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第八章 フェロー王国動乱編
(閑話) スラム出身の従業員達
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「お、おい。俺達こんな所に住んでいいのかよ……」
「だ、大丈夫だよな。俺達騙されている訳じゃあ……」
「何を言っているんだい! 悠斗様がそんな事をする訳ないだろう? 鎮守神様が言っていたじゃないか! 私等にくれた食料や万能薬は全て悠斗様が私達の力を求めての事だと!」
「だ、だがよ? なんで悠斗様は俺達を必要としてくれているんだ? 俺達の取り柄と言えば精々、腐った物かどうかを調べる事や病気になりにくい位のもんじゃねぇか!」
「いいんだよ! 悠斗様が私達の力を必要としているんだ! それに見て見なよ。この私達が住む家を……。これはとんでもないよ」
ユートピア商会エストゥロイ支部の従業員達が、これから住む自分達の家に視線を向ける。
ユートピア商会の従業員宿舎は、悠斗の住んでいた世界のマンションをモチーフにしている。
その為、一人暮らしであれば1LDK、家族で済むなら3LDKが普通となっている。
しかも、全室防音。
他にも、システムキッチンが設置され、トイレは水洗型となっている。
当然、全室家具設置済。服まで用意されている上、休日以外の朝昼、食事が支給される好待遇。
更に月の給料が白金貨3枚ときた。
採用が決まった時、子供を含めた従業員全員に白金貨3枚から5枚が支度金として支払われ時には、初めて触った白金貨3枚という大金に震え上がったものだ。
一度も使う事はなかったが、ボディーガード代わりに〔影精霊〕という精霊様が私達に付いている様で、有事の際にはその影精霊様が私達をお守りしてくれる。
まさに至れり尽くせり。
こんな職場、就いた事も聞いた事もない。
普通、スラム民というだけで、マトモな職に就かせてはくれない。しかし悠斗様は違う様だ。
「す、すげえ……。俺達、こんな部屋に住んでもいいのかよ……」
「俺、直ぐに家族を呼んで来る……。悠斗様は家族もこの家に住んでいいと言っていたからな」
「俺もだッ! ああ、本当に神は存在するんだな……。聖モンテ教なんて信じていなかったけど悠斗様なら信じられる……」
悠斗様は言っていた。
私達を含む身内やその他の者の身体に欠損や病気がある場合、直ぐに連れてくるようにと……。
初め俺達は、悠斗様を信じる事ができず反発したものだ。
確かに身体の欠損がある者や病気に蝕まれている者はスラムに多く存在する。
しかし、彼らは動けない。無理に連れ出したりしたら死んでしまう。
そう訴えかけると悠斗様は直ぐにスラムへと駆け付けてくれた。
そして我々は常識では測れない程の奇跡を目の当たりにする事になる。
信じられるか?
悠斗様が何処からともなく本を取り出したかと思うと、赤い甲冑を纏った天使様を呼び寄せ途端にスラムに蔓延る疫病や部位欠損等の大怪我を直してしまったんだ。
途中、悠斗様が呼び出した赤い甲冑を纏った天使様が迷宮がどうたらと呟いていたが、あれ程の力を行使するのだ。何か代償が必要だったに違いない。
話が逸れてしまった。
悠斗様がスラムで起こした事はそれだけに止まらない。
よくは分からなかったが、悪意のある者を除く仕事を希望する者全員にユートピア商会の仕事を斡旋すると言ってきた。ユートピア商会の給金はこの国のどの商会よりも高い。しかも福利厚生? というものまで設定されている。
しかし心配事もある。
明日より順次迷宮に入りレベル上げという名の実務研修が科されるらしい。
厳しい事だ。商会で働く者が迷宮で実務研修するなんて聞いた事がない。
初めての迷宮……。不安がないと言えば嘘になるが、悠斗様と一緒ならモンスターと戦った事のない俺達でもなんとかなるかも知れない。
聞いた所によると、悠斗様はSランク冒険者。
戦い方は非常に特殊で、影でモンスターを収納して止めを刺すらしい。
自分で言っていて何を言っているか理解できないが、とりあえず実務研修で行う事は3つ。
悠斗様がモンスターを一箇所に集め、そのモンスターを俺達が倒す。
モンスターを従業員全員に支給される収納指輪に収める。
そして次の階層迄走る。
ただそれだけの様だ。
本当にそんな簡単に事が進むのだろうか?
「お~い。何を考え込んでいるんだよ。今日は皆で飲みに行こうぜ!」
「ああ、採用祝いだ!」
「おいおい、俺達はユートピア商会の従業員なんだ。身なりをしっかり整えてから行こうぜ!」
俺の心配をよそに皆思い思いに喜び浮かれている。
考えすぎか……?
どうやらスラムでの暮らしが長かったお陰で、色々と悪い方向に考える癖がついてしまっているらしい。今まで生きる為に必死だったからな……。
実際、ユートピア商会に採用された事で俺の心も喜びに奮えている。
今まで頑張ってきたんだ。今日くらい仲間と共に酒に溺れても罰は当たるまい。
「おい。俺も混ぜてくれよ! いい酒飲みに行こうぜ」
「じゃあ、お前も風呂入って着替えて来いよ! 皆で行こうぜ!」
「ああ! 俺を置いて先に行くんじゃねーぞ!」
俺は風呂に入り、新品の服に着替えると金貨を握り仲間達と共に酒場へと繰り出した。
ユートピア商会の従業員はスラム出身者がメイン。今までの苦労が報われた気分だ。
今初めてスラムに住んでいて……。悠斗様と出会えて良かったと思っている。
「だ、大丈夫だよな。俺達騙されている訳じゃあ……」
「何を言っているんだい! 悠斗様がそんな事をする訳ないだろう? 鎮守神様が言っていたじゃないか! 私等にくれた食料や万能薬は全て悠斗様が私達の力を求めての事だと!」
「だ、だがよ? なんで悠斗様は俺達を必要としてくれているんだ? 俺達の取り柄と言えば精々、腐った物かどうかを調べる事や病気になりにくい位のもんじゃねぇか!」
「いいんだよ! 悠斗様が私達の力を必要としているんだ! それに見て見なよ。この私達が住む家を……。これはとんでもないよ」
ユートピア商会エストゥロイ支部の従業員達が、これから住む自分達の家に視線を向ける。
ユートピア商会の従業員宿舎は、悠斗の住んでいた世界のマンションをモチーフにしている。
その為、一人暮らしであれば1LDK、家族で済むなら3LDKが普通となっている。
しかも、全室防音。
他にも、システムキッチンが設置され、トイレは水洗型となっている。
当然、全室家具設置済。服まで用意されている上、休日以外の朝昼、食事が支給される好待遇。
更に月の給料が白金貨3枚ときた。
採用が決まった時、子供を含めた従業員全員に白金貨3枚から5枚が支度金として支払われ時には、初めて触った白金貨3枚という大金に震え上がったものだ。
一度も使う事はなかったが、ボディーガード代わりに〔影精霊〕という精霊様が私達に付いている様で、有事の際にはその影精霊様が私達をお守りしてくれる。
まさに至れり尽くせり。
こんな職場、就いた事も聞いた事もない。
普通、スラム民というだけで、マトモな職に就かせてはくれない。しかし悠斗様は違う様だ。
「す、すげえ……。俺達、こんな部屋に住んでもいいのかよ……」
「俺、直ぐに家族を呼んで来る……。悠斗様は家族もこの家に住んでいいと言っていたからな」
「俺もだッ! ああ、本当に神は存在するんだな……。聖モンテ教なんて信じていなかったけど悠斗様なら信じられる……」
悠斗様は言っていた。
私達を含む身内やその他の者の身体に欠損や病気がある場合、直ぐに連れてくるようにと……。
初め俺達は、悠斗様を信じる事ができず反発したものだ。
確かに身体の欠損がある者や病気に蝕まれている者はスラムに多く存在する。
しかし、彼らは動けない。無理に連れ出したりしたら死んでしまう。
そう訴えかけると悠斗様は直ぐにスラムへと駆け付けてくれた。
そして我々は常識では測れない程の奇跡を目の当たりにする事になる。
信じられるか?
悠斗様が何処からともなく本を取り出したかと思うと、赤い甲冑を纏った天使様を呼び寄せ途端にスラムに蔓延る疫病や部位欠損等の大怪我を直してしまったんだ。
途中、悠斗様が呼び出した赤い甲冑を纏った天使様が迷宮がどうたらと呟いていたが、あれ程の力を行使するのだ。何か代償が必要だったに違いない。
話が逸れてしまった。
悠斗様がスラムで起こした事はそれだけに止まらない。
よくは分からなかったが、悪意のある者を除く仕事を希望する者全員にユートピア商会の仕事を斡旋すると言ってきた。ユートピア商会の給金はこの国のどの商会よりも高い。しかも福利厚生? というものまで設定されている。
しかし心配事もある。
明日より順次迷宮に入りレベル上げという名の実務研修が科されるらしい。
厳しい事だ。商会で働く者が迷宮で実務研修するなんて聞いた事がない。
初めての迷宮……。不安がないと言えば嘘になるが、悠斗様と一緒ならモンスターと戦った事のない俺達でもなんとかなるかも知れない。
聞いた所によると、悠斗様はSランク冒険者。
戦い方は非常に特殊で、影でモンスターを収納して止めを刺すらしい。
自分で言っていて何を言っているか理解できないが、とりあえず実務研修で行う事は3つ。
悠斗様がモンスターを一箇所に集め、そのモンスターを俺達が倒す。
モンスターを従業員全員に支給される収納指輪に収める。
そして次の階層迄走る。
ただそれだけの様だ。
本当にそんな簡単に事が進むのだろうか?
「お~い。何を考え込んでいるんだよ。今日は皆で飲みに行こうぜ!」
「ああ、採用祝いだ!」
「おいおい、俺達はユートピア商会の従業員なんだ。身なりをしっかり整えてから行こうぜ!」
俺の心配をよそに皆思い思いに喜び浮かれている。
考えすぎか……?
どうやらスラムでの暮らしが長かったお陰で、色々と悪い方向に考える癖がついてしまっているらしい。今まで生きる為に必死だったからな……。
実際、ユートピア商会に採用された事で俺の心も喜びに奮えている。
今まで頑張ってきたんだ。今日くらい仲間と共に酒に溺れても罰は当たるまい。
「おい。俺も混ぜてくれよ! いい酒飲みに行こうぜ」
「じゃあ、お前も風呂入って着替えて来いよ! 皆で行こうぜ!」
「ああ! 俺を置いて先に行くんじゃねーぞ!」
俺は風呂に入り、新品の服に着替えると金貨を握り仲間達と共に酒場へと繰り出した。
ユートピア商会の従業員はスラム出身者がメイン。今までの苦労が報われた気分だ。
今初めてスラムに住んでいて……。悠斗様と出会えて良かったと思っている。
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