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第九章 商人連合国アキンド編
第346話 ロキと紙祖神のカジノ⑥
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「またボクの勝ちだね♪」
ライシオに聞こえる様そう呟くとライシオはディーラーとボクのカードを交互に見ては、話が違うといった表情を浮かべている。
まあ信じたくない気持ちはよく分かる。
しかしこれが現実だ。
今まで、常勝無敗の人生を送っていたとか、商人連合国アキンドの評議員で偉い立場にいる事は、もはや関係ない。
全てを賭けた勝負に負けた。
ここにいるのは、二度ポーカーに負け全てを失ったギャンブラーの成れの果て。
「……う、嘘だっ! 私が負ける筈がない! 負ける筈なかったんだっ! だ、だって私は、な、なんで、どうしてっ……」
ライシオはそう声を上げると、泣きそうな表情でディーラーを睨みつける。
「だ、だって私はっ! 私はそのディーラーに……」
『そのディーラーにイカサマをする様に指示していたんだよね? 残念だったね。普通の人が相手なら勝つ事ができたかも知れないけど、ボクは普通じゃないから♪』
ボクがライシオの耳に顔を近づけ、話を被せる様にそう言うと、ライシオはビクリと身体を震わせた。
『それにね。これは元々、こうなる運命だったんだ。トゥルクとフィンが悠斗様にちょっかいを出した時点で、君の運命は決まっていたんだよ』
「な、何の事だっ! 何を言っているっ!」
「それ位、自分の頭で考えなよ。今回は相手が悪かったね♪ まあ次は無いんだけど、来世でこの教訓を活かす事ができるといいね♪ あっ、きたきた」
ボクがそう言うと、ディーラーが『奴隷の首輪』を持ってやってきた。
「君お待ちかねの『奴隷の首輪』だよ? 自分からディーラーに言って、持って来させるなんて、そんなにボクの奴隷になりたかったの? 気持ちが悪いなぁ~♪ でも安心して、そんな君でもボク達が有用に上手く扱ってあげるからね。長く使う道具は大切に使わないといけないからさ♪」
そうライシオに向かって囁くと、ディーラーから『奴隷の首輪』を受け取り、ライシオの首に『奴隷の首輪』を着ける。そして、普通の方法では二度と外れぬ様、鍵穴を圧着した。
『奴隷の首輪』をライシオの首に嵌めると、ライシオは気が触れたかの様に笑い出す。
「ふ、ふふふっ……ふははははっ! この私が奴隷? この私が奴隷かっ!」
「急にどうしたの? 気が触れたかの様に笑い出して?」
情緒が不安定過ぎて気持ちが悪い。
一体、何を考えているのだろうか?
「これが笑わずにいられるものかっ、ディーラーを抱え込んでいるにも関わらず、まさか二度連続でポーカーに負け、奴隷の首輪まで着けられてしまうとは思わなかったよ。参った、参った私の負けだ。なあ、ディーラー? ここの所、ここでは稼がせて貰ったからね。これも君なりのユーモアなのだろう? 白金貨五十万枚も用意して、すっかり騙されたよ」
そう言いながらライシオは『奴隷の首輪』に手をかける。
「おや、奴隷の首輪が外れない様だが……まさか本物じゃないだろうね? さあ、サッサとこれを外したまえ」
どうやら、本気でユーモアだと思っているらしい。
「君って本当にめでたい頭をしているんだね♪」
ボクがそう言うと『奴隷の首輪』を嵌めたライシオが睨みつけてきた。
「もしかして、今の言葉、私に向かって言ったのかい?」
「うん? 今の言葉が聞こえなかったの?」
この人の耳、大丈夫だろうか?
どうやらディーラーの甘言ばかりを聞いておかしくなってしまったらしい。
「はあっ? 何を言って……」
そう言いながら、ライシオはボクと野次馬に視線を向ける。
そしてディーラーに視線を向けると、ディーラーがライシオから視線を逸らした。
「……ま、まさか」
デイーラーを見てようやく気付いたらしい。
さっきまでの余裕な表情はどこにいったのか、ライシオは急に焦り出す。
「わ、私が、この私が奴隷だと……ほ、本気でこの私を奴隷にする気かっ! 白金貨五十万枚はどうする!」
「えっ? さっきの勝負、本気でディーラーのお遊びだと思っていたの?」
ボクがそう言うと、ようやく現実を直視ししたのか、ボクに向かって謎の主張を始めた。
「わ、私を奴隷にして本当にいいと思っているのかっ! トゥルクが、私の部下が黙っていないぞっ! そ、それに私が奴隷になる事で、経済にどれ程の影響を与えるか分かっているのかっ!」
そう言うとライシオは奴隷の首輪を着けたまま立ち上がる。
現実を直視した割に、まだ何とかなると思っていそうな辺り、いい性格をしている。
「勿論だよ♪ ボクは大丈夫だとおもうな?」
「も、勿論だよ? 私が君の奴隷となる事で経済に、国にどれ程の影響を及ぼす事になるかという事をほ、本気で分かっているのか!? 私が居なくなった後、何が起こると思う。私が君の奴隷となり商会経営から離れれば、私が担当する国や領が大変な混乱に巻き込まれる。そんな事も分からないのか!」
何を言い出すかと思えば、徹頭徹尾どうでもいい事を言い出した。『奴隷の首輪』を首に嵌められ気が触れてしまったらしい。
「なんだ、そんな事か♪」
どうでもいい事を言い出したライシオに向かってそう呟くと、ライシオは怒りの表情を浮かべる。
「そ、そんな事か、とはなんですか。私は商人連合国アキンドの評議員、ライシオ。私が君の奴隷となり評議員から、商会経営から手を引けば、数千、数万人もの人が職を失い、経済は確実に後退する。
君は知っているかい? フェロー王国の王都で最近起こった悲劇を……ある見返りを得る為、その国の国王は力ある商会を潰そうとした。その力ある商会は国王により土地を接収されるも、自力でその逆境を跳ね除け、逆に王都を商人の寄り付かなくしたという……。
今君がやろうとしているのは、その愚かな国王と同じ事。私を奴隷にする事て、数千、数万の人が不幸になる。君は責任を持てるのかい? 持てないだろう?」
「うんうん♪ それで? 君は何が言いたいの?」
するとライシオは呆れたかの様な表情を浮かべ、首を横に振った。
「これだけ言っているのに私の話が理解できないなんて、知性が乏しいというのはもはや罪だね。悪い事は言わない。私を奴隷から解放し、先程交わした契約書を破棄したまえ、先に取られた白金貨五十万枚についても当然ながら返してもらう。あれは私の白金貨だ。君も何かに怯えながら生活するのは嫌だろう?」
ライシオの話を聞いたボクはクスリと笑いかける。
「なる程ね。君の言いたい事がよく分かったよ」
「そうか、それでいい。ようやく私を奴隷に落とす愚かさに気付いた様だね。私が言うまで自分でその事に気付けなかったのは残念だけど、物分かりが良くてよかったよ……ディーラー、首輪の鍵を渡しなさい。この通り、今話が……」
「でも、まるで君がいないと商会経営は成り立たず、数千、数万の人が不幸になり、経済が後退すると言っている様に聞こえたけど、本当にそうなのかなぁ?」
ボクがそう口にするとライシオが睨み付けてくる。
奴隷の首輪を首に嵌め、全てを失ったにも関わらず傲慢な男である。
「当然だろう。私の父から受け継いだ商会ではあるが、今、私の商会が潰れず続いているのは、私の求心力が、評議員である私の力があるからに他ならない。私が商会経営から離れれば、大変な事になるだろう」
どうやらこの男、自分がトップに居なければ、父親から継いだ商会は進むべき方向性を見出せず潰れてしまうと、結果として数千、数万の人が不幸になると本気で思い込んでいるらしい。
妄執という言葉が似合う男である。
潔さのカケラもない。
どの道この男の人生は詰んでいる。
折角なので、最後にこの男の思い上がりを矯正してあげよう。
ライシオに聞こえる様そう呟くとライシオはディーラーとボクのカードを交互に見ては、話が違うといった表情を浮かべている。
まあ信じたくない気持ちはよく分かる。
しかしこれが現実だ。
今まで、常勝無敗の人生を送っていたとか、商人連合国アキンドの評議員で偉い立場にいる事は、もはや関係ない。
全てを賭けた勝負に負けた。
ここにいるのは、二度ポーカーに負け全てを失ったギャンブラーの成れの果て。
「……う、嘘だっ! 私が負ける筈がない! 負ける筈なかったんだっ! だ、だって私は、な、なんで、どうしてっ……」
ライシオはそう声を上げると、泣きそうな表情でディーラーを睨みつける。
「だ、だって私はっ! 私はそのディーラーに……」
『そのディーラーにイカサマをする様に指示していたんだよね? 残念だったね。普通の人が相手なら勝つ事ができたかも知れないけど、ボクは普通じゃないから♪』
ボクがライシオの耳に顔を近づけ、話を被せる様にそう言うと、ライシオはビクリと身体を震わせた。
『それにね。これは元々、こうなる運命だったんだ。トゥルクとフィンが悠斗様にちょっかいを出した時点で、君の運命は決まっていたんだよ』
「な、何の事だっ! 何を言っているっ!」
「それ位、自分の頭で考えなよ。今回は相手が悪かったね♪ まあ次は無いんだけど、来世でこの教訓を活かす事ができるといいね♪ あっ、きたきた」
ボクがそう言うと、ディーラーが『奴隷の首輪』を持ってやってきた。
「君お待ちかねの『奴隷の首輪』だよ? 自分からディーラーに言って、持って来させるなんて、そんなにボクの奴隷になりたかったの? 気持ちが悪いなぁ~♪ でも安心して、そんな君でもボク達が有用に上手く扱ってあげるからね。長く使う道具は大切に使わないといけないからさ♪」
そうライシオに向かって囁くと、ディーラーから『奴隷の首輪』を受け取り、ライシオの首に『奴隷の首輪』を着ける。そして、普通の方法では二度と外れぬ様、鍵穴を圧着した。
『奴隷の首輪』をライシオの首に嵌めると、ライシオは気が触れたかの様に笑い出す。
「ふ、ふふふっ……ふははははっ! この私が奴隷? この私が奴隷かっ!」
「急にどうしたの? 気が触れたかの様に笑い出して?」
情緒が不安定過ぎて気持ちが悪い。
一体、何を考えているのだろうか?
「これが笑わずにいられるものかっ、ディーラーを抱え込んでいるにも関わらず、まさか二度連続でポーカーに負け、奴隷の首輪まで着けられてしまうとは思わなかったよ。参った、参った私の負けだ。なあ、ディーラー? ここの所、ここでは稼がせて貰ったからね。これも君なりのユーモアなのだろう? 白金貨五十万枚も用意して、すっかり騙されたよ」
そう言いながらライシオは『奴隷の首輪』に手をかける。
「おや、奴隷の首輪が外れない様だが……まさか本物じゃないだろうね? さあ、サッサとこれを外したまえ」
どうやら、本気でユーモアだと思っているらしい。
「君って本当にめでたい頭をしているんだね♪」
ボクがそう言うと『奴隷の首輪』を嵌めたライシオが睨みつけてきた。
「もしかして、今の言葉、私に向かって言ったのかい?」
「うん? 今の言葉が聞こえなかったの?」
この人の耳、大丈夫だろうか?
どうやらディーラーの甘言ばかりを聞いておかしくなってしまったらしい。
「はあっ? 何を言って……」
そう言いながら、ライシオはボクと野次馬に視線を向ける。
そしてディーラーに視線を向けると、ディーラーがライシオから視線を逸らした。
「……ま、まさか」
デイーラーを見てようやく気付いたらしい。
さっきまでの余裕な表情はどこにいったのか、ライシオは急に焦り出す。
「わ、私が、この私が奴隷だと……ほ、本気でこの私を奴隷にする気かっ! 白金貨五十万枚はどうする!」
「えっ? さっきの勝負、本気でディーラーのお遊びだと思っていたの?」
ボクがそう言うと、ようやく現実を直視ししたのか、ボクに向かって謎の主張を始めた。
「わ、私を奴隷にして本当にいいと思っているのかっ! トゥルクが、私の部下が黙っていないぞっ! そ、それに私が奴隷になる事で、経済にどれ程の影響を与えるか分かっているのかっ!」
そう言うとライシオは奴隷の首輪を着けたまま立ち上がる。
現実を直視した割に、まだ何とかなると思っていそうな辺り、いい性格をしている。
「勿論だよ♪ ボクは大丈夫だとおもうな?」
「も、勿論だよ? 私が君の奴隷となる事で経済に、国にどれ程の影響を及ぼす事になるかという事をほ、本気で分かっているのか!? 私が居なくなった後、何が起こると思う。私が君の奴隷となり商会経営から離れれば、私が担当する国や領が大変な混乱に巻き込まれる。そんな事も分からないのか!」
何を言い出すかと思えば、徹頭徹尾どうでもいい事を言い出した。『奴隷の首輪』を首に嵌められ気が触れてしまったらしい。
「なんだ、そんな事か♪」
どうでもいい事を言い出したライシオに向かってそう呟くと、ライシオは怒りの表情を浮かべる。
「そ、そんな事か、とはなんですか。私は商人連合国アキンドの評議員、ライシオ。私が君の奴隷となり評議員から、商会経営から手を引けば、数千、数万人もの人が職を失い、経済は確実に後退する。
君は知っているかい? フェロー王国の王都で最近起こった悲劇を……ある見返りを得る為、その国の国王は力ある商会を潰そうとした。その力ある商会は国王により土地を接収されるも、自力でその逆境を跳ね除け、逆に王都を商人の寄り付かなくしたという……。
今君がやろうとしているのは、その愚かな国王と同じ事。私を奴隷にする事て、数千、数万の人が不幸になる。君は責任を持てるのかい? 持てないだろう?」
「うんうん♪ それで? 君は何が言いたいの?」
するとライシオは呆れたかの様な表情を浮かべ、首を横に振った。
「これだけ言っているのに私の話が理解できないなんて、知性が乏しいというのはもはや罪だね。悪い事は言わない。私を奴隷から解放し、先程交わした契約書を破棄したまえ、先に取られた白金貨五十万枚についても当然ながら返してもらう。あれは私の白金貨だ。君も何かに怯えながら生活するのは嫌だろう?」
ライシオの話を聞いたボクはクスリと笑いかける。
「なる程ね。君の言いたい事がよく分かったよ」
「そうか、それでいい。ようやく私を奴隷に落とす愚かさに気付いた様だね。私が言うまで自分でその事に気付けなかったのは残念だけど、物分かりが良くてよかったよ……ディーラー、首輪の鍵を渡しなさい。この通り、今話が……」
「でも、まるで君がいないと商会経営は成り立たず、数千、数万の人が不幸になり、経済が後退すると言っている様に聞こえたけど、本当にそうなのかなぁ?」
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奴隷の首輪を首に嵌め、全てを失ったにも関わらず傲慢な男である。
「当然だろう。私の父から受け継いだ商会ではあるが、今、私の商会が潰れず続いているのは、私の求心力が、評議員である私の力があるからに他ならない。私が商会経営から離れれば、大変な事になるだろう」
どうやらこの男、自分がトップに居なければ、父親から継いだ商会は進むべき方向性を見出せず潰れてしまうと、結果として数千、数万の人が不幸になると本気で思い込んでいるらしい。
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