僕らはミステリー愛好会！ ～シリーズ全三話収録～

いつだって現実

　それから三ヶ月程経ったある日、嬉しい知らせが舞い降りた。
　なんと、僕たちの共同制作『いつだって現実』が、「県内 中学生 小説コンテスト」のミステリー部門で、入賞を果たしたというのだ。

「どれどれ……」
　作品に対して記された、審査員からの選評を勇が読み上げる。
「――中学生らしい奇想天外な発想に惹かれました。文章表現も構成もしっかりしており、何よりミステリーに対する情熱が伝わってくる力作でした。最後は夢であったという部分で評価は分かれたものの、これからの期待も込め、【努力賞】を進呈することと致しました――だってさ」
「やった！ 」
「うん、やったな！ 」
　これで、僕たち愛好会も、やっと同好会へ昇格の道が拓けた。いや、もしかしたら、正式な部として活動できる日も近いかもしれない。
　僕たちは肩を抱き合って喜び、嬉し涙まで流しそうな勢いだ。

「……って、まさか、夢じゃないよな？ 」
　不意に勇が不安そうに呟いた。
「えっ？！」
　僕は思わず頬を抓ろうとして――でもすぐにそれが無意味であることに気付いて、止めた。
「夢だっていいさ。だって、覚めるまでは『現実』なんだから――」