転異世界のアウトサイダー 神達が仲間なので、最強です

びーぜろ

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第九章 商人連合国アキンド編

第339話 奴隷の首輪①

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 一部の人間を残し、バルト商会の従業員達を人形化させた私は、早速、人形達にこの建物の掃除を、そして一部の人形達は商人連合国アキンドに拠点を持ち、評議員選挙の為、アキンドに来訪中のトゥルクの監視に向かわせる。

「さて、次に……」

 私はバルトと悠斗様が捕らえた人間共に視線を向けると、悠斗様より頂いた収納指輪から『奴隷の首輪』を取り出した。

『奴隷の首輪』を取り出すと、人間共が怯えた表情を浮かべる。
 これから待ち受ける自分の人生を悲観しているのだろう。

 しかし、悠斗様の敵となれば、こうなる事は仕方のない事だ。
 寧ろ、無為に過ごしてきた人生のこれから先を悠斗様の為に捧げる事ができるのだ。感謝して欲しい。

 なんなら人間から人形に成る事もできる。
 半永久的な命を手に入れる事はどんな富豪であろうとも容易に叶える事ができる願いではない。

 人間としての生を終え、新たに半永久的な命を持つ人形に生まれ変わる事は、この人間達にとって罰とは程遠い、ご褒美と言っても過言ではない。

 これからこの人間共は、悠斗様に対して文字通り滅私奉公に生きる事になる。
 そんなにも悲観に暮れる事ではない。

 怯える人間共に『奴隷の首輪』を着けると、私は人間共に向かって話しかける。

「さて、ご存知の通り皆様の首に嵌めたのは『奴隷の首輪』です。その『奴隷の首輪』は特別性で、他の人からは奴隷の首輪に見えない様、デザインを変えております」

 人形と違い人間として彼等を扱う場合、THE首輪、といった形状の奴隷の首輪では、色々と不都合がある。
 その為、人間として使う場合には、奴隷の首輪としての機能はそのままに、形だけをアクセサリーの様な形状に変えたチョーカーの様なものを着けさせる様に決めていた。

「それにしても……」

 だが、いざ着けさせて見るとなんともいえない感覚に襲われる。
 何というか、無骨で強面の人間にチョーカーが似合わないのだ。

「デザインを間違えましたかね? やはり変更しますか……」

 何というか、こういった武骨な人間には骸骨をあしらったデザインのチョーカーの方がまだ似合う気がする。
 私は『奴隷の首輪』を髑髏をあしらったデザインのチョーカーに変えると、コホンと息を吐き、改めて怯える人間共に視線を向けた。

「改めまして、お分かりになる様に、あなた方の首に取り付けた『奴隷の首輪』は特別性の首輪となっております。見た目はただのアクセサリーの様に見えますが、その『奴隷の首輪』は迷宮壁を素材としている為、通常の方法では外す事はほぼ不可能です。ここまでで、何か質問はありますか?」

 私がそう言うと、バルトが怯えながら手を上げる。

「ひ、一つだけ質問があります。万が一、もし万が一、これを壊してしまった場合や命令に背いた場合、わ、私達は一体どうなるのでしょうか?」

「ふむ。素材に迷宮壁を使っているので、まず壊れる事はありません。と、言いたい所ですが、迷宮壁の耐久度を超えた攻撃をされた場合、確かに壊れる可能性がございます。しかし、その事を心配する必要はないでしょう。そんな攻撃をその首輪が受ける時はあなたの首ごと首輪が壊れているでしょうから……」
「そ、そうですね……」

 私がそう言うと、バルトは苦笑いを浮かべる。

「それに首輪を外そうとして何かをしようとしても無駄な事です。それは命令に背いた行動を取ったとしても同じ事……」
「えっ、そ、それは一体……」

 折角、本人達が『奴隷の首輪』の効果を気にしているのだ。どの道、『奴隷の首輪』の効果を身をもって体感させる予定だったし、今それをやっても問題ないだろう。

 私は収納指輪から万能薬を取り出すと、側にあるテーブルに置いていく。

「折角なので『奴隷の首輪』の効果をあなた方に見せて差し上げましょう。私に対して殴りかかってきて下さい。勿論、私は何も致しません」
「えっ? よろしいんですか?」
「当然です。遠慮は入りません。私に殴りかかろうとする事も今だけは不問と致しましょう」

 私がそう言うと人間共は互いに顔を見合わせる。
 そして、何かを決心したかの様な表情を浮かべると、私を取り囲み一斉に殴りかかってきた。

「「し、死ねやぁぁぁぁ!」」
「お願いです! 死んで下さい!」

「なる程、あなた方の気持ちはよく分かりました。やはり矯正は必要ですね」

 そう呟きながら、今後の矯正プランを考える。
 そして、彼等の拳が私に当たりそうになるや否や、突然、彼等の首に嵌められたチョーカー型の『奴隷の首輪』が首を絞め出し、彼等は苦しそうな声を上げた。

「「「ぐうっ!」」」

 しかし、この『奴隷の首輪』は特別性。
 当然、首が絞まるだけに留まらない。
 バルト達の首を締め上げている『奴隷の首輪』が真っ黒に染まると、首輪から百体の影精霊が飛び出してくる。
 そして、一人一人を覆うと、首を絞められ苦しむバルト達に向かって一斉に殴打し始めた。

 打撲音とかすれた悲鳴だけが部屋の中に木霊する。

 影精霊が顕現してから一分間経過すると、殴打により見るも無残な状態となったバルト達を残し、影精霊は『奴隷の首輪』の中に戻っていく。

「な、殴りかかっても不問にするって言ったのに……」
「いえ、私は殴りかかろうとする事を不問にすると言ったのです。そんな事は言っておりません」

 私がそう言うと、バルト達はそのまま気絶してしまった。
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