最強呪符使い転生―故郷を追い出され、奴隷として売られました。国が大変な事になったからお前を買い戻したい?すいませんが他を当たって下さい―

びーぜろ

文字の大きさ
64 / 73
第二章 新しい生活

呪力発電機①

しおりを挟む
「さぁ~て、今日はどんなパン食べようかなぁ~」

 そんなことを言いながらやってきたパンの楽園パンピーナ。

「キャンキャン!(ボクはフランスパンが食べたい!)」
「パンヲ食ベルノ初メテ。私ハナンデモ嬉シイ!」
「そっか、そっか!」

 そう鳴きながら、足下をくるくる回るポメちゃんに、ボクの羽根をはばたかせながら肩に留まるハナちゃん。

「それじゃあ、ポメちゃんはここで待っていてね。美味しいフランスパンを買ってくるからさ!」
「キャンキャン!?(えっ! またボク入れないのっ!?)」
「うん。ごめんね?」

 衛生観念上、ポメちゃんをパン屋さんに入れることはできない。
 それがパンの楽園、パンピーナの決まりだからだ。

 手を呪符で消毒し、店内に入ると鼻孔をパンを焼いた香ばしい香りが鼻を伝う。
 これは期待できそうだと、トングとバスケットを手に持ち中に入ると、店内には食パンのみが並べられた光景が広がっていた。

「えっ?」

 トングとバスケットを持ち、愕然とした表情を浮かべていていると店員さんが話しかけてくる

「申し訳ございません。食パンしかなくて驚きましたよね? 実はつい先ほど、オーブンが使えなくなってしまいまして……」
「そ、そうなんですか……」

 それはとても残念だ。
 パン屋に来て惣菜パンが買えないなんて……。
 しかし、なんでそんなことが……。
 ボクは思い切って聞いて見ることにした。

「なんで、オーブンが使えなくなってしまったんですか?」

 そう尋ねると、店員さんは困った表情を浮かべる。
 言っていいのか、悪いのか判断付かない様な表情だった。

「えっと、実は私達が利用しているオーブンの動力に異常があるようでして……」
「動力?」

 元居た場所では、呪力発電による電力供給がそういった機械を動かすための要だった。もしかして、オーブンの動力も呪力発電?
 コンセントもあるし、なんらかの理由で電力供給ができなくなってしまったのがその理由だろうか?

「オーブンはなにを動力にしているのですか? もし良ければ、ボクが力になりますよ?」

 もし、このオーブンを動かすための動力が電力だった場合、かなり簡単に対処することができる。
 そう尋ねると、店員さんは困った表情を浮かべた。

「いえ、お客様に相談することでもないのですが、当店では、アクバ帝国の商人から購入した小型の呪力発電機を元にオーブンを動かしていまして……、どうやらその呪力発電機が壊れてしまったようなんです」
「なるほど……」

 それならなんとかなるかもしれない。
 丁度、ボクの手元には呪力発電に必要な素材が山のように存在している。

「……もしかしたら、なんとかなるかも知れません。ボクにすべてを任せて頂けませんか?」
「えっ? お客様にですか?」
「はい! 丁度、呪力発電に必要な道具が揃っていますのでっ!」
「え、え~っと……」

 ボクの言葉に店員さんが困った表情を浮かべ固まってしまう。
 すると、店内の様子を見に来たであろう店主さんが声をかけてきた。

「どうした? なにか問題事か?」
「いえ、そういう訳ではないのですが、この子が壊れてしまった呪力発電機を直したいと言うもので……」
「うん? 呪力発電機を?」

 そう言うと、店主さんは頭をガリガリ掻く。

「まあ、見る位ならいいんじゃないか?」
「う~ん。それじゃあ、ちょっとだけよ? 小型の呪力発電機とはいえ、結構、高いんだから壊さないようにね?」
「はい。わかりました!」

 ボクが元気よくそう言うと、店員と店主は顔を見合わせる。
 その表情は『本当にわかっているのか?』といった表情だ。

「それじゃあ、こっちに着いて来てくれる?」
「はい!」

 店員さんに案内されるがまま、厨房の奥に入っていくと、奥に見慣れた呪力発電機が設置されていた。

「これがその呪力発電機なんですが……」
「これが、ですか……」

 うん。この呪力発電機。もの凄く見たことがある。
 これはアクバ帝国に普通に流通していた小型の呪力発電機。
 これならなんとかなりそうだ。

「……これなら多分、大丈夫です!」
「「えっ?」」

 ボクがそう声を上げると、唖然とした表情を浮かべる。

 小型呪力発電機の仕組みはいたってシンプルだ。
 導線を巻いたコイルの中で、中に入っている磁石を呪力で回し電力を発生させる。ただそれだけである。

 慣れた手付きで小型呪力発電機のカバーを外すと、動力源に手を当てる。
 どうやらこの呪力発電機は、粗悪品。動力源に壊れた魔石が入っている。
 元々、呪力発電機とは、荒魂の荒々しい呪力を封じ、発散させて和魂に浄化させるためのものだ。その結果、生じる呪力を動力源に電力というエネルギーを得ている。
 大規模な呪力発電機は、荒魂を封じたダンジョンと直接リンクさせることで動力を生み出していた。
 そういえば、荒魂のアラミーちゃんや禁忌的荒魂クッコロちゃん。ハナちゃんなんかも、あのダンジョンから解放されてしまっているんだけど、かの国は大丈夫だろうか?

 アクバ帝国にある呪力発電機の大半があのダンジョンとリンクしていたような気が……まあいいか。いまはそんなことどうでもいい。

「ハナちゃん。アラミーちゃんをこの動力部分に召喚してくれないかな?」
『ウン。イイヨー! ネエネエ。知ッテルー? 赤イ彼岸花ニハ、アナタニ一途、悲シキ思イ出ッテ言ウ意味アルンダヨー』

 ハナちゃんがそう言うと、呪力発電機の動力部を取り囲むように赤い彼岸花が咲き乱れた。

 ---------------------------------------------------------------

 2022年8月26日PM15時の更新となります。
しおりを挟む
感想 40

あなたにおすすめの小説

~唯一王の成り上がり~ 外れスキル「精霊王」の俺、パーティーを首になった瞬間スキルが開花、Sランク冒険者へと成り上がり、英雄となる

静内燕
ファンタジー
【カクヨムコン最終選考進出】 【複数サイトでランキング入り】 追放された主人公フライがその能力を覚醒させ、成り上がりっていく物語 主人公フライ。 仲間たちがスキルを開花させ、パーティーがSランクまで昇華していく中、彼が与えられたスキルは「精霊王」という伝説上の生き物にしか対象にできない使用用途が限られた外れスキルだった。 フライはダンジョンの案内役や、料理、周囲の加護、荷物持ちなど、あらゆる雑用を喜んでこなしていた。 外れスキルの自分でも、仲間達の役に立てるからと。 しかしその奮闘ぶりは、恵まれたスキルを持つ仲間たちからは認められず、毎日のように不当な扱いを受ける日々。 そしてとうとうダンジョンの中でパーティーからの追放を宣告されてしまう。 「お前みたいなゴミの変わりはいくらでもいる」 最後のクエストのダンジョンの主は、今までと比較にならないほど強く、歯が立たない敵だった。 仲間たちは我先に逃亡、残ったのはフライ一人だけ。 そこでダンジョンの主は告げる、あなたのスキルを待っていた。と──。 そして不遇だったスキルがようやく開花し、最強の冒険者へとのし上がっていく。 一方、裏方で支えていたフライがいなくなったパーティーたちが没落していく物語。 イラスト 卯月凪沙様より

【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】 【第5回一二三書房Web小説大賞コミカライズ賞】 ~ポルカコミックスでの漫画化(コミカライズ)決定!~  ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。  学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。  何か実力を隠す特別な理由があるのか。  いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。  そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。  貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。  オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。    世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな! ※小説家になろう、カクヨム、pixivにも投稿中。

《レベル∞》の万物創造スキルで追放された俺、辺境を開拓してたら気づけば神々の箱庭になっていた

夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティーの雑用係だったカイは、魔王討伐後「無能」の烙印を押され追放される。全てを失い、死を覚悟して流れ着いた「忘れられた辺境」。そこで彼のハズレスキルは真の姿《万物創造》へと覚醒した。 無から有を生み、世界の理すら書き換える神の如き力。カイはまず、生きるために快適な家を、豊かな畑を、そして清らかな川を創造する。荒れ果てた土地は、みるみるうちに楽園へと姿を変えていった。 やがて、彼の元には行き場を失った獣人の少女やエルフの賢者、ドワーフの鍛冶師など、心優しき仲間たちが集い始める。これは、追放された一人の青年が、大切な仲間たちと共に理想郷を築き、やがてその地が「神々の箱庭」と呼ばれるまでの物語。

世界最強の賢者、勇者パーティーを追放される~いまさら帰ってこいと言われてももう遅い俺は拾ってくれた最強のお姫様と幸せに過ごす~

aoi
ファンタジー
「なぁ、マギそろそろこのパーティーを抜けてくれないか?」 勇者パーティーに勤めて数年、いきなりパーティーを戦闘ができずに女に守られてばかりだからと追放された賢者マギ。王都で新しい仕事を探すにも勇者パーティーが邪魔をして見つからない。そんな時、とある国のお姫様がマギに声をかけてきて......? お姫様の為に全力を尽くす賢者マギが無双する!?

無能扱いされ、パーティーを追放されたおっさん、実はチートスキル持ちでした。戻ってきてくれ、と言ってももう遅い。田舎でゆったりスローライフ。

さら
ファンタジー
かつて勇者パーティーに所属していたジル。 だが「無能」と嘲られ、役立たずと追放されてしまう。 行くあてもなく田舎の村へ流れ着いた彼は、鍬を振るい畑を耕し、のんびり暮らすつもりだった。 ――だが、誰も知らなかった。 ジルには“世界を覆すほどのチートスキル”が隠されていたのだ。 襲いかかる魔物を一撃で粉砕し、村を脅かす街の圧力をはねのけ、いつしか彼は「英雄」と呼ばれる存在に。 「戻ってきてくれ」と泣きつく元仲間? もう遅い。 俺はこの村で、仲間と共に、気ままにスローライフを楽しむ――そう決めたんだ。 無能扱いされたおっさんが、実は最強チートで世界を揺るがす!? のんびり田舎暮らし×無双ファンタジー、ここに開幕!

Sランクパーティーを追放された鑑定士の俺、実は『神の眼』を持ってました〜最神神獣と最強になったので、今さら戻ってこいと言われてももう遅い〜

夏見ナイ
ファンタジー
Sランクパーティーで地味な【鑑定】スキルを使い、仲間を支えてきたカイン。しかしある日、リーダーの勇者から「お前はもういらない」と理不尽に追放されてしまう。 絶望の淵で流れ着いた辺境の街。そこで偶然発見した古代ダンジョンが、彼の運命を変える。絶体絶命の危機に陥ったその時、彼のスキルは万物を見通す【神の眼】へと覚醒。さらに、ダンジョンの奥で伝説のもふもふ神獣「フェン」と出会い、最強の相棒を得る。 一方、カインを失った元パーティーは鑑定ミスを連発し、崩壊の一途を辿っていた。「今さら戻ってこい」と懇願されても、もう遅い。 無能と蔑まれた鑑定士の、痛快な成り上がり冒険譚が今、始まる!

『スローライフどこ行った?!』追放された最強凡人は望まぬハーレムに困惑する?!

たらふくごん
ファンタジー
最強の凡人――追放され、転生した蘇我頼人。 新たな世界で、彼は『ライト・ガルデス』として再び生を受ける。 ※※※※※ 1億年の試練。 そして、神をもしのぐ力。 それでも俺の望みは――ただのスローライフだった。 すべての試練を終え、創世神にすら認められた俺。 だが、もはや生きることに飽きていた。 『違う選択肢もあるぞ?』 創世神の言葉に乗り気でなかった俺は、 その“策略”にまんまと引っかかる。 ――『神しか飲めぬ最高級のお茶』。 確かに神は嘘をついていない。 けれど、あの流れは勘違いするだろうがっ!! そして俺は、あまりにも非道な仕打ちの末、 神の娘ティアリーナが治める世界へと“追放転生”させられた。 記憶を失い、『ライト・ガルデス』として迎えた新しい日々。 それは、久しく感じたことのない“安心”と“愛”に満ちていた。 だが――5歳の洗礼の儀式を境に、運命は動き出す。 くどいようだが、俺の望みはスローライフ。 ……のはずだったのに。 呪いのような“女難の相”が炸裂し、 気づけば婚約者たちに囲まれる毎日。 どうしてこうなった!?

異世界に転生した俺は英雄の身体強化魔法を使って無双する。~無詠唱の身体強化魔法と無詠唱のマジックドレインは異世界最強~

北条氏成
ファンタジー
宮本 英二(みやもと えいじ)高校生3年生。 実家は江戸時代から続く剣道の道場をしている。そこの次男に生まれ、優秀な兄に道場の跡取りを任せて英二は剣術、槍術、柔道、空手など様々な武道をやってきた。 そんなある日、トラックに轢かれて死んだ英二は異世界へと転生させられる。 グランベルン王国のエイデル公爵の長男として生まれた英二はリオン・エイデルとして生きる事に・・・ しかし、リオンは貴族でありながらまさかの魔力が200しかなかった。貴族であれば魔力が1000はあるのが普通の世界でリオンは初期魔法すら使えないレベル。だが、リオンには神話で邪悪なドラゴンを倒した魔剣士リュウジと同じ身体強化魔法を持っていたのだ。 これは魔法が殆ど使えない代わりに、最強の英雄の魔法である身体強化魔法を使いながら無双する物語りである。

処理中です...