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第一章 最強呪符使い故郷を追われる
その後の話②
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金貨四百枚の依頼が金貨十枚の依頼に代わってしまったのは仕方がない。
あれだけのことをされた被害者に対する賠償金額が金貨三十枚というのも、それはそれで可哀想なものだ。
「それじゃあ、これだけでも買い取ってもらえますか?」
そう言うと、ボクは花ゴブリンの森の洞窟で見つけた鉱物を取り出し、カウンターの上に置いた。
「こ、これは……」
カウンターの上に置いたのは、ミスリルの結晶、そして金だ。
置いた瞬間、冒険者の視線が一気に集まる。
受付嬢は目を丸くすると、目の前に置かれた鉱物を手に取り鑑定にかける。
「ほ、本物の金とミスリルです。い、一体どこでこれを……?」
「それは……。ちょっと、諸事情で言えないのですけど……」
花ゴブリンの森にある洞窟は崩落してしまったし、あの森にはフォレストベアーが多数生息している。
採り尽くしてしまったことから、教えた所で取れるとは思えないというのも理由の一つだ。
龍穴であることを考慮しても、新たに採掘できるようになりには数十年の月日がかかる。
「お、おいおい。それは、ないんじゃないか?」
「金銀ミスリルを独り占めしようだなんて冒険者の風上にもおけねえ!」
「そうだ、そうだ!」
「え、ええっ、でも……」
花ゴブリンの森の洞窟内にあった鉱石は採り尽くしてしまった。
今更教えて、あの場所に行かれても危険なだけだ。
しかし、そのことを知らない冒険者達はヒートアップしていく。
「このままじゃ埒があかねぇな……」
「そうだな。ここは手っ取り早く……」
血の気の多い冒険者達が指の関節をポキリと鳴らす。
「はい。ちょっと待って下さい!」
今にも襲い掛かってきそうだった冒険者を止めたのは、受付嬢さんだった。
「……皆さん。今、なにをしようとしたんですか? 冒険者ギルド内で、冒険者の輪を乱す行為をされては困ります。それに鉱脈を見つけたのはリーメイ君です。あなた達、まさか暴力でリーメイ君を脅し付け、お金になりそうな情報をタダで得ようなんて、思ってないでしょうね?」
受付嬢にそう言われ、たじろぐ冒険者達。
「ううっ! でもよ……」
「でももクソもありません。この件に関して、リーメイ君に直接問い正すことを冒険者ギルドとして、禁止します」
ピシャリと告げると、冒険者達は押し黙る。
冒険者ギルドに禁止されてはそれに従う他ない。
「……それとね、リーメイ君。話したくない理由もあるかも知れないけど、冒険者ギルドに加入する冒険者が鉱脈を見つけた以上、冒険者ギルドとしては、この情報を領主様に報告しなければならないの。申し訳ないけど、詳しい話を聞かせてもらうわ。あなたのことを危険に晒さないためにもね?」
そう言われてしまえば仕方がない。
信じてもらえるかわからないが、説明することにしよう。
「話は応接室で聞かせてもらうわ。着いてきて頂戴……」
「はい。わかりました」
敢えて隠す必要のない情報ということもあり、リーメイは応接室の椅子に座ると、知る限りすべての情報を開示した。
花ゴブリンの森に洞窟があること。
洞窟内に龍穴があり、そこで噴き出した気が鉱物を金銀ミスリルに変化させたであろうこと。
金銀ミスリルを採り尽くしてしまっているので再び採掘できるようになるには数十年単位の時間がかかること。
洞窟は既に崩落し、非常に危険な状態にあること。
知る限りの情報すべてを話すと、受付嬢が息を吐く。
「なるほど、わかりました。貴重な情報をありがとう。この金とミスリルについては、こちらで買い取らせて頂きたいと思います。それで、金やミスリルはこれで全部ですか?」
「いえ、ボクも金銀ミスリルを使って作りたい物があるので全部ではありません」
そう告げると、受付嬢さんは残念そうな表情を浮かべる。
「そう。仕方がないわね。本当であれば、リーメイ君の持つ鉱物すべてを引き取りたい所だけど、無理強いはできないし……それなら一つだけ……」
受付嬢さんは指を立てると真剣な表情を浮かべる。
「……今のリーメイ君は非常に危険な状態にあるの。少なくとも、あの場所にいた冒険者全員に大金を持っていると思われているわ。冒険者には釘を打っておいたけど、中には、暴力的な手段に訴えてくる冒険者もいるかも知れない。リーメイ君なら大丈夫かもしれないけど、気を付けて頂戴!」
「はい。わかりました。それで、金とミスリルはいくらで買い取ってくれるんですか?」
「そうですね。一グラム当たり八千円として一キロあるから金貨八百枚でどうかしら?」
「き、金貨八百枚っ!?」
マッチョンさんに対する借金を支払って尚、金貨が四百枚余る計算だ。
「本来であれば、ここから冒険者ギルドの取り分として一割を頂くのだけど、鉱脈の情報を教えてもらったし、そこはサービスしておくわ」
「ありがとうございます!」
金貨八百枚あれば、余裕で借金を返済することができる!
「それじゃあ、契約成立ね」
そう言うと、受付嬢さんがテーブルに金貨八百枚を入れた袋を置く。
リーメイはそれを受け取ると、中身を数え、亜空間へ収納した。
「それじゃあ、ボクはこれで……またなにかあったらよろしくお願いします!」
「リーメイ君も、なにか困ったことがあればすぐに冒険者ギルドに相談してね」
「はい。その時は必ず相談させて頂きます!」
金貨八百枚を受け取ると、リーメイは冒険者ギルドを後にした。
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2022年8月18日PM15時10分の更新となります。
あれだけのことをされた被害者に対する賠償金額が金貨三十枚というのも、それはそれで可哀想なものだ。
「それじゃあ、これだけでも買い取ってもらえますか?」
そう言うと、ボクは花ゴブリンの森の洞窟で見つけた鉱物を取り出し、カウンターの上に置いた。
「こ、これは……」
カウンターの上に置いたのは、ミスリルの結晶、そして金だ。
置いた瞬間、冒険者の視線が一気に集まる。
受付嬢は目を丸くすると、目の前に置かれた鉱物を手に取り鑑定にかける。
「ほ、本物の金とミスリルです。い、一体どこでこれを……?」
「それは……。ちょっと、諸事情で言えないのですけど……」
花ゴブリンの森にある洞窟は崩落してしまったし、あの森にはフォレストベアーが多数生息している。
採り尽くしてしまったことから、教えた所で取れるとは思えないというのも理由の一つだ。
龍穴であることを考慮しても、新たに採掘できるようになりには数十年の月日がかかる。
「お、おいおい。それは、ないんじゃないか?」
「金銀ミスリルを独り占めしようだなんて冒険者の風上にもおけねえ!」
「そうだ、そうだ!」
「え、ええっ、でも……」
花ゴブリンの森の洞窟内にあった鉱石は採り尽くしてしまった。
今更教えて、あの場所に行かれても危険なだけだ。
しかし、そのことを知らない冒険者達はヒートアップしていく。
「このままじゃ埒があかねぇな……」
「そうだな。ここは手っ取り早く……」
血の気の多い冒険者達が指の関節をポキリと鳴らす。
「はい。ちょっと待って下さい!」
今にも襲い掛かってきそうだった冒険者を止めたのは、受付嬢さんだった。
「……皆さん。今、なにをしようとしたんですか? 冒険者ギルド内で、冒険者の輪を乱す行為をされては困ります。それに鉱脈を見つけたのはリーメイ君です。あなた達、まさか暴力でリーメイ君を脅し付け、お金になりそうな情報をタダで得ようなんて、思ってないでしょうね?」
受付嬢にそう言われ、たじろぐ冒険者達。
「ううっ! でもよ……」
「でももクソもありません。この件に関して、リーメイ君に直接問い正すことを冒険者ギルドとして、禁止します」
ピシャリと告げると、冒険者達は押し黙る。
冒険者ギルドに禁止されてはそれに従う他ない。
「……それとね、リーメイ君。話したくない理由もあるかも知れないけど、冒険者ギルドに加入する冒険者が鉱脈を見つけた以上、冒険者ギルドとしては、この情報を領主様に報告しなければならないの。申し訳ないけど、詳しい話を聞かせてもらうわ。あなたのことを危険に晒さないためにもね?」
そう言われてしまえば仕方がない。
信じてもらえるかわからないが、説明することにしよう。
「話は応接室で聞かせてもらうわ。着いてきて頂戴……」
「はい。わかりました」
敢えて隠す必要のない情報ということもあり、リーメイは応接室の椅子に座ると、知る限りすべての情報を開示した。
花ゴブリンの森に洞窟があること。
洞窟内に龍穴があり、そこで噴き出した気が鉱物を金銀ミスリルに変化させたであろうこと。
金銀ミスリルを採り尽くしてしまっているので再び採掘できるようになるには数十年単位の時間がかかること。
洞窟は既に崩落し、非常に危険な状態にあること。
知る限りの情報すべてを話すと、受付嬢が息を吐く。
「なるほど、わかりました。貴重な情報をありがとう。この金とミスリルについては、こちらで買い取らせて頂きたいと思います。それで、金やミスリルはこれで全部ですか?」
「いえ、ボクも金銀ミスリルを使って作りたい物があるので全部ではありません」
そう告げると、受付嬢さんは残念そうな表情を浮かべる。
「そう。仕方がないわね。本当であれば、リーメイ君の持つ鉱物すべてを引き取りたい所だけど、無理強いはできないし……それなら一つだけ……」
受付嬢さんは指を立てると真剣な表情を浮かべる。
「……今のリーメイ君は非常に危険な状態にあるの。少なくとも、あの場所にいた冒険者全員に大金を持っていると思われているわ。冒険者には釘を打っておいたけど、中には、暴力的な手段に訴えてくる冒険者もいるかも知れない。リーメイ君なら大丈夫かもしれないけど、気を付けて頂戴!」
「はい。わかりました。それで、金とミスリルはいくらで買い取ってくれるんですか?」
「そうですね。一グラム当たり八千円として一キロあるから金貨八百枚でどうかしら?」
「き、金貨八百枚っ!?」
マッチョンさんに対する借金を支払って尚、金貨が四百枚余る計算だ。
「本来であれば、ここから冒険者ギルドの取り分として一割を頂くのだけど、鉱脈の情報を教えてもらったし、そこはサービスしておくわ」
「ありがとうございます!」
金貨八百枚あれば、余裕で借金を返済することができる!
「それじゃあ、契約成立ね」
そう言うと、受付嬢さんがテーブルに金貨八百枚を入れた袋を置く。
リーメイはそれを受け取ると、中身を数え、亜空間へ収納した。
「それじゃあ、ボクはこれで……またなにかあったらよろしくお願いします!」
「リーメイ君も、なにか困ったことがあればすぐに冒険者ギルドに相談してね」
「はい。その時は必ず相談させて頂きます!」
金貨八百枚を受け取ると、リーメイは冒険者ギルドを後にした。
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2022年8月18日PM15時10分の更新となります。
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