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第二章 新しい生活
踏んだり蹴ったりのピーチ②
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今、私の手元には、パンの楽園、パンピーナの店主バンビが馬車の中に置き去りにした小型の呪力発電機がある。
話しをこっそり聞いた所、何かに使うと言っていたので、それを邪魔する為に奪っておいたのだ。今頃、困っていることだろう。
私が思うに、あの子供は、この小型呪力発電機に使われている動力を呪力発電所の動力にしようとしたのだろうと思う。
なぜ、そう思ったのか。
それは、話を聞いていたからだ。
なんと、この小型呪力発電機の動力には、荒魂と呼ばれる霊的動力が使われているらしい。あの子供はバンビの奴に、『小型呪力発電機に封じたアラミーちゃんの力が必要』と言っていた。
ということは、この小型呪力発電機が無ければ、あの呪力発電所を動かすことができないということだ。つまり、あの呪力発電所を動かすためのキモは、今、私の手元にある。
高名な占術士であるニセーメイ様は言っていた。
荒魂という霊的な何かを封じることで半永久的にメンテナンス不要で、電力を供給することができると……。
そして、私は、その荒魂という霊的な何かを知らない。
しかし、今、ここに荒魂という霊的な何かを封じた小型呪力発電機がある。
つまり、これを詳しく調べれば、ニセーメイ様しか知らない秘匿された技術の一端を私も知ることができるということ。
「さて、動力部には一体何が……」
興味本位で動力部に視線を向けると、禍々しい呪符が数枚貼られていた。
何やら『封印』と書かれているようだが、一体、何を封印しているんだ??
まあいい。
『封印』と書かれた呪符を剥がし、動力部のカバーを開けると、そこには――
『ケタケタケタケタッ! アリガトウ! アリガトウ! 私、アラミー。封印ヲ解イテクレテアリガトウ!』
――直径十五センチ位の可愛らしい人形が体育座りをしていた。
「なっ!? なんだっこの人形はぁぁぁぁ!」
動力部に生きた人形が入っていたことに驚きの声を上げる。
すると、人形は浮かび上がり、周囲に炎を浮かべた。
私は咄嗟に馬車の外に小型呪力発電機を放り投げる。
そして、馬車の操縦をする御者に向かって声を荒げて命令した。
「御者ぁぁぁぁ! も、もっとスピードを出せっ! 早くっ! 早くこの場から逃げるんだぁぁぁぁ!」
命令した後、馬車の窓を開け後ろを確認すると、そこには、炎を身に纏い目を赤く輝かせた一体の人形が浮かんでいる。
『ケタケタケタケタッ! ドコニ行ノ!? ネエ、ドコニ行クノ!?』
「ぬあっ!? ぬあにいいいいっ!!」
こ、これがニセーメイ様の言っていた荒魂っ!?
ば、化け物ではないかっ??
まさか、こんな化け物を動力源にしていたとは……
『モシカシテ私ヲ捨テルノ? 私ヲ捨テルノ??』
アラミーと名乗る人形は太陽の様に輝く丸い火の玉を頭上に浮かべる。
「ま、拙いっ……逃げっ!」
『私ヲ捨テルヨウナ奴ハ――爆散シチャエ!』
それだけ呟くと、人形は私の乗る馬車に向かって火の玉を投げ付けてきた。
「う、うわああああっ!? 御者っ! 御者ああああっ!? 避けろぉぉぉぉ!」
「む、無理ですっ!」
ピーチの絶叫に絶叫を重ねる御者。
半ば錯乱したピーチは、隣で唖然とした表情を浮かべる護衛に視線を向ける。
「ご、護衛ぃぃぃぃ!」
「は、はいっ! で、ですがこれはっ、無理っ……」
護衛が咄嗟に水魔法で、巨大な水の玉を作り出す。
「ば、馬鹿者っ! それでは駄目……!」
「えっ!?」
アラミーが放った火の玉と護衛の作りだした水の玉が一瞬にして沸騰し、ほんの少しだけ弱まった火の玉がそのまま馬車にぶつかり爆散した。
『ケタケタケタケタッ! 大丈夫ッ? 大丈夫ッ??』
「ぐっ、げほっ……ま、まだ生きて……る?」
「し、信じられ……ない……」
火の玉が水の玉に当たる直前護衛が咄嗟の判断で、馬車の外に放り出したお蔭で、打撲と多少の火傷を負ったものの、何とか生き延びることができたピーチと御者。
しかし、まだピンチは継続している。
必死の形相で護衛に助けを求める。
「ご、護衛ぃぃぃぃ!」
しかし、返事は返ってこない。
当然だ。その護衛はピーチと御者を庇って馬車と共に火の玉の直撃を受けたのだから。
『ケタケタケタケタッ! 私ヲ捨テタ罰ダヨ! ソウダ、モウ私ヲ捨テル事ガデキナイヨウニ、アナタニ取リ憑コウ。別ニイイヨネ? 別ニイイヨネ?』
「……え、ええっ!?」
じ、冗談じゃない。冗談じゃないぞっ!
こんなヤバい霊に憑かれたら私はどうなることか……!
「ぎ、御者にっ! 取り憑くならどうか、御者に取り憑いて下さいっ!」
「ええっ!?」
そう言った私に御者がとんでもない表情を浮かべる。
「や、やめっ! 私は……」
「だ、黙れぇぇぇぇ! 黙れっ! お前だっ! お前が私の代わりに取り憑かれるんだっ! 悪い様にしないから、黙れぇぇぇぇ!」
咄嗟にアラミーと名乗る人形に、御者を売ると、人形は御者に視線を向ける。
『ケタケタケタケタッ! ソウッ! アナタガ体ヲクレルノ! アリガトウ! アリガトウ!』
「ひっ、ひぃぃぃぃ!」
人形がそう言うと、御者の前に立ち、御者の体と同化させていく。
「これがニンゲンのカラダ……ヒサしぶり! ヒサしぶり!」
御者に取り憑いたアラミーはそう燥ぐと、ピーチに視線を向ける。
「それじゃあ、イきましょうか?」
「はっ? 行くってどこに……」
意味がわからずそう呟くと、御者に取り憑いたアラミーはさも当然の様に言う。
「ワタシをアナタの住んでいたマチにツれてイって? ここにいたら、またフウインされちゃう」
目を赤く光らせる御者……。
その目を見た私は、とんでもないモノを封印から解いてしまったなと、他人事の様に考えていた。
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2022年9月11日PM15時の更新となります。
話しをこっそり聞いた所、何かに使うと言っていたので、それを邪魔する為に奪っておいたのだ。今頃、困っていることだろう。
私が思うに、あの子供は、この小型呪力発電機に使われている動力を呪力発電所の動力にしようとしたのだろうと思う。
なぜ、そう思ったのか。
それは、話を聞いていたからだ。
なんと、この小型呪力発電機の動力には、荒魂と呼ばれる霊的動力が使われているらしい。あの子供はバンビの奴に、『小型呪力発電機に封じたアラミーちゃんの力が必要』と言っていた。
ということは、この小型呪力発電機が無ければ、あの呪力発電所を動かすことができないということだ。つまり、あの呪力発電所を動かすためのキモは、今、私の手元にある。
高名な占術士であるニセーメイ様は言っていた。
荒魂という霊的な何かを封じることで半永久的にメンテナンス不要で、電力を供給することができると……。
そして、私は、その荒魂という霊的な何かを知らない。
しかし、今、ここに荒魂という霊的な何かを封じた小型呪力発電機がある。
つまり、これを詳しく調べれば、ニセーメイ様しか知らない秘匿された技術の一端を私も知ることができるということ。
「さて、動力部には一体何が……」
興味本位で動力部に視線を向けると、禍々しい呪符が数枚貼られていた。
何やら『封印』と書かれているようだが、一体、何を封印しているんだ??
まあいい。
『封印』と書かれた呪符を剥がし、動力部のカバーを開けると、そこには――
『ケタケタケタケタッ! アリガトウ! アリガトウ! 私、アラミー。封印ヲ解イテクレテアリガトウ!』
――直径十五センチ位の可愛らしい人形が体育座りをしていた。
「なっ!? なんだっこの人形はぁぁぁぁ!」
動力部に生きた人形が入っていたことに驚きの声を上げる。
すると、人形は浮かび上がり、周囲に炎を浮かべた。
私は咄嗟に馬車の外に小型呪力発電機を放り投げる。
そして、馬車の操縦をする御者に向かって声を荒げて命令した。
「御者ぁぁぁぁ! も、もっとスピードを出せっ! 早くっ! 早くこの場から逃げるんだぁぁぁぁ!」
命令した後、馬車の窓を開け後ろを確認すると、そこには、炎を身に纏い目を赤く輝かせた一体の人形が浮かんでいる。
『ケタケタケタケタッ! ドコニ行ノ!? ネエ、ドコニ行クノ!?』
「ぬあっ!? ぬあにいいいいっ!!」
こ、これがニセーメイ様の言っていた荒魂っ!?
ば、化け物ではないかっ??
まさか、こんな化け物を動力源にしていたとは……
『モシカシテ私ヲ捨テルノ? 私ヲ捨テルノ??』
アラミーと名乗る人形は太陽の様に輝く丸い火の玉を頭上に浮かべる。
「ま、拙いっ……逃げっ!」
『私ヲ捨テルヨウナ奴ハ――爆散シチャエ!』
それだけ呟くと、人形は私の乗る馬車に向かって火の玉を投げ付けてきた。
「う、うわああああっ!? 御者っ! 御者ああああっ!? 避けろぉぉぉぉ!」
「む、無理ですっ!」
ピーチの絶叫に絶叫を重ねる御者。
半ば錯乱したピーチは、隣で唖然とした表情を浮かべる護衛に視線を向ける。
「ご、護衛ぃぃぃぃ!」
「は、はいっ! で、ですがこれはっ、無理っ……」
護衛が咄嗟に水魔法で、巨大な水の玉を作り出す。
「ば、馬鹿者っ! それでは駄目……!」
「えっ!?」
アラミーが放った火の玉と護衛の作りだした水の玉が一瞬にして沸騰し、ほんの少しだけ弱まった火の玉がそのまま馬車にぶつかり爆散した。
『ケタケタケタケタッ! 大丈夫ッ? 大丈夫ッ??』
「ぐっ、げほっ……ま、まだ生きて……る?」
「し、信じられ……ない……」
火の玉が水の玉に当たる直前護衛が咄嗟の判断で、馬車の外に放り出したお蔭で、打撲と多少の火傷を負ったものの、何とか生き延びることができたピーチと御者。
しかし、まだピンチは継続している。
必死の形相で護衛に助けを求める。
「ご、護衛ぃぃぃぃ!」
しかし、返事は返ってこない。
当然だ。その護衛はピーチと御者を庇って馬車と共に火の玉の直撃を受けたのだから。
『ケタケタケタケタッ! 私ヲ捨テタ罰ダヨ! ソウダ、モウ私ヲ捨テル事ガデキナイヨウニ、アナタニ取リ憑コウ。別ニイイヨネ? 別ニイイヨネ?』
「……え、ええっ!?」
じ、冗談じゃない。冗談じゃないぞっ!
こんなヤバい霊に憑かれたら私はどうなることか……!
「ぎ、御者にっ! 取り憑くならどうか、御者に取り憑いて下さいっ!」
「ええっ!?」
そう言った私に御者がとんでもない表情を浮かべる。
「や、やめっ! 私は……」
「だ、黙れぇぇぇぇ! 黙れっ! お前だっ! お前が私の代わりに取り憑かれるんだっ! 悪い様にしないから、黙れぇぇぇぇ!」
咄嗟にアラミーと名乗る人形に、御者を売ると、人形は御者に視線を向ける。
『ケタケタケタケタッ! ソウッ! アナタガ体ヲクレルノ! アリガトウ! アリガトウ!』
「ひっ、ひぃぃぃぃ!」
人形がそう言うと、御者の前に立ち、御者の体と同化させていく。
「これがニンゲンのカラダ……ヒサしぶり! ヒサしぶり!」
御者に取り憑いたアラミーはそう燥ぐと、ピーチに視線を向ける。
「それじゃあ、イきましょうか?」
「はっ? 行くってどこに……」
意味がわからずそう呟くと、御者に取り憑いたアラミーはさも当然の様に言う。
「ワタシをアナタの住んでいたマチにツれてイって? ここにいたら、またフウインされちゃう」
目を赤く光らせる御者……。
その目を見た私は、とんでもないモノを封印から解いてしまったなと、他人事の様に考えていた。
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