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第一章 最強呪符使い故郷を追われる
サバイバル試験⑪(MとLの悲劇)
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「これは……素晴らしい。素晴らしい料理だよっ!」
「ああ、まったくだ。スプーンが止まらんっ!」
「へっ?」
マクスウェルさんとローレンスさんに用意した料理は紛れもなくドッグフード。
ドッグフードをスプーンで掬っては夢中で口に運んでいく。
「歯応え、この触感、すべてが混然一体となって素晴らしい味わいに……」
「皿まで舐めたくなる至極の逸品。まるで冷製のオードブルを食べているようだ」
ま、まあ、ドッグフードですから……。
「はっ! 気付けばもうなくなってしまったっ!」
ドッグフードが入っていたポメちゃん用の器をこれ以上ない視線で見つめるマクスウェルさん。
隣でドッグフードを女装姿で上品且つ美味しそうに食べているローレンスさんを羨むような視線を向けている。
「なんだ。マクスウェル?」
「い、いや、なんでもないっ!」
そ、そんなにポメちゃん用ドッグフードが美味しかったのだろうか?
まあ新鮮な肉や野菜を使って作っているから不味くはないと思うけど……。
「えっと、おかわりいります?」
涎を垂らしながらマクスウェルさんのドッグフードを凝視するローレンスさんにそう声をかけると、ローレンスさんは血走った眼をこちらに向けた。
「い、いいのかっ!」
「え、ええ、まあ……」
ただのドッグフードにすごい食いつきようだ。
ちなみにバトちゃんとポメちゃんは床でオークキングの作ってくれた『ドラゴンの赤ワイン煮込みブルゴーニュ風』を美味しく食べている。
マクスウェルさんの皿にドッグフードを盛るため手を伸ばす。すると、ローレンスさんもドッグフードを一気に口にかきこみボクに皿を渡してきた。
「……俺もお代わりしても?」
「も、もちろんいいですけど……」
そ、そんなに気にいったの??
まあ確かに新鮮なゴブリンとオークの肉、そして、季節の野菜を使って作ったから美味しいとは思うけど……。バトちゃんとポメちゃん用のドッグフードだよ?
バトちゃんは馬だけれども!
お皿を片付け、新しいお皿にドッグフードを盛り、マクスウェルさんとローレンスさんの前に出すと、二人は夢中でドッグフードを口に運んでいく。
「ああ、やはり美味い……」
「ダンジョンでこんな美味いものを食べることができるなんて……。ありがとう。ありがとうリーメイ君」
「い、いえいえ、いいんですよ……」
ドッグフードを夢中で食べる二人を前にして、ボクはオークキングが作ってくれた『ドラゴンの赤ワイン煮込みブルゴーニュ風』を一口食べる。
うん。美味しい。流石はオークキングだ。
赤ワインの酸味と風味がドラゴン肉の旨味を引き立てている。
ソースも絶品だ。
あいにく美味しくドッグフードを食べている二人の視界に『ドラゴンの赤ワイン煮込みブルゴーニュ風』は映っていないようだ。
『ドラゴンの赤ワイン煮込みブルゴーニュ風』を美味しく食べ終えると、マクスウェルさんとローレンスさんが話しかけてくる。
「いや、とても美味しい食事だったよ」
「ああ、まったくだ。それより、このログハウスはリーメイ君が一人で作ったのか?」
「いえ、豚ちゃんに協力してもらって作りました」
そう。このログハウスはオークキングが作ってくれたもの。ボクが作ったものといえば、『呪動冷蔵庫』や『全呪動洗濯機』『呪洗トイレ』位のものだ。
「豚ちゃん? もしかして、ログハウスの外にいたオークキングのことか?」
「はい。そうですよー。豚ちゃん達にはこのログハウスの警備もしてもらっているんです」
オークキングが警備をしてくれているからこそ、ダンジョン内であっても快適な生活を送ることができているといっても過言ではない。
本当にオークキング様様である。
ボクがそう言うとマクスウェルさんとローレンスさんは顔を引き攣らせた。
「そ、そうだったのか……。あっ! 大事な用事を思い出した!」
「お、俺もだ! いやー忘れてたわ! 大事な用事っ!」
「えっ? 大事な用事ですか?」
マクスウェルさんとローレンスさんは席から立ち上がると、俺の背後に視線を向けゆっくりドアに手をかける。
「そ、そうなんだよ。なにかとありがとな!」
「君なら試験に合格できるさ! それじゃあな!」
そして、それだけ言うと、そのままログハウスから出て行ってしまった。
「フゴッ? フゴッ(お待たせ致しました。食後の紅茶になります。おや? お二人はどちらに)」
「うん。豚ちゃんありがとう。二人は用事を思い出したみたいで帰っちゃった」
オークキングから紅茶をもらうと、香りを楽しみながらカップに口を付ける。
「……うん。美味しい! 美味しいよ豚ちゃん!」
マクスウェルさんとローレンスさんにも、オークキングの紅茶を振舞いたかったのに残念だ。仕方がなくバトちゃんとポメちゃんに紅茶を与えると、二匹は嬉しそうに紅茶を舐める。
「ブルッ、ブルッ(うん。美味い)」
「キャン、キャン(美味しいけど、熱いよー)」
サバイバル試験が始まって一日が経過した。
こんなに楽しい試験は初めてだ。
マクスウェルさんもローレンスさんが楽しみにしていた理由も今ならわかる気がする。
「ああ、まったくだ。スプーンが止まらんっ!」
「へっ?」
マクスウェルさんとローレンスさんに用意した料理は紛れもなくドッグフード。
ドッグフードをスプーンで掬っては夢中で口に運んでいく。
「歯応え、この触感、すべてが混然一体となって素晴らしい味わいに……」
「皿まで舐めたくなる至極の逸品。まるで冷製のオードブルを食べているようだ」
ま、まあ、ドッグフードですから……。
「はっ! 気付けばもうなくなってしまったっ!」
ドッグフードが入っていたポメちゃん用の器をこれ以上ない視線で見つめるマクスウェルさん。
隣でドッグフードを女装姿で上品且つ美味しそうに食べているローレンスさんを羨むような視線を向けている。
「なんだ。マクスウェル?」
「い、いや、なんでもないっ!」
そ、そんなにポメちゃん用ドッグフードが美味しかったのだろうか?
まあ新鮮な肉や野菜を使って作っているから不味くはないと思うけど……。
「えっと、おかわりいります?」
涎を垂らしながらマクスウェルさんのドッグフードを凝視するローレンスさんにそう声をかけると、ローレンスさんは血走った眼をこちらに向けた。
「い、いいのかっ!」
「え、ええ、まあ……」
ただのドッグフードにすごい食いつきようだ。
ちなみにバトちゃんとポメちゃんは床でオークキングの作ってくれた『ドラゴンの赤ワイン煮込みブルゴーニュ風』を美味しく食べている。
マクスウェルさんの皿にドッグフードを盛るため手を伸ばす。すると、ローレンスさんもドッグフードを一気に口にかきこみボクに皿を渡してきた。
「……俺もお代わりしても?」
「も、もちろんいいですけど……」
そ、そんなに気にいったの??
まあ確かに新鮮なゴブリンとオークの肉、そして、季節の野菜を使って作ったから美味しいとは思うけど……。バトちゃんとポメちゃん用のドッグフードだよ?
バトちゃんは馬だけれども!
お皿を片付け、新しいお皿にドッグフードを盛り、マクスウェルさんとローレンスさんの前に出すと、二人は夢中でドッグフードを口に運んでいく。
「ああ、やはり美味い……」
「ダンジョンでこんな美味いものを食べることができるなんて……。ありがとう。ありがとうリーメイ君」
「い、いえいえ、いいんですよ……」
ドッグフードを夢中で食べる二人を前にして、ボクはオークキングが作ってくれた『ドラゴンの赤ワイン煮込みブルゴーニュ風』を一口食べる。
うん。美味しい。流石はオークキングだ。
赤ワインの酸味と風味がドラゴン肉の旨味を引き立てている。
ソースも絶品だ。
あいにく美味しくドッグフードを食べている二人の視界に『ドラゴンの赤ワイン煮込みブルゴーニュ風』は映っていないようだ。
『ドラゴンの赤ワイン煮込みブルゴーニュ風』を美味しく食べ終えると、マクスウェルさんとローレンスさんが話しかけてくる。
「いや、とても美味しい食事だったよ」
「ああ、まったくだ。それより、このログハウスはリーメイ君が一人で作ったのか?」
「いえ、豚ちゃんに協力してもらって作りました」
そう。このログハウスはオークキングが作ってくれたもの。ボクが作ったものといえば、『呪動冷蔵庫』や『全呪動洗濯機』『呪洗トイレ』位のものだ。
「豚ちゃん? もしかして、ログハウスの外にいたオークキングのことか?」
「はい。そうですよー。豚ちゃん達にはこのログハウスの警備もしてもらっているんです」
オークキングが警備をしてくれているからこそ、ダンジョン内であっても快適な生活を送ることができているといっても過言ではない。
本当にオークキング様様である。
ボクがそう言うとマクスウェルさんとローレンスさんは顔を引き攣らせた。
「そ、そうだったのか……。あっ! 大事な用事を思い出した!」
「お、俺もだ! いやー忘れてたわ! 大事な用事っ!」
「えっ? 大事な用事ですか?」
マクスウェルさんとローレンスさんは席から立ち上がると、俺の背後に視線を向けゆっくりドアに手をかける。
「そ、そうなんだよ。なにかとありがとな!」
「君なら試験に合格できるさ! それじゃあな!」
そして、それだけ言うと、そのままログハウスから出て行ってしまった。
「フゴッ? フゴッ(お待たせ致しました。食後の紅茶になります。おや? お二人はどちらに)」
「うん。豚ちゃんありがとう。二人は用事を思い出したみたいで帰っちゃった」
オークキングから紅茶をもらうと、香りを楽しみながらカップに口を付ける。
「……うん。美味しい! 美味しいよ豚ちゃん!」
マクスウェルさんとローレンスさんにも、オークキングの紅茶を振舞いたかったのに残念だ。仕方がなくバトちゃんとポメちゃんに紅茶を与えると、二匹は嬉しそうに紅茶を舐める。
「ブルッ、ブルッ(うん。美味い)」
「キャン、キャン(美味しいけど、熱いよー)」
サバイバル試験が始まって一日が経過した。
こんなに楽しい試験は初めてだ。
マクスウェルさんもローレンスさんが楽しみにしていた理由も今ならわかる気がする。
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