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第二章 新しい生活
踏んだり蹴ったりのピーチ③
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「あれ? どういうこと?」
町の外で大きな爆音がしたので来てみると、そこには黒焦げになった大地とボロボロになった馬車の残骸が置かれていた。
一体、ここで何があったのだろうか?
馬車に繋がれた馬もいなければ人もいない。
「うーん。これは一体……」
野良荒魂でも暴れたのかな?
微かに荒魂の気配がするし……。
しかし、その荒魂の気配はどんどん遠ざかっているようにも感じる。
「……ハナちゃんはどう思う?」
ボクの肩に留まっているハナちゃんに尋ねると、ハナちゃんは『ハナッハナッハナッ』と笑うだけ。
まったく会話になっていない。
まあ、ハナちゃんに漠然とした質問をしたボクが悪いんだけど……。
「まあいいか。とりあえず、片付けようかな?」
残骸に視線を向けるも、めぼしい物は何もない様だ。
宙をなぞり亜空間から妖刀ムラマサを取り出すと、馬車の残骸に向かって刀を斜めに構える。
『起きろ。ムラマサ――』
そして、そう開合を唱え一閃すると、妖刀ムラマサの刀身から黒い瘴気が湧き馬車の残骸を飲み込んでいく。
「これでよしと……」
お掃除をするならこれが一番早くて簡単だ。
開合を唱え一振りするだけで、黒い瘴気が勝手にゴミを飲み込んでくれる。
「それじゃあ、町に戻ろうかなー」
まだアラミーちゃん入りの呪力発電機が行方不明なままだ。
こんなことならアラミーちゃんを呪力発電機に封じるんじゃなかった。
呪力発電機の動力部にアラミーちゃんを封印してしまったため、ハナちゃんの言霊でアラミーちゃんを呼び出すことはできない。
アラミーちゃん入り呪力発電機の捜索は喫緊の課題だ。
折角なので、アラミーちゃん入り呪力発電機を探すための、呪道具作りをするのも面白いかもしれない。
なんだかワクワクしてきた。
最近、まったくといっていいほど呪道具を作っていなかったからな。
落ち着いた場所でアラミーちゃん入り呪力発電機を探すための呪道具を作ろう。
やみくもに探すよりそちらの方が効率がいい。
「よし。やるぞーっ!」
意気揚々にそう言うと、ボクは町に戻ることにした。
◇◆◇
その頃、最凶の荒魂であるアラミーちゃんを開放してしまったピーチは疲弊した顔で馬に跨っていた。
今、跨っている馬はアラミーちゃんが馬車ごと爆散させた時、死んだはずの馬……いや、霊馬だ。
体は焼き爛れ、かなりの部分を欠損しているにも係わらず、普通に動いている。
「えっと、アラミー様? これは……」
「うん? シんだバトルホースにチカくにいたタマシイをトりツかせたレイバだよ?」
「そ、そうなのですか……。それはそれは……」
何だ。一体何なんだ。この化け物は……。
そして何より速い。バトルホースは時速八十キロで走るモンスター。
しかし、それはバトルホースを全力で疾走させた場合の速度だ。
普通、そんな速度で走らせていてはバトルホースが乗り潰れてしまう。
こんな速度で走られては、すぐにでも到着してしまう……私の住む国であるアクバ帝国に……。
もう私の手には負えない。それこそニセーメイ様に頼るしか……。
「ねえねえ、タノしいハナシをしてよ」
どうニセーメイ様に頼ろうか必死になって知恵を絞っていると、化け物からとんでもない無茶振りが飛んできた。
何だ急に、楽しい話って。思い浮かぶ訳がないだろう。
私は高名な占術士ニセーメイ様お抱えの商人でコメディアンじゃないんだよ!
「た、楽しい話ですか! 何がよろしいですかね……」
しかし、そんな事は口が裂けても言えない。化け物の機嫌を損ねれば私はお終いだ。
何としてでも楽しい話をひねり出さねば……。
「……そ、それでは、こんな話はいかがでしょうか?」
そう言って、話したのは私の苦労話だ。
楽しいかどうかはわからないが、パッと思い付く話がこれしかなかったとも言う。
私が如何にエイシャの町の発展に貢献してきたのか、電化製品と呪力発電機を広める事に尽力してきたのかを面白おかしく話してやる。
「――と、いう事で、エイシャの町で手にする筈だった富をすべて横から攫われた商人は絶望し町を去りましたとさ……めでたしめでたし」
全然、めでたくないし最後は愚痴っぽくなってしまったが、とりあえず話を終える。
「きゃははははっ! オモシロいね。バカみたいだね。そのショウニン! アってみたい!」
思いっきり笑われた。
どうやらこの化け物は人の不幸話で喜ぶらしい。性格が歪んでいる。
ついでに言うと、今あなたが爆笑している馬鹿な商人とは私の事です。
既にお会いしています。私は知り合いたくありませんでしたが……。
「そ、そうですね。あははははっ……喜んでもらえて嬉しいです」
しかし、何とか乗り切る事ができた。
正直、殺されてしまうんじゃないかと恐々としていたのだ。
冷や汗を拭い前を見ると、関所が見えてきた。
また無茶振りされては堪らないと、私は大きな声を上げる。
「ああっ! 見えてきました! あれが私の住む国、アクバ帝国の関所です!」
「あれがセキショか……」
正確に言えば、お前みたいな化け物が国に入り込まないようにする為の検問所だ。
関所にはニセーメイ様の部下であるゴーマン様が関所の任に当たっていた。
あのお方であれば、この地獄の様な状況を何とかしてくれる筈……。
ピーチは関所に向かって爆走する馬に乗りながら、この状況を打開してくれるであろうゴーマンに願いを託すのであった。
---------------------------------------------------------------------------------------------
ストックが切れた為、ここから先は不定期となります。
大変申し訳ございません。
ストックが貯まり次第、再開したいと思います。
楽しみにして頂いている読者様には大変申し訳ございませんが、どうぞよろしくお願い申し上げます。
町の外で大きな爆音がしたので来てみると、そこには黒焦げになった大地とボロボロになった馬車の残骸が置かれていた。
一体、ここで何があったのだろうか?
馬車に繋がれた馬もいなければ人もいない。
「うーん。これは一体……」
野良荒魂でも暴れたのかな?
微かに荒魂の気配がするし……。
しかし、その荒魂の気配はどんどん遠ざかっているようにも感じる。
「……ハナちゃんはどう思う?」
ボクの肩に留まっているハナちゃんに尋ねると、ハナちゃんは『ハナッハナッハナッ』と笑うだけ。
まったく会話になっていない。
まあ、ハナちゃんに漠然とした質問をしたボクが悪いんだけど……。
「まあいいか。とりあえず、片付けようかな?」
残骸に視線を向けるも、めぼしい物は何もない様だ。
宙をなぞり亜空間から妖刀ムラマサを取り出すと、馬車の残骸に向かって刀を斜めに構える。
『起きろ。ムラマサ――』
そして、そう開合を唱え一閃すると、妖刀ムラマサの刀身から黒い瘴気が湧き馬車の残骸を飲み込んでいく。
「これでよしと……」
お掃除をするならこれが一番早くて簡単だ。
開合を唱え一振りするだけで、黒い瘴気が勝手にゴミを飲み込んでくれる。
「それじゃあ、町に戻ろうかなー」
まだアラミーちゃん入りの呪力発電機が行方不明なままだ。
こんなことならアラミーちゃんを呪力発電機に封じるんじゃなかった。
呪力発電機の動力部にアラミーちゃんを封印してしまったため、ハナちゃんの言霊でアラミーちゃんを呼び出すことはできない。
アラミーちゃん入り呪力発電機の捜索は喫緊の課題だ。
折角なので、アラミーちゃん入り呪力発電機を探すための、呪道具作りをするのも面白いかもしれない。
なんだかワクワクしてきた。
最近、まったくといっていいほど呪道具を作っていなかったからな。
落ち着いた場所でアラミーちゃん入り呪力発電機を探すための呪道具を作ろう。
やみくもに探すよりそちらの方が効率がいい。
「よし。やるぞーっ!」
意気揚々にそう言うと、ボクは町に戻ることにした。
◇◆◇
その頃、最凶の荒魂であるアラミーちゃんを開放してしまったピーチは疲弊した顔で馬に跨っていた。
今、跨っている馬はアラミーちゃんが馬車ごと爆散させた時、死んだはずの馬……いや、霊馬だ。
体は焼き爛れ、かなりの部分を欠損しているにも係わらず、普通に動いている。
「えっと、アラミー様? これは……」
「うん? シんだバトルホースにチカくにいたタマシイをトりツかせたレイバだよ?」
「そ、そうなのですか……。それはそれは……」
何だ。一体何なんだ。この化け物は……。
そして何より速い。バトルホースは時速八十キロで走るモンスター。
しかし、それはバトルホースを全力で疾走させた場合の速度だ。
普通、そんな速度で走らせていてはバトルホースが乗り潰れてしまう。
こんな速度で走られては、すぐにでも到着してしまう……私の住む国であるアクバ帝国に……。
もう私の手には負えない。それこそニセーメイ様に頼るしか……。
「ねえねえ、タノしいハナシをしてよ」
どうニセーメイ様に頼ろうか必死になって知恵を絞っていると、化け物からとんでもない無茶振りが飛んできた。
何だ急に、楽しい話って。思い浮かぶ訳がないだろう。
私は高名な占術士ニセーメイ様お抱えの商人でコメディアンじゃないんだよ!
「た、楽しい話ですか! 何がよろしいですかね……」
しかし、そんな事は口が裂けても言えない。化け物の機嫌を損ねれば私はお終いだ。
何としてでも楽しい話をひねり出さねば……。
「……そ、それでは、こんな話はいかがでしょうか?」
そう言って、話したのは私の苦労話だ。
楽しいかどうかはわからないが、パッと思い付く話がこれしかなかったとも言う。
私が如何にエイシャの町の発展に貢献してきたのか、電化製品と呪力発電機を広める事に尽力してきたのかを面白おかしく話してやる。
「――と、いう事で、エイシャの町で手にする筈だった富をすべて横から攫われた商人は絶望し町を去りましたとさ……めでたしめでたし」
全然、めでたくないし最後は愚痴っぽくなってしまったが、とりあえず話を終える。
「きゃははははっ! オモシロいね。バカみたいだね。そのショウニン! アってみたい!」
思いっきり笑われた。
どうやらこの化け物は人の不幸話で喜ぶらしい。性格が歪んでいる。
ついでに言うと、今あなたが爆笑している馬鹿な商人とは私の事です。
既にお会いしています。私は知り合いたくありませんでしたが……。
「そ、そうですね。あははははっ……喜んでもらえて嬉しいです」
しかし、何とか乗り切る事ができた。
正直、殺されてしまうんじゃないかと恐々としていたのだ。
冷や汗を拭い前を見ると、関所が見えてきた。
また無茶振りされては堪らないと、私は大きな声を上げる。
「ああっ! 見えてきました! あれが私の住む国、アクバ帝国の関所です!」
「あれがセキショか……」
正確に言えば、お前みたいな化け物が国に入り込まないようにする為の検問所だ。
関所にはニセーメイ様の部下であるゴーマン様が関所の任に当たっていた。
あのお方であれば、この地獄の様な状況を何とかしてくれる筈……。
ピーチは関所に向かって爆走する馬に乗りながら、この状況を打開してくれるであろうゴーマンに願いを託すのであった。
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ストックが切れた為、ここから先は不定期となります。
大変申し訳ございません。
ストックが貯まり次第、再開したいと思います。
楽しみにして頂いている読者様には大変申し訳ございませんが、どうぞよろしくお願い申し上げます。
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