最強呪符使い転生―故郷を追い出され、奴隷として売られました。国が大変な事になったからお前を買い戻したい?すいませんが他を当たって下さい―

びーぜろ

文字の大きさ
1 / 73
第一章 最強呪符使い故郷を追われる

最強の呪符使い。故郷を追い出される

しおりを挟む
『呪符』それは種々の災難をしりぞけ、幸いをもたらすとされる物。
 ここ、アクバ皇国には、その呪符を作り操る少数民族が住んでいた。
 その少数民族の作る呪符の力は、災厄を齎す荒御魂を鎮め、陰ながら国を護り、豊かさを齎していた。
 しかし、それも時が過ぎるにつれて廃れていき、呪符の加護をただの御守りと同一視した時の為政者は……。

「えっ? 接収ですか? この土地を??」
「そうだ接収だ。これよりこの土地を接収する」

 明朝五時、兵士に叩き起こされて言われた一言がこれだ。

 接収とは、国家権力が強制的に国民の所有物を取り上げる事を指す強権。
 何かのドッキリだろうか?
 それに、この辺り一帯の土地は、その昔、ご先祖様が国難を救った功績で賜ったと聞いている。
 頭が回らず、ボーっとした表情を浮かべながら突っ立っていると、兵士が羊皮紙を見せつけてくる。

「この土地は元よりアクバ皇国の所有地。すぐに立ち去って貰うぞ。四十秒で準備しろ!」
「ええっ、四十秒ってそんな無体な……。ふわぁ……」

 朝、起きたばかりで欠伸が出た。

「……せ、せめて、もう少しだけ時間を下さいよ。それにこの土地は特別なダンジョ……」
「ええい、うるさいぞ! これは皇帝陛下からの勅命である。お前は黙って従っていれば良いのだ! おい、お前達!」

 赤い服を着た司令官っぽい兵士がそう声を荒げると、その部下達が次々と剣を抜いていく。

「今すぐこの場を去らぬと言うのであれば切り捨てる……。去らずに命を捨てるか、この場を去り命を繋ぐか好きな方を選ぶがよい」
「ええっ、それ選択肢が最初からないじゃありませんか!?」

 そう口答えをした瞬間、目の前を剣線が走った。
 驚きながら両手を上げると、司令官っぽい兵士が首筋に剣を添えてくる。

「二度は言わぬぞ? 死ぬか去るかさっさと選ぶがいい……」
「は、はい。今すぐここを立ち去ります……」

『いのちだいじに』
 遠い昔、日本という名の国に住んでいた時、ゲームで学んだ大切な言葉だ。
 なにより、この状況。
 素直に従わないと、本当に殺されてしまいそう……。

「……そうか。それでは、私についてこい。せめて安全な場所まで送ってやろう」
「えっ? 別に送ってくれなくても別に構わな……」

 ギロリとした目で睨まれる。

「……ありがとうございます」
「礼はいらん。これも兵士の勤めだ」
「そ、そうなんですか……」

 目付きが怖い。
 それに兵士の勤めというのなら荷物を纏める時間位欲しいものである。
 しかし、当然それは敵わず……。
 ため息を吐きながら仕方がなく司令官っぽい兵士について行く。

「えっと、この土地を去るにあたり注意事項が……」

 着いて行く最中、兵士にこの土地のことを少しでも理解してもらおうと、声をかける。しかし、それも、「その件については国に任せておけ。これまで個人にできていたことが国にできぬはずがない」といった一言で終わってしまった。

 会話も終わりしばらく歩くと、兵士が立ち止まる。

「……着いたぞ。これに乗って麓の町まで行くがよい」
「えっ? でもこれって……」
「なんだ……。折角、馬車を用意してやったというのに不服か?」
「いや、でもこれって……馬車じゃないですよね?」

 目の前にいるのは、胡散臭い笑みを浮かべる商人風のおじさん。
 そして、奴隷を閉じ込め運ぶ監獄馬車。
 監獄馬車なんてレゴブロックでしか見た事がない。
 兵士に視線を向けると、早く馬車に乗れとでも言わんばかりの顔でボクのことを見つめてくる。 

「えっ? 嘘でしょ?」

 なに、その早く乗れって感じの顔?
 それとも、これ、本当に普通の馬車なの??
 これが普通の馬車なの??
 ちょっと、籠っていた間に常識が浦島太郎したとでもいうの??

「……いいから早く乗れ」

 刀の鞘で小突かれ仕方がなく監獄馬車の中に入ると、『ガチャン!』と音を立てて扉が閉まる。
 扉の鍵が閉まるのを確認すると、兵士はニヤリと笑みを浮かべた。

「……それでは達者でな。いい飼主に買われろよ」
「え、ええっ!?」

 やっぱり、この監獄馬車は奴隷を運ぶもので、商人風の胡散臭いおじさんは奴隷商人だったようだ。

「それでは旦那。また活きの良い奴隷がいたら買い取りますので、よろしくお願いします……。これは御代の金貨十枚です……」
「ああ、こんな所までご苦労だったな。道中、気を付けて帰れよ」
「はい。毎度……」

 奴隷商人。略称ドレイドンがボクを見て醜く笑う。
 ドレイドン。顔が人の顔じゃないよ。
 お口も臭そう。気持ちが悪いから笑わないで。

「それじゃあ、私はこれで……」

 ドレイドンがピシリと音を立て、馬に鞭を入れると、監獄馬車がゆっくり動き始める。

「ち、ちょっと、ここから出してぇー!」

 檻を掴んでガシガシ前後に揺らす。
 しかし、まったく出られる気配がしない。

「奴隷はいやああああっ!」

 拝啓。
 いまは亡き父様、母様。お祖父様、お祖母様。
 この世界に転生して十二年。
 初めて乗った乗り物は奴隷を運ぶための監獄馬車でした。
 どうやらボクは、奴隷としてふもとの町に運ばれ売られるみたいです。
 代々、継がれてきた土地のお仕事は多分、国がやってくれます。
 だから心配しないで下さい。
 だからいまは、いまは……。

「助けてぇぇぇぇ!」

 ボクのことを助けて下さい。

「うるせえぞ! クソガキッ!」
「あ、はい。すいません」

 と言うのは冗談で、折角、お仕事から解放されたので少し世界を見て周りたいと思います。

 日本や海外とは違う異世界。
 正直、あの場所に引き籠っていたので、この世界がどんな所なのか楽しみです。

 こうしてボクこと、呪符使い『リーメイ』の長い長ーい一人旅が始まった。

―――――――――――――――――

本日、三話投稿します。(15時、18時、21時予定です)
しおりを挟む
感想 40

あなたにおすすめの小説

~唯一王の成り上がり~ 外れスキル「精霊王」の俺、パーティーを首になった瞬間スキルが開花、Sランク冒険者へと成り上がり、英雄となる

静内燕
ファンタジー
【カクヨムコン最終選考進出】 【複数サイトでランキング入り】 追放された主人公フライがその能力を覚醒させ、成り上がりっていく物語 主人公フライ。 仲間たちがスキルを開花させ、パーティーがSランクまで昇華していく中、彼が与えられたスキルは「精霊王」という伝説上の生き物にしか対象にできない使用用途が限られた外れスキルだった。 フライはダンジョンの案内役や、料理、周囲の加護、荷物持ちなど、あらゆる雑用を喜んでこなしていた。 外れスキルの自分でも、仲間達の役に立てるからと。 しかしその奮闘ぶりは、恵まれたスキルを持つ仲間たちからは認められず、毎日のように不当な扱いを受ける日々。 そしてとうとうダンジョンの中でパーティーからの追放を宣告されてしまう。 「お前みたいなゴミの変わりはいくらでもいる」 最後のクエストのダンジョンの主は、今までと比較にならないほど強く、歯が立たない敵だった。 仲間たちは我先に逃亡、残ったのはフライ一人だけ。 そこでダンジョンの主は告げる、あなたのスキルを待っていた。と──。 そして不遇だったスキルがようやく開花し、最強の冒険者へとのし上がっていく。 一方、裏方で支えていたフライがいなくなったパーティーたちが没落していく物語。 イラスト 卯月凪沙様より

【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】 【第5回一二三書房Web小説大賞コミカライズ賞】 ~ポルカコミックスでの漫画化(コミカライズ)決定!~  ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。  学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。  何か実力を隠す特別な理由があるのか。  いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。  そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。  貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。  オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。    世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな! ※小説家になろう、カクヨム、pixivにも投稿中。

《レベル∞》の万物創造スキルで追放された俺、辺境を開拓してたら気づけば神々の箱庭になっていた

夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティーの雑用係だったカイは、魔王討伐後「無能」の烙印を押され追放される。全てを失い、死を覚悟して流れ着いた「忘れられた辺境」。そこで彼のハズレスキルは真の姿《万物創造》へと覚醒した。 無から有を生み、世界の理すら書き換える神の如き力。カイはまず、生きるために快適な家を、豊かな畑を、そして清らかな川を創造する。荒れ果てた土地は、みるみるうちに楽園へと姿を変えていった。 やがて、彼の元には行き場を失った獣人の少女やエルフの賢者、ドワーフの鍛冶師など、心優しき仲間たちが集い始める。これは、追放された一人の青年が、大切な仲間たちと共に理想郷を築き、やがてその地が「神々の箱庭」と呼ばれるまでの物語。

世界最強の賢者、勇者パーティーを追放される~いまさら帰ってこいと言われてももう遅い俺は拾ってくれた最強のお姫様と幸せに過ごす~

aoi
ファンタジー
「なぁ、マギそろそろこのパーティーを抜けてくれないか?」 勇者パーティーに勤めて数年、いきなりパーティーを戦闘ができずに女に守られてばかりだからと追放された賢者マギ。王都で新しい仕事を探すにも勇者パーティーが邪魔をして見つからない。そんな時、とある国のお姫様がマギに声をかけてきて......? お姫様の為に全力を尽くす賢者マギが無双する!?

無能扱いされ、パーティーを追放されたおっさん、実はチートスキル持ちでした。戻ってきてくれ、と言ってももう遅い。田舎でゆったりスローライフ。

さら
ファンタジー
かつて勇者パーティーに所属していたジル。 だが「無能」と嘲られ、役立たずと追放されてしまう。 行くあてもなく田舎の村へ流れ着いた彼は、鍬を振るい畑を耕し、のんびり暮らすつもりだった。 ――だが、誰も知らなかった。 ジルには“世界を覆すほどのチートスキル”が隠されていたのだ。 襲いかかる魔物を一撃で粉砕し、村を脅かす街の圧力をはねのけ、いつしか彼は「英雄」と呼ばれる存在に。 「戻ってきてくれ」と泣きつく元仲間? もう遅い。 俺はこの村で、仲間と共に、気ままにスローライフを楽しむ――そう決めたんだ。 無能扱いされたおっさんが、実は最強チートで世界を揺るがす!? のんびり田舎暮らし×無双ファンタジー、ここに開幕!

Sランクパーティーを追放された鑑定士の俺、実は『神の眼』を持ってました〜最神神獣と最強になったので、今さら戻ってこいと言われてももう遅い〜

夏見ナイ
ファンタジー
Sランクパーティーで地味な【鑑定】スキルを使い、仲間を支えてきたカイン。しかしある日、リーダーの勇者から「お前はもういらない」と理不尽に追放されてしまう。 絶望の淵で流れ着いた辺境の街。そこで偶然発見した古代ダンジョンが、彼の運命を変える。絶体絶命の危機に陥ったその時、彼のスキルは万物を見通す【神の眼】へと覚醒。さらに、ダンジョンの奥で伝説のもふもふ神獣「フェン」と出会い、最強の相棒を得る。 一方、カインを失った元パーティーは鑑定ミスを連発し、崩壊の一途を辿っていた。「今さら戻ってこい」と懇願されても、もう遅い。 無能と蔑まれた鑑定士の、痛快な成り上がり冒険譚が今、始まる!

『スローライフどこ行った?!』追放された最強凡人は望まぬハーレムに困惑する?!

たらふくごん
ファンタジー
最強の凡人――追放され、転生した蘇我頼人。 新たな世界で、彼は『ライト・ガルデス』として再び生を受ける。 ※※※※※ 1億年の試練。 そして、神をもしのぐ力。 それでも俺の望みは――ただのスローライフだった。 すべての試練を終え、創世神にすら認められた俺。 だが、もはや生きることに飽きていた。 『違う選択肢もあるぞ?』 創世神の言葉に乗り気でなかった俺は、 その“策略”にまんまと引っかかる。 ――『神しか飲めぬ最高級のお茶』。 確かに神は嘘をついていない。 けれど、あの流れは勘違いするだろうがっ!! そして俺は、あまりにも非道な仕打ちの末、 神の娘ティアリーナが治める世界へと“追放転生”させられた。 記憶を失い、『ライト・ガルデス』として迎えた新しい日々。 それは、久しく感じたことのない“安心”と“愛”に満ちていた。 だが――5歳の洗礼の儀式を境に、運命は動き出す。 くどいようだが、俺の望みはスローライフ。 ……のはずだったのに。 呪いのような“女難の相”が炸裂し、 気づけば婚約者たちに囲まれる毎日。 どうしてこうなった!?

異世界に転生した俺は英雄の身体強化魔法を使って無双する。~無詠唱の身体強化魔法と無詠唱のマジックドレインは異世界最強~

北条氏成
ファンタジー
宮本 英二(みやもと えいじ)高校生3年生。 実家は江戸時代から続く剣道の道場をしている。そこの次男に生まれ、優秀な兄に道場の跡取りを任せて英二は剣術、槍術、柔道、空手など様々な武道をやってきた。 そんなある日、トラックに轢かれて死んだ英二は異世界へと転生させられる。 グランベルン王国のエイデル公爵の長男として生まれた英二はリオン・エイデルとして生きる事に・・・ しかし、リオンは貴族でありながらまさかの魔力が200しかなかった。貴族であれば魔力が1000はあるのが普通の世界でリオンは初期魔法すら使えないレベル。だが、リオンには神話で邪悪なドラゴンを倒した魔剣士リュウジと同じ身体強化魔法を持っていたのだ。 これは魔法が殆ど使えない代わりに、最強の英雄の魔法である身体強化魔法を使いながら無双する物語りである。

処理中です...