大魔王に「世界を半分やろう」と言われたので、本当に世界の半分を貰ってみた!

びーぜろ

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第29話 扇動する大王

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「なにっ……オワル王国の国境沿いに壁が? 大地は砂漠化し、泉が枯れただと!?」

「は、はいっ! そ、それだけではありません! 宝物庫から金貨が無くなり、中にはこんな手紙が……。こちらをご覧下さい」

 オワル王国の国王オワールは、報告に来た騎士から三枚の白紙の紙と、ハジマリノ王国初代大王マコト名義で届いた手紙を受け取ると、それを読み手を震わせる。

「国王陛下……? その書状には、なんと書かれているのですか?」

 オワル王国の国王オワールは口を開こうとすると、何処からともなく声が聞こえてくる。

『よぉ? 俺様はハジマリノ王国初代大王にしてこの世界の半分を支配する勇者マコトだ。お前らいい度胸してるじゃねーか? 俺様の支配するハジマリノ王国に宣戦布告をするなんて……。つまり何か? お前ら……。死にたいのか? 国民全員を引き連れ国ごと終わりたい。そういう事か? だったら、その願い聞き入れてやろう。だがその前に、お前達だけではない。国民全員に今お前達の住む国の現状を教えてやる。』

 国王オワールはガタリと椅子から立ち上がると血相を変えて「やめろ!」と叫ぶ。しかし、その叫びも虚しく王の間に響くだけに終わった。

『国民達よ。よく聞け! お前達の住む国は今滅びに向かっている。家から出て外を見てみろ。大地は砂漠と化し、泉は干上がった…それだけではない。お前達の住む国の馬鹿な王族共が俺様の国であるハジマリノ王国に無用なちょっかいを出せぬ様、国境沿いに壁を建てさせて貰った。つまり、お前達はその国から出る事は敵わず、このままでは俺様の治める国に宣戦布告した馬鹿な王族と共に死ぬ運命にある。』

 天から聞こえるその声を国民達は茫然とした表情で聞いている。

『何故こんな事になっているのか教えてやろう。先程、少し話したがお前達の国の馬鹿な王族共は、事もあろうに世界の半分の支配者たる俺様の収める国、ハジマリノ王国に宣戦布告をしたのだ! 皆も知っての通り、ハジマリノ王国はこの世界の国を代表して勇者マコトを異世界から召喚し、魔王ハセガワの討伐を成し遂げた。その後復活した大魔王コサカも南極大陸に封印する事に成功した。そう世界は一度、確かに救われたのだ。なのにどうだ? お前達の国の馬鹿な王族共は、ハジマリノ王国に何の支援もしないばかりか、魔王が討伐され平和になった途端にハジマリノ王国に宣戦布告をしてきたのだ! 大魔王コサカと内通していたという訳の分からない理由を述べてな……』

「だ、大王陛下……。少し事実と違うのでは……?」

「何を言う。概ねその通りだろうが!」

 煩い爺だ。折角演説に熱が入っていたというのに、真っ向から打ち折りに来た。
 まあいい……。所詮言った者勝ち。
 この世界の半分を支配する俺の言葉がそのまま真実となるのだ。

≪半神眼≫で各国の国民達の姿を覗いてみると、皆呆然として空を眺めている。

『しかし、俺様も鬼ではない。愚かな王族達に翻弄される国民の姿を見るのは辛いのだ……。今、お前達の手元に一本の剣を転送した。お前達に、お前達が生き残る為の方策を示してやろう……。お前達の国の馬鹿な王族共を捕えよ。愚かな王族達に二度と馬鹿な真似をさせぬ様、罰を下してやるのだ! 国あっての民ではない。民あっての国、民あっての王なのだから! 王族共を捕えたら俺様に連絡するがよい。連絡方法はただ一つ。今、お前達の国の馬鹿な国王が持つ三枚の白紙の紙。それに捕えた事を記せば俺様と連絡が取れる。ああ、早くした方がいいぞ。今、手元に各国から一枚ずつ抗議の手紙が届いた。残りは後二枚……。その二枚を使い果たせばお前達の国はお終いだ。今、二枚目の紙に手を付けようとしている王族共! 最低一枚は残しておいた方がいいぞ? もし全部の紙を使い切ればお前達はお終いだ。折角、生き残る事が出来る可能性を自ら捨てたいというのであれば止めはしないがなぁ……』

「も、もはややっている事は大魔王コサカと同じですな……」

 本当に煩いぞ糞爺。お前は相槌を入れないと死んでしまうのか?
 俺様は頼りないお前の代わりにハジマリノ王国を救おうとしているんだぞ?
 その辺の所を分かっているのか?

 まあいい。

『諸君。健闘を祈る……』

 ハジマリノ王国の大王の間に坐する勇者マコトは、敵対してきた周辺諸国全ての民に演説をすると、演説を打ち切った。
 その瞬間、国民達の怒声が王国中に響き渡る。

 オワル王国の国王オワールは、ハジマリノ王国に抗議する為、二枚目の紙に手を伸ばす。
 しかし、それを騎士に止められてしまった。

「き、貴様っ! 何をする!」

「国王陛下! お止め下さい! 今の話が本当であれば、その紙はハジマリノ王国に連絡をする事のできる唯一の手段! 何を無駄に消費しようとしているのですかっ!」

 しかし、国王オワールも必死である。
 今の話が国民達に伝わっているとしたら、国民達がこの王城へと剣を持ってやってくる。
 その前に、ハジマリノ王国と連絡を取り、事態を挽回できなければ捕えられてしまう。

 そうなれば終わりだ。
 贅沢な暮らしも、何もかもを失ってしまう。

 その日、周辺諸国に王族の絶叫が響き渡った。
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