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第八章 フェロー王国動乱編
第245話 ドレークとの戦い①
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俺がヨルズルさんに視線を向けると、ヨルズルさんはドレークさんに聞こえない位の声で俺に話しかけてくる。
『ち、違うんですよ。ちょっと悠斗君にドレーク君の人物像を伝え忘れてしまったといいますか……。実はですね。ドレーク君、強者と戦いたがる戦闘狂といいますか……。そ、そんな感じの性格なのです。ドレーク君がSランク冒険者の悠斗君とはいつか戦ってみたいと言っていた事を失念しておりました。申し訳ございません』
『そういう事は早く言って下さいよ!』
廃坑調査から戻って来ないSランク冒険者を助ける為、廃坑調査を受けたのに地竜と戦う事になるわ崩落に巻き込まれるわ悪魔に襲われ挙句の果てにSランク冒険者のドレークさんに戦いを挑まれるわで散々である。
ドレークさんに視線を向けると、ドレークさんは口元を歪め笑っている。
廃坑内の薄暗さとドレークさんの風貌が相まって超怖い。
『ヨルズルさん! なんとかして下さいよ!』
『む、無理です。ドレーク君がああ言っている以上、戦いを避ける事は出来ないでしょう』
『なんでですか! 俺達は廃坑調査から戻って来ないドレークさんを探しに廃坑に来たんですよね! なのに何で保護対象のドレークさんと戦う羽目になるんですか! 意味わかんないじゃないですかー!』
俺が必死になってヨルズルさんに抗議していると、焦れたドレークさんが話しかけてくる。
「話はその位にしておきなさい。もう充分でしょう? さあ私に着いて来なさい。この奥に広い空洞があります」
ドレークさんは一方的にそう言い放つと、広い空洞へと続く道を歩き始める。
どうやらドレークさんと戦わない事には解放して貰えないらしい。というかヨルズルさんの弱腰な態度によりそんな空気になってしまった。
俺がヨルズルさんにジトーっとした視線を向けるも、目を逸らされる。
ヨルズルさんにはガッカリである。ギルドマスターたる者毅然とした態度でドレークさんを説得してほしかった。こんなんで冒険者ギルドのギルドマスターが勤まるのだろうか?
仕方がなくドレークさんに着いていくと、広い空洞に出た。辺りを見渡すとまるで地下神殿の様に11本の大きな柱が建っている。
「どうだい悠斗君。廃坑内の空間に整然と柱が立ち並ぶ様子は総観でしょう! 元Sランク冒険者と現Sランク冒険者が戦うに丁度いい舞台だとは思いませんか?」
確かに一種の荘厳さを感じるが、戦うに丁度いい舞台だとは全く思わない。
俺はバトルジャンキーでもなければ戦闘民族でもないのだ。
それにしてもドレークさんはこの廃坑の状況を理解しているのだろうか?
今、廃坑内は崩落の一途を辿っている。この空洞内は柱で補強しているからすぐに崩落する事はないとは思うけどそれも絶対ではない。
俺が考え事をしていると、またもやドレークさんが声をかけてくる。
「ふふふっ、沈黙は金雄弁は銀。私とのお喋りよりも早く戦いたくてウズウズしていると、そういう事ですか……。いいでしょう。私も君と戦う事を楽しみにしていました。さあ存分に死合いましょう!」
し、試合? いや、殺し合いか?
ちょっと考え事をしていただけなのに、何を勝手に盛り上がっているんだこの人?
国語能力の低いドレークさんの考えが理解できない。
「まずは小手調べです!」
ドレークさんはどこからともなく一振りの刀をを取り出すと地面に向かい振り下ろす。
すると、ドレークさんの持つ刀の刀身が消え、俺の肩に斬撃が走った。
「う、うわっ! 危ないじゃないですか!」
完全に油断していた。
物理・魔法攻撃を無効化する〔影纏〕を全身に纏っていなければ、腕一本を無くしていた所だ。
「おや? おかしいですね……。手応えがない? 確かに当たったと思ったのですが……?」
ドレークさんがその場で刀を振ると、肩や腰、足に再び斬撃が走る。
何をどうしたらこんな事ができるのか見当もつかない。
「ふむ。斬撃が全く通用しないとは、流石はSランク冒険者といった所でしょうか……。ですが、これならどうです!」
すると今度は、周囲の空間が歪み俺を囲う様に炎が吹き荒れる。
普通の人であれば火達磨になっている所だ。
炎の中からドレークさんに視線を向けると、物凄い笑顔を浮かべている。
火達磨になっている人を見て笑うとは……。
全くとんでもない相手と戦う羽目になってしまったものだ。
あっちがやる気なら仕方がない。
幸いな事に〔影纏〕がある以上、ドレークさんの攻撃は通じない。
「ふふふっ! 流石のSランク冒険者も全方位から焼かれてはどうしようもないみたいですねぇ! Sランク冒険者と聞いて期待していましたが、私にかかればこんなものです。君はよくやったほうですよ」
俺は炎吹き荒れるその場所からゆっくり出ると、ドレークさんに手を振る。そして、今から攻撃しますよ。とジェスチャーすると、人差し指をドレークさんに向けて〔影弾〕を連射した。
「なに? 何故そうも平然としていられるのですか! くっ! ま、間に合いません!」
炎の球の中から平然とした様子で出て来た事に驚いたのか、ドレークさんが素っ頓狂な声を上げた。
そして、突然の出来事に驚き回避が間に合わなかったのか、打ち放った〔影弾〕の全てが命中しドレークさんが崩れ落ちる。
『ち、違うんですよ。ちょっと悠斗君にドレーク君の人物像を伝え忘れてしまったといいますか……。実はですね。ドレーク君、強者と戦いたがる戦闘狂といいますか……。そ、そんな感じの性格なのです。ドレーク君がSランク冒険者の悠斗君とはいつか戦ってみたいと言っていた事を失念しておりました。申し訳ございません』
『そういう事は早く言って下さいよ!』
廃坑調査から戻って来ないSランク冒険者を助ける為、廃坑調査を受けたのに地竜と戦う事になるわ崩落に巻き込まれるわ悪魔に襲われ挙句の果てにSランク冒険者のドレークさんに戦いを挑まれるわで散々である。
ドレークさんに視線を向けると、ドレークさんは口元を歪め笑っている。
廃坑内の薄暗さとドレークさんの風貌が相まって超怖い。
『ヨルズルさん! なんとかして下さいよ!』
『む、無理です。ドレーク君がああ言っている以上、戦いを避ける事は出来ないでしょう』
『なんでですか! 俺達は廃坑調査から戻って来ないドレークさんを探しに廃坑に来たんですよね! なのに何で保護対象のドレークさんと戦う羽目になるんですか! 意味わかんないじゃないですかー!』
俺が必死になってヨルズルさんに抗議していると、焦れたドレークさんが話しかけてくる。
「話はその位にしておきなさい。もう充分でしょう? さあ私に着いて来なさい。この奥に広い空洞があります」
ドレークさんは一方的にそう言い放つと、広い空洞へと続く道を歩き始める。
どうやらドレークさんと戦わない事には解放して貰えないらしい。というかヨルズルさんの弱腰な態度によりそんな空気になってしまった。
俺がヨルズルさんにジトーっとした視線を向けるも、目を逸らされる。
ヨルズルさんにはガッカリである。ギルドマスターたる者毅然とした態度でドレークさんを説得してほしかった。こんなんで冒険者ギルドのギルドマスターが勤まるのだろうか?
仕方がなくドレークさんに着いていくと、広い空洞に出た。辺りを見渡すとまるで地下神殿の様に11本の大きな柱が建っている。
「どうだい悠斗君。廃坑内の空間に整然と柱が立ち並ぶ様子は総観でしょう! 元Sランク冒険者と現Sランク冒険者が戦うに丁度いい舞台だとは思いませんか?」
確かに一種の荘厳さを感じるが、戦うに丁度いい舞台だとは全く思わない。
俺はバトルジャンキーでもなければ戦闘民族でもないのだ。
それにしてもドレークさんはこの廃坑の状況を理解しているのだろうか?
今、廃坑内は崩落の一途を辿っている。この空洞内は柱で補強しているからすぐに崩落する事はないとは思うけどそれも絶対ではない。
俺が考え事をしていると、またもやドレークさんが声をかけてくる。
「ふふふっ、沈黙は金雄弁は銀。私とのお喋りよりも早く戦いたくてウズウズしていると、そういう事ですか……。いいでしょう。私も君と戦う事を楽しみにしていました。さあ存分に死合いましょう!」
し、試合? いや、殺し合いか?
ちょっと考え事をしていただけなのに、何を勝手に盛り上がっているんだこの人?
国語能力の低いドレークさんの考えが理解できない。
「まずは小手調べです!」
ドレークさんはどこからともなく一振りの刀をを取り出すと地面に向かい振り下ろす。
すると、ドレークさんの持つ刀の刀身が消え、俺の肩に斬撃が走った。
「う、うわっ! 危ないじゃないですか!」
完全に油断していた。
物理・魔法攻撃を無効化する〔影纏〕を全身に纏っていなければ、腕一本を無くしていた所だ。
「おや? おかしいですね……。手応えがない? 確かに当たったと思ったのですが……?」
ドレークさんがその場で刀を振ると、肩や腰、足に再び斬撃が走る。
何をどうしたらこんな事ができるのか見当もつかない。
「ふむ。斬撃が全く通用しないとは、流石はSランク冒険者といった所でしょうか……。ですが、これならどうです!」
すると今度は、周囲の空間が歪み俺を囲う様に炎が吹き荒れる。
普通の人であれば火達磨になっている所だ。
炎の中からドレークさんに視線を向けると、物凄い笑顔を浮かべている。
火達磨になっている人を見て笑うとは……。
全くとんでもない相手と戦う羽目になってしまったものだ。
あっちがやる気なら仕方がない。
幸いな事に〔影纏〕がある以上、ドレークさんの攻撃は通じない。
「ふふふっ! 流石のSランク冒険者も全方位から焼かれてはどうしようもないみたいですねぇ! Sランク冒険者と聞いて期待していましたが、私にかかればこんなものです。君はよくやったほうですよ」
俺は炎吹き荒れるその場所からゆっくり出ると、ドレークさんに手を振る。そして、今から攻撃しますよ。とジェスチャーすると、人差し指をドレークさんに向けて〔影弾〕を連射した。
「なに? 何故そうも平然としていられるのですか! くっ! ま、間に合いません!」
炎の球の中から平然とした様子で出て来た事に驚いたのか、ドレークさんが素っ頓狂な声を上げた。
そして、突然の出来事に驚き回避が間に合わなかったのか、打ち放った〔影弾〕の全てが命中しドレークさんが崩れ落ちる。
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