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第九章 商人連合国アキンド編
第314話 ヴォーアル迷宮攻略⑨
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「うわ~久しぶりの草原フィールドだっ!」
「本当だねぇ♪」
ヴォーアル迷宮第73階層は草原フィールドだった。
第65階層から第70階層迄が墓地フィールドで、第71階層が雲の上、第72階層が塩湖とくれば、第73階層もまた奇怪なフィールドなんだろうなと諦めていたけど、これは嬉しい誤算だ。
草原フィールドならアンデッドモンスターもいないし、人形もいない。
どうやって次の階層に向かうか迷う必要もない。
何せ、次の階層へ向かう為の階段が既に向こう側の丘に見えているのだから。
「いや、草原フィールドに来ると何故か安心するな」
「全くだよ。あっ、あんな所にゴブリンキングがいる!」
「あそこにはオークキングがいるみたいだよ~♪」
「おっ、あそこにはコボルトキングがいるようだ」
見渡す限り雑魚モンスターしかいない。
怖いモンスターに怯えながら攻略するよりも、とても安全だ。
いざとなれば、影収納にしまってしまえばいい。
「それじゃあ、ここにいるモンスターを全部〔影収納〕にしまっちゃうね!」
「うんうん♪ 悠斗様に元気が戻ってきた様で良かったよ~♪」
「全くだ。はしゃぎ過ぎてケガをしない様に気をつけるんだぞ!」
「うん! もちろんだよ」
俺は影を薄く延ばし〔影探知〕で草原フィールドにいるモンスターを捕捉すると、酸素のない〔影収納〕にキングゴブリン達を沈めていく。
そしてもう一度、〔影探知〕を走らせると、俺は満足気な表情を浮かべる。
「終わったよ。それじゃあ、次の階層に向おうか!」
「もう終わったの!?」
「うん。皆、影収納の中にしまったよ」
やはり迷宮攻略はこうでないと、もういっそ、第1階層から第80階層まで全て草原フィールドならいいのに……。
それだったら早く迷宮を踏破する事ができるのに勿体ない。
そう思いながら、道なりに進んでいくと第74階層へと続く階段が見えてきた。
第74階層も草原フィールドの様だ。
そこから先は速かった。
何せ第73階層から第79階層の全てが草原フィールドだったのだ。
〔影探知〕と〔影収納〕さえあれば、攻略は簡単だ。
何せ敵モンスターを〔影探知〕で探して〔影収納〕にしまうだけで危険なく迷宮を攻略する事ができる。
お陰で俺はホクホク顔のまま、第80階層のボス部屋の目の前に辿り着く事ができた。
「ここがヴォーアル迷宮第80階層のボス部屋か……」
ヴォーアル迷宮第80階層のボス部屋の扉は、最終フロアの扉に相応しく、まるでロダンの地獄の門のような風貌の扉だった。
というより、マデイラ大迷宮の第50階層にあった門に凄く似ている。
俺は〔影纏〕を発動し、影を全身に纏うとカマエルさんを先頭に第80階層のボス部屋の扉に手をかけた。全員、ボス部屋の中に入ると背後の扉が轟音をたてて自然に閉まる。
「さて、何が出るかな?」
「楽しみだね~♪ ここのボスモンスターを倒せば、王都は悠斗様の手に堕ちたも同然♪ この国の上層部がそれを知ったらどうするかな? 楽しみだね♪」
「いや、言わなくていいからね? っていうか絶対に言わないでよ?」
「いやだな~♪ 冗談に決まっているじゃん♪」
ロキさんの冗談は分かりにくい。
本気で実行しかねないから怖い。
「よし、では行くぞ」
「うん」
ヴォーアル迷宮第80階層のボス部屋は、広いドーム状の部屋だった。
ゆっくり歩いて部屋の中に入っていくと、部屋の中央には今まで見たことのないような大きさの魔法陣が描かれており、魔法陣が赤く輝きだしたかと思うと、そこにはまるで鴉の様な一対の黒鳥の姿があった。
咄嗟に〔鑑定〕してみると、それぞれ『フギン』『ムニン』という神鳥の様だ。
何故、神鳥がヴォーアル迷宮ラストフロアのボスモンスターに?
そんな事を考えていると、ロキさんが少し焦った表情を浮かべながら呟く。
「あ、あれはフギンとムニン……なんでこんな所に……」
「ロキさん。あのボスモンスターの事を知っているの?」
「う、うん。今のボク達にとって最悪の神鳥だよ。あの一対の神鳥はそれぞれ、『思考』と『記憶』を司っているのさ……早く倒さないと大変な事が起こるかもしれない……」
珍しい。ロキさんが真面目に話してる。
あのロキさんがそう言うからには、相当危険なボスモンスターなのだろう。
すると、カマエルさんが〔天ノ軍勢〕で能天使を呼び出し始める。
「カ、カマエルさん?」
「悠斗様は下がって! 決して、フギンとムニンには触れない様に……行けっ! 天使達よっ!」
カマエルさんがそう命令すると、〔天ノ軍勢〕で召喚した百を超える天使達が、第80階層のボスモンスター、フギンとムニンに殺到する。しかし、フギンとムニンは天使達の猛攻を軽くいなすと、翼をはためかせ何故か俺の肩へと降り立った。
「えっ?」
「ダ、ダメ~! 悠斗様っ! そいつを、ムニンだけでも今すぐ倒してっ!」
ロキさんがそう叫ぶ様に言うと『思考』を司るフギンがカマエルさんとロキさんの行動を止め、『記憶』を司るムニンが俺の頭を軽く突いてきた。
「本当だねぇ♪」
ヴォーアル迷宮第73階層は草原フィールドだった。
第65階層から第70階層迄が墓地フィールドで、第71階層が雲の上、第72階層が塩湖とくれば、第73階層もまた奇怪なフィールドなんだろうなと諦めていたけど、これは嬉しい誤算だ。
草原フィールドならアンデッドモンスターもいないし、人形もいない。
どうやって次の階層に向かうか迷う必要もない。
何せ、次の階層へ向かう為の階段が既に向こう側の丘に見えているのだから。
「いや、草原フィールドに来ると何故か安心するな」
「全くだよ。あっ、あんな所にゴブリンキングがいる!」
「あそこにはオークキングがいるみたいだよ~♪」
「おっ、あそこにはコボルトキングがいるようだ」
見渡す限り雑魚モンスターしかいない。
怖いモンスターに怯えながら攻略するよりも、とても安全だ。
いざとなれば、影収納にしまってしまえばいい。
「それじゃあ、ここにいるモンスターを全部〔影収納〕にしまっちゃうね!」
「うんうん♪ 悠斗様に元気が戻ってきた様で良かったよ~♪」
「全くだ。はしゃぎ過ぎてケガをしない様に気をつけるんだぞ!」
「うん! もちろんだよ」
俺は影を薄く延ばし〔影探知〕で草原フィールドにいるモンスターを捕捉すると、酸素のない〔影収納〕にキングゴブリン達を沈めていく。
そしてもう一度、〔影探知〕を走らせると、俺は満足気な表情を浮かべる。
「終わったよ。それじゃあ、次の階層に向おうか!」
「もう終わったの!?」
「うん。皆、影収納の中にしまったよ」
やはり迷宮攻略はこうでないと、もういっそ、第1階層から第80階層まで全て草原フィールドならいいのに……。
それだったら早く迷宮を踏破する事ができるのに勿体ない。
そう思いながら、道なりに進んでいくと第74階層へと続く階段が見えてきた。
第74階層も草原フィールドの様だ。
そこから先は速かった。
何せ第73階層から第79階層の全てが草原フィールドだったのだ。
〔影探知〕と〔影収納〕さえあれば、攻略は簡単だ。
何せ敵モンスターを〔影探知〕で探して〔影収納〕にしまうだけで危険なく迷宮を攻略する事ができる。
お陰で俺はホクホク顔のまま、第80階層のボス部屋の目の前に辿り着く事ができた。
「ここがヴォーアル迷宮第80階層のボス部屋か……」
ヴォーアル迷宮第80階層のボス部屋の扉は、最終フロアの扉に相応しく、まるでロダンの地獄の門のような風貌の扉だった。
というより、マデイラ大迷宮の第50階層にあった門に凄く似ている。
俺は〔影纏〕を発動し、影を全身に纏うとカマエルさんを先頭に第80階層のボス部屋の扉に手をかけた。全員、ボス部屋の中に入ると背後の扉が轟音をたてて自然に閉まる。
「さて、何が出るかな?」
「楽しみだね~♪ ここのボスモンスターを倒せば、王都は悠斗様の手に堕ちたも同然♪ この国の上層部がそれを知ったらどうするかな? 楽しみだね♪」
「いや、言わなくていいからね? っていうか絶対に言わないでよ?」
「いやだな~♪ 冗談に決まっているじゃん♪」
ロキさんの冗談は分かりにくい。
本気で実行しかねないから怖い。
「よし、では行くぞ」
「うん」
ヴォーアル迷宮第80階層のボス部屋は、広いドーム状の部屋だった。
ゆっくり歩いて部屋の中に入っていくと、部屋の中央には今まで見たことのないような大きさの魔法陣が描かれており、魔法陣が赤く輝きだしたかと思うと、そこにはまるで鴉の様な一対の黒鳥の姿があった。
咄嗟に〔鑑定〕してみると、それぞれ『フギン』『ムニン』という神鳥の様だ。
何故、神鳥がヴォーアル迷宮ラストフロアのボスモンスターに?
そんな事を考えていると、ロキさんが少し焦った表情を浮かべながら呟く。
「あ、あれはフギンとムニン……なんでこんな所に……」
「ロキさん。あのボスモンスターの事を知っているの?」
「う、うん。今のボク達にとって最悪の神鳥だよ。あの一対の神鳥はそれぞれ、『思考』と『記憶』を司っているのさ……早く倒さないと大変な事が起こるかもしれない……」
珍しい。ロキさんが真面目に話してる。
あのロキさんがそう言うからには、相当危険なボスモンスターなのだろう。
すると、カマエルさんが〔天ノ軍勢〕で能天使を呼び出し始める。
「カ、カマエルさん?」
「悠斗様は下がって! 決して、フギンとムニンには触れない様に……行けっ! 天使達よっ!」
カマエルさんがそう命令すると、〔天ノ軍勢〕で召喚した百を超える天使達が、第80階層のボスモンスター、フギンとムニンに殺到する。しかし、フギンとムニンは天使達の猛攻を軽くいなすと、翼をはためかせ何故か俺の肩へと降り立った。
「えっ?」
「ダ、ダメ~! 悠斗様っ! そいつを、ムニンだけでも今すぐ倒してっ!」
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