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第348話 とうとう来たね。。。
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俺の言葉を受け、マスコミ達が一斉に、宝くじ協議会の面々にカメラを向ける。
良かったね。注目を集める事ができて……。
『一時、事業仕分けを中断します。宝くじ協議会の担当者はこちらまで来て下さい』
そんな事を思いながら、すまし顔で椅子にもたれ掛かっていると、都知事の池谷が席を立ち、宝くじ協議会の面々を呼び付ける。
大方、予想外に注目が集まってしまった為、軌道修正を図るつもりなのだろう。
スマホの録音機能をオンにした状態で、音の精霊・ハルモニウムの力を借り、池谷と宝くじ協議会の担当二人の会話を盗聴すると面白い話が聞こえてくる。
『――残念ですが、マスコミの前で、ああ言われてしまった以上、私達と致しましても、宝くじ協議会が抱えている問題点について、取り上げざるを得ません』
『ち、ちょっと、待って下さい! 高橋翔の件を丸く収める為に、代表理事が辞任までするんですよ!? それでは話が違うではありませんか!』
実に興味深い話をしているな。
こんな所で話す内容ではないだろうに、予定外の状況に置かれ、冷静さを失ったのだろうか?
評価者と公益法人が裏で内通していた事が一発で分かる発言だ。誰かに聞かれたらアウトな会話をこんな所でするなよ。というより、宝くじ協議会の代表理事の首と俺の首を同等に見るとは、どこまでも失礼な奴等である。
等価な訳がないだろ。
もし実力行使に出て構わないのであれば、公金に集る寄生虫如きと同一に扱うなと、張り倒している所である。
『……こうなっては仕方がないでしょう? あなた達も腹を括りなさい。今すぐに引導を渡して差し上げてもよろしいのですよ』
ここは事業仕分けの場。都知事である池谷の匙加減で、宝くじ協議会など、どうにでもなる。
その事を理解している為か、宝くじ協議会の面々は悔しそうな表情を浮かべた。
『……私も最善を尽くします。万が一、あなた達が職を失う様であれば、今の待遇のまま新しいポストを用意する事を約束しましょう。だから、今は理解して下さい』
池谷は宝くじ協議会を切る事を決めた様だ。
流石は都知事。損切りのタイミングをよく弁えている。
そして、攻撃のタイミングも……。
話し合いを終え、宝くじ協議会の面々が戻ってくると、怨みがましい視線をこちらに向かって向けてくる。
元々、戦争を仕掛けてきたのはそちら側。
自業自得だ。正直、そんな視線を向けてこられても困る。
そして、今の俺は手加減できないタチなんだ。
こう見えても昔は手加減とかできたんだよ?
でも、ゲーム世界の力を現実世界で使えるようになって初めて見える景色ってあるじゃん?
俺、今の立ち位置になって気付いた事があるんだよね。
サラリーマンとして働いていた時は、時の政府によるステルス増税に苦しめられてきたけど、その原因の一端がここにあったんじゃないかってさ。
なら排除するしかないじゃん。
排除するだけの力があって、なおかつ、相手が勝手に突っかかってくるなら排除するしかねーよな。
敵は、自分達の生活と存在意義を守る為という下らない理由を公益に資するという戯言で覆い隠し、国民から徴収した血税を無駄に浪費する寄生虫。しかも、寄生仲間に際限なく血税を垂れ流す金銭感覚の狂った浪費家属性まで付いている。際限なく増税するのも頷ける話だ。
だって、そんな奴らが税金を好き放題できる立場にいるのだ。私利私欲に塗れまともな頭を持ち合わせていなければ、より多くの金を手に入れる為、理由を付けて増税に踏み切るのは当たり前の事。
なら、俺にできるのは一つだけ。
俺を疎ましく思い、勝手に突っかかってくる馬鹿を血祭りに上げる。
俺から手を出す事はほぼないが、手を出されたからにはやり返す。
そうやって、俺に突っかかる馬鹿を一つ一つ丁寧に潰していけば、少しは良い世界になるだろうさ。
え? 潰された人達の生活はどうなるのかって?
そんな事、決まっている。俺達が月収二十万円でサラリーマンやってた様に普通に転職活動して、働ける場所で働くんだよ。
公金で年収一千万円貰っていた奴らの給料が三分の一以下になったとしても知らねーよ。
政府や公益法人に搾取される側の人間はな、例えば定年間近になると給与テーブルを下げられるんだぞ?
それこそ、全盛期の七十パーセントまで下げられる。定年迎えて再雇用なんて話になれば、特別な事情がない限り更に給与を下げられる。
俺達はそれで生活してたんだから贅沢言うな。お前達が税金を搾取してきた結果がこれだろう。過剰な税金投入されてじゃぶじゃぶ使う分際で公益法人を騙るなよ。詐欺集団かお前ら。
内心そんな事を思いながら、宝くじ協議会の面々に視線を向けると、俺は満面な笑顔を浮かべ煽り返す。
「ぐっ……!!」
渾身の笑顔返しにイラついたのか、宝くじ協議会の面々が席を立ち、俺に詰め寄ろうとするも、マスコミの向けるカメラを見て、憤然とした表情を浮かべるに留めた。
おーおー、怒っていらっしゃる。
でもさ、お前らが怒る対象、俺じゃなくね?
お前らを切り捨てようとしているのは、俺個人の為に事業仕分けを開催した都知事であって俺じゃあないよ?
むしろ、俺は被害者だ。
謂れのない冤罪を押し付けられるのを今か今かと心待ちにしている被害者。
え? 被害者は冤罪押し付けられるのを心待ちにしない?
当たり前だろ。これが心待ちにする類いのものじゃない事くらい俺だって分かっている。
俺が心待ちにしているのは、冤罪押し付けた後、押し付けてきた奴の人生がどんな感じでぶっ壊れるか、ただそれだけだ。
せめて、俺が受ける冤罪の数億倍の苦しみを受けてぶっ壊れて欲しい。
二度と、こんな愚かな事をしようと思わぬ程に……。
そんな事を考えていると、都知事がマイクを握る。
『中断していた事業仕分けを再開致し、質疑に入りたいと思います。評価者の方は、ご質問をお願い致します』
そう言うと、都知事の意向に従い、評価者達が宝くじ協議会を責め立てるように質問し始める。
『現在、総務省からの斡旋を受け再就職した方は何名ほど、在籍していますか?』
宝くじ協議会にとって、もの凄く言い辛い質問だ。
流石は、都知事のリカちゃん人形である。
宝くじ協議会の担当は『うっ!?』と声を漏らすと、言い辛そうに答える。
『り、理事長を含めて三人です』
「そうですか……、宝くじ協議会には天下りした者が三名も……。宝くじの収益金の配分はどの様にされているのですか? 社会貢献広報費の助成対象を見ると、本当に助成するべき団体なのか怪しい法人も散見されますが?」
『社会貢献広報費に関しましては、助成のルールと審査を厳格化しております』
「その厳格化した助成ルールと審査が形骸化していませんか?と、質問しているのですが……」
宝くじ協議会の担当の反応を見るに、これらの発言は当初予定されていたものではないのだろう。担当は、『本当に協議会を潰すつもりなのか……』と呟くと、顔を強張らせながら俯いた。
宝くじ協議会は、俺を潰すただそれだけの為に公益財団法人化した組織。
東京都から公益認定を受けている為、東京都が所管となる。
今頃、こんな事になる位なら東京都から公益認定なんて受けるんじゃなかったと考えていそうだ。
まあ、そもそも、俺からして見れば、俺を潰すだなんてアホな理由で東京都の公益認定を受けるなんて、最初から判断ミスをしている時点でどうかと思うけどね。
次々と投げかけられる評価者達の答え辛い質問を捌く宝くじ協議会の担当達。そんな担当達に対して、評価者として事業仕分けに参加していたピンハネが手を挙げる。
『頂いた資料を見ると、宝くじの収益金の大半がとある個人、または特定の団体にに支給されている様に見えるのですが……』
とうとう来たね。。。
ピンハネがそう質問すると、宝くじ協議会の担当者たちは言い淀みながら回答する。
『宝くじ協議会が宝くじの収益金を特定の個人、または組織に流す事はありません』
恐らく、これが本命の質問なのだろう。
ピンハネは待ってましたと、言わんばかりに資料を手に取り立ち上がる。
『では、質問を変更します。宝くじの一等当選確率は何万分の一でしょうか?』
『え、えーっとですね……』
言い淀む宝くじ協議会の担当者。
ピンハネは、手に持った書類をテーブルに叩き付けながら言う。
『一千万分の一です。勿論、宝くじを多く購入する事で当選確率を上げる事はできますが、それでもこれは異常です。私には、彼等と宝くじ協議会が結託して不正に宝くじの収益金を掠め取っている様に見えます』
まるで、それが事実であるかの様な物言いだ。
宝くじの販売事務は銀行がやっているんだぞ?
宝くじの仕組みを知っていれば、宝くじ協議会なんかと結託した所で収益金を掠め取る事ができないこと位、わかりそうなものである。
まあ、宝くじ協議会がマイルールで分配する社会貢献広報費は別だけど……。
そんな事を考えていると、ピンハネは手に取った書類を見せ付けるようにして前に突き出す。
『ここに書かれた内容について説明して頂けますか? この資料には、当選者個々人の名前が書かれています。プライバシー保護の観点から個々人の名前を読み上げる様な真似は致しませんが、合理的な説明もなくこれを信じる事はできません』
ピンハネがそう言うと、宝くじ協議会の担当者は額に流した汗を拭きながら答える。
『そ、それは事実無根です。当協会の調査によれば、不正は確認できませんでした』
当然だ。何しろ、俺達はゲーム世界のアイテムを利用して、当選くじを乱獲しているんだからな。宝くじ協議会などと結託して不正するメリットは皆無だ。
ちゃんと、不正は確認できませんでしたと言葉に出して言った担当に拍手を送ると、評価者達が睨み付けてくる。
『だったら、これは何なんだ!』
『数度ならいざ知らず、短期間で百回以上当選金を受け取っているんだぞっ!』
中々、鋭い指摘だ。
勝手にヒートアップしていく評価者達の顔を見ながら、フラペチーノを手に取ると、俺はそれを軽く啜った。
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次の更新は、7月4日(木)AM7時となります。
良かったね。注目を集める事ができて……。
『一時、事業仕分けを中断します。宝くじ協議会の担当者はこちらまで来て下さい』
そんな事を思いながら、すまし顔で椅子にもたれ掛かっていると、都知事の池谷が席を立ち、宝くじ協議会の面々を呼び付ける。
大方、予想外に注目が集まってしまった為、軌道修正を図るつもりなのだろう。
スマホの録音機能をオンにした状態で、音の精霊・ハルモニウムの力を借り、池谷と宝くじ協議会の担当二人の会話を盗聴すると面白い話が聞こえてくる。
『――残念ですが、マスコミの前で、ああ言われてしまった以上、私達と致しましても、宝くじ協議会が抱えている問題点について、取り上げざるを得ません』
『ち、ちょっと、待って下さい! 高橋翔の件を丸く収める為に、代表理事が辞任までするんですよ!? それでは話が違うではありませんか!』
実に興味深い話をしているな。
こんな所で話す内容ではないだろうに、予定外の状況に置かれ、冷静さを失ったのだろうか?
評価者と公益法人が裏で内通していた事が一発で分かる発言だ。誰かに聞かれたらアウトな会話をこんな所でするなよ。というより、宝くじ協議会の代表理事の首と俺の首を同等に見るとは、どこまでも失礼な奴等である。
等価な訳がないだろ。
もし実力行使に出て構わないのであれば、公金に集る寄生虫如きと同一に扱うなと、張り倒している所である。
『……こうなっては仕方がないでしょう? あなた達も腹を括りなさい。今すぐに引導を渡して差し上げてもよろしいのですよ』
ここは事業仕分けの場。都知事である池谷の匙加減で、宝くじ協議会など、どうにでもなる。
その事を理解している為か、宝くじ協議会の面々は悔しそうな表情を浮かべた。
『……私も最善を尽くします。万が一、あなた達が職を失う様であれば、今の待遇のまま新しいポストを用意する事を約束しましょう。だから、今は理解して下さい』
池谷は宝くじ協議会を切る事を決めた様だ。
流石は都知事。損切りのタイミングをよく弁えている。
そして、攻撃のタイミングも……。
話し合いを終え、宝くじ協議会の面々が戻ってくると、怨みがましい視線をこちらに向かって向けてくる。
元々、戦争を仕掛けてきたのはそちら側。
自業自得だ。正直、そんな視線を向けてこられても困る。
そして、今の俺は手加減できないタチなんだ。
こう見えても昔は手加減とかできたんだよ?
でも、ゲーム世界の力を現実世界で使えるようになって初めて見える景色ってあるじゃん?
俺、今の立ち位置になって気付いた事があるんだよね。
サラリーマンとして働いていた時は、時の政府によるステルス増税に苦しめられてきたけど、その原因の一端がここにあったんじゃないかってさ。
なら排除するしかないじゃん。
排除するだけの力があって、なおかつ、相手が勝手に突っかかってくるなら排除するしかねーよな。
敵は、自分達の生活と存在意義を守る為という下らない理由を公益に資するという戯言で覆い隠し、国民から徴収した血税を無駄に浪費する寄生虫。しかも、寄生仲間に際限なく血税を垂れ流す金銭感覚の狂った浪費家属性まで付いている。際限なく増税するのも頷ける話だ。
だって、そんな奴らが税金を好き放題できる立場にいるのだ。私利私欲に塗れまともな頭を持ち合わせていなければ、より多くの金を手に入れる為、理由を付けて増税に踏み切るのは当たり前の事。
なら、俺にできるのは一つだけ。
俺を疎ましく思い、勝手に突っかかってくる馬鹿を血祭りに上げる。
俺から手を出す事はほぼないが、手を出されたからにはやり返す。
そうやって、俺に突っかかる馬鹿を一つ一つ丁寧に潰していけば、少しは良い世界になるだろうさ。
え? 潰された人達の生活はどうなるのかって?
そんな事、決まっている。俺達が月収二十万円でサラリーマンやってた様に普通に転職活動して、働ける場所で働くんだよ。
公金で年収一千万円貰っていた奴らの給料が三分の一以下になったとしても知らねーよ。
政府や公益法人に搾取される側の人間はな、例えば定年間近になると給与テーブルを下げられるんだぞ?
それこそ、全盛期の七十パーセントまで下げられる。定年迎えて再雇用なんて話になれば、特別な事情がない限り更に給与を下げられる。
俺達はそれで生活してたんだから贅沢言うな。お前達が税金を搾取してきた結果がこれだろう。過剰な税金投入されてじゃぶじゃぶ使う分際で公益法人を騙るなよ。詐欺集団かお前ら。
内心そんな事を思いながら、宝くじ協議会の面々に視線を向けると、俺は満面な笑顔を浮かべ煽り返す。
「ぐっ……!!」
渾身の笑顔返しにイラついたのか、宝くじ協議会の面々が席を立ち、俺に詰め寄ろうとするも、マスコミの向けるカメラを見て、憤然とした表情を浮かべるに留めた。
おーおー、怒っていらっしゃる。
でもさ、お前らが怒る対象、俺じゃなくね?
お前らを切り捨てようとしているのは、俺個人の為に事業仕分けを開催した都知事であって俺じゃあないよ?
むしろ、俺は被害者だ。
謂れのない冤罪を押し付けられるのを今か今かと心待ちにしている被害者。
え? 被害者は冤罪押し付けられるのを心待ちにしない?
当たり前だろ。これが心待ちにする類いのものじゃない事くらい俺だって分かっている。
俺が心待ちにしているのは、冤罪押し付けた後、押し付けてきた奴の人生がどんな感じでぶっ壊れるか、ただそれだけだ。
せめて、俺が受ける冤罪の数億倍の苦しみを受けてぶっ壊れて欲しい。
二度と、こんな愚かな事をしようと思わぬ程に……。
そんな事を考えていると、都知事がマイクを握る。
『中断していた事業仕分けを再開致し、質疑に入りたいと思います。評価者の方は、ご質問をお願い致します』
そう言うと、都知事の意向に従い、評価者達が宝くじ協議会を責め立てるように質問し始める。
『現在、総務省からの斡旋を受け再就職した方は何名ほど、在籍していますか?』
宝くじ協議会にとって、もの凄く言い辛い質問だ。
流石は、都知事のリカちゃん人形である。
宝くじ協議会の担当は『うっ!?』と声を漏らすと、言い辛そうに答える。
『り、理事長を含めて三人です』
「そうですか……、宝くじ協議会には天下りした者が三名も……。宝くじの収益金の配分はどの様にされているのですか? 社会貢献広報費の助成対象を見ると、本当に助成するべき団体なのか怪しい法人も散見されますが?」
『社会貢献広報費に関しましては、助成のルールと審査を厳格化しております』
「その厳格化した助成ルールと審査が形骸化していませんか?と、質問しているのですが……」
宝くじ協議会の担当の反応を見るに、これらの発言は当初予定されていたものではないのだろう。担当は、『本当に協議会を潰すつもりなのか……』と呟くと、顔を強張らせながら俯いた。
宝くじ協議会は、俺を潰すただそれだけの為に公益財団法人化した組織。
東京都から公益認定を受けている為、東京都が所管となる。
今頃、こんな事になる位なら東京都から公益認定なんて受けるんじゃなかったと考えていそうだ。
まあ、そもそも、俺からして見れば、俺を潰すだなんてアホな理由で東京都の公益認定を受けるなんて、最初から判断ミスをしている時点でどうかと思うけどね。
次々と投げかけられる評価者達の答え辛い質問を捌く宝くじ協議会の担当達。そんな担当達に対して、評価者として事業仕分けに参加していたピンハネが手を挙げる。
『頂いた資料を見ると、宝くじの収益金の大半がとある個人、または特定の団体にに支給されている様に見えるのですが……』
とうとう来たね。。。
ピンハネがそう質問すると、宝くじ協議会の担当者たちは言い淀みながら回答する。
『宝くじ協議会が宝くじの収益金を特定の個人、または組織に流す事はありません』
恐らく、これが本命の質問なのだろう。
ピンハネは待ってましたと、言わんばかりに資料を手に取り立ち上がる。
『では、質問を変更します。宝くじの一等当選確率は何万分の一でしょうか?』
『え、えーっとですね……』
言い淀む宝くじ協議会の担当者。
ピンハネは、手に持った書類をテーブルに叩き付けながら言う。
『一千万分の一です。勿論、宝くじを多く購入する事で当選確率を上げる事はできますが、それでもこれは異常です。私には、彼等と宝くじ協議会が結託して不正に宝くじの収益金を掠め取っている様に見えます』
まるで、それが事実であるかの様な物言いだ。
宝くじの販売事務は銀行がやっているんだぞ?
宝くじの仕組みを知っていれば、宝くじ協議会なんかと結託した所で収益金を掠め取る事ができないこと位、わかりそうなものである。
まあ、宝くじ協議会がマイルールで分配する社会貢献広報費は別だけど……。
そんな事を考えていると、ピンハネは手に取った書類を見せ付けるようにして前に突き出す。
『ここに書かれた内容について説明して頂けますか? この資料には、当選者個々人の名前が書かれています。プライバシー保護の観点から個々人の名前を読み上げる様な真似は致しませんが、合理的な説明もなくこれを信じる事はできません』
ピンハネがそう言うと、宝くじ協議会の担当者は額に流した汗を拭きながら答える。
『そ、それは事実無根です。当協会の調査によれば、不正は確認できませんでした』
当然だ。何しろ、俺達はゲーム世界のアイテムを利用して、当選くじを乱獲しているんだからな。宝くじ協議会などと結託して不正するメリットは皆無だ。
ちゃんと、不正は確認できませんでしたと言葉に出して言った担当に拍手を送ると、評価者達が睨み付けてくる。
『だったら、これは何なんだ!』
『数度ならいざ知らず、短期間で百回以上当選金を受け取っているんだぞっ!』
中々、鋭い指摘だ。
勝手にヒートアップしていく評価者達の顔を見ながら、フラペチーノを手に取ると、俺はそれを軽く啜った。
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