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第一章 最強呪符使い故郷を追われる
ドラゴンとの遭遇
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この土地に古来より住む呪われた民を売り払った司令官っぽい兵士こと兵士長、アンハサウェイは金貨十枚をポケットに収めると、連れてきた兵士達を整列させる。
「よし。お前達、よく聞けよ。これより皇帝陛下の勅命に従い、ダンジョンの封鎖、そして、この地にあるすべての呪物を回収する。回収できそうにないものについては破壊せよ!」
「はっ!!」
そう命令を降すと兵士達が動き出す。
ある者は、この地に散らばる怪しい呪物を回収するために……。
ある者は、回収できそうにない呪物を破壊するために……。
そして、命令を降した兵士長、アンハサウェイはというと……。
「ふん。占い好きの皇帝陛下にも困ったものだ」
あの子供が住んでいた家の真隣にぽっかり空いた大きな横穴。
その四方を囲うように、夥しい量の呪符が張り巡らせられている。
兵士の一人が呪符を剥がし、丁寧に回収していくと、穴から黒い物体が次々と這い出てくる。
『ケタケタケタ! 穴ガ開イタ! 穴ガ開イタ!』
『クコックコッ! 本当ダネ! 本当ダネ!』
『ハナッハナッハナッ! 自由ダ! 私達ハ自由ダ!』
『『キゲキゲキゲッ!』』
それは兵士達を一瞥すると、空気と同化するように消えていった。
「うん? なにかおかしいな……。ダンジョンからなにかが出てきたような気がしたが……」
気のせいか?
「まあいい。作業を進めろ!」
「はい!!」
アンハサウェイは気付かない。
いま、自分がなにをしたのか。
穴の中から出てきて消えたなにかが、なにを齎すのか。
この時はまだ気付けずにいた。
◇◆◇
「あーる晴れた昼ぅ下がり、市場へ続く道ぃ♪ 荷馬車がゴートゴォト、私を乗せて行くぅ。かーわいそーな私、売られていくよぉー。かーわいそーな瞳で見ているよぉー」
「あー。うるせえ!」
「ドナドナドォナードナー。私を乗せてぇー。ドナドナドォナドナー。荷馬車が揺れるー」
「うるせえって言ってんだろっ!」
気持ち良くいまの心境にピッタリな童謡を歌っていたら、ドレイドンに怒られてしまった。
まったく、ドレイドンは怒りっぽくて困る。
「ドレイドーン。いつになったら町に着くのー? もう監獄馬車に揺られているのは飽きたよー」
「俺の名前はそんな名前じゃねえ! ドンタコス様と何度言ったら……。って、お前! 檻の中で何を食べていやがる!」
「えっ? 朝食代わりのクッキーだけど……。ドレイドンも食べる?」
態々、馬車を停め檻の近くに顔を近づけてくるドレイドンの口にクッキーを放り込む。
「うん? こりゃあ美味えな……。もう一枚って、そうじゃねえだろっ! どこからそれを出した!」
「えっ? 美味しかった? ドレイドンには湿気たクッキーをあげたつもりだったんだけど……。あ、湿気てなかった。もー、一枚無駄にしちゃったじゃん」
「人の話を聞けぇぇぇぇ!」
怒り心頭のドレイドンが、檻に向かって鞭を打つ。
おお、怖い。
ちょっと、おちょくっただけで鞭を打ってくるなんて……。
きっとカルシウムが足りていないのだろう。
怒り狂うドレイドンを無視して、亜空間から取り出した呪符で檻の中をデコレーションしていると、なにかがこちらに向かってくる気配を察知する。
「ドレイドーン。何かが近付いてくるよ?」
ドレイドンも鞭で檻を叩くのに忙しいと思うけど、ボクはボクで檻の中を飾り付けるのに忙しい。
檻の外のことはドレイドンに対処して貰おうと、そんなことを考えての発言だったんだけど……。
「う、うわああああっ! ば、化け物だああああっ!」
「うん? 化け物?」
檻の外に視線を向けると、監獄馬車を覆うように影が差す。
「あれは……。ドラゴン?」
檻の中の飾り付けをしながら、ドラゴンを見上げる。
漆黒のボディ。トカゲに羽が生えたかのような巨大なフォルム。
間違いない。あれはドラゴンだ。
「まあいいか。それじゃあ、ドレイドン。後はよろしく。ボクは檻の中のデコレーションをしなきゃいけないから……。って、ドレイドン?」
ドレイドンの返事がない。
手を止め振り向くと、監獄馬車を置き去りにして馬と共に脱兎の如く森の中に逃げていくドレイドンの姿が目に映る。
「ド、ドレイドーン!」
なんてこった。
まさか、ボクの事を置いて逃げるとは思いもしなかった。
しかも、ドラゴンを前に馬まで逃がすなんて……。意外と余裕あるじゃないか。
「うーん。しょうがないな……」
亜空間から呪符と刀を取り出すと、呪符を身体に貼り付け、デコレーションしたばかりの檻を刀で切って外に出る。
ボクは身体が弱い。
それこそ呪符の力がなければ、檻を刀で切ることができない位には……。
「もう……。君のせいで、折角、町まで送り届けてくれる案内人がいなくなっちゃたじゃないか」
ジロリとドラゴンに視線を向ける。
「グギャアアアアッ!」
「仕方がないから君には、ボクを町まで送り届ける馬の代わりになって貰おうかな?」
呪符を身体の周囲に浮かせると、呪符に込められた力を使い身体を浮かび上がらせる。
この呪符はボクが作った特製の呪符だ。
いま、使っている呪符は、『身体強化』に『浮遊』の呪符。
そして、手にしている刀は妖刀ムラマサ。
結構、癖のある刀で、柄を握っているだけで、ボクの脳を侵食しようとしてくる厄介な刀だ。しかし、その反面、相手の血を吸う度にその者が持つ力を奪ったり、切った相手を操る力を持っている。
「まずは暴れられたら厄介だから束縛させて貰おうかな」
「グッ!? グルルルルッ!!?」
『呪縛』の呪符をドラゴンに付し、難なくドラゴンが動けぬよう束縛すると、羽を動かせなくなったためか、そのまま、地面に落下していく。
「あっ、やばっ……」
空を飛ぶドラゴンに『呪縛』の呪符を使えばどうなるかなんて火を見るよりも明らか。全然気が回らなかった。
地面に落下したドラゴンは、落下の衝撃でバウンドすると、そのまま崖の下に落ちていく。
「ああっー! ボクの乗り物がぁぁぁぁ! ドラちゃんがぁぁぁぁ!」
その日、崖から落ちるドラゴンとボクの絶叫が崖に木霊した。
「よし。お前達、よく聞けよ。これより皇帝陛下の勅命に従い、ダンジョンの封鎖、そして、この地にあるすべての呪物を回収する。回収できそうにないものについては破壊せよ!」
「はっ!!」
そう命令を降すと兵士達が動き出す。
ある者は、この地に散らばる怪しい呪物を回収するために……。
ある者は、回収できそうにない呪物を破壊するために……。
そして、命令を降した兵士長、アンハサウェイはというと……。
「ふん。占い好きの皇帝陛下にも困ったものだ」
あの子供が住んでいた家の真隣にぽっかり空いた大きな横穴。
その四方を囲うように、夥しい量の呪符が張り巡らせられている。
兵士の一人が呪符を剥がし、丁寧に回収していくと、穴から黒い物体が次々と這い出てくる。
『ケタケタケタ! 穴ガ開イタ! 穴ガ開イタ!』
『クコックコッ! 本当ダネ! 本当ダネ!』
『ハナッハナッハナッ! 自由ダ! 私達ハ自由ダ!』
『『キゲキゲキゲッ!』』
それは兵士達を一瞥すると、空気と同化するように消えていった。
「うん? なにかおかしいな……。ダンジョンからなにかが出てきたような気がしたが……」
気のせいか?
「まあいい。作業を進めろ!」
「はい!!」
アンハサウェイは気付かない。
いま、自分がなにをしたのか。
穴の中から出てきて消えたなにかが、なにを齎すのか。
この時はまだ気付けずにいた。
◇◆◇
「あーる晴れた昼ぅ下がり、市場へ続く道ぃ♪ 荷馬車がゴートゴォト、私を乗せて行くぅ。かーわいそーな私、売られていくよぉー。かーわいそーな瞳で見ているよぉー」
「あー。うるせえ!」
「ドナドナドォナードナー。私を乗せてぇー。ドナドナドォナドナー。荷馬車が揺れるー」
「うるせえって言ってんだろっ!」
気持ち良くいまの心境にピッタリな童謡を歌っていたら、ドレイドンに怒られてしまった。
まったく、ドレイドンは怒りっぽくて困る。
「ドレイドーン。いつになったら町に着くのー? もう監獄馬車に揺られているのは飽きたよー」
「俺の名前はそんな名前じゃねえ! ドンタコス様と何度言ったら……。って、お前! 檻の中で何を食べていやがる!」
「えっ? 朝食代わりのクッキーだけど……。ドレイドンも食べる?」
態々、馬車を停め檻の近くに顔を近づけてくるドレイドンの口にクッキーを放り込む。
「うん? こりゃあ美味えな……。もう一枚って、そうじゃねえだろっ! どこからそれを出した!」
「えっ? 美味しかった? ドレイドンには湿気たクッキーをあげたつもりだったんだけど……。あ、湿気てなかった。もー、一枚無駄にしちゃったじゃん」
「人の話を聞けぇぇぇぇ!」
怒り心頭のドレイドンが、檻に向かって鞭を打つ。
おお、怖い。
ちょっと、おちょくっただけで鞭を打ってくるなんて……。
きっとカルシウムが足りていないのだろう。
怒り狂うドレイドンを無視して、亜空間から取り出した呪符で檻の中をデコレーションしていると、なにかがこちらに向かってくる気配を察知する。
「ドレイドーン。何かが近付いてくるよ?」
ドレイドンも鞭で檻を叩くのに忙しいと思うけど、ボクはボクで檻の中を飾り付けるのに忙しい。
檻の外のことはドレイドンに対処して貰おうと、そんなことを考えての発言だったんだけど……。
「う、うわああああっ! ば、化け物だああああっ!」
「うん? 化け物?」
檻の外に視線を向けると、監獄馬車を覆うように影が差す。
「あれは……。ドラゴン?」
檻の中の飾り付けをしながら、ドラゴンを見上げる。
漆黒のボディ。トカゲに羽が生えたかのような巨大なフォルム。
間違いない。あれはドラゴンだ。
「まあいいか。それじゃあ、ドレイドン。後はよろしく。ボクは檻の中のデコレーションをしなきゃいけないから……。って、ドレイドン?」
ドレイドンの返事がない。
手を止め振り向くと、監獄馬車を置き去りにして馬と共に脱兎の如く森の中に逃げていくドレイドンの姿が目に映る。
「ド、ドレイドーン!」
なんてこった。
まさか、ボクの事を置いて逃げるとは思いもしなかった。
しかも、ドラゴンを前に馬まで逃がすなんて……。意外と余裕あるじゃないか。
「うーん。しょうがないな……」
亜空間から呪符と刀を取り出すと、呪符を身体に貼り付け、デコレーションしたばかりの檻を刀で切って外に出る。
ボクは身体が弱い。
それこそ呪符の力がなければ、檻を刀で切ることができない位には……。
「もう……。君のせいで、折角、町まで送り届けてくれる案内人がいなくなっちゃたじゃないか」
ジロリとドラゴンに視線を向ける。
「グギャアアアアッ!」
「仕方がないから君には、ボクを町まで送り届ける馬の代わりになって貰おうかな?」
呪符を身体の周囲に浮かせると、呪符に込められた力を使い身体を浮かび上がらせる。
この呪符はボクが作った特製の呪符だ。
いま、使っている呪符は、『身体強化』に『浮遊』の呪符。
そして、手にしている刀は妖刀ムラマサ。
結構、癖のある刀で、柄を握っているだけで、ボクの脳を侵食しようとしてくる厄介な刀だ。しかし、その反面、相手の血を吸う度にその者が持つ力を奪ったり、切った相手を操る力を持っている。
「まずは暴れられたら厄介だから束縛させて貰おうかな」
「グッ!? グルルルルッ!!?」
『呪縛』の呪符をドラゴンに付し、難なくドラゴンが動けぬよう束縛すると、羽を動かせなくなったためか、そのまま、地面に落下していく。
「あっ、やばっ……」
空を飛ぶドラゴンに『呪縛』の呪符を使えばどうなるかなんて火を見るよりも明らか。全然気が回らなかった。
地面に落下したドラゴンは、落下の衝撃でバウンドすると、そのまま崖の下に落ちていく。
「ああっー! ボクの乗り物がぁぁぁぁ! ドラちゃんがぁぁぁぁ!」
その日、崖から落ちるドラゴンとボクの絶叫が崖に木霊した。
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