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第二章 新しい生活
その頃のアクバ帝国
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リーメイが隣国で悠々自適なスローライフを送っている頃、アクバ帝国では、深刻な事態に陥っていた。
「――なに? 呪力発電所が停まっただと? それはどういうことだ? なぜ、急に発電所が止まった?」
「わ、わかりません。呪力発電所で警告音が鳴ったかと思えば、いきなり緊急停止してしまいまして……」
呪力発電所。それは、アクバ帝国に流通する電化製品を動かすために必要な電力を生み出す発電設備の総称である。
電力は様々なエネルギーに変換できる優れた特性を持ち、アクバ帝国は、この世界で唯一、電力というエネルギーを使用している。
しかし、電力というエネルギーには一つだけ『貯めることができない』という致命的な欠陥があり、この欠点を克服することのできなかった他の国は、電力という安価なエネルギー源を使うことなく魔石という魔物の体内で生成される石を動力源とし、魔道製品を動かしてきた。
アクバ帝国も、昔は魔石を動力源としていたが、かの地に暮らす一族が、呪力発電所なる呪いを元に毎日必要な電力を生み出す装置を開発したことから、今は呪力発電所で作られる安価な電力を動力源としてきた経緯がある。
その呪力発電所が停まったと聞いたアクバ帝国の皇帝アクバ六世は頭を抱えた。
「……電力は、電力はいつまで持つ?」
「ま、間もなく切れるかと……」
「な、なにっ!?」
アクバ六世がそう声を荒げるのと同時に、電力により灯っていた明かりが光を失い部屋が闇に包まれた。
「なっ!? なにが起こっているっ!? 明かりだ。明かりを付けろ!」
報告に来た宰相は、こうなることを予想し、あらかじめ蝋燭を用意していたため、慌てふためくアクバ六世を落ち着けるため、それに火を灯す。
「陛下。落ち着いて下さい」
「こ、これが落ち着いていられるかっ! 呪力発電所が停まったということは、我が国の産業すべてが止まってしまうことと同義なのだぞっ!? 早く原因を突き止め、呪力発電所を再開させろっ! 一体、何基だ! 何基停まった!?」
そう。現在、アクバ帝国の産業は電力というエネルギーがなければ成り立たずにいた。安価な電力で多種多量の製品や農作物を作り、他国にそれを輸出することで国力を高めてきた。
今更、電力変換効率の悪い魔石による発電に頼ることはできない。
「三十基中、二十基が止まっております。現在、稼働中の呪力発電所は占術士であるニセーメイ様が治める地にある呪力発電所のみです」
その報告を受け、アクバ六世は絶句する。
「二、二十基だと……。半分以上の発電所が停まっているではないかっ!? なぜっ……なぜ、ニセーメイの治める地にある呪力発電所だけ稼働しているのだっ!?」
「おそらく、ニセーメイ様自身の呪力によるものかと……」
ニセーメイは高名な占術士であると共に、呪力の扱いにも長けている。
「くっ、ニセーメイの占いにあった滅びの時とはこのことかっ! こんなことなら、もっと早くに呪物を集めておけば……今はとにかく、ニセーメイを呼べ!」
「し、しかし、今、ニセーメイ様をこの地に呼べば、ニセーメイ様が治めている地の呪力発電所も停まってしまいますっ!」
「くっ! なら、どうしたらいいのだっ!」
呪力発電所は国の礎そのものだ。
完全になくなれば国が傾く。かといって、電力変換効率の悪い魔石による発電などに頼っては、他国との競争力が……。
「そ、そうだっ! 呪力発電所を建てた者を呼べ!」
こういう時は呪力発電所を建てた者に対処させるのが一番だ。
そう思っての発言だったが……。
「残念ながら前皇帝にして陛下のお父君であらせられるアクバ五世の墓を建てる際、人身御供として一緒に埋葬しました」
「馬鹿かっ! 誰だ。そんな愚かな真似をした奴はっ! 生き残りはいないのかっ!?」
「前皇帝の意思です」
「ク、クソ親父のせいかぁぁぁぁ!」
あの盆暗めっ!
人身御供なんて時代遅れなことをしおってからにっ!
晩年は痴呆を煩わせていたが、まさかここまでだったとは……。
「……原因がクソ親父にあることはよくわかった! それで、生き残りはいないのかっ!」
「そうですね。確か、かの地に一人だけ生き残りがいた様な……」
「かの地? どこだっ! すぐにその者を呼び呪力発電所の運転を再開させろっ!」
「……い、いえ、とても話し辛いことで申し訳ないのですが」
「なんだっ! さっさと話せっ!」
意味のない問答をするなっ!
こちらは時間がないのだっ!
すると、宰相は眉間を抑えながら話始める。
「実は、陛下の勅命を受け接収した土地の者が呪力発電所を建てた一族最後の生き残りでして……」
「おお、それで? その生き残りは今、どこに?」
ようやく見えてきた巧妙に声が上ずる。
しかし、返ってきた答えはとんでもないものだった。
「……兵士長が奴隷商人に売りました」
「はっ? はあっ? 今、なんと?」
「へ、兵士長のアンハサウェイが金貨十枚で奴隷商人に売りました。ですので、どこにいるのかわかりません……」
「ふっ、ふざけるなぁぁぁぁ! 誰がそんなことをしろと命じたのだっ!」
私が命じたのは、呪物の回収と土地の接収だけだ。
そんなことは命じていない。
「い、一般的に土地をいきなり接収され生きていける者はおりません。で、ですので、アンハサウェイはせめて生きていけるようにと、奴隷商人に預けたと申しており……」
「だったら、その生き残りを買い戻せっ! 今すぐだっ!」
「は、はいっ!」
アクバ六世は、勝手な行動をしたアンハサウェイに強い怒りを覚え、テーブルに思い切り拳を打ち付けた。
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2022年8月20日PM15時の更新となります。
「――なに? 呪力発電所が停まっただと? それはどういうことだ? なぜ、急に発電所が止まった?」
「わ、わかりません。呪力発電所で警告音が鳴ったかと思えば、いきなり緊急停止してしまいまして……」
呪力発電所。それは、アクバ帝国に流通する電化製品を動かすために必要な電力を生み出す発電設備の総称である。
電力は様々なエネルギーに変換できる優れた特性を持ち、アクバ帝国は、この世界で唯一、電力というエネルギーを使用している。
しかし、電力というエネルギーには一つだけ『貯めることができない』という致命的な欠陥があり、この欠点を克服することのできなかった他の国は、電力という安価なエネルギー源を使うことなく魔石という魔物の体内で生成される石を動力源とし、魔道製品を動かしてきた。
アクバ帝国も、昔は魔石を動力源としていたが、かの地に暮らす一族が、呪力発電所なる呪いを元に毎日必要な電力を生み出す装置を開発したことから、今は呪力発電所で作られる安価な電力を動力源としてきた経緯がある。
その呪力発電所が停まったと聞いたアクバ帝国の皇帝アクバ六世は頭を抱えた。
「……電力は、電力はいつまで持つ?」
「ま、間もなく切れるかと……」
「な、なにっ!?」
アクバ六世がそう声を荒げるのと同時に、電力により灯っていた明かりが光を失い部屋が闇に包まれた。
「なっ!? なにが起こっているっ!? 明かりだ。明かりを付けろ!」
報告に来た宰相は、こうなることを予想し、あらかじめ蝋燭を用意していたため、慌てふためくアクバ六世を落ち着けるため、それに火を灯す。
「陛下。落ち着いて下さい」
「こ、これが落ち着いていられるかっ! 呪力発電所が停まったということは、我が国の産業すべてが止まってしまうことと同義なのだぞっ!? 早く原因を突き止め、呪力発電所を再開させろっ! 一体、何基だ! 何基停まった!?」
そう。現在、アクバ帝国の産業は電力というエネルギーがなければ成り立たずにいた。安価な電力で多種多量の製品や農作物を作り、他国にそれを輸出することで国力を高めてきた。
今更、電力変換効率の悪い魔石による発電に頼ることはできない。
「三十基中、二十基が止まっております。現在、稼働中の呪力発電所は占術士であるニセーメイ様が治める地にある呪力発電所のみです」
その報告を受け、アクバ六世は絶句する。
「二、二十基だと……。半分以上の発電所が停まっているではないかっ!? なぜっ……なぜ、ニセーメイの治める地にある呪力発電所だけ稼働しているのだっ!?」
「おそらく、ニセーメイ様自身の呪力によるものかと……」
ニセーメイは高名な占術士であると共に、呪力の扱いにも長けている。
「くっ、ニセーメイの占いにあった滅びの時とはこのことかっ! こんなことなら、もっと早くに呪物を集めておけば……今はとにかく、ニセーメイを呼べ!」
「し、しかし、今、ニセーメイ様をこの地に呼べば、ニセーメイ様が治めている地の呪力発電所も停まってしまいますっ!」
「くっ! なら、どうしたらいいのだっ!」
呪力発電所は国の礎そのものだ。
完全になくなれば国が傾く。かといって、電力変換効率の悪い魔石による発電などに頼っては、他国との競争力が……。
「そ、そうだっ! 呪力発電所を建てた者を呼べ!」
こういう時は呪力発電所を建てた者に対処させるのが一番だ。
そう思っての発言だったが……。
「残念ながら前皇帝にして陛下のお父君であらせられるアクバ五世の墓を建てる際、人身御供として一緒に埋葬しました」
「馬鹿かっ! 誰だ。そんな愚かな真似をした奴はっ! 生き残りはいないのかっ!?」
「前皇帝の意思です」
「ク、クソ親父のせいかぁぁぁぁ!」
あの盆暗めっ!
人身御供なんて時代遅れなことをしおってからにっ!
晩年は痴呆を煩わせていたが、まさかここまでだったとは……。
「……原因がクソ親父にあることはよくわかった! それで、生き残りはいないのかっ!」
「そうですね。確か、かの地に一人だけ生き残りがいた様な……」
「かの地? どこだっ! すぐにその者を呼び呪力発電所の運転を再開させろっ!」
「……い、いえ、とても話し辛いことで申し訳ないのですが」
「なんだっ! さっさと話せっ!」
意味のない問答をするなっ!
こちらは時間がないのだっ!
すると、宰相は眉間を抑えながら話始める。
「実は、陛下の勅命を受け接収した土地の者が呪力発電所を建てた一族最後の生き残りでして……」
「おお、それで? その生き残りは今、どこに?」
ようやく見えてきた巧妙に声が上ずる。
しかし、返ってきた答えはとんでもないものだった。
「……兵士長が奴隷商人に売りました」
「はっ? はあっ? 今、なんと?」
「へ、兵士長のアンハサウェイが金貨十枚で奴隷商人に売りました。ですので、どこにいるのかわかりません……」
「ふっ、ふざけるなぁぁぁぁ! 誰がそんなことをしろと命じたのだっ!」
私が命じたのは、呪物の回収と土地の接収だけだ。
そんなことは命じていない。
「い、一般的に土地をいきなり接収され生きていける者はおりません。で、ですので、アンハサウェイはせめて生きていけるようにと、奴隷商人に預けたと申しており……」
「だったら、その生き残りを買い戻せっ! 今すぐだっ!」
「は、はいっ!」
アクバ六世は、勝手な行動をしたアンハサウェイに強い怒りを覚え、テーブルに思い切り拳を打ち付けた。
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2022年8月20日PM15時の更新となります。
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