転異世界のアウトサイダー 神達が仲間なので、最強です

びーぜろ

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第十一章 オーランド王国動乱編

第462話 復活のオーディン③

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 兵士が起こした暴動を収め、バルドルが戻ってきた。

「父上、暴動を収めて参りました」
「うむ。ご苦労だったな。フィンも喜んでいることだろう。なあ、フィン?」
「え、ええっ……」

 光の神バルドル。
 恐ろしい神もいたものだ。
 暴動を収めるだけではなく、暴動を起こした者全てを死兵に変えてしまうとは……。

「さて、もう三柱。ワシの子を紹介しよう。司法神ヴァーリ、武術神ヴィーザル、そして、雷神トールだ」

 オーディンが三柱の紹介をすると、司法神ヴァーリが頭を下げる。

「初めまして、フィン様。私の名はヴァーリ。よろしくお願いします」

「ええ、ヴァーリ様。頼りにしていますわ」

 光の神バルドルがあれだけ凶悪な能力を持っていたのだ。司法神を名乗るこの神も、同様の力を持っていると見て間違いないだろう。

 ヴァーリに続いて、武術神ヴィーザルが頭を下げる。

「ヴァーリです。よろしく……」

「ええ、ヴィーザル様。よろしくお願いします」

 武術神ヴィーザル。武術全般に秀でた神様なのだろうか?
 それにしても無口な神様だ。必要最小限のことしか話そうとしない。

 そして、最後に紫色に身体を紫電させた雷神トールが頭を下げる。

「俺の名はトール。雷神トールだ。覚えておきな!」

「ええ、トール様。よろしくお願いします」

 燃えるような目に赤い髪。この神の名は雷神トールというらしい。
 この不遜な態度。苦手なタイプだ。

 しかし、オーディンを含む五柱がいれば、確実に勝利を収める事ができる。

「さて、紹介は済んだな。フィンよ。まずはどの国を手中に収める?」
「えっ?」

 質問の内容が理解できない。

「それはどういう事でしょうか?」
「決まっているではないか、我々がいれば、戦に負けはない」
「オーディン様は、どの国に戦争を仕掛けるのかと、そう言いたいのですね?」

 四柱を呼び寄せ随分と、気が大きくなっている様だ。
 しかし、それも頷ける話。正直、光の神バルドル一柱がいるだけで、勝ったも同然だ。
 相手が人間である以上、負けはない。

「それでは、フェロー王国を落としましょう」
「むっ……フェロー王国をか?」

 私がそう提案すると、オーディンは難色を示した。

「ええ、当然でしょ? あの国は各領に迷宮がある。これ程旨味のある国、そうないわ」
「いや、だが、しかし……」

 一体どうしたというのだろうか?
 本当にオーディンの様子がおかしい。
 いや、前々からおかしな神だとは思っていたけど……。

「オーディン様、どうかされましたか?」
「うむ。実はフェロー王国には、大恩のある青年が住んでおってな? 今、戦争を仕掛けるのは余りに……ワシはフェロー王国以外の国を落とす事を提案する。青年には、国から離れる様、言ってあるし、一月は様子を見たい」

 何を悠長な事を……オーディンは、この国、オーランド王国の現状を理解しているのだろうか?

「しかし、それでは……」
「まあいいではありませんか」

 すると、光の神バルドルもオーディンに賛同する。

「私の力があれば、敵国にいる全ての人間を味方にする事ができます。まずは戦力を集め、万全の体制を整える事から始めましょう」

 確かにそれも一理ある。
 相手が人間である以上、バルドル様の力があれば、どうとでもなる。それに死兵の存在は、いればいるだけ強大な戦力になる。

「バルドル様がそういうのであれば、仕方がありませんね。まずは近隣諸国を支配下に置き、万全の体制でフェロー王国を落としましょう」
「……何故、バルドルの言う事は、そう簡単に話を聞くのだ?」

 そんな事は決まっている。
 どこぞの隻眼糞爺と違い、力を示している為だ。

「まあ、その話は置いておきましょう。隻眼糞爺……ではなくて、オーディン様。フェロー王国への侵攻は一ヶ月後。それまでは近隣諸国を支配下に置いていく。その方針でよろしいですね?」
「……お主、今、ワシの事を隻眼糞爺と呼ばなかったか? まあいい。その方針で問題ない。近隣諸国の支配はワシらに任せて貰うぞ?」
「ええ、頼りにしていますわ。皆様もどうぞ、よろしくお願いします」
「それでは、行くぞ」

 オーディンはそう言うと、四柱を連れ部屋を出ようとする。

「どちらに向かうつもりですか?」
「スバールバル王国、ヤンマイエン王国、チャネル王国に決まっている。まずは近隣諸国を支配下に置かねばな……」 

 オーディンは不敵な笑みを浮かべると、扉を閉めた。

 スバールバル王国、ヤンマイエン王国、チャネル王国。どの国も、マデイラ王国と同規模の小国だ。
 しかし、小国とはいえ支配下に置くメリットは大きい。

「ふふふっ、早速、動いて下さるなんてね。頼もしいわ」

 オーディンが連れてきた神は四柱。
 光の神バルドル、司法神ヴァーリ、武術神ヴィーザル、そして、雷神トール。
 どの神も規格外の力を持っている。
 人間が、神に勝つ事はない。
 それに大量の武具も買い揃えた。

 最初はどうなる事かと心配に思っていたが、これなら心配はなさそうだ。
 神の力を利用し、近隣諸国全てを属国にする。
 こんな偉業を成し遂げた人は、そういないのではないだろうか?

「今から楽しみだわ。もう少し、もう少しで、世界が私のものになるのね……」

 私はそう呟くと、深い笑顔を浮かべた。
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