろしくお願いします」
あれ、キャストさんからミユキさんになっただけなのに、なんだか緊張してきたぞ。
心なしからさっきよりも可愛く見えるような…。
「ふふ、少しかたいですね。時間は有限なんですから、最初から本来の自分でいきましょうよ」
そうだな、ミユキの言う通りだ。
それにミユキから近付いて来てくれてるのに、僕が距離を作ってどうする。
「そうだね、ミユキは良いこと言うなぁ」
「ところであなたのことをなんて呼べば良いのかな?」
「それは名前とか?」
「あなたが望むならお兄ちゃんやお父さんでも」
お兄ちゃんは恥ずかしいな、でも呼んで欲しい気も…。
いや、待て、こんな機会だし名前を呼ばれれると言うのも…、友達以上恋人未満な関係的な?
「それなら、タカユキで」
「わかったわ、タカユキね。本名かな?」
「さあ、どうでしょう?」
「性格とかはどうする?」
「性格? 今のままで良いかなと思うけど、他にどんな感じのことができるの?」
「そうね、有名なアニメキャラクターみたいにして欲しいと言われた時はわかる範囲で似せてみたり、ツンデレっぽい話しかたをするとかかな」
「へー、ミユキは演技派なんだね」
「まあね、それほどでもあるよ」
「あはは」
俺のミユキは今のままで良いな。
違うミユキも見てみたいが、それは次に来た時にでも頼めば良いや。
「ところで、見た目は今のままで良い?」
「見た目も変えられるの?」
「そうよ、私の方で操作するから要望とか言ってみてよ」
それは凄いな!
バーチャルキャラを活かしてるな!
でも、まぁ、興味はあるが目の前の身体がミユキらしいと言うかミユキそのものって感じがするからな。
「このままで良いかな、ミユキぽいと言うか」
「あら、それはありがとう。私もこの身体は気に入ってるのよね」
「もしかしてミユキが作ったの?」
「まあね、可愛いでしょう」
「可愛い、すごく良い。それにエッチだ」
「タカユキのスケベ」
「あはは」
やばい、すごく良いんだけど。何これ楽しい。
「ん、どうしたの黙っちゃって?」
首を傾げる姿もすごく可愛い。
「いや、ただ話してるだけなのにすごく楽しいなと思ってさ」
「そう、それは良かったわ」
それから2人で色々なことを話した。
ミユキが出て行く時間になった時は延長しようかと悩んだけど、帰りの電車賃考えると出来なかった。
3Dモデルとは言え可愛い相手と楽しくお喋りするのがこんなにも良いなんて、ちょっとハマってしまいそうだ。
でも、ミユキとなら電話だけでも良いかなとも思う。
*
後日、そんな体験したことを部員に話したら、大人になっても女性とお酒を呑む店には行かないほうが良いと言われた。なんでだよ…。
「はい」
「スマートフォンは持ってます?」
「有ります」
ポケットから取り出してカウンターの上に乗せる。
「あ~iPhoneですか、iPhoneだとうちのアプリ入れられないんですよね」
「あ、そうなんですか…」
「有料になりますが、Androidかヘッドマウントディスプレイを貸し出すことが出来ますけど…」
どうするか、どうせなら使ったことのないベッドマウントディスプレイを付けてみようかな。
「ヘッドマウントディスプレイに興味が有ります」
「1時間2000円ですが宜しいですか?」
「うっ…」
ちょっと高い。
「やめます?」
「いえ、お借りします」
せっかく来たんだしな。
「それとは別にルーム料金が掛かりますけど」
「おいくらですか?」
「1500円になります」
合わせて3500円、厳しいな。
「あの、Android携帯の持ち込みだったら1500円だけで良かったんでしょうか?」
「そうですね。ただ、やれることが増えるのでAndroidのお客様でもヘッドマウントディスプレイを借りることが多いですね」
「やれることが増える…なるほど」
「それでどうしますか?」
「3500円払います」
*
案内された部屋に入り渡されたベッドマウントディスプレイを装着して少し待つと、画面に可愛い感じの女性型3Dモデルが表示された。
背景は女性の部屋なのか、内装が女の子っぽい。なるほどそう言うシチュエーションなのか。
「こんにちは、これから1時間あなたの相手をするキャストです」
「こんにちは、お願いしますキャストさん」
声が可愛いな、3Dモデルの動きの仕草も可愛い。
キャストさんのモーションをトレースしてるのかな? 自然な感じだし。
「はい。それでは最初に私の名前を付けてください」
「名前を付ける?」
「ええ、好きな名前を付けてください。これから1時間、私は貴方の付けてくれた名前を持つ女の子になります」
それは面白いなぁ。
憧れの女性とか気になる相手の名前なんて付ける人もいそうだ。
今のところそんな人は居ないので、昔から響きが気に入ってる名前にしよう。
「じゃあミユキでお願いします」
「はい、わかりました。改めまして、これから終了まであなたと一緒に居るミユキです、よろしくね」
「は、はい。よろしくお願いします」
あれ、キャストさんからミユキさんになっただけなのに、なんだか緊張してきたぞ。
心なしからさっきよりも可愛く見えるような…。
「ふふ、少しかたいですね。時間は有限なんですから、最初から本来の自分でいきましょうよ」
そうだな、ミユキの言う通りだ。
それにミユキから近付いて来てくれてるのに、僕が距離を作ってどうする。
「そうだね、ミユキは良いこと言うなぁ」
「ところであなたのことをなんて呼べば良いのかな?」
「それは名前とか?」
「あなたが望むならお兄ちゃんやお父さんでも」
お兄ちゃんは恥ずかしいな、でも呼んで欲しい気も…。
いや、待て、こんな機会だし名前を呼ばれれると言うのも…、友達以上恋人未満な関係的な?
「それなら、タカユキで」
「わかったわ、タカユキね。本名かな?」
「さあ、どうでしょう?」
「性格とかはどうする?」
「性格? 今のままで良いかなと思うけど、他にどんな感じのことができるの?」
「そうね、有名なアニメキャラクターみたいにして欲しいと言われた時はわかる範囲で似せてみたり、ツンデレっぽい話しかたをするとかかな」
「へー、ミユキは演技派なんだね」
「まあね、それほどでもあるよ」
「あはは」
俺のミユキは今のままで良いな。
違うミユキも見てみたいが、それは次に来た時にでも頼めば良いや。
「ところで、見た目は今のままで良い?」
「見た目も変えられるの?」
「そうよ、私の方で操作するから要望とか言ってみてよ」
それは凄いな!
バーチャルキャラを活かしてるな!
でも、まぁ、興味はあるが目の前の身体がミユキらしいと言うかミユキそのものって感じがするからな。
「このままで良いかな、ミユキぽいと言うか」
「あら、それはありがとう。私もこの身体は気に入ってるのよね」
「もしかしてミユキが作ったの?」
「まあね、可愛いでしょう」
「可愛い、すごく良い。それにエッチだ」
「タカユキのスケベ」
「あはは」
やばい、すごく良いんだけど。何これ楽しい。
「ん、どうしたの黙っちゃって?」
首を傾げる姿もすごく可愛い。
「いや、ただ話してるだけなのにすごく楽しいなと思ってさ」
「そう、それは良かったわ」
それから2人で色々なことを話した。
ミユキが出て行く時間になった時は延長しようかと悩んだけど、帰りの電車賃考えると出来なかった。
3Dモデルとは言え可愛い相手と楽しくお喋りするのがこんなにも良いなんて、ちょっとハマってしまいそうだ。
でも、ミユキとなら電話だけでも良いかなとも思う。
*
後日、そんな体験したことを部員に話したら、大人になっても女性とお酒を呑む店には行かないほうが良いと言われた。なんでだよ…。
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