転異世界のアウトサイダー 神達が仲間なので、最強です

びーぜろ

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第九章 商人連合国アキンド編

第365話 悠斗VSツカサ①

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 急に転移させられ、お前を奴隷にする宣言をかまされた俺は当惑した表情を浮かべていた。

「な、なんでこんな事に……」
「まあ良いではありませんか。あちらが悠斗様を奴隷にしたいと、そう言うのです。勝ちの決まったこの勝負。勝負に勝ってトゥルクとあのSランク冒険者を逆に奴隷にして差し上げましょう」
「えっ? でも……」

 勝負に負けたら即奴隷とは、この世界の人の考えは一体どうなっているのだろうか?

 奴隷には、合法的なもので、犯罪奴隷、借金奴隷、孤児奴隷の三つがある。
 そして、違法に奴隷扱いする事は国法で禁じられているのだ。

 今回、もし万が一、勝負で負けた場合どうなるのだろうか?
 犯罪奴隷は違うし、孤児奴隷も違う。となると、借金奴隷となるしかないが、勝負に負けたからとはいえ、借金が増える訳でもない。
 となれば、後は違法奴隷しか残っていない訳だけど……。

 いや、よく考えてみれば、鎮守神や屋敷神も敵対するもの全てを奴隷……というか人形化しているし、足が付かないだけで、やっている事はあの人達と全く同じ。むしろ、こちらの方が数倍酷いかもしれない。

 その事に思い至り、俺は盛大にため息を吐く。

「悠斗様……悠斗様の優しさは美徳の一つではありますが、崇高にして至高の存在たる悠斗様の事を奴隷にすると言い放つ様な者にまで、悠斗様の優しさを分け与える必要はありませんよ?」
「い、いや。別に俺、そんな大層な人間じゃないんだけど……」

 皆、俺の事をなんだと思っているのだろうか?
 俺は転移して異世界に来ただけの、高校生だというのに……。

 まあ、ちょっと運が良くて、仲間に神様と大天使がいて、商会経営をしている上、複数のユニークスキルを持ってはいるけど、俺自身は至って普通。普通の人間の筈だ。

 とはいえ、もし俺が勝負とやらに負け、奴隷となればユートピア商会の従業員達に迷惑をかける事になる。

 あちらは俺を奴隷にする気満々の様だし、こうなれば仕方がない。俺は俺自身と従業員達を守る為にやるしかないのだ。

「ふうっ……」

 俺はため息を吐くと、物理・魔法を無効化する影魔法『影纏』を身に纏い、先程俺に奴隷宣言したツカサさんに視線を向ける。

 一方的に挑まれた勝負とはいえ、これが冗談の類でない限り、負ければ確実に奴隷にされてしまう。
 それに相手は転移者。どの様なユニークスキルを持っているか、分かったものではない。

 俺は静かに『鑑定』スキルを発動させると、ツカサのステータスを確認していく。
 すると、この様に表示された。

 --------------------------------------
 不働ツカサ Lv:85
 年齢:26歳
 性別:女
 種族:人族
 STR(物理):3000  DEX(器用):4000
 ATK(攻撃):3000 AGI(素早):5000
 VIT(生命):4000 RES(抵抗):4000
 DEF(防御):6000 LUK(幸運):50
 MAG(魔力):6000 INT(知力):3000
 ???(????):9999

 ユニークスキル:言語理解 精霊魔法
 スキル:生活魔法Lv:10
 --------------------------------------

 レ、レベル85!?
 転移者とはいえ、今までステータスを『鑑定』してきた人間の中で一番高いレベルだ。
 マデイラ王国に転移させられてから十年間、伊達や酔狂で生きてきた訳ではないらしい。

 しかし、ステータスはそう大した事はなさそうだ。
 聖モンテ教会の教皇ソテルより少し強い位だろうか?

 とはいえ、ここは異世界。
 ステータスがものをいうゲームの世界ではないのだ。
 問題は、ツカサさんの持つユニークスキル『精霊魔法』。

 ツカサさんのステータスを確認した俺は、次にツカサさんの持つユニークスキル『精霊魔法』を鑑定した。

 --------------------------------------
 ユニークスキル:精霊魔法
 魔力を対価に精霊から力を貸して貰うことができる。
 --------------------------------------

「えっ? これだけ??」

 正直驚きだ。
 ツカサさんのユニークスキル『精霊魔法』を鑑定して分かった事といえば、魔力を対価に精霊から力を貸して貰うことができる事位。そんな事、ユニークスキルの字面を見れば誰でも分かる。

 まさかの結果に、困惑した表情を浮かべていると、屋敷神が声をかけてきた。

「悠斗様、どうされました?」
「いや、ツカサさんのユニークスキル『精霊魔法』を鑑定して見たんだけど、魔力を対価に精霊から力を貸して貰うことができる位しか分からなかったんだ」
「なる程、『精霊魔法』ですか……相手のユニークスキルが『精霊魔法』であれば、お役に立てるかもしれません」
「えっ? それはどういう……」

 屋敷神のその言葉に驚きの表情を浮かべていると、俺の事を奴隷にする宣言をしたツカサさんが声をかけてきた。

「ねえ~いつまで話しているの~? 私、あなた達の会話が終わるのを待っているんだけど……」
「えっ?」

 なんで、こっちを見たまま向かって来ないのか気になっていたが、どうやら屋敷神との会話が終わるのを待ってくれていた様だ。こっちはチャンスだと思い、『鑑定』スキルでツカサさんのステータスを覗いていたが、不公平だっただろうか?

「えっ? じゃなくてさ、まあいいや~。君がこないのならこっちからいくよ?」

 ツカサさんはそう言うと、俺に向かって手の平を翳した。
 すると、俺の周囲に色とりどりの光が浮かび上がる。

「えっ? ちょっと、まだ心の準備ができてな……」

 そして、光の強さが急に増したかと思うと、急に大爆発を引き起こした。
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