転異世界のアウトサイダー 神達が仲間なので、最強です

びーぜろ

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第七章 教会編

第167話 司祭マリオの商会訪問

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 大司教ソテルの質問に何も答えられずにいると、今度は身体の至る所が泡立ってきた。

「だ、大司教様! 大司教ソテル様お止めください! どうか、どうか……ッ!」

 私が慌ててそう叫ぶと、身体中の泡立ちが止まる。
 そして、私に向けていた手のひらを降ろし、大司教ソテルは再び問いかける。

「それでマリオ司祭。あなたはこの状況を作り出した商会に何をしますか?」

 私は頭をフル回転させて考え込む。

 どうすればいい、本当にどうすればいい!?
 聖属性魔法が付与された魔道具があるなら買い取ればいい。
 しかし、数十点もの魔道具を購入するためには、教区教会の持つ資金では到底足りない。

 早く回答をしなければ、大司教様の力によって、また身体中を泡立たされてしまう。
 その危機感から私は、ふと頭に浮かんだことを口にする。

「ま、まずはその商会に聖属性魔法の付与された魔道具を聖モンテ教会に喜捨するよう勧め、万能薬のレシピについては廃棄するよう求めるのはいかがでしょうか。」

 その回答を聞いたソテル大司教は私に冷めた視線を向ける。

「それで、その商会が聖属性魔法の付与された魔道具を喜捨せず、万能薬のレシピの廃棄を拒んだ場合、どのように行動しますか?」

「その時はその商会主を異端審問にかけようと思います。」

 そうだ、それがいい。なんで思いつかなかったんだ。
 ソテル大司教のプレッシャーに圧され、思ったことをそのまま口にしてしまったが妙案のように思えてくる。

「そう。異端審問ですか。それはいい方法です。聖属性魔法の付与された魔道具を販売し、あまつさえ万能薬のレシピまで流出させるなどその商会主はまさしく異端。私の教区から異端者が出ることは嘆かわしい限りではありますが仕方がありません。異端は根絶せねばならない世界に湧いた膿。膿は取り除かなくてはなりません。ああ、素晴らしい。とても素晴らしい回答でした。」

 その言葉に私はホッとした表情を浮かべると、ソテル大司教は私に手を翳し回復の呪文を唱える。

完全治癒パーフェクトヒール

 するとボコボコに泡立っていた私の身体に光が宿り、泡立ちを癒していく。

「それではマリオ司祭。貴方にすべてを任せます。異端者に神の鉄槌を下すのです。それではお行きなさい。貴方に神からの祝福があらんことを。」

 私は十字を切り立ち上がると、「失礼します。」と呟き教会を後にした。

 失敗は許されない。
 私は、早速、聖属性魔法が付与された魔道具と万能薬のレシピを売るユートピア商会に赴くと、商会主を呼ぶよう従業員に声をかける。

「すいません。とても大切な話がありますので、商会主の方を呼んで頂いてもよろしいでしょうか?」

 従業員は私の姿を見て、一瞬、苦々しい表情を浮かべると「わかりました。中でお待ちください。」と呟き、ユートピア商会内に入るよう案内される。

 しかし、従業員に言われるままにユートピア商会の扉を潜ろうとするも、まるで、見えない壁でもあるかのように商会内に一歩たりとも入ることができなかった。

「すいません。何故か入ることが出来ないのですが?」

 私がそう呟くと、商会内に入ることが出来ないことを確認した従業員は、すぐさま顔色を変え、毅然とした態度で「お客様ではないようですね。どうぞ気を付けてお帰り下さい。」と呟き、去ろうとする。

 私は慌てて従業員に向かって言葉を投げかける。

「ちょ、ちょっと待って下さい! 私は聖モンテ教会の司祭マリオと申します。本日は、商会主様に大切な話をする為、こちらに足を運びました。このお話しは商会主様の今後の人生がかかった大切な話となっております。私はこちらでお待ちしておりますので、商会主様にお話がしたい旨を伝えて頂けますでしょうか。」

 すると私の熱意が伝わったのか、少し困った顔をした後「わかりました。少々お待ちください。」と呟き、商会内に入っていく。

 暫くすると、商会内から先ほどの従業員とは違う子供が出てくると、私に向かって声をかけてきた。

「失礼ですが、聖モンテ教会の司祭マリオ様でしょうか。」

「はい。私は聖モンテ教会の司祭マリオと申します。」

「どうもご丁寧にありがとうございます。私はと申します。会頭よりお言葉を預かってまいりました。大変申し訳ございませんが、会頭は忙しく話をする時間は取れないないそうです。」

 まさかの回答に私は驚きの声を上げる。

「なっ! 商会主の今後の人生がかかった大切な話をしようと言うのに忙しいですと!?」

 こんなにも軽んじられたのは初めてだ。
 ここの商会主は、今後の人生と、仕事のどちらが大切かまるで分っていない。

「はい。その通りです。ただ、商会内で話し合いをする場合、その限りではないと申しております。今後の人生がかかった大切な話とのことですが、そのお話はどうぞそちらの扉を潜り直接会頭へとお話し下さい。商会内に入り従業員に尋ねることですぐに話し合いができるよう手配しておきます故、それでは失礼いたします。」

 それだけ話すと、その子供はペコリと頭を下げると、そのまま商会内に入っていた。
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