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第一章 最強呪符使い故郷を追われる
金貨四百枚の依頼②
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なにが嬉しいのかまったく分からないけど、この形相を見ただけで、受けるのやっぱり止めようかなと思ってしまう程の形相だ。
「そ、それで、依頼には、花ゴブリンの生態調査とありますが、具体的に、なにをすれば依頼達成となるのでしょうか?」
そう尋ねると、ゴールド・レトリバー老は簡潔に述べる。
「……そうじゃな。ワシは花ゴブリンの頭に生える植物について研究している学者じゃ。君には花ゴブリンの森でできるだけ多くの花ゴブリンのサンプルを集めてほしいと思っておる」
「サンプルですか?」
「ああ、その通りじゃ。花ゴブリンの頭に生える植物の生態を調べるには、多くの花ゴブリンの検体が必要となる。安心するといい。Fランク冒険者であれば花ゴブリン位、簡単に倒せる。依頼には、生態調査とあるがね。実際には、花ゴブリンの検体を集めるだけの簡単な仕事なのじゃよ。ふえっふえっふえっ」
なるほど、花ゴブリンの検体収集か……。
確かに、それならなんとかなるかも知れない。
「えっと、その検体は生死不問ですか?」
そう質問すると、ゴールド・レトリバー老は笑い出す。
「ふえっふえっふえっ、面白い冒険者じゃな君は……もちろん、検体の生死は問わんよ。むしろ、いままでの冒険者達は、倒した花ゴブリンをワシの元に持ってきてくれていたがのぉ」
「へえ、そうなんですか……」
検体にするなら生きている状態の方がいいに決まっている。
依頼内容も簡単そうだし、これならなんとかなりそうだ。
「……それならなんとかなりそうです! それじゃあ、すぐに花ゴブリンの生態調査に向かいましょう。捕えた花ゴブリンはどうしたらいいですか?」
そう尋ねると、ゴールド・レトリバー老は笑みを浮かべる。
「ふえっふえっふえっ、血気盛んじゃのぉ。いいじゃろ、捕えた花ゴブリンはワシが指定する場所に連れてきてくれればいい。とりあえず、花ゴブリンの森へ向かおうか、一緒にのぉ」
「はい。よろしくお願いします!」
ゴールド・レトリバー老が浮かべる笑みに、ポメちゃんが「キャンキャン」吠える。
「キャンキャン(やばいよー。そのお爺さんから、やばそうな臭いがするよー)」
「そんなことないよ、ポメちゃん。それじゃあ、お爺ちゃん! 一緒に向かおー!」
そういうと、ボクはゴールド・レトリバー老と共に『花ゴブリンの森』へと向かった。
◇◆◇
『花ゴブリンの森』に到着し、ゴールド・レトリバー老の案内で森の中を進んでいくと洞窟が見えてきた。
「ふえっふえっふえっ、それではリーメイ君。ワシはこの洞窟の奥で待っているから、花ゴブリンを捕らえたらここに連れてきてくれ」
「はい。わかりました」
そう言うと、ゴールド・レトリバー老は笑みを浮かべながら洞窟の中に入っていく。
「キャンキャン?(ねーねー、僕も遊びに行ってきてもいい?)」
「うん。いいよー。でも、花ゴブリンは襲っちゃダメだからね」
「キャンキャン(わかったよー)」
ポメちゃんに付されている『縮小』の呪符を剥がすと、ポメちゃんが本来の大きさを取り戻す。
「キャンキャン(力が溢れてくる。力が溢れてくるー)」
そして、フルフル身体を震わせると、森の中を駆けていった。
「夕方には戻ってくるんだよー!」
ポメちゃんを見送ったボクは、周囲にいるであろう花ゴブリンを見つけるため、亜空間から『探知』の呪符を取り出し頭に貼り付ける。
「えーっと、この辺りに花ゴブリンは……うん?」
すると、ゴールド・レトリバー老の入っていった洞窟。その左右に隠された空間にこれでもかという位、押し込められた花ゴブリンの存在を探知した。
「なんでこんな所に花ゴブリンが?」
なんだかよくわからないけど、洞窟内が花ゴブリンで一杯だ。
これでもかといった具合にぎゅうぎゅう詰めで閉じ込められているためか、弱っている個体も多いように感じる。
これはチャンスである。
なんでこんな所に花ゴブリンが閉じ込められているかわからないけど、これなら簡単に依頼が達成できそうだ。
宙をなぞり亜空間から『隷属』の呪符を取り出し、周囲に浮かばせると、片手に妖刀ムラマサを持ち、花ゴブリンが閉じ込められた空間の側面に構えた。
『起きろ。ムラマサ』
開合を唱えると、妖刀ムラマサの刀身から黒い瘴気が湧き上がる。
そして妖刀ムラマサをゆっくり薙ぐと黒い奔流が洞窟の側面を音もなく削り取った。
「……ふう。これでよしと」
妖刀ムラマサの力により削り取られた洞窟の側面。
そこにぽっかり穴が開くと、中から一匹、また一匹と花ゴブリンが姿を現す。
穴の横で待ち構えていたボクは、穴から出てきた花ゴブリンに『隷属』の呪符を貼り付け、出てきた順に整列させていく。
「うーん。これで全部かな?」
もう片方の洞窟の側面を妖刀ムラマサで崩し、『隷属』の呪符で花ゴブリンを強制的に支配下に置くとニコリと笑う。
目の前には、満開の花を咲かせた花ゴブリンが百二十体。
これだけ多くの花ゴブリンを検体として提供できればゴールド・レトリバー老も喜んでくれること間違いなしだ。
「それじゃあ、みんな、ボクについて来てー」
「「ゴブッ!!」」
そう号令をかけると、花ゴブリンを連れ洞窟の中へと入っていった。
「そ、それで、依頼には、花ゴブリンの生態調査とありますが、具体的に、なにをすれば依頼達成となるのでしょうか?」
そう尋ねると、ゴールド・レトリバー老は簡潔に述べる。
「……そうじゃな。ワシは花ゴブリンの頭に生える植物について研究している学者じゃ。君には花ゴブリンの森でできるだけ多くの花ゴブリンのサンプルを集めてほしいと思っておる」
「サンプルですか?」
「ああ、その通りじゃ。花ゴブリンの頭に生える植物の生態を調べるには、多くの花ゴブリンの検体が必要となる。安心するといい。Fランク冒険者であれば花ゴブリン位、簡単に倒せる。依頼には、生態調査とあるがね。実際には、花ゴブリンの検体を集めるだけの簡単な仕事なのじゃよ。ふえっふえっふえっ」
なるほど、花ゴブリンの検体収集か……。
確かに、それならなんとかなるかも知れない。
「えっと、その検体は生死不問ですか?」
そう質問すると、ゴールド・レトリバー老は笑い出す。
「ふえっふえっふえっ、面白い冒険者じゃな君は……もちろん、検体の生死は問わんよ。むしろ、いままでの冒険者達は、倒した花ゴブリンをワシの元に持ってきてくれていたがのぉ」
「へえ、そうなんですか……」
検体にするなら生きている状態の方がいいに決まっている。
依頼内容も簡単そうだし、これならなんとかなりそうだ。
「……それならなんとかなりそうです! それじゃあ、すぐに花ゴブリンの生態調査に向かいましょう。捕えた花ゴブリンはどうしたらいいですか?」
そう尋ねると、ゴールド・レトリバー老は笑みを浮かべる。
「ふえっふえっふえっ、血気盛んじゃのぉ。いいじゃろ、捕えた花ゴブリンはワシが指定する場所に連れてきてくれればいい。とりあえず、花ゴブリンの森へ向かおうか、一緒にのぉ」
「はい。よろしくお願いします!」
ゴールド・レトリバー老が浮かべる笑みに、ポメちゃんが「キャンキャン」吠える。
「キャンキャン(やばいよー。そのお爺さんから、やばそうな臭いがするよー)」
「そんなことないよ、ポメちゃん。それじゃあ、お爺ちゃん! 一緒に向かおー!」
そういうと、ボクはゴールド・レトリバー老と共に『花ゴブリンの森』へと向かった。
◇◆◇
『花ゴブリンの森』に到着し、ゴールド・レトリバー老の案内で森の中を進んでいくと洞窟が見えてきた。
「ふえっふえっふえっ、それではリーメイ君。ワシはこの洞窟の奥で待っているから、花ゴブリンを捕らえたらここに連れてきてくれ」
「はい。わかりました」
そう言うと、ゴールド・レトリバー老は笑みを浮かべながら洞窟の中に入っていく。
「キャンキャン?(ねーねー、僕も遊びに行ってきてもいい?)」
「うん。いいよー。でも、花ゴブリンは襲っちゃダメだからね」
「キャンキャン(わかったよー)」
ポメちゃんに付されている『縮小』の呪符を剥がすと、ポメちゃんが本来の大きさを取り戻す。
「キャンキャン(力が溢れてくる。力が溢れてくるー)」
そして、フルフル身体を震わせると、森の中を駆けていった。
「夕方には戻ってくるんだよー!」
ポメちゃんを見送ったボクは、周囲にいるであろう花ゴブリンを見つけるため、亜空間から『探知』の呪符を取り出し頭に貼り付ける。
「えーっと、この辺りに花ゴブリンは……うん?」
すると、ゴールド・レトリバー老の入っていった洞窟。その左右に隠された空間にこれでもかという位、押し込められた花ゴブリンの存在を探知した。
「なんでこんな所に花ゴブリンが?」
なんだかよくわからないけど、洞窟内が花ゴブリンで一杯だ。
これでもかといった具合にぎゅうぎゅう詰めで閉じ込められているためか、弱っている個体も多いように感じる。
これはチャンスである。
なんでこんな所に花ゴブリンが閉じ込められているかわからないけど、これなら簡単に依頼が達成できそうだ。
宙をなぞり亜空間から『隷属』の呪符を取り出し、周囲に浮かばせると、片手に妖刀ムラマサを持ち、花ゴブリンが閉じ込められた空間の側面に構えた。
『起きろ。ムラマサ』
開合を唱えると、妖刀ムラマサの刀身から黒い瘴気が湧き上がる。
そして妖刀ムラマサをゆっくり薙ぐと黒い奔流が洞窟の側面を音もなく削り取った。
「……ふう。これでよしと」
妖刀ムラマサの力により削り取られた洞窟の側面。
そこにぽっかり穴が開くと、中から一匹、また一匹と花ゴブリンが姿を現す。
穴の横で待ち構えていたボクは、穴から出てきた花ゴブリンに『隷属』の呪符を貼り付け、出てきた順に整列させていく。
「うーん。これで全部かな?」
もう片方の洞窟の側面を妖刀ムラマサで崩し、『隷属』の呪符で花ゴブリンを強制的に支配下に置くとニコリと笑う。
目の前には、満開の花を咲かせた花ゴブリンが百二十体。
これだけ多くの花ゴブリンを検体として提供できればゴールド・レトリバー老も喜んでくれること間違いなしだ。
「それじゃあ、みんな、ボクについて来てー」
「「ゴブッ!!」」
そう号令をかけると、花ゴブリンを連れ洞窟の中へと入っていった。
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