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第八章 フェロー王国動乱編
第204話 内務大臣、学園長を怒らす
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「グレナ・ディーン学園長、困ります。今、陛下は大事な会議中で……」
「ならばこの場に責任者を呼んで来なさい。ティンドホルマー第二魔法学園創設等聞いておりません。これは明らかに学園への越権行為です。私達はこの国による越権行為に対し断固として抗議します」
王城の前まで来たグレナ・ディーン学園長の怒りは収まらない。
なにより、お師匠様の土地を接収する口実に魔法学園創立を使われた事に憤りを覚えていた。
第一、理事会すら聞いていない話をさも既定路線かの様に話されても困る。
現在のティンドホルマー魔法学園の様な品質の教師が沸いて出る訳ではないのだ。
「わ、わかりました。直ぐに呼んでまいります」
使者が慌てて王城へと入っていく。
「まったく、何を考えているのですか! 考えなしにも程があります! こんな愚かな者達が国政を担うとは……。一周廻って悲しくなってきますね」
使者が王城に入って行ってから十数分後、門番が声をかけてきた。
「グレナ・ディーン様、内務大臣がお待ちです。どうぞこちらへ」
「わかりました」
グレナ・ディーン学園長が王城へ入ると、会議室へと通される。
「ようこそおいで下さいました。私は内務大臣のスカーリと申します」
グレナ・ディーン学園長は挨拶をすると、内務大臣を睨みつける。
「これはスカーリ様。私、ティンドホルマー魔法学園の学園長を務めております。グレナ・ディーンと申します。本日はティンドホルマー第二魔法学園の創設についてお話を伺いに参りました」
「まあ、まずはお掛け下さい」
内務大臣はグレナ・ディーン学園長に座るよう促す。
「それでは、失礼いたします」
グレナ・ディーン学園長が椅子に座ると、内務大臣が話しかけてきた。
「それで、使いに出した者から、ティンドホルマー第二魔法学園について話があると伺いましたが、どういったご用件でしょうか」
内務大臣の白々しい態度に憤りを覚えながらグレナ・ディーン学園長は口を開く。
「それでは簡潔に申し上げましょう。現在、ユートピア商会のある土地を接収して、ティンドホルマー第二魔法学園創立を計画しているとお聞き致しましたがこれは事実ですか?」
グレナ・ディーン学園長のあまりの気迫に内務大臣は汗を垂らす。
「ああ、その通りだ。その案は私が陛下に上申したもので間違いない」
「そうですか……。それでは、その案を即刻取り消して頂けますか? 私共と致しましてはそんな事を急に言われても困ります。ハッキリ言って迷惑です。それにティンドホルマー魔法学園は、国の管轄外の組織です。ユートピア商会の土地を接収する為の理由に使われ憤りを覚えております。あなた方の勝手な政策に学園を巻き込まないで頂けますか」
まさかそこまでキッパリと拒絶されると思っていなかった内務大臣は焦りを覚える。
「し、しかし、これは陛下が既に承認した事。私に覆す事はできません。急な事で大変申し訳ないとは思いますが、ティンドホルマー第二魔法学園創立に向け、お力を貸しては頂けないでしょうか?」
グレナ・ディーン学園長は考える迄もないと拒否の姿勢を示す。
「拒否致します」
「そ、そこを何とか……」
内務大臣がグレナ・ディーン学園長に対して下手に出るも、まるで相手をしてくれない事に苛立ちを覚える。
「……はぁ。スカーリ様。当たり前の事ではありますが、命令にもできる事とできない事の二種類がある事は当然ご存じですよね? もし土地は用意したから明日中に建物を建てろと言われたらあなたはそれを実行できますか? できませんよね。あなた方が私達に言っているのはそれと同じ事です。土地はユートピア商会から接収した。だからその土地にティンドホルマー第二魔法学園を建て運営しろと……。無礼を承知で申し上げますが、こんな案を陛下に上申して、力を貸して頂けないでしょうかと頼み込むあなた方の気持ちが私には微塵も理解できません。また何度でも申し上げますが、ユートピア商会の土地を接収する理由に使われた事にも憤りを感じております。あなた方の身勝手な政策に学園を巻き込まないで頂けますか」
「し、しかし、これはもう……」
「しかしではありません。ユートピア商会を接収する為の理由に学園を使わないで頂きたい。ティンドホルマー第二魔法学園の創立も不要です。これは我々、学園側の正式な回答と受け取って頂いても構いません」
「だ、だがっ……」
「これ以上の問答は意味がありませんね。」
グレナ・ディーン学園長がそう口にして席を立つと、内務大臣は声を荒げる。
「貴様ッ! この私が上申し、陛下が決定した事に異を唱えるのか! ティンドホルマー魔法学園の学園長とはいえタダではすまんぞ!」
「黙りなさい。もしあなた方が、学園経営に口出しをするというのであれば、ティンドホルマー魔法学園を王都の隣にあるエストゥロイ領に移設する様、理事会に稟議を回します。元々、王都で学園を設立したのは近くに迷宮が有った為です。ティンドホルマー魔法学園を接収の理由とし、越権行為を行う王がいる様な場所に学園を設立したのは間違いだったのかもしれませんね」
「グレナ・ディーン学園長! 待ってッ!」
グレナ・ディーン学園長は内務大臣にそう言葉を吐き捨てると、王城を後にした。
「ならばこの場に責任者を呼んで来なさい。ティンドホルマー第二魔法学園創設等聞いておりません。これは明らかに学園への越権行為です。私達はこの国による越権行為に対し断固として抗議します」
王城の前まで来たグレナ・ディーン学園長の怒りは収まらない。
なにより、お師匠様の土地を接収する口実に魔法学園創立を使われた事に憤りを覚えていた。
第一、理事会すら聞いていない話をさも既定路線かの様に話されても困る。
現在のティンドホルマー魔法学園の様な品質の教師が沸いて出る訳ではないのだ。
「わ、わかりました。直ぐに呼んでまいります」
使者が慌てて王城へと入っていく。
「まったく、何を考えているのですか! 考えなしにも程があります! こんな愚かな者達が国政を担うとは……。一周廻って悲しくなってきますね」
使者が王城に入って行ってから十数分後、門番が声をかけてきた。
「グレナ・ディーン様、内務大臣がお待ちです。どうぞこちらへ」
「わかりました」
グレナ・ディーン学園長が王城へ入ると、会議室へと通される。
「ようこそおいで下さいました。私は内務大臣のスカーリと申します」
グレナ・ディーン学園長は挨拶をすると、内務大臣を睨みつける。
「これはスカーリ様。私、ティンドホルマー魔法学園の学園長を務めております。グレナ・ディーンと申します。本日はティンドホルマー第二魔法学園の創設についてお話を伺いに参りました」
「まあ、まずはお掛け下さい」
内務大臣はグレナ・ディーン学園長に座るよう促す。
「それでは、失礼いたします」
グレナ・ディーン学園長が椅子に座ると、内務大臣が話しかけてきた。
「それで、使いに出した者から、ティンドホルマー第二魔法学園について話があると伺いましたが、どういったご用件でしょうか」
内務大臣の白々しい態度に憤りを覚えながらグレナ・ディーン学園長は口を開く。
「それでは簡潔に申し上げましょう。現在、ユートピア商会のある土地を接収して、ティンドホルマー第二魔法学園創立を計画しているとお聞き致しましたがこれは事実ですか?」
グレナ・ディーン学園長のあまりの気迫に内務大臣は汗を垂らす。
「ああ、その通りだ。その案は私が陛下に上申したもので間違いない」
「そうですか……。それでは、その案を即刻取り消して頂けますか? 私共と致しましてはそんな事を急に言われても困ります。ハッキリ言って迷惑です。それにティンドホルマー魔法学園は、国の管轄外の組織です。ユートピア商会の土地を接収する為の理由に使われ憤りを覚えております。あなた方の勝手な政策に学園を巻き込まないで頂けますか」
まさかそこまでキッパリと拒絶されると思っていなかった内務大臣は焦りを覚える。
「し、しかし、これは陛下が既に承認した事。私に覆す事はできません。急な事で大変申し訳ないとは思いますが、ティンドホルマー第二魔法学園創立に向け、お力を貸しては頂けないでしょうか?」
グレナ・ディーン学園長は考える迄もないと拒否の姿勢を示す。
「拒否致します」
「そ、そこを何とか……」
内務大臣がグレナ・ディーン学園長に対して下手に出るも、まるで相手をしてくれない事に苛立ちを覚える。
「……はぁ。スカーリ様。当たり前の事ではありますが、命令にもできる事とできない事の二種類がある事は当然ご存じですよね? もし土地は用意したから明日中に建物を建てろと言われたらあなたはそれを実行できますか? できませんよね。あなた方が私達に言っているのはそれと同じ事です。土地はユートピア商会から接収した。だからその土地にティンドホルマー第二魔法学園を建て運営しろと……。無礼を承知で申し上げますが、こんな案を陛下に上申して、力を貸して頂けないでしょうかと頼み込むあなた方の気持ちが私には微塵も理解できません。また何度でも申し上げますが、ユートピア商会の土地を接収する理由に使われた事にも憤りを感じております。あなた方の身勝手な政策に学園を巻き込まないで頂けますか」
「し、しかし、これはもう……」
「しかしではありません。ユートピア商会を接収する為の理由に学園を使わないで頂きたい。ティンドホルマー第二魔法学園の創立も不要です。これは我々、学園側の正式な回答と受け取って頂いても構いません」
「だ、だがっ……」
「これ以上の問答は意味がありませんね。」
グレナ・ディーン学園長がそう口にして席を立つと、内務大臣は声を荒げる。
「貴様ッ! この私が上申し、陛下が決定した事に異を唱えるのか! ティンドホルマー魔法学園の学園長とはいえタダではすまんぞ!」
「黙りなさい。もしあなた方が、学園経営に口出しをするというのであれば、ティンドホルマー魔法学園を王都の隣にあるエストゥロイ領に移設する様、理事会に稟議を回します。元々、王都で学園を設立したのは近くに迷宮が有った為です。ティンドホルマー魔法学園を接収の理由とし、越権行為を行う王がいる様な場所に学園を設立したのは間違いだったのかもしれませんね」
「グレナ・ディーン学園長! 待ってッ!」
グレナ・ディーン学園長は内務大臣にそう言葉を吐き捨てると、王城を後にした。
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