最強呪符使い転生―故郷を追い出され、奴隷として売られました。国が大変な事になったからお前を買い戻したい?すいませんが他を当たって下さい―

びーぜろ

文字の大きさ
60 / 73
第一章 最強呪符使い故郷を追われる

その後の話②

しおりを挟む
 金貨四百枚の依頼が金貨十枚の依頼に代わってしまったのは仕方がない。
 あれだけのことをされた被害者に対する賠償金額が金貨三十枚というのも、それはそれで可哀想なものだ。

「それじゃあ、これだけでも買い取ってもらえますか?」

 そう言うと、ボクは花ゴブリンの森の洞窟で見つけた鉱物を取り出し、カウンターの上に置いた。

「こ、これは……」

 カウンターの上に置いたのは、ミスリルの結晶、そして金だ。
 置いた瞬間、冒険者の視線が一気に集まる。

 受付嬢は目を丸くすると、目の前に置かれた鉱物を手に取り鑑定にかける。

「ほ、本物の金とミスリルです。い、一体どこでこれを……?」
「それは……。ちょっと、諸事情で言えないのですけど……」

 花ゴブリンの森にある洞窟は崩落してしまったし、あの森にはフォレストベアーが多数生息している。
 採り尽くしてしまったことから、教えた所で取れるとは思えないというのも理由の一つだ。
 龍穴であることを考慮しても、新たに採掘できるようになりには数十年の月日がかかる。

「お、おいおい。それは、ないんじゃないか?」
「金銀ミスリルを独り占めしようだなんて冒険者の風上にもおけねえ!」
「そうだ、そうだ!」

「え、ええっ、でも……」

 花ゴブリンの森の洞窟内にあった鉱石は採り尽くしてしまった。
 今更教えて、あの場所に行かれても危険なだけだ。

 しかし、そのことを知らない冒険者達はヒートアップしていく。

「このままじゃ埒があかねぇな……」
「そうだな。ここは手っ取り早く……」

 血の気の多い冒険者達が指の関節をポキリと鳴らす。

「はい。ちょっと待って下さい!」

 今にも襲い掛かってきそうだった冒険者を止めたのは、受付嬢さんだった。

「……皆さん。今、なにをしようとしたんですか? 冒険者ギルド内で、冒険者の輪を乱す行為をされては困ります。それに鉱脈を見つけたのはリーメイ君です。あなた達、まさか暴力でリーメイ君を脅し付け、お金になりそうな情報をタダで得ようなんて、思ってないでしょうね?」

 受付嬢にそう言われ、たじろぐ冒険者達。

「ううっ! でもよ……」
「でももクソもありません。この件に関して、リーメイ君に直接問い正すことを冒険者ギルドとして、禁止します」

 ピシャリと告げると、冒険者達は押し黙る。
 冒険者ギルドに禁止されてはそれに従う他ない。

「……それとね、リーメイ君。話したくない理由もあるかも知れないけど、冒険者ギルドに加入する冒険者が鉱脈を見つけた以上、冒険者ギルドとしては、この情報を領主様に報告しなければならないの。申し訳ないけど、詳しい話を聞かせてもらうわ。あなたのことを危険に晒さないためにもね?」

 そう言われてしまえば仕方がない。
 信じてもらえるかわからないが、説明することにしよう。

「話は応接室で聞かせてもらうわ。着いてきて頂戴……」
「はい。わかりました」

 敢えて隠す必要のない情報ということもあり、リーメイは応接室の椅子に座ると、知る限りすべての情報を開示した。

 花ゴブリンの森に洞窟があること。
 洞窟内に龍穴があり、そこで噴き出した気が鉱物を金銀ミスリルに変化させたであろうこと。
 金銀ミスリルを採り尽くしてしまっているので再び採掘できるようになるには数十年単位の時間がかかること。
 洞窟は既に崩落し、非常に危険な状態にあること。

 知る限りの情報すべてを話すと、受付嬢が息を吐く。

「なるほど、わかりました。貴重な情報をありがとう。この金とミスリルについては、こちらで買い取らせて頂きたいと思います。それで、金やミスリルはこれで全部ですか?」
「いえ、ボクも金銀ミスリルを使って作りたい物があるので全部ではありません」

 そう告げると、受付嬢さんは残念そうな表情を浮かべる。

「そう。仕方がないわね。本当であれば、リーメイ君の持つ鉱物すべてを引き取りたい所だけど、無理強いはできないし……それなら一つだけ……」

 受付嬢さんは指を立てると真剣な表情を浮かべる。

「……今のリーメイ君は非常に危険な状態にあるの。少なくとも、あの場所にいた冒険者全員に大金を持っていると思われているわ。冒険者には釘を打っておいたけど、中には、暴力的な手段に訴えてくる冒険者もいるかも知れない。リーメイ君なら大丈夫かもしれないけど、気を付けて頂戴!」
「はい。わかりました。それで、金とミスリルはいくらで買い取ってくれるんですか?」
「そうですね。一グラム当たり八千円として一キロあるから金貨八百枚でどうかしら?」
「き、金貨八百枚っ!?」

 マッチョンさんに対する借金を支払って尚、金貨が四百枚余る計算だ。

「本来であれば、ここから冒険者ギルドの取り分として一割を頂くのだけど、鉱脈の情報を教えてもらったし、そこはサービスしておくわ」
「ありがとうございます!」

 金貨八百枚あれば、余裕で借金を返済することができる!

「それじゃあ、契約成立ね」

 そう言うと、受付嬢さんがテーブルに金貨八百枚を入れた袋を置く。
 リーメイはそれを受け取ると、中身を数え、亜空間へ収納した。

「それじゃあ、ボクはこれで……またなにかあったらよろしくお願いします!」
「リーメイ君も、なにか困ったことがあればすぐに冒険者ギルドに相談してね」
「はい。その時は必ず相談させて頂きます!」

 金貨八百枚を受け取ると、リーメイは冒険者ギルドを後にした。

 ---------------------------------------------------------------


 2022年8月18日PM15時10分の更新となります。
しおりを挟む
感想 40

あなたにおすすめの小説

~唯一王の成り上がり~ 外れスキル「精霊王」の俺、パーティーを首になった瞬間スキルが開花、Sランク冒険者へと成り上がり、英雄となる

静内燕
ファンタジー
【カクヨムコン最終選考進出】 【複数サイトでランキング入り】 追放された主人公フライがその能力を覚醒させ、成り上がりっていく物語 主人公フライ。 仲間たちがスキルを開花させ、パーティーがSランクまで昇華していく中、彼が与えられたスキルは「精霊王」という伝説上の生き物にしか対象にできない使用用途が限られた外れスキルだった。 フライはダンジョンの案内役や、料理、周囲の加護、荷物持ちなど、あらゆる雑用を喜んでこなしていた。 外れスキルの自分でも、仲間達の役に立てるからと。 しかしその奮闘ぶりは、恵まれたスキルを持つ仲間たちからは認められず、毎日のように不当な扱いを受ける日々。 そしてとうとうダンジョンの中でパーティーからの追放を宣告されてしまう。 「お前みたいなゴミの変わりはいくらでもいる」 最後のクエストのダンジョンの主は、今までと比較にならないほど強く、歯が立たない敵だった。 仲間たちは我先に逃亡、残ったのはフライ一人だけ。 そこでダンジョンの主は告げる、あなたのスキルを待っていた。と──。 そして不遇だったスキルがようやく開花し、最強の冒険者へとのし上がっていく。 一方、裏方で支えていたフライがいなくなったパーティーたちが没落していく物語。 イラスト 卯月凪沙様より

【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】 【第5回一二三書房Web小説大賞コミカライズ賞】 ~ポルカコミックスでの漫画化(コミカライズ)決定!~  ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。  学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。  何か実力を隠す特別な理由があるのか。  いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。  そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。  貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。  オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。    世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな! ※小説家になろう、カクヨム、pixivにも投稿中。

《レベル∞》の万物創造スキルで追放された俺、辺境を開拓してたら気づけば神々の箱庭になっていた

夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティーの雑用係だったカイは、魔王討伐後「無能」の烙印を押され追放される。全てを失い、死を覚悟して流れ着いた「忘れられた辺境」。そこで彼のハズレスキルは真の姿《万物創造》へと覚醒した。 無から有を生み、世界の理すら書き換える神の如き力。カイはまず、生きるために快適な家を、豊かな畑を、そして清らかな川を創造する。荒れ果てた土地は、みるみるうちに楽園へと姿を変えていった。 やがて、彼の元には行き場を失った獣人の少女やエルフの賢者、ドワーフの鍛冶師など、心優しき仲間たちが集い始める。これは、追放された一人の青年が、大切な仲間たちと共に理想郷を築き、やがてその地が「神々の箱庭」と呼ばれるまでの物語。

世界最強の賢者、勇者パーティーを追放される~いまさら帰ってこいと言われてももう遅い俺は拾ってくれた最強のお姫様と幸せに過ごす~

aoi
ファンタジー
「なぁ、マギそろそろこのパーティーを抜けてくれないか?」 勇者パーティーに勤めて数年、いきなりパーティーを戦闘ができずに女に守られてばかりだからと追放された賢者マギ。王都で新しい仕事を探すにも勇者パーティーが邪魔をして見つからない。そんな時、とある国のお姫様がマギに声をかけてきて......? お姫様の為に全力を尽くす賢者マギが無双する!?

無能扱いされ、パーティーを追放されたおっさん、実はチートスキル持ちでした。戻ってきてくれ、と言ってももう遅い。田舎でゆったりスローライフ。

さら
ファンタジー
かつて勇者パーティーに所属していたジル。 だが「無能」と嘲られ、役立たずと追放されてしまう。 行くあてもなく田舎の村へ流れ着いた彼は、鍬を振るい畑を耕し、のんびり暮らすつもりだった。 ――だが、誰も知らなかった。 ジルには“世界を覆すほどのチートスキル”が隠されていたのだ。 襲いかかる魔物を一撃で粉砕し、村を脅かす街の圧力をはねのけ、いつしか彼は「英雄」と呼ばれる存在に。 「戻ってきてくれ」と泣きつく元仲間? もう遅い。 俺はこの村で、仲間と共に、気ままにスローライフを楽しむ――そう決めたんだ。 無能扱いされたおっさんが、実は最強チートで世界を揺るがす!? のんびり田舎暮らし×無双ファンタジー、ここに開幕!

Sランクパーティーを追放された鑑定士の俺、実は『神の眼』を持ってました〜最神神獣と最強になったので、今さら戻ってこいと言われてももう遅い〜

夏見ナイ
ファンタジー
Sランクパーティーで地味な【鑑定】スキルを使い、仲間を支えてきたカイン。しかしある日、リーダーの勇者から「お前はもういらない」と理不尽に追放されてしまう。 絶望の淵で流れ着いた辺境の街。そこで偶然発見した古代ダンジョンが、彼の運命を変える。絶体絶命の危機に陥ったその時、彼のスキルは万物を見通す【神の眼】へと覚醒。さらに、ダンジョンの奥で伝説のもふもふ神獣「フェン」と出会い、最強の相棒を得る。 一方、カインを失った元パーティーは鑑定ミスを連発し、崩壊の一途を辿っていた。「今さら戻ってこい」と懇願されても、もう遅い。 無能と蔑まれた鑑定士の、痛快な成り上がり冒険譚が今、始まる!

『スローライフどこ行った?!』追放された最強凡人は望まぬハーレムに困惑する?!

たらふくごん
ファンタジー
最強の凡人――追放され、転生した蘇我頼人。 新たな世界で、彼は『ライト・ガルデス』として再び生を受ける。 ※※※※※ 1億年の試練。 そして、神をもしのぐ力。 それでも俺の望みは――ただのスローライフだった。 すべての試練を終え、創世神にすら認められた俺。 だが、もはや生きることに飽きていた。 『違う選択肢もあるぞ?』 創世神の言葉に乗り気でなかった俺は、 その“策略”にまんまと引っかかる。 ――『神しか飲めぬ最高級のお茶』。 確かに神は嘘をついていない。 けれど、あの流れは勘違いするだろうがっ!! そして俺は、あまりにも非道な仕打ちの末、 神の娘ティアリーナが治める世界へと“追放転生”させられた。 記憶を失い、『ライト・ガルデス』として迎えた新しい日々。 それは、久しく感じたことのない“安心”と“愛”に満ちていた。 だが――5歳の洗礼の儀式を境に、運命は動き出す。 くどいようだが、俺の望みはスローライフ。 ……のはずだったのに。 呪いのような“女難の相”が炸裂し、 気づけば婚約者たちに囲まれる毎日。 どうしてこうなった!?

レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。

玉ねぎサーモン
ファンタジー
絶望スキル× 害悪スキル=限界突破のユニークスキル…!? 成長できない主人公と存在するだけで周りを傷つける美少女が出会ったら、激レアユニークスキルに! 故郷を魔王に滅ぼされたむっつりスケベな主人公。 この世界ではおよそ1000人に1人がスキルを覚醒する。 持てるスキルは人によって決まっており、1つから最大5つまで。 主人公のロックは世界最高5つのスキルを持てるため将来を期待されたが、覚醒したのはハズレスキルばかり。レベルアップ時のステータス上昇値が半減する「成長抑制」を覚えたかと思えば、その次には経験値が一切入らなくなる「無駄骨」…。 期待を裏切ったため育ての親に殺されかける。 その後最高レア度のユニークスキル「スキルスナッチ」スキルを覚醒。 仲間と出会いさらに強力なユニークスキルを手に入れて世界最強へ…!? 美少女たちと冒険する主人公は、仇をとり、故郷を取り戻すことができるのか。 この作品はカクヨム・小説家になろう・Youtubeにも掲載しています。

処理中です...