最強呪符使い転生―故郷を追い出され、奴隷として売られました。国が大変な事になったからお前を買い戻したい?すいませんが他を当たって下さい―

びーぜろ

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第一章 最強呪符使い故郷を追われる

冒険者ギルドカフェー勘違いの始まりー②

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「かしこまりました。それでは、少々お待ち下さい」
「あ、はい」

 注文した水を待つ間、聞き耳を立て冒険者ギルドの入念なリサーチを進める。

『おい。聞いたか? Aランク冒険者のジョンが賭場で全財産擦って奴隷堕ちしたらしいぞ?』
『おいおい。マジかよ』
『ああ、流石は賭け狂いのジョン。その名に恥じない負けっぷりだったぜ』
『へえー。そうなんだ。……それよりも、ジェニファー。お前、この店のランク。どの位上げたんだ?』
『ふふふっ……。聞かれるのを待っていたぜ! なんと、Bランクだ。スゲーだろ!』
『な、なにっ! Bランク!? 一体、どれだけの金を積んだらそんなことが……』

 ジェニファーという冒険者は、金色に輝くカードを片手にニヤリと笑う。

『それはな……。依頼料すべてを注ぎ込むんだよ』
『なにっ!? 馬鹿なっ……。そんなことをしたらお前の貯金は……』
『ああ、お蔭ですっからかんさ。でも、まったく後悔はしていねぇ。それだけの価値がBランクにはある……』

 そう言うと、ジェニファーという冒険者はウエイトレスにいやらしい視線を向けた。

『……そして、今日。俺はランクをもう一段階上げ、男になる。最初にAランクに辿り着いた者だけが手にすることのできる恩恵。その魅力がわからない訳じゃないだろ?』
『あ、ああっ、だが、お前……。金はあるのか? さっき、すっからかんって……』
『うん? あるに決まってるだろ。借りてきたんだよ……。俺の盾を担保に商業ギルドからなっ!』
『な、なにっ!? お前、そこまで……』
『ああ、俺の邪魔は何人たりともさせん。それが誰であろうともだ。マクスウェル。俺の雄姿を目に焼き付けてくれよな』

 ……なるほど、よくはわからないけど、料理か酒かなにかしら注文すれば身分証を貰う事ができるらしい。
 それにしても、注文するだけでランクを上げることができるのか……。
 なんか思っていた冒険者ギルドと違うな……。

「お待たせ致しました。ご注文の水をお持ちしました。注文は以上でよろしいでしょうか?」
「すいません。二点ほど質問があるのですが、よろしいでしょうか?」
「はい。なんでしょうか?」
「ボクは水を注文しました。これでギルドカードを発行して貰えるんですよね?」

 ウエイトレスは首を傾げると、少し考え込み、片手を握ると手の平にポンと置く。
 一瞬、なにを言っているかわからないといった表情を浮かべたように見えたけど大丈夫だろうか?

「ええ、その通りです。当店で飲食をして頂いた方全員に(当店発行の会員証である)ギルドカードをお渡ししております」

 やっぱり、どうやらボクの推測は間違っていなかったようだ。

「そうですか。では、ギルドカードのランクを上げるためには、どうしたらいいんですか?」
「ランクを上げるために、ですか……」

 その言葉に、ウエイトレスの目がキラーンと光る。

「……もちろん、ご注文の金額によりランクは上がりますが、まさかお客様……Aランクを?」
「はい。少しだけ興味が湧いてきたので……」

 そう言うと、ウエイトレスは、ボクの目の前に黒いメニュー表を置いた。

「……これは?」

 そう尋ねると、ウエイトレスは目を光らせながら答える。

「こちらは当店の裏メニューです。Aランクを目指すのであれば、普通のメニュー表では不可能。あちらのお客様と同様に高額な裏メニューを購入する必要がございます」

 黒いメニュー表に目を通すと、そこにはとんでもない金額のメニューがずらりと並んでいた。
 なんとも不思議なギルドだ。
 冒険者のランクを実力ではなく金で測るなんて……。
 ボクが思うに、いま、冒険者に求められているのは力ではなく資金力。
 きっと、そういうことだろう。

「……いかが致しますか? Aランクを目指すのであれば、金貨三枚(円換算で約三十万円)ほどの注文が必要となりますが……」
「わかりました。それでは、金貨三枚相当の水を下さい」
「き、金貨三相当の水……。本気ですか?」
「はい。水は水でも、このメニューにある蒸留水でお願いします」

 蒸留水の値段は一リットル当たり小金貨一枚(約一万円)。
 つまり三十リットル注文すれば、Aランクに到達する。
 亜空間にしまえば、いつでも新鮮な蒸留水を飲む事ができるし、万々歳だ。
 ボクは以前、井戸水で腹を壊したことがある。
 それ以来、水は店で出されたものか蒸留水しか飲まないと決めていた。

「……わかりました。それでは前金で金貨三枚を頂いてもよろしいでしょうか?」
「前金で、ですか?」
「はい、もちろんです」

 金貨三枚は大金だ。
 おそらく、本当に支払能力があるのか。
 これもランクを上げるために試されているのだろう。

 ボクは亜空間から金貨三枚を取り出すと、テーブルに置く。
 すると、ウエイトレスさんはニヤリと笑みを浮かべた。

「Aランクへの昇格、おめでとうございます。お客様の名前を教えて頂いてもよろしいでしょうか?」
「ボクの名前はリーメイ。気軽にメイって呼んでくれて構わないよー」
「はい。リーメイ様ですね」

 そう言って、ウエイトレスが頭を下げると、店内にボクのAランク昇格を祝うファンファーレが流れた。
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