転異世界のアウトサイダー 神達が仲間なので、最強です

びーぜろ

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第八章 フェロー王国動乱編

第278話 領主様との話し合い④

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 娘さんを助けたの、どう考えてもドレーク人形だよね?

 ドレーク人形は廃坑に金庫の回収に向かっていた筈……。
 恐らくその時、ドレーク人形は娘さんを攫った盗賊と鉢合ったのだろう。

 うーん。どうしたものか……。
 正直、その位の人形であれば作れる。
 というより、既にユートピア商会で売っている。
 ただ、ロイ様の娘さんが欲しいという人形のレベル感が分からない。

 もしドレーク人形と出会い、助けて貰ったとしたら娘さんはそのクオリティの人形を求める筈……。
 よし。ここは諦めて貰おう。

 俺はロイ様に視線を向けると、毅然とした態度でお断りの言葉を告げ様とする。

「申し訳ございません。当商会で扱っているのは普通の人形だけでして……」

 すると、ロイ様は目を血走らせ、テーブルに両手と額を付けた。

「悠斗君……。この通りだ。私だってこんな奇怪な人形は欲しくない。私はただ愛娘の喜ぶ顔が見たいだけなんだよ……」

 娘さんの為にこんな奇特な人形を求めるとは……。どうかしている。
 とはいえ、エストゥロイ領の領主であるロイ様に頭を下げられては仕方がない。
 考え様によっては良い機会だ。

「ロイ様。頭を上げて下さい。分かりました。人形の作成、お引き受け致します……」

 俺がそう言うと、ロイ様はガバリと顔を上げた。

「ほ、本当か! ありがとう。ありがとう!」
「ただし、商会にある人形にドレークメイクを施すだけです。それ以上は望まない様にして下さい」
「ああ、勿論だ! 娘にもそう言っておこう」
「それでしたら、人形ができ次第、こちらにお持ちします」

 そう言うと、ロイ様が笑顔を浮かべる。

「ありがとう悠斗君! 無茶なお願いばかりしてすまないね。さて、ここからは真面目な話をしよう」

 ロイ様は表情を落ち着かせると、ティーカップを片手にハーブティーを一口飲む。そして、ティーカップを置くと立ち上がり、俺に向かって頭を下げた。

「まずは、フェロー王国を治める領主の一人として、陛下がユートピア商会に行った土地接収の件を謝りたい。申し訳なかった」

 俺はポリポリと頬をかくと、頭を下げているロイ様に呟いた。

「ロイ様、頭を上げて下さい。今回の土地接収の件、確かに思う所はありますが、もう別に何とも思っておりません。
 陛下が退位し、王弟殿下が国王になれば接収された土地は戻ってきますし、土地接収の直接的な原因もフェロー王国ではなくオーランド王国の女王様が万能薬の供給元を潰す為に行った事の様です。
 それに、土地接収の件は従業員達の羽を伸ばす良い機会になりました。陛下が退位し、王弟殿下が国王になる事がほぼ確定している以上、俺から何かをする事もありません」

 ロイ様は頭を上げると、ホッとした表情を浮かべる。

「そ、そうか……。君の口からその言葉を聞く事ができて安心したよ」

 えっ? 今話した中に何か安心する要素があっただろうか?
 それにオーランド王国の女王様が裏から手を回していた事については何とも思わないのだろうか?

「いやなに、部下から散々脅かされていてね。君にちょっかいを出したものは悉く破滅に向かうと聞いたものだからね……」

 ああ、ゴタさんもそんな事を言っていた様な気がする。
 全く、誰がそんな根も葉もない噂を流したのだろうか?

「ロイ様はそんな事を気にされていたのですか? 俺にちょっかいを出した人が悉く破滅に向かうなんて、そんな事、ある筈がないじゃないですか……」

 俺はそこまで言って口を閉ざした。

 よく考えてみたら、俺にちょっかいを出したマデイラ王国とアゾレス王国は破滅に向かって一直線だった様な気がする。
 いや、しかしあれは俺というよりも、ロキとカマエルによって大変な事になった訳で、俺にちょっかいを出したから破滅に向かった訳では……ま、まあいいか。

 いや、きっと俺の考え過ぎだろう。
 すると、ロイ様はがクスリと笑う。

「ふふっ、確かに。どうやら私の考え過ぎだった様だね。いや、すまない。変な事を言ったな」

 ロイ様はそう言ってソファーに座ると、ハーブティーを口にした。
 そしてティーカップをテーブルに置くと、こちらに視線を向けてくる。

「とはいえ、土地接収の件を謝りたかったのは本心だよ。それほどの事を陛下はしてしまったのだからね。まさかその裏にオーランド王国の女王が絡んでいるとは思いもしなかったが……」

「いえ、本当に気にしないで下さい。王弟殿下が国王になれば、接収された土地は返ってきますし、ヴォーアル迷宮の攻略許可も貰えます。エストゥロイ領に支店を出店する事もできましたし、働き詰めだった王都の従業員達にいい休日を与える事もできました。今となっては感謝している位ですよ」

 俺がそう言うと、ロイ様は苦笑いを浮かべた。

「そ、そうかい? (ま、まあその結果、王都は壊滅的な被害を被り、陛下は側近共々その地位を追われる訳なんだけど……。まあ、自業自得か……)それは良かったよ」

「それで本日はその話をする為に呼んだんですか?」
「い、いや、そう言う訳じゃない……」

 ロイ様がそこまで口にすると、ギルドマスター室の扉が開かれゴタさんが入ってきた。
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