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第一章 最強呪符使い故郷を追われる
サバイバル試験⑫(変貌するダンジョン)
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試験もあと一日で終わる。
さて今日はなにして遊ぼうかな?
うーんと、唸っていると名案を思い付いた。
そうだ。折角なのでダンジョン内を観光しようと……。
ここは冒険者ギルドが管理するダンジョン。またいつ入ることができるかわからない。
それなら今日一日を使ってダンジョン内観光をしよう。
おかわりの紅茶を注いでくれるオークキングに視線を向けると、ボクは笑顔で話しかける。
「ねえ豚ちゃん。お願いがあるんだけど聞いてくれないかな?」
「フゴッ、フゴッ?(お願いですか? 別に構いませんが……)」
「本当にっ? ありがとう! 流石は豚ちゃん! わかってるー!」
相変わらずなにを言っているのかわからないけど、オークキングは頷いてくれた。
おそらく、OK的なことを言っているのだろう。流石はオークキングである。
「それじゃあ、この辺りの観光スポットを案内してくれないかな? 明日、ダンジョンを出なきゃいけないから、ここでしか見ることのできないスポットとかだと嬉しいんだけど……」
「フゴッ、フゴッ(ここでしか見ることのできないスポットですか……)」
オークキングは考え込むと、紅茶の入ったポットを置き、ポンと手をついた。
◇◆◇
「うわー! すごーい!」
どうも、オークキングこと豚ちゃんの案内でダンジョン内を観光中のリーメイです。
オークキングにここでしか見ることのできないスポットを案内してと無茶振りしたら、ダンジョンの最奥、ダンジョンコアが安置されている地下空洞に案内されました。
ダンジョンコア。簡単に言えば、ダンジョン内の空調や地形、モンスターの管理を行うことのできる不思議物体である。脈動し白く光り輝くそれは、まるで生き物のように点滅を繰り返している。
「すごーい。なんだか生き物みたいだね! うん?」
ダンジョンコアを指で突くと、指先に違和感を感じた。
「フゴッ、フゴッ(あっ、それに触れちゃ……)」
「えっ?」
すると、ダンジョンコアは瞬く間にボクの魔力を吸い取っていく。
「おおっ!」
ものすごい吸引力。身体からすべての魔力がもっていかれそうだ。
宙をなぞり亜空間から『魔力増強』の呪符を取り出すと、それを身体に付し魔力吸引が終わるのを待つ。
なんで指先を離さないのかって?
そんなことは決まっている。
まるでダンジョンコアと一体化してしまったかのように、指先が離れなくなってしまったのだ。オーマイゴット。
オークキングも背後でフゴフゴ騒いでいる。
多分、ボクのことを心配してくれているのだろう。
とはいえ、いまボクにできることはダンジョンコアの魔力吸引が終わるのことだけ。
「うーん。しょうがないなぁ……」
オークキングの方を向きそう呟く。
「それじゃあ、豚ちゃん。ボクの話し相手になってよ!」
「フゴッ、フゴッ?(えっ、私がですか?)」
「うん。そうだよー? だってボク、ここから動けないんだよ。喋り相手が欲しいじゃない」
「フゴッ、フゴッ(まあ、私で良ければ構いませんが……)」
「うんうん。ありがとう!」
流石はオークキング。話のわかる豚ちゃんだ。
「それじゃあ、豚ちゃんはこれから先、どうなりたいのー?」
「フゴッ、フゴッ(これから先ですか? 漠然としてますね……)」
「まあいいじゃん。いいじゃん!」
「フゴッ、フゴッ(そうですね……。折角、オークキングに進化できたのです。。死ぬまでにオークロード当たりに進化したいですね)」
「おお、オークロードかぁ! 豚ちゃんは向上心があるんだねぇ!」
そう言った瞬間、ダンジョンコアに思い切り魔力を吸引される。
「うわっ!?」
「フゴッ、フゴッ!?(ど、どうしました!?)」
「い、いや、いまものすごく魔力を持っていかれた気がしたんだけど……。気のせいかな?」
気のせいだよね?
多分……。
「まあいいや。それじゃあ、豚ちゃん! 今度はボクに質問してよ!」
「フッ? フゴッ、フゴッ(えっ? そうですね……。それじゃあ、マスターがダンジョンを自由にすることができるならどうしたいですか?)」
「うん? ダンジョンを自由に?」
中々、難しい質問だ。
でもダンジョンを自分の好きなようにこねくり回していいというなら……。
「……そうだね。すごく強いモンスターが一杯のダンジョンを作りたいかなぁ? 難易度MAXの!」
「フゴッ、フゴッ(ええっ……。それはなんで……)」
「だって、なんだかカッコいいじゃない。絶対に攻略できないダンジョンを構築して、他の人達がそれに挑む。それを遥かなる高みから眺めるボク。なんか面白そうじゃない?」
「フゴッ、フゴッ(そ、そうですか?)」
「うん。そうだよー」
オークキングにこういった話は伝わらなかったようだ。
その後、ダンジョンコアに魔力を吸引されること三十分。
ダンジョンコアの輝きが増し、白から黒に色が段々変わり始めた。
しかし、指が離れる様子はない。
オークキングに至っては、ボクが平然としている様子から心配を通り越して、『まだ終わらないんですか?』みたいな表情を浮かべ、後ろでフゴフゴ鳴いている。
「コアちゃん、コアちゃん。もう十分過ぎる位、ボクから魔力を吸い取ったでしょ? そろそろ開放して欲しいなーなんて……。うん?」
ダンジョンコアにそう話しかけると同時にダンジョンコアが漆黒に染まり指が離れる。
三十分間ボクの魔力を吸い取り続け、ようやく満足してくれたようだ。
「ふう。ようやくお腹一杯になってくれたのかな?」
しかし、あんなに真っ白に輝いていたダンジョンコアが、こんなにも真っ黒になってしまうとは……。まあいいか。あれこれ悩んでいても仕方がないし……。
「それじゃあ、豚ちゃん! そろそろ帰ろうか!」
そう言って後ろを振り向くと、そこには……。
「フゴッ、フゴッ(ようやく終わりましたか)」
オークロードに進化を遂げたオークキングの姿があった。
「あれ? 豚ちゃん、どうしたの? ちょっと見ない間に老けた?」
おかしいな。ちょっと前はただのオークキングだったはずなのに……。
少し目を離したらオークロードに進化していた。
……まあいいか。オークがオークキングになろうが、オークキングがオークロードになろうがボクには関係ない。
モンスターが進化するのは当たり前のこと。ゴブリンだって簡単にホブゴブリンに進化するんだ。
「フゴッ、フゴッ(よくはわかりませんが、急に力が湧いてきて……)」
「そっかぁ~、それは良かったね! それじゃあ、そろそろ帰ろうか! とっても面白かったよ。良い物見せてくれてありがとう!」
「フゴッ、フゴッ(はい。足元にお気を付けください)」
「うん。ありがとう」
オークロードの手を取り、転ばないよう地下空洞を出ると外の景色が様変わりしていた。
空を飛ぶ無数のドラゴン。
森を徘徊する巨大なフォレストサーペント。それを狩る王様ばかりとなってしまったゴブリンキングの群れ。
一体、ダンジョンになにが起こったのだろうか?
さて今日はなにして遊ぼうかな?
うーんと、唸っていると名案を思い付いた。
そうだ。折角なのでダンジョン内を観光しようと……。
ここは冒険者ギルドが管理するダンジョン。またいつ入ることができるかわからない。
それなら今日一日を使ってダンジョン内観光をしよう。
おかわりの紅茶を注いでくれるオークキングに視線を向けると、ボクは笑顔で話しかける。
「ねえ豚ちゃん。お願いがあるんだけど聞いてくれないかな?」
「フゴッ、フゴッ?(お願いですか? 別に構いませんが……)」
「本当にっ? ありがとう! 流石は豚ちゃん! わかってるー!」
相変わらずなにを言っているのかわからないけど、オークキングは頷いてくれた。
おそらく、OK的なことを言っているのだろう。流石はオークキングである。
「それじゃあ、この辺りの観光スポットを案内してくれないかな? 明日、ダンジョンを出なきゃいけないから、ここでしか見ることのできないスポットとかだと嬉しいんだけど……」
「フゴッ、フゴッ(ここでしか見ることのできないスポットですか……)」
オークキングは考え込むと、紅茶の入ったポットを置き、ポンと手をついた。
◇◆◇
「うわー! すごーい!」
どうも、オークキングこと豚ちゃんの案内でダンジョン内を観光中のリーメイです。
オークキングにここでしか見ることのできないスポットを案内してと無茶振りしたら、ダンジョンの最奥、ダンジョンコアが安置されている地下空洞に案内されました。
ダンジョンコア。簡単に言えば、ダンジョン内の空調や地形、モンスターの管理を行うことのできる不思議物体である。脈動し白く光り輝くそれは、まるで生き物のように点滅を繰り返している。
「すごーい。なんだか生き物みたいだね! うん?」
ダンジョンコアを指で突くと、指先に違和感を感じた。
「フゴッ、フゴッ(あっ、それに触れちゃ……)」
「えっ?」
すると、ダンジョンコアは瞬く間にボクの魔力を吸い取っていく。
「おおっ!」
ものすごい吸引力。身体からすべての魔力がもっていかれそうだ。
宙をなぞり亜空間から『魔力増強』の呪符を取り出すと、それを身体に付し魔力吸引が終わるのを待つ。
なんで指先を離さないのかって?
そんなことは決まっている。
まるでダンジョンコアと一体化してしまったかのように、指先が離れなくなってしまったのだ。オーマイゴット。
オークキングも背後でフゴフゴ騒いでいる。
多分、ボクのことを心配してくれているのだろう。
とはいえ、いまボクにできることはダンジョンコアの魔力吸引が終わるのことだけ。
「うーん。しょうがないなぁ……」
オークキングの方を向きそう呟く。
「それじゃあ、豚ちゃん。ボクの話し相手になってよ!」
「フゴッ、フゴッ?(えっ、私がですか?)」
「うん。そうだよー? だってボク、ここから動けないんだよ。喋り相手が欲しいじゃない」
「フゴッ、フゴッ(まあ、私で良ければ構いませんが……)」
「うんうん。ありがとう!」
流石はオークキング。話のわかる豚ちゃんだ。
「それじゃあ、豚ちゃんはこれから先、どうなりたいのー?」
「フゴッ、フゴッ(これから先ですか? 漠然としてますね……)」
「まあいいじゃん。いいじゃん!」
「フゴッ、フゴッ(そうですね……。折角、オークキングに進化できたのです。。死ぬまでにオークロード当たりに進化したいですね)」
「おお、オークロードかぁ! 豚ちゃんは向上心があるんだねぇ!」
そう言った瞬間、ダンジョンコアに思い切り魔力を吸引される。
「うわっ!?」
「フゴッ、フゴッ!?(ど、どうしました!?)」
「い、いや、いまものすごく魔力を持っていかれた気がしたんだけど……。気のせいかな?」
気のせいだよね?
多分……。
「まあいいや。それじゃあ、豚ちゃん! 今度はボクに質問してよ!」
「フッ? フゴッ、フゴッ(えっ? そうですね……。それじゃあ、マスターがダンジョンを自由にすることができるならどうしたいですか?)」
「うん? ダンジョンを自由に?」
中々、難しい質問だ。
でもダンジョンを自分の好きなようにこねくり回していいというなら……。
「……そうだね。すごく強いモンスターが一杯のダンジョンを作りたいかなぁ? 難易度MAXの!」
「フゴッ、フゴッ(ええっ……。それはなんで……)」
「だって、なんだかカッコいいじゃない。絶対に攻略できないダンジョンを構築して、他の人達がそれに挑む。それを遥かなる高みから眺めるボク。なんか面白そうじゃない?」
「フゴッ、フゴッ(そ、そうですか?)」
「うん。そうだよー」
オークキングにこういった話は伝わらなかったようだ。
その後、ダンジョンコアに魔力を吸引されること三十分。
ダンジョンコアの輝きが増し、白から黒に色が段々変わり始めた。
しかし、指が離れる様子はない。
オークキングに至っては、ボクが平然としている様子から心配を通り越して、『まだ終わらないんですか?』みたいな表情を浮かべ、後ろでフゴフゴ鳴いている。
「コアちゃん、コアちゃん。もう十分過ぎる位、ボクから魔力を吸い取ったでしょ? そろそろ開放して欲しいなーなんて……。うん?」
ダンジョンコアにそう話しかけると同時にダンジョンコアが漆黒に染まり指が離れる。
三十分間ボクの魔力を吸い取り続け、ようやく満足してくれたようだ。
「ふう。ようやくお腹一杯になってくれたのかな?」
しかし、あんなに真っ白に輝いていたダンジョンコアが、こんなにも真っ黒になってしまうとは……。まあいいか。あれこれ悩んでいても仕方がないし……。
「それじゃあ、豚ちゃん! そろそろ帰ろうか!」
そう言って後ろを振り向くと、そこには……。
「フゴッ、フゴッ(ようやく終わりましたか)」
オークロードに進化を遂げたオークキングの姿があった。
「あれ? 豚ちゃん、どうしたの? ちょっと見ない間に老けた?」
おかしいな。ちょっと前はただのオークキングだったはずなのに……。
少し目を離したらオークロードに進化していた。
……まあいいか。オークがオークキングになろうが、オークキングがオークロードになろうがボクには関係ない。
モンスターが進化するのは当たり前のこと。ゴブリンだって簡単にホブゴブリンに進化するんだ。
「フゴッ、フゴッ(よくはわかりませんが、急に力が湧いてきて……)」
「そっかぁ~、それは良かったね! それじゃあ、そろそろ帰ろうか! とっても面白かったよ。良い物見せてくれてありがとう!」
「フゴッ、フゴッ(はい。足元にお気を付けください)」
「うん。ありがとう」
オークロードの手を取り、転ばないよう地下空洞を出ると外の景色が様変わりしていた。
空を飛ぶ無数のドラゴン。
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