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第27話 周辺諸国に宣戦布告を吹っ掛けられました
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「いや~。大魔王コサカは良い奴だった」
勇者マコトはハジマリノ王国の大王の間に転移すると、国王が待ち構えていた。
「だ、大王陛下! お待ちしておりました!」
ん? なんだ?
また何か問題が発生したのか?
大魔王コサカを南極大陸に封印してからというものの、問題が発生し過ぎだろう。
「こ、こちらをご確認下さい!」
ハジマリノ王国の国王は汗をダラダラと流しながら勇者マコトに書状を手渡す。
「ん? なんだコレ?」
勇者マコトは書状に目を通すと、心底呆れたと言わんばかりの表情を浮かべる。
書状には、ハジマリノ王国が大魔王コサカと手を結びボウ国を亡国にした事。ハジマリノ王国の周辺諸国が同盟を結び、人類の敵となったハジマリノ王国に宣戦布告する旨が書かれていた。
「はぁ~。情報が伝わるのが早い事で……」
まさか俺様が大魔王コサカと繋がっている事によって周辺諸国が同盟を組み、ハジマリノ王国に宣戦布告をしてくるとは思いもしなかった。
「だ、大王陛下。如何致しましょうか……? 数日後、使者がこちらに来るそうですが……」
国王に視線を向けるも、オドオドするだけで役に立ちそうもない。
全く使えない国王だ。
よくこんなメンタルでハジマリノ王国の国王が務まったものだ。
「あ~。大丈夫大丈夫。あいつらに確たる証拠がある訳じゃないんだ。まあボウ国は大魔王コサカのモノになっちゃたけど、元々、俺の国に補償を求めるとか馬鹿な事を考えるから悪いんだし、使者が来たらお前の国もボウ国の様にしてやろうかとでも脅しかければいいんだよ」
勇者マコトがそう言い放つと、国王がポツリと呟く。
「……もはや、誰が大魔王か分かったもんじゃありませんな」
「……あっ? 今なんか言ったか?」
「い、いえ。なんでも……」
一瞬、気分を害する様な発言が聞こえた気がしたが気のせいか……。
しかし、宣戦布告をしてくるような馬鹿な国の使者と話すのも時間の無駄な気がしてきた。
どうせボウ国の使者の様に傲慢な貴族が使者として来るに決まっている。
さて、どうしたものか……。
いっその事、周辺諸国と交流を絶つか?
この俺様がここに留まる以上、別に周辺諸国と断交しても問題はない。
それにあんなに頑張って大魔王コサカを南極大陸に封印したというのに、周辺諸国のハジマリノ王国に対するこの扱いはなんだ?
仮にも大魔王コサカを南極大陸に封印し、世界に平和を齎した勇者マコトを輩出した国だぞ。
何だか考えるのが面倒臭くなってきた。
よし決めたぞ!
宣戦布告をしてくるような国とは断交しよう。そうしよう!
「国王よ。俺は決めたぞ」
勇者マコトの言葉に、国王はポカーンとした表情を浮かべる。
「大王陛下。な、何を決めたというのですか?」
「ああ、ハジマリノ王国は周辺諸国と一切の交流を絶つ事を今決めた」
勇者マコトがそう呟くと、国王は目を丸くし驚愕の表情を浮かべる。
「だ、大王陛下! な、何を言っているのですか!? 冗談ですよね? 周辺諸国との交流を絶つなんて冗談ですよね!?」
冗談といって欲しいと慌てふためく国王に視線を向ける。
「国王よ。よく考えて見ろ。周辺諸国が全て敵に回ったんだぞ? 宣戦布告って事はそう言う事だろう?」
「で、ですが使者をこちらに寄越すという事は話し合いの準備があるという事で……」
「それで? 使者との話し合いに応じてどうする? ハジマリノ王国の財産や領土を切り売りするのか? 一度敗戦国認定されたらそれこそお終いだ。ただでさえ大魔王コサカとの繋がりが疑われているんだ。それこそ一生周辺諸国に補償と賠償を毟られ続けられるぞ。何度謝罪しても、何度賠償しても誠意が足りない。反省が足りていないと言われ、下手したら魔王軍に殺されてしまった人々の補償まで求められるかもしれない。お前はそれでいいと本当に思っているのか?」
「そ、それは……」
勇者マコトの剣幕に、国王が一歩後ろに後退る。
「周辺諸国が使者を向かわせるというのもその一環だろう。周辺諸国の言う通りにしていたら、それこそハジマリノ王国が終ってしまう。そんな事させるものか……」
「だ、大王陛下……」
国王はハジマリノ王国を守りたいという勇者マコトの気持ちに感銘を受ける。
「絶対にそんな事させるものか! ぶっちゃけハジマリノ王国の未来なんてどうでもいい! 折角、魔王を倒し、大魔王コサカを南極大陸とボウ国に封印したんだ! これから始まる俺様のセカンドライフの邪魔をさせてなるものかぁぁぁぁ!」
「だ、大王陛下……。ハジマリノ王国の未来より自分のセカンドライフの方が大切ですか……」
国王の心の中に一瞬芽生えた感銘が一瞬にして消えていく。
「当然だ! 俺様のセカンドライフよりも大切なものがこの世にある訳がないだろうが! 許さん! 絶対に許さん! 俺様のセカンドライフを脅かそうとする周辺諸国め! 目にものを見せてやる! しかし、また大魔王コサカに領土をくれてやるのもなんか嫌だな……」
「で、ではどうするので……?」
勇者マコトはニヤリと口を歪めると、国王に視線を向ける。
「良い事を思いついた。安心しろ、俺様がこの世界の半分を支配している以上、ハジマリノ王国の未来は明るい。貿易などしなくてもなんとでもなる。まずは愚かなる周辺諸国に格の違いを……。いや違うな。この世界の支配者に喧嘩を売った報いを与えてやるとしよう」
勇者マコトはハジマリノ王国の大王の間に転移すると、国王が待ち構えていた。
「だ、大王陛下! お待ちしておりました!」
ん? なんだ?
また何か問題が発生したのか?
大魔王コサカを南極大陸に封印してからというものの、問題が発生し過ぎだろう。
「こ、こちらをご確認下さい!」
ハジマリノ王国の国王は汗をダラダラと流しながら勇者マコトに書状を手渡す。
「ん? なんだコレ?」
勇者マコトは書状に目を通すと、心底呆れたと言わんばかりの表情を浮かべる。
書状には、ハジマリノ王国が大魔王コサカと手を結びボウ国を亡国にした事。ハジマリノ王国の周辺諸国が同盟を結び、人類の敵となったハジマリノ王国に宣戦布告する旨が書かれていた。
「はぁ~。情報が伝わるのが早い事で……」
まさか俺様が大魔王コサカと繋がっている事によって周辺諸国が同盟を組み、ハジマリノ王国に宣戦布告をしてくるとは思いもしなかった。
「だ、大王陛下。如何致しましょうか……? 数日後、使者がこちらに来るそうですが……」
国王に視線を向けるも、オドオドするだけで役に立ちそうもない。
全く使えない国王だ。
よくこんなメンタルでハジマリノ王国の国王が務まったものだ。
「あ~。大丈夫大丈夫。あいつらに確たる証拠がある訳じゃないんだ。まあボウ国は大魔王コサカのモノになっちゃたけど、元々、俺の国に補償を求めるとか馬鹿な事を考えるから悪いんだし、使者が来たらお前の国もボウ国の様にしてやろうかとでも脅しかければいいんだよ」
勇者マコトがそう言い放つと、国王がポツリと呟く。
「……もはや、誰が大魔王か分かったもんじゃありませんな」
「……あっ? 今なんか言ったか?」
「い、いえ。なんでも……」
一瞬、気分を害する様な発言が聞こえた気がしたが気のせいか……。
しかし、宣戦布告をしてくるような馬鹿な国の使者と話すのも時間の無駄な気がしてきた。
どうせボウ国の使者の様に傲慢な貴族が使者として来るに決まっている。
さて、どうしたものか……。
いっその事、周辺諸国と交流を絶つか?
この俺様がここに留まる以上、別に周辺諸国と断交しても問題はない。
それにあんなに頑張って大魔王コサカを南極大陸に封印したというのに、周辺諸国のハジマリノ王国に対するこの扱いはなんだ?
仮にも大魔王コサカを南極大陸に封印し、世界に平和を齎した勇者マコトを輩出した国だぞ。
何だか考えるのが面倒臭くなってきた。
よし決めたぞ!
宣戦布告をしてくるような国とは断交しよう。そうしよう!
「国王よ。俺は決めたぞ」
勇者マコトの言葉に、国王はポカーンとした表情を浮かべる。
「大王陛下。な、何を決めたというのですか?」
「ああ、ハジマリノ王国は周辺諸国と一切の交流を絶つ事を今決めた」
勇者マコトがそう呟くと、国王は目を丸くし驚愕の表情を浮かべる。
「だ、大王陛下! な、何を言っているのですか!? 冗談ですよね? 周辺諸国との交流を絶つなんて冗談ですよね!?」
冗談といって欲しいと慌てふためく国王に視線を向ける。
「国王よ。よく考えて見ろ。周辺諸国が全て敵に回ったんだぞ? 宣戦布告って事はそう言う事だろう?」
「で、ですが使者をこちらに寄越すという事は話し合いの準備があるという事で……」
「それで? 使者との話し合いに応じてどうする? ハジマリノ王国の財産や領土を切り売りするのか? 一度敗戦国認定されたらそれこそお終いだ。ただでさえ大魔王コサカとの繋がりが疑われているんだ。それこそ一生周辺諸国に補償と賠償を毟られ続けられるぞ。何度謝罪しても、何度賠償しても誠意が足りない。反省が足りていないと言われ、下手したら魔王軍に殺されてしまった人々の補償まで求められるかもしれない。お前はそれでいいと本当に思っているのか?」
「そ、それは……」
勇者マコトの剣幕に、国王が一歩後ろに後退る。
「周辺諸国が使者を向かわせるというのもその一環だろう。周辺諸国の言う通りにしていたら、それこそハジマリノ王国が終ってしまう。そんな事させるものか……」
「だ、大王陛下……」
国王はハジマリノ王国を守りたいという勇者マコトの気持ちに感銘を受ける。
「絶対にそんな事させるものか! ぶっちゃけハジマリノ王国の未来なんてどうでもいい! 折角、魔王を倒し、大魔王コサカを南極大陸とボウ国に封印したんだ! これから始まる俺様のセカンドライフの邪魔をさせてなるものかぁぁぁぁ!」
「だ、大王陛下……。ハジマリノ王国の未来より自分のセカンドライフの方が大切ですか……」
国王の心の中に一瞬芽生えた感銘が一瞬にして消えていく。
「当然だ! 俺様のセカンドライフよりも大切なものがこの世にある訳がないだろうが! 許さん! 絶対に許さん! 俺様のセカンドライフを脅かそうとする周辺諸国め! 目にものを見せてやる! しかし、また大魔王コサカに領土をくれてやるのもなんか嫌だな……」
「で、ではどうするので……?」
勇者マコトはニヤリと口を歪めると、国王に視線を向ける。
「良い事を思いついた。安心しろ、俺様がこの世界の半分を支配している以上、ハジマリノ王国の未来は明るい。貿易などしなくてもなんとでもなる。まずは愚かなる周辺諸国に格の違いを……。いや違うな。この世界の支配者に喧嘩を売った報いを与えてやるとしよう」
応援ありがとうございます!
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