転異世界のアウトサイダー 神達が仲間なので、最強です

びーぜろ

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第八章 フェロー王国動乱編

第273話 転移門①

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 ゴタさんを見送った俺は、廃坑内にある金庫の回収を鎮守神とドレーク人形に任せると、その日はもう休む事にした。

 翌朝、俺はドレーク人形が金庫を回収してくるまでの間、邸宅内にある迷宮で屋敷神と土地神の力を借り、ある魔道具を作成していた。
 その魔道具は、〔影転移〕と屋敷神がいつの間にか迷宮内で作っていた魔法学園へと繋がる扉をヒントに作成しているのだが、中々上手くいかない。

「中々うまくいかないね……」
「そうですね。悠斗様のユニークスキル〔影魔法〕の派生スキル〔影転移〕を〔付与のブレスレット〕でドアに付与した迄はよかったのですが……。一体何故でしょうか?」

 俺達が今何を作っているのか。
 それは、離れた場所と離れた場所を繫ぐ〔転移門〕の作成である。

 しかし、中々上手くいかない。
 〔影転移〕を〔付与のブレスレット〕でドアに付与した迄はよかったが、ドアを開けても、開ける際にドアノブに魔力を込めて見ても全く反応しなかった。
 一体、何故だろう……?

 〔影精霊〕を付与した時は大丈夫だったのに……。

 俺は「ステータスオープン」と呟くと、ユニークスキル〔影魔法〕に鑑定をかけた。

 --------------------------------------
 ユニークスキル:影魔法
 全ての影を十全に操る事ができる。
 使用する事のできるスキル以外にも、イメージ次第で影に関するスキルを作成できる。

【使用する事のできるスキル】
 ・影弾(バレット):影でできた弾を放つ。威力・飛距離は調整可能。
 ・影槍(ランス):影でできた槍を放つ。又は、作る。長さは調整可能。
 ・影刃(ブレード):影でできた刃を放つ。又は、作る。長さは調整可能。
 ・影盾(シールド):影でできた盾を作る。大きさは調整可能。
 ・影収納(ストレージ):影の中にモノを収納する。容量はなく、生き物も収納可能。時間経過あり。
 ・影潜(ハイド):影の中に潜むことができる。
 ・影探知(サーチ):影を薄く延ばし、影の上に乗っているモノの情報を探る。
 ・影纏(ウェア):影を身に纏う。纏っている間、物理、魔法無効。
 ・影移動/転移(トランゼッション):影の中を移動する。又は、影から影へ転移する。
 ・影縛(バインド):影で対象を縛り動けなくする。対象を影の形通りに動かす。
 ・影精霊(スピリット):影の精霊を召喚する。
 ・影分身(アバター):影で自らと同じ能力を持つ分身を作る。
 --------------------------------------

【使用する事のできるスキル】にある〔影転移〕の説明を見てみると、影の中を移動する。又は、影から影へ転移するスキルである事がわかる。

 影から影へ転移するスキル……か。
 これまで何度も使ってきた筈のスキルなのに、使い方についてこんなにも難しく考える日が来るとは思いもしなかった。

 試しに〔影転移〕で今いる場所から、数メートル離れた場所に転移してみる。
 しかし、〔影転移〕を普通に発動する事ができた。
 一体何が悪いんだろう?

「悠斗様。私達に〔影転移〕の説明をして頂けませんか?」

 すると、そんな事を屋敷神と土地神が言ってくる。
 言われてみれば、屋敷神と土地神に〔影転移〕の説明を漠然としかしていなかった。

「〔鑑定〕によると〔影転移〕は、影の中を移動する。又は、影から影へ転移するスキルみたい」

「影から影へ転移するスキルですか……」

【使用する事のできるスキル】に書いてある〔影転移〕の説明をすると土地神が何かを思いついた様だ。
 土地神は〔土属性魔法〕で二つの建物を建てていく。
 そして、土地神はその建物の外と中にドアを取り付けると話しかけてきた。

「悠斗様、試しに今建てた建物の中にあるドアに〔影転移〕を付与して頂けますでしょうか?」

 建物の中にあるドアにだけ〔影転移〕を?

「うん。わかった」

 俺はそう返事をすると、〔影転移〕を付与する為、建物の中に入っていく。

「あれっ?」

 建物の中に灯りはなく真っ暗だった。
 建物の真ん中にはドアが設置してある。

 このドアに〔影転移〕を付与すればいいのだろうか?

 取り敢えず、建物の真ん中に設置してあるドアに〔影転移〕を付与すると、もう一つの建物の中にあるドアにも〔影転移〕を付与していく。

「土地神。ドアに〔影転移〕を付与したけど、これでいいの?」
「はい。ありがとうございます。それでは、早速試してみましょう」

 土地神はそう言うと、片方の建物の中に消えていく。
 そして十数秒後、もう片方の建物のドアが開き、土地神が出てきた。

 側から見ると、瞬間移動のマジックでも見せられている様だ。まあ、似た様なものなんだけど……。

 しかし、土地神が入っていった建物とは別の建物から出てきたという事は……。

「どうやら成功したみたいですね」

 どうやら成功したらしい。
 それにしても、何故、成功したのだろう?
 不思議だ。

「ねえ、土地神。今のどうやったの?」

 土地神に問いかけると、建物のドアを閉めこちらに戻ってきた。

「特別な事はしておりません。悠斗様の説明によれば、〔影転移〕は影から影へと転移するユニークスキル。私は〔影転移〕を付与したドアを暗闇の中に置きドアを開けただけです」

「なるほど……」

 まさに、影から影への転移。
 先程のドアは明るい場所に置いていたから、効果を発揮しなかった様だ。
 しかし、疑問も湧いてくる。

「じゃあ、なんで土地神は二つのドアに〔影転移〕を付与しようと思ったの? 暗闇の中にドアを設置するだけでよければ一つでも良かったんじゃない?」

 俺がそう言うと、土地神は首を振る。

「建物の中で別の場所に転移しようと試してみましたが、思う様に転移する事ができませんでした。恐らく、付与のブレスレットではユニークスキルを完全には付与しきれていないのではないでしょうか?」

 完全に付与しきれていないか……。
 なるほど、言われてみれば、そうかもしれない。

 例えば〔影精霊〕一つを取ってしてもそうだ。
 俺が使う〔影精霊〕とアイテムに付与した場合の〔影精霊〕とでは明確に強さが異なる。

 俺はそれを〔影精霊〕を付与したアイテム使用者の魔力が足りていない為と考えていたが、どうやらそうではないらしい。

 〔影精霊〕や〔影転移〕は、ユニークスキル〔影魔法〕の派生スキル、もしかしたら〔影魔法〕を持っていないと、使いこなす事ができないのかもしれない。

 そうだとすれば、土地神は何故、〔影転移〕する事ができたのだろうか?
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