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第八章 フェロー王国動乱編
第210話 一つの商会が去った影響
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「おい。この書類、単価が間違っているぞ! まったく、財務大臣ともあろう者がこんな間違いに気付かぬとは情けない」
フェロー王国の新国王ノルマンは、書類に目を通すと財務大臣の目の前に放り投げる。
財務大臣は放り投げられて書類を拾い、指摘のあった個所に目を通すとこう呟いた。
「お言葉ながら陛下。この単価で間違いありません」
ノルマン新国王は、書類を片手に財務大臣を睨みつける。
「そんな訳がないだろう。先日と比較し単価が2倍になっているではないか!」
「は、はい。先日より物価が上昇しておりまして……そちらに記載されている単価が現在の単価となっております」
ノルマン新国王は舌打ちすると、サインの手を止め机を指でトントンと叩く。
「もうよい。下がれ」
「はっ。それでは失礼致します」
財務大臣が席を立ち、部屋から出ていく。
扉が閉まるのを確認したノルマン新国王は拳を机に強打する。
「物価の上昇に商業ギルド、そして魔法学園からのクレーム……。一体何がどうなっている! ウエハスの奴は何をしているんだ!」
ユートピア商会の土地を接収した日。王城に商業ギルドの新ギルドマスター、ウエハスを呼びつけユートピア商会の土地を接収した事を報告し、王都に他国の商会を招く様、依頼を出しておいた。
しかし、依頼を出してから1週間まったくといっていい程動きがない。それどころか王都の商会の一部からは、『いつ王の気紛れで土地を接収されるか分からない』と訳の分からない噂まで流されている始末。
ユートピア商会がこの王都である程度の影響力がある事は知っていたが、王都の物価に影響を与える程とは思わなかった。
「ええい! 流石にこれ以上は待てぬ! 直接商業ギルドに向かうぞ!」
「へ、陛下ッ! お待ち下さい!」
ノルマン新国王は、立ち上がると宰相の言葉を無視し、騎士3人を引き連れ商業ギルドに向かう事にした。
馬車に乗り込み、商業ギルドに向かう途中、街の景色を眺めていると所々に奇麗に整備された空白地帯が目立つ。
今空白地帯となっている場所。そのほとんどがユートピア商会傘下の商会の建物があった所だ。
「よもや傘下の商会まで店を畳んでユートピア商会に着いていくとはな……、まあいい。私が直接商業ギルドで交渉すれば何とかなるだろう」
十数分後、商業ギルドに辿り着いたノルマン新国王は、商業ギルドに入るや否や、近くにいた受付の女性に話しかけ、新ギルドマスターのウエハスを呼ぶよう指示をする。
すると、受付の女性から返ってきた返事は意外なものだった。
「ウエハスですか? 当ギルドのギルドマスターはミクロのままですが……」
「そんな訳がないだろう。先日、商業ギルドのギルドマスターはミクロからウエハスに代わった筈だ」
「いえ、当ギルドにウエハスという者は在籍しておりませんが……」
受付の女性の言葉にノルマン新国王は、頭を殴られたかの様な衝撃を受ける。
「ば、馬鹿な……。そんな筈は……。で、では税率はどうなる!」
「ぜ、税率でございますか?」
「ああ! 奴はユートピア商会を潰す事と引き換えに我々の決めた税率を彼奴の権限でこの王都にある商会に課税すると言ったのだ! ま、まさか商業ギルドともあろう組織が国との約束を反故にする訳ではあるまいな!」
受付の女性は申し訳なさそうな表情を浮かべる。
「申し訳ございません。その……ウエハス様でございますか? ウエハス様と何の約束をしたのか分かりかねますが、当ギルドのギルドマスターはミクロでございます。国との約束との事ですが、何か契約を結ばれたという事でしょうか?」
「ああっ、とうぜ……。」
ノルマン新国王は、ウエハスと口約束しかしていない事を思い出す。
「い、いや、契約書はない。しかし、ウエハスと約束をした事は確かなんだ!」
「申し訳ございません。契約書がない限り当ギルドでは、その契約の有無を確認する事ができません。」
「ふっ、ふざけるなァァァァ!」
ノルマン新国王が怒りのあまり叫び出すと、目の前の受付の女性に怒りをぶつけようとする。
「な、なりません! 陛下!」
騎士達はノルマン新国王を押さえ付けると、足速に商業ギルドを去って行く。
特に受付の女性には、怖い思いをさせてしまった。
「怖い思いをさせてしまい申し訳ない」
騎士の一人がそう受付の女性に呟くと、頭をペコリと下げ、商業ギルド横に付けられた馬車に戻っていった。
今のやり取りを商業ギルドで見ていたウエハスは静かに呟く。
「あーあっ、もうバレてしまいましたか……。ユートピア商会を潰す事も出来ましたし、王都にも経済的ダメージを与える事ができた。万々歳といった所でしょうか?」
するとウエハスの背後に屋敷神が顕れる。
「初めまして、ウエハス様。私、悠斗様に仕えております屋敷神と申します。今のお話、聞かせて頂きました。ぜひ我が主人の前でそのお話を聞かせて頂ければと存じます」
屋敷神はそう呟くと、商業ギルドの建物から迷宮にウエハスを引き摺り込んだ。
「なっ! お、お前は一体何なんだッ!」
「おや? 先ほど自己紹介をさせて頂いたと思っていたのですが……、仕方がありませんね。私は屋敷神。悠斗様に仕えさせて頂いている執事でございます。どうぞお見知りおきを……」
フェロー王国の新国王ノルマンは、書類に目を通すと財務大臣の目の前に放り投げる。
財務大臣は放り投げられて書類を拾い、指摘のあった個所に目を通すとこう呟いた。
「お言葉ながら陛下。この単価で間違いありません」
ノルマン新国王は、書類を片手に財務大臣を睨みつける。
「そんな訳がないだろう。先日と比較し単価が2倍になっているではないか!」
「は、はい。先日より物価が上昇しておりまして……そちらに記載されている単価が現在の単価となっております」
ノルマン新国王は舌打ちすると、サインの手を止め机を指でトントンと叩く。
「もうよい。下がれ」
「はっ。それでは失礼致します」
財務大臣が席を立ち、部屋から出ていく。
扉が閉まるのを確認したノルマン新国王は拳を机に強打する。
「物価の上昇に商業ギルド、そして魔法学園からのクレーム……。一体何がどうなっている! ウエハスの奴は何をしているんだ!」
ユートピア商会の土地を接収した日。王城に商業ギルドの新ギルドマスター、ウエハスを呼びつけユートピア商会の土地を接収した事を報告し、王都に他国の商会を招く様、依頼を出しておいた。
しかし、依頼を出してから1週間まったくといっていい程動きがない。それどころか王都の商会の一部からは、『いつ王の気紛れで土地を接収されるか分からない』と訳の分からない噂まで流されている始末。
ユートピア商会がこの王都である程度の影響力がある事は知っていたが、王都の物価に影響を与える程とは思わなかった。
「ええい! 流石にこれ以上は待てぬ! 直接商業ギルドに向かうぞ!」
「へ、陛下ッ! お待ち下さい!」
ノルマン新国王は、立ち上がると宰相の言葉を無視し、騎士3人を引き連れ商業ギルドに向かう事にした。
馬車に乗り込み、商業ギルドに向かう途中、街の景色を眺めていると所々に奇麗に整備された空白地帯が目立つ。
今空白地帯となっている場所。そのほとんどがユートピア商会傘下の商会の建物があった所だ。
「よもや傘下の商会まで店を畳んでユートピア商会に着いていくとはな……、まあいい。私が直接商業ギルドで交渉すれば何とかなるだろう」
十数分後、商業ギルドに辿り着いたノルマン新国王は、商業ギルドに入るや否や、近くにいた受付の女性に話しかけ、新ギルドマスターのウエハスを呼ぶよう指示をする。
すると、受付の女性から返ってきた返事は意外なものだった。
「ウエハスですか? 当ギルドのギルドマスターはミクロのままですが……」
「そんな訳がないだろう。先日、商業ギルドのギルドマスターはミクロからウエハスに代わった筈だ」
「いえ、当ギルドにウエハスという者は在籍しておりませんが……」
受付の女性の言葉にノルマン新国王は、頭を殴られたかの様な衝撃を受ける。
「ば、馬鹿な……。そんな筈は……。で、では税率はどうなる!」
「ぜ、税率でございますか?」
「ああ! 奴はユートピア商会を潰す事と引き換えに我々の決めた税率を彼奴の権限でこの王都にある商会に課税すると言ったのだ! ま、まさか商業ギルドともあろう組織が国との約束を反故にする訳ではあるまいな!」
受付の女性は申し訳なさそうな表情を浮かべる。
「申し訳ございません。その……ウエハス様でございますか? ウエハス様と何の約束をしたのか分かりかねますが、当ギルドのギルドマスターはミクロでございます。国との約束との事ですが、何か契約を結ばれたという事でしょうか?」
「ああっ、とうぜ……。」
ノルマン新国王は、ウエハスと口約束しかしていない事を思い出す。
「い、いや、契約書はない。しかし、ウエハスと約束をした事は確かなんだ!」
「申し訳ございません。契約書がない限り当ギルドでは、その契約の有無を確認する事ができません。」
「ふっ、ふざけるなァァァァ!」
ノルマン新国王が怒りのあまり叫び出すと、目の前の受付の女性に怒りをぶつけようとする。
「な、なりません! 陛下!」
騎士達はノルマン新国王を押さえ付けると、足速に商業ギルドを去って行く。
特に受付の女性には、怖い思いをさせてしまった。
「怖い思いをさせてしまい申し訳ない」
騎士の一人がそう受付の女性に呟くと、頭をペコリと下げ、商業ギルド横に付けられた馬車に戻っていった。
今のやり取りを商業ギルドで見ていたウエハスは静かに呟く。
「あーあっ、もうバレてしまいましたか……。ユートピア商会を潰す事も出来ましたし、王都にも経済的ダメージを与える事ができた。万々歳といった所でしょうか?」
するとウエハスの背後に屋敷神が顕れる。
「初めまして、ウエハス様。私、悠斗様に仕えております屋敷神と申します。今のお話、聞かせて頂きました。ぜひ我が主人の前でそのお話を聞かせて頂ければと存じます」
屋敷神はそう呟くと、商業ギルドの建物から迷宮にウエハスを引き摺り込んだ。
「なっ! お、お前は一体何なんだッ!」
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