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第1章 城塞都市マカロン
第8話 屋台『マジカルバナナ』開店!
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「――ふむふむ。そんなことが……。金策を邪魔するため、子供たちに危害を加えようとするだなんて、酷い話ですね……」
ヒナタは思う。これはもはや警察……。もとい、兵士に相談すべき案件ではなかろうか、と……。
空気を読み、あえて口には出さないが、少なくとも、ヒナタに相談するべき内容ではないことは確かだ。
親身になって話を聞いたことで、救いの手を差し伸べたと勘違いしたのだろうか。
子供たちは、ヒナタに窮状を訴えかけてくる。
「エナ姉さまは私たちのために……」
「エナ姉さまを助けてっ!」
中々、無茶なことを言うお子様たちだ。
現状、ヒナタにできることなど高が知れている。
しかし、不思議と断る気にはなれなかった。
「――まあ、とりあえず、バナナでも食べて腹を満たしてください」
ヒナタはリュックに手を入れ、大量のバナナを創造すると、それをテーブルの上に乗せていく。
お腹が減ると、思考がネガティブ方向に傾きがちだ。
その点、バナナは皮を剥くだけで簡単に食べることができるし、バナナには、リラックス効果のある『セロトニン』も豊富に含まれている。
東門の門番、モーリーによると、『食材創造』により創造したバナナにはルミナスなる不思議成分が多く含まれており、回復薬としての効果もあるらしい。
バナナの提供は、精神的にも肉体的にも困窮しているシスターや子供たちの助けになるはずだ。
「施しまで頂いて……。なんとお礼を言ったらいいか……」
テーブルに並べられたバナナを見て、エナが涙を流す。
気まずい……。非常に気まずい気分だ。
空気を変えるため、ヒナタは元気に振る舞う。
「いえいえ、困った時はお互い様ですよ。気にしないでください」
「やったー! ご飯だ!」
涙を零しながらバナナを食べるシスターと、喜びながらバナナをほうばる子供たち。
食べ方一つを見るだけで、相当、困窮していたことが伺える。
話を聞いて見えてきた、この孤児院の問題点は、大きく2点。
1点目は、人手とお金が足りない点。
孤児院を運営するためには、人手とお金の両方が必要となる。
子供を育てるというのは、簡単なことではないのだ。
今、この孤児院の運営は、シスター、エナと老齢のシスター、ナーヴァの2人で行われている。
運営するための資金は、領主様からの支援金。そして、寄付金により賄われている。
しかし、廃れた教会や孤児院の現状を見れば、支援が足りていないことは一目瞭然だ。
2点目は、悪い筋から借金をしている点。
1ヶ月前までこの孤児院にはもう1人、シスターが在籍していた。
名をシスター、ミラといい、この女性が教会の財務を握っていたようだ。
そのミラという女性が、教会と孤児院の運営名目で悪い筋からお金を借り、そのままバックレた……。
ミラが、エナとナーヴァ名義で借金を残していったのを知ったのは、彼女がバックレて、行方知らずとなった後のこと……。
悪い筋の金貸しからは、金貨500枚を金利100%の超高金利で借りており、あと1週間でその返済期日が訪れる。
借金を返済できない場合、権利ごと教会と孤児院の経営権を奪われ、エナとナーヴァは借金奴隷として生涯を終えることになる。
それを回避するため、金策に奔走しているが、それを悪い筋の輩たちが邪魔しているようだ。
「――しかし、臭うな……(――孤児院には、借りたはずのお金が残されていなかった。おそらく、このシスター、ミラが借りたお金を持ち逃げしたのだろう。それに帳簿に記載されている領主様からの支援金も毎月金貨1枚から3枚と非常に少なくバラツキもある。サラリーマンのお小遣いじゃあるまいし、こんな金額では孤児院運営は不可能だ)」
考え込んでいると、顔を真っ赤にして恥じらうシスター、エナと目が合った。
「……す、すいません。臭いましたか? 一応、毎日、体を拭いているのですが……」
「えっ? いや、そういった意味で言ったわけじゃ……⁉︎ すいません。紛らわしいことをいいました……!」
発言をしたヒナタ本人も顔を真っ赤に染める。
(――あ、焦ったぁー、まさか、俺の発言をそう捉えるとは……)
シスター、エナからは、花のような香りがする。決して、嫌な香りはしない。
「――臭うと言ったのは、シスター、ミラの付けてきた帳簿についてです」
「えっ? 帳簿ですか? なにか問題でも?」
ヒナタの言葉に、エナはキョトンとした顔をする。
「ええ、怪しすぎます。借りたお金が教会に残されていないのも、悪い筋の輩が教会と孤児院の経営権を求めてくるのもおかしいです。そういえば、ここは教会ですよね? 神父様はいないのですか?」
(――そもそも、教会で孤児院運営を行っているのであれば、その教会の長である神父様も責任を負うべきだ。シスターが借金返済の全責任を負うのは明らかにおかしい。それに、神父様であれば、エナさんとナーヴァさんが借金奴隷にされる前に、土地を担保にお金を借りるなり、教会上層部に掛け合いお金を借りるなりできるはずだ)
すると、シスター、エナは言い辛そうに呟く。
「――神父様は数年前、孤児院に集まった子供たちを奴隷商人に売り払った罪で捕まりました。まだ刑期は終えていないと思いますが、今、どうしているかは……」
「そ、そうなんですか……」
なんとも言い難い事態に、ヒナタは思わず口を閉じる。
「(――マ、マジでか。そんな神父が存在するとは……。完全に想定外だ……)それじゃあ、今、この土地の権利者は……」
(――この土地が教会所有であれば難しいが、もし万が一、シスターが土地の権利者なら最悪、この土地を売って借金返済に……)
「えっと、一応、私がこの土地の権利者です」
「えっ……?」
すると、子供たちと一緒にバナナを食べながら、話を聞いていたシスター、ナーヴァが補足説明を入れる。
「――この土地は、信心深きシスター、エナの家系が代々、教会に無償で貸し与えてきたものです。ただ、教会側と50年の借地契約を結んでいるため、この土地を売るにしても教会との協議が必要ですし、こんな場所ですから売ったとしても……」
エナとナーヴァは、借金返済のため、この土地の売却も視野に入れていたようだ。しかし、いかんせん時間が足りない。教会と協議するにしても時間がかかるし、売ったとしても借金の足しにならないとなればなおのことだ。
「――そうですか……」
ミラが結んだ借用書には、連帯保証人としてエナとナーヴァ、両名の名前が書かれている。これにはヒナタも頭を抱えた。
ミラがバックレた時点で、その借金は連帯保証人であるエナとナーヴァが支払わなければならない。
(――可哀想だが、万事休すか……)
すると、バナナをいっぱい食べ元気になった子供たちがヒナタの袖を引く。
「バナナ売りのお兄さん。僕たちを売り子として雇って!」
「お願い。バナナ売りのお兄さん!」
「私たちもエナ姉さまと、ナーヴァおばさまの助けになりたいのっ!」
「あなたたち……」
子供たちの思いに感極まって涙するエナとナーヴァ。
返済期日は1週間後。それまでに、利息を含む金貨1000枚を返済しなければならない。
期日までにそれだけの金貨を集めることができるかは分からない。
むしろ、集まらない可能性の方が高いだろう。
しかし、どうせ無駄だと諦め、借金奴隷となる日を待つより幾分かマシだ。
「(――やれるか分からないが、乗りかかった船だ……)わかった。それじゃあ、やってみるか!」
ヒナタは決意を新たに立ち上がる。
(――どの道、売り子を雇うつもりだった。子供たちがエナさんとナーヴァさんを助けたいと言って立ち上がったんだ。大人の俺がここで逃げては男が廃る)
「給料は歩合制のその日払い。売上の半分が君たちの給料だ」
商業ギルドから屋台の場所代は1日当たり銀貨5枚。そして月に一度、利益の半分をギルドに納めなくてはならない。
食料創造で創り出すバナナは原価ゼロ。
そのため、売ったら売っただけ利益となる。
しかし、稼いだ利益の半分は税金として商業ギルドに納めなくてはならない。
どうせ税金として支払わなければならないのであれば、給料という形で経費に計上し、子供たちに還元した方が、彼らもやる気がでるだろう。
「雇用期間は1週間。その間、君たちがバナナを売れば売るほど、エナさんとナーヴァさんの助けになる」
ヒナタの言葉を聞き、子供たちは真剣な表情を浮かべる。
「エナさんとナーヴァさんは、その間に金策を練ってください」
「はい。わかりました」
「なにから、なにまで……。なんとお礼を言ったらいいか……」
「お礼は必要ありません。こちらも売り子を募集しなければと思っていましたから……」
それに、ヒナタにも返さなくてはならない借金がある。
「それじゃあ、皆、借金返済に向けて頑張ろう!」
「「おーっ‼︎」」
そう鼓舞すると、ヒナタたちは借金返済のため、動き始めた。
翌日、午前七時。
ヒナタたちは、エナとナーヴァが夜なべして作ってくれたお揃いのエプロンに身を包み、屋台という名の戦場へと足を踏み入れる。
「……すごい人の数」
「ああ、なにやら物々しい雰囲気だね……」
商業ギルドからは、なにも聞かされていないが、もしかしたら、今日、ここでお祭りやコンサートが開催されるのかもしれない。
「……しかし、これはチャンスだ。この機会に乗じてバナナを売って売って売りまくろう!」
「「おー‼︎」」
この世界にバナナは存在しない。
そのため、バナナ1本当たりの単価は銅貨5枚。日本円にして1本当たり500円の強気設定にした。
他にもバナナ関連商品として、パンの上にバナナと生クリームを乗せ巻き込んだ洋菓子、バナナロールやチョコバナナ等も一緒に販売する。これらは生クリームやパン、チョコレートを含んでいるため、付加価値を加味し、銀貨1枚。日本円にして1個当たり1000円の超強気設定にした。
開店準備を進めること1時間。
商品を店頭に並べると、ヒナタは子供たちと円陣を組む。そして――
「よし、それじゃあ、屋台『マジカルバナナ』開店だっ! 今日の売上目標は金貨300枚! 頑張って稼ぐぞー!」
「「おー‼︎」」
――そう声掛けすると、覚悟を決めて店前に置いてある看板を『閉店』から『開店』へと裏返した。
ヒナタは思う。これはもはや警察……。もとい、兵士に相談すべき案件ではなかろうか、と……。
空気を読み、あえて口には出さないが、少なくとも、ヒナタに相談するべき内容ではないことは確かだ。
親身になって話を聞いたことで、救いの手を差し伸べたと勘違いしたのだろうか。
子供たちは、ヒナタに窮状を訴えかけてくる。
「エナ姉さまは私たちのために……」
「エナ姉さまを助けてっ!」
中々、無茶なことを言うお子様たちだ。
現状、ヒナタにできることなど高が知れている。
しかし、不思議と断る気にはなれなかった。
「――まあ、とりあえず、バナナでも食べて腹を満たしてください」
ヒナタはリュックに手を入れ、大量のバナナを創造すると、それをテーブルの上に乗せていく。
お腹が減ると、思考がネガティブ方向に傾きがちだ。
その点、バナナは皮を剥くだけで簡単に食べることができるし、バナナには、リラックス効果のある『セロトニン』も豊富に含まれている。
東門の門番、モーリーによると、『食材創造』により創造したバナナにはルミナスなる不思議成分が多く含まれており、回復薬としての効果もあるらしい。
バナナの提供は、精神的にも肉体的にも困窮しているシスターや子供たちの助けになるはずだ。
「施しまで頂いて……。なんとお礼を言ったらいいか……」
テーブルに並べられたバナナを見て、エナが涙を流す。
気まずい……。非常に気まずい気分だ。
空気を変えるため、ヒナタは元気に振る舞う。
「いえいえ、困った時はお互い様ですよ。気にしないでください」
「やったー! ご飯だ!」
涙を零しながらバナナを食べるシスターと、喜びながらバナナをほうばる子供たち。
食べ方一つを見るだけで、相当、困窮していたことが伺える。
話を聞いて見えてきた、この孤児院の問題点は、大きく2点。
1点目は、人手とお金が足りない点。
孤児院を運営するためには、人手とお金の両方が必要となる。
子供を育てるというのは、簡単なことではないのだ。
今、この孤児院の運営は、シスター、エナと老齢のシスター、ナーヴァの2人で行われている。
運営するための資金は、領主様からの支援金。そして、寄付金により賄われている。
しかし、廃れた教会や孤児院の現状を見れば、支援が足りていないことは一目瞭然だ。
2点目は、悪い筋から借金をしている点。
1ヶ月前までこの孤児院にはもう1人、シスターが在籍していた。
名をシスター、ミラといい、この女性が教会の財務を握っていたようだ。
そのミラという女性が、教会と孤児院の運営名目で悪い筋からお金を借り、そのままバックレた……。
ミラが、エナとナーヴァ名義で借金を残していったのを知ったのは、彼女がバックレて、行方知らずとなった後のこと……。
悪い筋の金貸しからは、金貨500枚を金利100%の超高金利で借りており、あと1週間でその返済期日が訪れる。
借金を返済できない場合、権利ごと教会と孤児院の経営権を奪われ、エナとナーヴァは借金奴隷として生涯を終えることになる。
それを回避するため、金策に奔走しているが、それを悪い筋の輩たちが邪魔しているようだ。
「――しかし、臭うな……(――孤児院には、借りたはずのお金が残されていなかった。おそらく、このシスター、ミラが借りたお金を持ち逃げしたのだろう。それに帳簿に記載されている領主様からの支援金も毎月金貨1枚から3枚と非常に少なくバラツキもある。サラリーマンのお小遣いじゃあるまいし、こんな金額では孤児院運営は不可能だ)」
考え込んでいると、顔を真っ赤にして恥じらうシスター、エナと目が合った。
「……す、すいません。臭いましたか? 一応、毎日、体を拭いているのですが……」
「えっ? いや、そういった意味で言ったわけじゃ……⁉︎ すいません。紛らわしいことをいいました……!」
発言をしたヒナタ本人も顔を真っ赤に染める。
(――あ、焦ったぁー、まさか、俺の発言をそう捉えるとは……)
シスター、エナからは、花のような香りがする。決して、嫌な香りはしない。
「――臭うと言ったのは、シスター、ミラの付けてきた帳簿についてです」
「えっ? 帳簿ですか? なにか問題でも?」
ヒナタの言葉に、エナはキョトンとした顔をする。
「ええ、怪しすぎます。借りたお金が教会に残されていないのも、悪い筋の輩が教会と孤児院の経営権を求めてくるのもおかしいです。そういえば、ここは教会ですよね? 神父様はいないのですか?」
(――そもそも、教会で孤児院運営を行っているのであれば、その教会の長である神父様も責任を負うべきだ。シスターが借金返済の全責任を負うのは明らかにおかしい。それに、神父様であれば、エナさんとナーヴァさんが借金奴隷にされる前に、土地を担保にお金を借りるなり、教会上層部に掛け合いお金を借りるなりできるはずだ)
すると、シスター、エナは言い辛そうに呟く。
「――神父様は数年前、孤児院に集まった子供たちを奴隷商人に売り払った罪で捕まりました。まだ刑期は終えていないと思いますが、今、どうしているかは……」
「そ、そうなんですか……」
なんとも言い難い事態に、ヒナタは思わず口を閉じる。
「(――マ、マジでか。そんな神父が存在するとは……。完全に想定外だ……)それじゃあ、今、この土地の権利者は……」
(――この土地が教会所有であれば難しいが、もし万が一、シスターが土地の権利者なら最悪、この土地を売って借金返済に……)
「えっと、一応、私がこの土地の権利者です」
「えっ……?」
すると、子供たちと一緒にバナナを食べながら、話を聞いていたシスター、ナーヴァが補足説明を入れる。
「――この土地は、信心深きシスター、エナの家系が代々、教会に無償で貸し与えてきたものです。ただ、教会側と50年の借地契約を結んでいるため、この土地を売るにしても教会との協議が必要ですし、こんな場所ですから売ったとしても……」
エナとナーヴァは、借金返済のため、この土地の売却も視野に入れていたようだ。しかし、いかんせん時間が足りない。教会と協議するにしても時間がかかるし、売ったとしても借金の足しにならないとなればなおのことだ。
「――そうですか……」
ミラが結んだ借用書には、連帯保証人としてエナとナーヴァ、両名の名前が書かれている。これにはヒナタも頭を抱えた。
ミラがバックレた時点で、その借金は連帯保証人であるエナとナーヴァが支払わなければならない。
(――可哀想だが、万事休すか……)
すると、バナナをいっぱい食べ元気になった子供たちがヒナタの袖を引く。
「バナナ売りのお兄さん。僕たちを売り子として雇って!」
「お願い。バナナ売りのお兄さん!」
「私たちもエナ姉さまと、ナーヴァおばさまの助けになりたいのっ!」
「あなたたち……」
子供たちの思いに感極まって涙するエナとナーヴァ。
返済期日は1週間後。それまでに、利息を含む金貨1000枚を返済しなければならない。
期日までにそれだけの金貨を集めることができるかは分からない。
むしろ、集まらない可能性の方が高いだろう。
しかし、どうせ無駄だと諦め、借金奴隷となる日を待つより幾分かマシだ。
「(――やれるか分からないが、乗りかかった船だ……)わかった。それじゃあ、やってみるか!」
ヒナタは決意を新たに立ち上がる。
(――どの道、売り子を雇うつもりだった。子供たちがエナさんとナーヴァさんを助けたいと言って立ち上がったんだ。大人の俺がここで逃げては男が廃る)
「給料は歩合制のその日払い。売上の半分が君たちの給料だ」
商業ギルドから屋台の場所代は1日当たり銀貨5枚。そして月に一度、利益の半分をギルドに納めなくてはならない。
食料創造で創り出すバナナは原価ゼロ。
そのため、売ったら売っただけ利益となる。
しかし、稼いだ利益の半分は税金として商業ギルドに納めなくてはならない。
どうせ税金として支払わなければならないのであれば、給料という形で経費に計上し、子供たちに還元した方が、彼らもやる気がでるだろう。
「雇用期間は1週間。その間、君たちがバナナを売れば売るほど、エナさんとナーヴァさんの助けになる」
ヒナタの言葉を聞き、子供たちは真剣な表情を浮かべる。
「エナさんとナーヴァさんは、その間に金策を練ってください」
「はい。わかりました」
「なにから、なにまで……。なんとお礼を言ったらいいか……」
「お礼は必要ありません。こちらも売り子を募集しなければと思っていましたから……」
それに、ヒナタにも返さなくてはならない借金がある。
「それじゃあ、皆、借金返済に向けて頑張ろう!」
「「おーっ‼︎」」
そう鼓舞すると、ヒナタたちは借金返済のため、動き始めた。
翌日、午前七時。
ヒナタたちは、エナとナーヴァが夜なべして作ってくれたお揃いのエプロンに身を包み、屋台という名の戦場へと足を踏み入れる。
「……すごい人の数」
「ああ、なにやら物々しい雰囲気だね……」
商業ギルドからは、なにも聞かされていないが、もしかしたら、今日、ここでお祭りやコンサートが開催されるのかもしれない。
「……しかし、これはチャンスだ。この機会に乗じてバナナを売って売って売りまくろう!」
「「おー‼︎」」
この世界にバナナは存在しない。
そのため、バナナ1本当たりの単価は銅貨5枚。日本円にして1本当たり500円の強気設定にした。
他にもバナナ関連商品として、パンの上にバナナと生クリームを乗せ巻き込んだ洋菓子、バナナロールやチョコバナナ等も一緒に販売する。これらは生クリームやパン、チョコレートを含んでいるため、付加価値を加味し、銀貨1枚。日本円にして1個当たり1000円の超強気設定にした。
開店準備を進めること1時間。
商品を店頭に並べると、ヒナタは子供たちと円陣を組む。そして――
「よし、それじゃあ、屋台『マジカルバナナ』開店だっ! 今日の売上目標は金貨300枚! 頑張って稼ぐぞー!」
「「おー‼︎」」
――そう声掛けすると、覚悟を決めて店前に置いてある看板を『閉店』から『開店』へと裏返した。
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