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第七章 教会編
第172話 きつ過ぎるノルマ
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「そう言えば、うちの商会は聖モンテ教会から喜捨の強要や神符押売にあったことがないけど、どうしてだろ?」
ユートピア商会のバックヤードで指輪に聖属性魔法を付与していると、ふと雑念が湧いてきた。
定期テストを直前に控え、勉強に専念しなければならないと思っているのに、なぜか掃除や整理整頓がしたくなる。これを心理学では『先延ばし行動』と呼ばれているらしい。
今の俺の心理はそれに似ているのかもしれない。
目の前には、私の商会に納める予定の聖属性魔法が付与された魔道具と、一日のノルマが張り出されていた。
私の商会納品用の魔道具:一日当たり100個(レシピ付き)
ユートピア商会販売用の魔道具:一日当たり20個(レシピ付き)
ユートピア商会販売用の家具、その他:一種類当たり5個
半ば思い付きで販売することになった聖属性魔法が付与された魔道具と万能薬のレシピ。
それが思いがけないほどの大反響を呼んでいる。なにせ、今まで教会だけが握っていた万能薬のレシピが、万能薬を作るのに必要となる聖属性魔法ごと販売されているのだ。
定価は白金貨50枚(約500万円)と高めの設定になっているにも拘らず、私の商会からは一日当たり100個もの魔道具を注文される。
この魔道具の販売だけで、一日当たり白金貨5,000枚(約5億円)ものお金が動いている計算だ。
実際、マスカットさんには、お友達価格……いや、知り合い価格で定価の50%ほどで販売しているが、それでも月換算で白金貨75,000枚(約75億円)をこの魔道具だけで稼ぎだしている。
しかも、付与する指輪も土属性魔法で作ったものなので無料。
実質、ほぼ100%に近い利益を得ている。
しかし、それとこれとは話が別だ。
ユートピア商会で販売している家具や商品の作成に加え、私の商会納品用の魔道具を毎日100個も作成するのは骨が折れる。
ただでさえ商品を作るのに魔力を使いヘロヘロなのに、そこに加えて100個も指輪に聖属性魔法を付与しなければならない。
自分でマスカットさんに勧めておいてなんだけど、今すぐにでもすべてを放り投げたい気分だ。
というより、教会に目を付けられたくないからポーションの販売は停止にしようとか言って、実際、取扱いを中止したくせに、聖属性魔法が付与された魔道具と万能薬のレシピをばら撒いていたらそれこそ本末転倒な気がしてきた。
……まあ提案したのは俺なんだけど。
それにもう聖モンテ教会からは目を付けられている。
私の商会の元にも、聖モンテ教会の司祭マリオが現れたそうだ。
まあ新しい大司教が就任して以降、喜捨の強要や神符押売が横行しているためか、聖モンテ教会の評判は悪く。冒険者や民衆から石を投げられ逃げ帰っていったそうだけど……。
俺が石を投げられ私の商会から逃げ去っていくマリオの姿を想像していると、初めに呟いた言葉に対する回答が返ってくる。
「それは先日来たあの司祭様のように、ユートピア商会に入ることが出来なかったためですよ。」
気付けば俺の後ろに、カイロくんの母親トリアさんの姿があった。
どうやら気分転換にと飲み物を持ってきてくれたようだ。
俺はトリアさんからコップを受け取ると、飲み物に口をつける。
トリアさんが持ってきてくれたのはハーブティーのようだ。
なんとなく目がシャキッとしてきた。
「実はユートピア商会開店当時から聖モンテ教会の門徒の方々から悠斗様と面会を希望する声が多数よせられておりました。」
初耳である。そういうことは早く教えてほしい。
「ただ大司教様が変わられてから、喜捨を強要するようになったと聞いておりましたので、従業員の総意として悠斗様に会わせないようにしていたのですが、まさか司祭様が直接こちらに来られるとは思ってもみなかったものでして……。」
今まで喜捨を求めに来ていた人たちは聖モンテ教会の修道士だったようだ。
その方々全員がユートピア商会の扉を潜れないとは……そんなんで大丈夫だろうか?
「ああ、私たちの信じる神は一人だけです。聖モンテ教会の神様に祈るなんてことは致しませんのでご安心ください。」
急に話の方向が変わった!?
信教の話しなんてしていたっけ?
まあ信教の自由は日本国憲法第20条で定められている。
まあこの世界ウェークには関係ないけど、信教は自由なんだから好きにしてほしい。
「え~っと、なんのことだか分からないけど……うん。信教は自由なんだから好きにすればいいと思うよ? それとこれありがとう。」
俺はハーブティーを口に含むとゆっくり飲み込んでいく。
心なしか気分が落ち着いてきたような気がする。
「でも、今後は何かあったらちゃんと報告すること。トリアさんやカイロくんたちに何かあってからじゃ遅いからね。」
俺にも当然できることと、できないことがある。
あの時はどうにかなったけど、天使に攫われてしまったフェイの時はひやりと肝を冷やされた。
あの時のことを教訓に、子供たち3人にスキルブックを渡し、ユニークスキルを身に着けさせたけどそれでもまだまだ心配は尽きない。今は影精霊を一人につき10体付けるようにしている。
ユートピア商会の従業員たちも同様だ。
なにかが起こってからでは遅いのである。
「承知いたしました。」
トリアさんはそう呟くと、何故か嬉しそうに笑みを浮かべバックヤードから去って行った。
ユートピア商会のバックヤードで指輪に聖属性魔法を付与していると、ふと雑念が湧いてきた。
定期テストを直前に控え、勉強に専念しなければならないと思っているのに、なぜか掃除や整理整頓がしたくなる。これを心理学では『先延ばし行動』と呼ばれているらしい。
今の俺の心理はそれに似ているのかもしれない。
目の前には、私の商会に納める予定の聖属性魔法が付与された魔道具と、一日のノルマが張り出されていた。
私の商会納品用の魔道具:一日当たり100個(レシピ付き)
ユートピア商会販売用の魔道具:一日当たり20個(レシピ付き)
ユートピア商会販売用の家具、その他:一種類当たり5個
半ば思い付きで販売することになった聖属性魔法が付与された魔道具と万能薬のレシピ。
それが思いがけないほどの大反響を呼んでいる。なにせ、今まで教会だけが握っていた万能薬のレシピが、万能薬を作るのに必要となる聖属性魔法ごと販売されているのだ。
定価は白金貨50枚(約500万円)と高めの設定になっているにも拘らず、私の商会からは一日当たり100個もの魔道具を注文される。
この魔道具の販売だけで、一日当たり白金貨5,000枚(約5億円)ものお金が動いている計算だ。
実際、マスカットさんには、お友達価格……いや、知り合い価格で定価の50%ほどで販売しているが、それでも月換算で白金貨75,000枚(約75億円)をこの魔道具だけで稼ぎだしている。
しかも、付与する指輪も土属性魔法で作ったものなので無料。
実質、ほぼ100%に近い利益を得ている。
しかし、それとこれとは話が別だ。
ユートピア商会で販売している家具や商品の作成に加え、私の商会納品用の魔道具を毎日100個も作成するのは骨が折れる。
ただでさえ商品を作るのに魔力を使いヘロヘロなのに、そこに加えて100個も指輪に聖属性魔法を付与しなければならない。
自分でマスカットさんに勧めておいてなんだけど、今すぐにでもすべてを放り投げたい気分だ。
というより、教会に目を付けられたくないからポーションの販売は停止にしようとか言って、実際、取扱いを中止したくせに、聖属性魔法が付与された魔道具と万能薬のレシピをばら撒いていたらそれこそ本末転倒な気がしてきた。
……まあ提案したのは俺なんだけど。
それにもう聖モンテ教会からは目を付けられている。
私の商会の元にも、聖モンテ教会の司祭マリオが現れたそうだ。
まあ新しい大司教が就任して以降、喜捨の強要や神符押売が横行しているためか、聖モンテ教会の評判は悪く。冒険者や民衆から石を投げられ逃げ帰っていったそうだけど……。
俺が石を投げられ私の商会から逃げ去っていくマリオの姿を想像していると、初めに呟いた言葉に対する回答が返ってくる。
「それは先日来たあの司祭様のように、ユートピア商会に入ることが出来なかったためですよ。」
気付けば俺の後ろに、カイロくんの母親トリアさんの姿があった。
どうやら気分転換にと飲み物を持ってきてくれたようだ。
俺はトリアさんからコップを受け取ると、飲み物に口をつける。
トリアさんが持ってきてくれたのはハーブティーのようだ。
なんとなく目がシャキッとしてきた。
「実はユートピア商会開店当時から聖モンテ教会の門徒の方々から悠斗様と面会を希望する声が多数よせられておりました。」
初耳である。そういうことは早く教えてほしい。
「ただ大司教様が変わられてから、喜捨を強要するようになったと聞いておりましたので、従業員の総意として悠斗様に会わせないようにしていたのですが、まさか司祭様が直接こちらに来られるとは思ってもみなかったものでして……。」
今まで喜捨を求めに来ていた人たちは聖モンテ教会の修道士だったようだ。
その方々全員がユートピア商会の扉を潜れないとは……そんなんで大丈夫だろうか?
「ああ、私たちの信じる神は一人だけです。聖モンテ教会の神様に祈るなんてことは致しませんのでご安心ください。」
急に話の方向が変わった!?
信教の話しなんてしていたっけ?
まあ信教の自由は日本国憲法第20条で定められている。
まあこの世界ウェークには関係ないけど、信教は自由なんだから好きにしてほしい。
「え~っと、なんのことだか分からないけど……うん。信教は自由なんだから好きにすればいいと思うよ? それとこれありがとう。」
俺はハーブティーを口に含むとゆっくり飲み込んでいく。
心なしか気分が落ち着いてきたような気がする。
「でも、今後は何かあったらちゃんと報告すること。トリアさんやカイロくんたちに何かあってからじゃ遅いからね。」
俺にも当然できることと、できないことがある。
あの時はどうにかなったけど、天使に攫われてしまったフェイの時はひやりと肝を冷やされた。
あの時のことを教訓に、子供たち3人にスキルブックを渡し、ユニークスキルを身に着けさせたけどそれでもまだまだ心配は尽きない。今は影精霊を一人につき10体付けるようにしている。
ユートピア商会の従業員たちも同様だ。
なにかが起こってからでは遅いのである。
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トリアさんはそう呟くと、何故か嬉しそうに笑みを浮かべバックヤードから去って行った。
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