最強呪符使い転生―故郷を追い出され、奴隷として売られました。国が大変な事になったからお前を買い戻したい?すいませんが他を当たって下さい―

びーぜろ

文字の大きさ
65 / 73
第二章 新しい生活

呪力発電機②

しおりを挟む
「さあ、アラミーちゃん。君にはこの呪力発電機の動力源になってもらおうかな?」

 元々、呪力発電機とは、荒魂の荒々しい呪力を封じ、発散させて和魂に浄化させるためのものだ。
 小型とはいえ、アラミーちゃんを封じるのにこれほど適した物はない。
『封印』の呪符を手に持ち構えていると『ケタケタケタケタ』という声が店内に響いてきた。
 ハナちゃんに呼び出してもらったのは、以前、ボクが封じたストーカー的荒魂、アラミーちゃん。

『ケタケタケタケタッ! 久ジブリ、久ジブリ! 私、アラミー。元気ニシテ――』
「『封印』っ!」

 予め出現位置が分かっていれば簡単に対処することができる。
 ボクはアラミーちゃんが動力部に現れると共に、『封印』の呪符で動きを封じ、動力部のカバーを閉めた。

「ふうっ……。これでよしと……」

 ストーカー的荒魂であるアラミーちゃんは強い。
 浄化してもすぐに荒魂が黒く汚染されてしまう。
 アラミーちゃんを完全に浄化するためには、呪力発電機の力が必要だ。

 一息ついて小型呪力発電機のスイッチを入れると、呪力発電機がアラミーちゃんの呪力を動力に動き始める。
 ちゃんと、動いてくれて良かった。ほんの少し、ガタガタ音を立てているのが気になるけど……。
 正直、少し不安だったのだ。アラミーちゃんほどの力を持った荒魂を小型の呪力発電機に封じることができるのかと……。

 しかし、結果を見ればこの通り。
 荒魂側からしてみても、呪力発電機の中は、リラクゼーションサロン並みに気持ちのいい場所(のはず)だ。
 徐々に呪力(悪いもの)を抜かれて最後は和魂となり成仏していく。
 この呪力発電機は小型なのでアラミーちゃんの浄化に百年ほどかかるかもしれない。パン屋さん側からしても、それだけ発電機が保ってくれれば問題ないはずだ。
 とはいえ、呪力発電機に封じたのはあのアラミーちゃんだ。ガタガタ音も鳴っているし、少しだけ、呪力発電機を補強しておこう。

 呪力発電機のスイッチを一度切り、アラミーちゃんが封じられている動力部以外のカバーを外すと、動力変換機やコイル、磁石に問題ないか確認していく。

「うわぁ。これは酷い……」

 呪力を動力に変換させるための回路が滅茶苦茶。よくこれで動いていたものだ。
 おそらく、動力に魔石を使っていた弊害なのだろう。回路の損耗が激しすぎて、呪力の十パーセントしか出力することができていない。
 今、問題なく動かすことができたのも、アラミーちゃんの呪力の強さあってのことだろうと思われる。

 とりあえず、回路をすべて取り外し、新たに花ゴブリンの森で取ってきた金とミスリルを削り新たな回路を作ると、コイルに新しい銅線を巻き、磁石も新しい物に変えていく。

「……こんなもんかな?」

 それにしても、この呪力発電機を作ったのは誰なのだろうか?
 この呪力発電機……いや、この呪力発電機モドキは、まるで『呪力発電機を元にパーツだけ作成し、組んでみたらなんとなく動いちゃいました』みたいな奇跡的なバランスの元に組み立てられていた。
 特に回路の書き方の効率が悪い。
 配線がループしている箇所があったり、まったく意味のない配線があったり、『なんとなく作ったら動きました』といった声が思わず聞こえてきそうな感じだった。
 よくこれで動かすことができたものだ。
 壊れてしまったというのも頷ける。

 もう一度、呪力発電機のスイッチを押すと今度はスムーズに動き始める。
 動力部の封印が解かれないようカバーにも呪符を貼り二重に封印したら……、これで完成だ。
 故意に開けようとしない限り、偶然、カバーが開きアラミーちゃんが解き放たれることは絶対にないはずだ。

「はい。終わりました。もうオーブンを使うことができますよ!」

 一仕事を終え、腕で汗を拭うとボクはパンの楽園、パンピーナの店員さんに無事修理が終わったことを報告する。

「「…………」」
「あれ? 店員さん?」

 おかしいな。なんで店員さんが固まっているんだろう?

「えっと、店員さん? 呪力発電機が直ったので、もうオーブンを使うことができますよー?」

 再度、そう問いかけると、店員さんはハッとした表情を浮かべながら声を漏らす。

「き、君は一体……」
「えっ? ボクですか? ボクはただのFランク冒険者ですよ?」
「そ、そう……。最近の冒険者って何でもできるのね……?」

 なんだか釈然としない。そんな感じの声音だ。

「い、いや、そんなことより、呪力発電機が直ったって本当か!?」
「はい。この通り直りました。でも、カバー部分に触れないよう気を付けて下さい。動力にちょっと危険なモノを使ってますから……ああ、触らなければ全く問題ないので安心して下さい」

『危険なモノを使っていますから』辺りで顔を青褪めさせた店長さんにそう補足を入れると、店長さんは少しだけホッとした表情を浮かべる。

「そ、そうか……呪力発電機を直してくれてありがとう。正直、なぜ急に動かなくなったのか理由がわからず困っていたんだ。買ったばかりにも拘らず修理代も高いし……」
「そうだったんですか……ちなみにこの呪力発電機をいくらで購入されたんですか?」

 好奇心からそう聞いてみると、店長さんは苦虫を嚙み潰したような表情を浮かべ呟く様に言った。

「金貨五十枚だ……」
「き、金貨五十枚っ!?」

 小型とはいえ安い。あまりに安すぎる。
 普通、呪力発電機を購入しようと思えば、その四倍はかかる。
 アクバ帝国で販売されている小型呪力発電機の値段は金貨二百枚だった筈……。
 あまりに安価な購入費用に唖然とした表情を浮かべていると、戸を叩く音が聞こえてきた。

 ---------------------------------------------------------------

 2022年8月28日PM15時の更新となります。
しおりを挟む
感想 40

あなたにおすすめの小説

~唯一王の成り上がり~ 外れスキル「精霊王」の俺、パーティーを首になった瞬間スキルが開花、Sランク冒険者へと成り上がり、英雄となる

静内燕
ファンタジー
【カクヨムコン最終選考進出】 【複数サイトでランキング入り】 追放された主人公フライがその能力を覚醒させ、成り上がりっていく物語 主人公フライ。 仲間たちがスキルを開花させ、パーティーがSランクまで昇華していく中、彼が与えられたスキルは「精霊王」という伝説上の生き物にしか対象にできない使用用途が限られた外れスキルだった。 フライはダンジョンの案内役や、料理、周囲の加護、荷物持ちなど、あらゆる雑用を喜んでこなしていた。 外れスキルの自分でも、仲間達の役に立てるからと。 しかしその奮闘ぶりは、恵まれたスキルを持つ仲間たちからは認められず、毎日のように不当な扱いを受ける日々。 そしてとうとうダンジョンの中でパーティーからの追放を宣告されてしまう。 「お前みたいなゴミの変わりはいくらでもいる」 最後のクエストのダンジョンの主は、今までと比較にならないほど強く、歯が立たない敵だった。 仲間たちは我先に逃亡、残ったのはフライ一人だけ。 そこでダンジョンの主は告げる、あなたのスキルを待っていた。と──。 そして不遇だったスキルがようやく開花し、最強の冒険者へとのし上がっていく。 一方、裏方で支えていたフライがいなくなったパーティーたちが没落していく物語。 イラスト 卯月凪沙様より

【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】 【第5回一二三書房Web小説大賞コミカライズ賞】 ~ポルカコミックスでの漫画化(コミカライズ)決定!~  ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。  学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。  何か実力を隠す特別な理由があるのか。  いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。  そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。  貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。  オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。    世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな! ※小説家になろう、カクヨム、pixivにも投稿中。

《レベル∞》の万物創造スキルで追放された俺、辺境を開拓してたら気づけば神々の箱庭になっていた

夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティーの雑用係だったカイは、魔王討伐後「無能」の烙印を押され追放される。全てを失い、死を覚悟して流れ着いた「忘れられた辺境」。そこで彼のハズレスキルは真の姿《万物創造》へと覚醒した。 無から有を生み、世界の理すら書き換える神の如き力。カイはまず、生きるために快適な家を、豊かな畑を、そして清らかな川を創造する。荒れ果てた土地は、みるみるうちに楽園へと姿を変えていった。 やがて、彼の元には行き場を失った獣人の少女やエルフの賢者、ドワーフの鍛冶師など、心優しき仲間たちが集い始める。これは、追放された一人の青年が、大切な仲間たちと共に理想郷を築き、やがてその地が「神々の箱庭」と呼ばれるまでの物語。

世界最強の賢者、勇者パーティーを追放される~いまさら帰ってこいと言われてももう遅い俺は拾ってくれた最強のお姫様と幸せに過ごす~

aoi
ファンタジー
「なぁ、マギそろそろこのパーティーを抜けてくれないか?」 勇者パーティーに勤めて数年、いきなりパーティーを戦闘ができずに女に守られてばかりだからと追放された賢者マギ。王都で新しい仕事を探すにも勇者パーティーが邪魔をして見つからない。そんな時、とある国のお姫様がマギに声をかけてきて......? お姫様の為に全力を尽くす賢者マギが無双する!?

無能扱いされ、パーティーを追放されたおっさん、実はチートスキル持ちでした。戻ってきてくれ、と言ってももう遅い。田舎でゆったりスローライフ。

さら
ファンタジー
かつて勇者パーティーに所属していたジル。 だが「無能」と嘲られ、役立たずと追放されてしまう。 行くあてもなく田舎の村へ流れ着いた彼は、鍬を振るい畑を耕し、のんびり暮らすつもりだった。 ――だが、誰も知らなかった。 ジルには“世界を覆すほどのチートスキル”が隠されていたのだ。 襲いかかる魔物を一撃で粉砕し、村を脅かす街の圧力をはねのけ、いつしか彼は「英雄」と呼ばれる存在に。 「戻ってきてくれ」と泣きつく元仲間? もう遅い。 俺はこの村で、仲間と共に、気ままにスローライフを楽しむ――そう決めたんだ。 無能扱いされたおっさんが、実は最強チートで世界を揺るがす!? のんびり田舎暮らし×無双ファンタジー、ここに開幕!

Sランクパーティーを追放された鑑定士の俺、実は『神の眼』を持ってました〜最神神獣と最強になったので、今さら戻ってこいと言われてももう遅い〜

夏見ナイ
ファンタジー
Sランクパーティーで地味な【鑑定】スキルを使い、仲間を支えてきたカイン。しかしある日、リーダーの勇者から「お前はもういらない」と理不尽に追放されてしまう。 絶望の淵で流れ着いた辺境の街。そこで偶然発見した古代ダンジョンが、彼の運命を変える。絶体絶命の危機に陥ったその時、彼のスキルは万物を見通す【神の眼】へと覚醒。さらに、ダンジョンの奥で伝説のもふもふ神獣「フェン」と出会い、最強の相棒を得る。 一方、カインを失った元パーティーは鑑定ミスを連発し、崩壊の一途を辿っていた。「今さら戻ってこい」と懇願されても、もう遅い。 無能と蔑まれた鑑定士の、痛快な成り上がり冒険譚が今、始まる!

『スローライフどこ行った?!』追放された最強凡人は望まぬハーレムに困惑する?!

たらふくごん
ファンタジー
最強の凡人――追放され、転生した蘇我頼人。 新たな世界で、彼は『ライト・ガルデス』として再び生を受ける。 ※※※※※ 1億年の試練。 そして、神をもしのぐ力。 それでも俺の望みは――ただのスローライフだった。 すべての試練を終え、創世神にすら認められた俺。 だが、もはや生きることに飽きていた。 『違う選択肢もあるぞ?』 創世神の言葉に乗り気でなかった俺は、 その“策略”にまんまと引っかかる。 ――『神しか飲めぬ最高級のお茶』。 確かに神は嘘をついていない。 けれど、あの流れは勘違いするだろうがっ!! そして俺は、あまりにも非道な仕打ちの末、 神の娘ティアリーナが治める世界へと“追放転生”させられた。 記憶を失い、『ライト・ガルデス』として迎えた新しい日々。 それは、久しく感じたことのない“安心”と“愛”に満ちていた。 だが――5歳の洗礼の儀式を境に、運命は動き出す。 くどいようだが、俺の望みはスローライフ。 ……のはずだったのに。 呪いのような“女難の相”が炸裂し、 気づけば婚約者たちに囲まれる毎日。 どうしてこうなった!?

レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。

玉ねぎサーモン
ファンタジー
絶望スキル× 害悪スキル=限界突破のユニークスキル…!? 成長できない主人公と存在するだけで周りを傷つける美少女が出会ったら、激レアユニークスキルに! 故郷を魔王に滅ぼされたむっつりスケベな主人公。 この世界ではおよそ1000人に1人がスキルを覚醒する。 持てるスキルは人によって決まっており、1つから最大5つまで。 主人公のロックは世界最高5つのスキルを持てるため将来を期待されたが、覚醒したのはハズレスキルばかり。レベルアップ時のステータス上昇値が半減する「成長抑制」を覚えたかと思えば、その次には経験値が一切入らなくなる「無駄骨」…。 期待を裏切ったため育ての親に殺されかける。 その後最高レア度のユニークスキル「スキルスナッチ」スキルを覚醒。 仲間と出会いさらに強力なユニークスキルを手に入れて世界最強へ…!? 美少女たちと冒険する主人公は、仇をとり、故郷を取り戻すことができるのか。 この作品はカクヨム・小説家になろう・Youtubeにも掲載しています。

処理中です...